批評の手帖

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『文藝春秋』(2018年1月号) への寄稿2本+中島岳志氏へのお礼

 昨日、二本の原稿を寄稿した『文藝春秋』(2018年1月号)が自宅に届きました。
 一つ目の原稿は、「文藝春秋を彩った95人」という特集のなかにある「福田恆存―その平衡感覚について」という文章です。短いものですが、この原稿の為に担当編集者からは文春本誌初出の福田原稿の全てと、文藝春秋社の『社史』まで送って頂き、なんというか紙数と不釣り合いなほどの「労力」はかけています(笑)。でも、その分、私にとっても新しい発見―福田が1970年を境に、右も左もない「塹壕戦時代」に入ったことを自覚している点、そして、それ以降「進歩的知識人」批判よりは、政権批判に重心を移していく事実などの発見―のあった仕事で、担当の西さんには感謝しております。しかし、そこから翻って考えると、「政権」万歳の今の「保守業界」には、福田恆存の爪の垢ほどの「平衡感覚」もないことが分かりますね。
 あと、もう一本は「旬選ジャーナル」というコーナーに書いた「耕論・リベラルを問い直す」という文章です。こちらは、『朝日』の記事をネタに私なりの「リベラル論」を書きました。短いながら、現在におけるリベラル退潮の意味・理論的背景など分かり易く書いています。一読していただければ幸いです。

 ちなみに、最後になりましたが、同じ『文藝春秋』の1月号に「二十歳の自分に読ませたい『私のベスト3』」というコーナーがあるのですが、そこで中島岳志さんが、私の本―『福田恆存 思想の〈かたち〉』と『反戦後論』―の二冊を取り上げてくださいました(あと一冊は、國分浩一郎氏の『中動態の世界』です)。知っていれば「すばるクリティーク賞」の審査会でお会いした時にでも、お礼が言えたのに…と思いつつ、改めてこの場を借りて感謝申し上げます。中島さん、ありがとうございます!