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ダメちゃんの大猫的生活

2017-05-14

黒だるまのシンプリーライフ 18:47

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 四月十九日。
 会社を一時間早引きして、動物病院に行った。
 アタゴロウの喘息が再発したのである。
「では、消炎剤と気管支拡張剤を出しておきます。これで様子を見て、改善しないようなら連れてきて下さい。」
 事前に電話で説明はしてあった。連れて行かないと駄目ですか?と尋ねたところ、とりあえずは投薬で、ということになり、急遽、会社帰りに立ち寄った。
 先生は薬を処方しつつ、
「痩せてしまったようなことはないですね?」
「いえいえ、そんな酷いんじゃありません。むしろ太ったくらいで――。」
 どうやら、最後の一言は余計だったらしい。
「太った?」
 先生の目がキラリと光る。
「どのくらい太ったんです?今、体重は?」
 しまった!!
 体重計の電池が切れたまま放置状態で、体重なんか(自分のも含め)全く測っていないなんて、とても言えない。(体重注意の猫がいるのに。)
「いや、大して変わってないです。ほとんど同じです!!」
「ま、それなら――。」
 先生は二秒ほど私を凝視した後、視線をゆっくりと自身の手元に戻し、
「じゃあ、前と同じ量にしておきますから。」
 あ。
 要するに、薬の量のハナシだったのか。
 人知れずほっと息をついていると、助手さんがにこやかに、ロイヤルカナンのサンプルを持ってきた。
「ごはんどうぞ。たまに気分転換にでも。」
「はあ。ありがとうございます。」
 ウチもう、グレインフリーにしてますから、とは言えなかった。
 いただいたサンプルは、ダイエット猫の最終兵器「満腹感サポート」であった。
 
 
 アタゴロウの猫喘息が発覚したのは、二〇一四年の五月である。
 その時も、消炎剤と気管支拡張剤を処方された。
(対症療法だな。)
 その時は失礼ながらそう思ったのだが、それで劇的に咳は治まった。とはいえ、所詮は対症療法である。薬が切れたら簡単に再発するのではないかと恐れたのだが、いったん治まってしまえば、症状はしばらく抑えられるものであるらしい。その後も時々咳はしていたが、長く続くようなことはなかった。
 それが、今年の冬は、程度に波はあるものの、冬じゅう何となく咳が続いていた。
 最初は、このごろよく咳をするようになったな、という程度の認識であったのだが、それが一日に何度も咳き込む日が続くようになり、また、一回あたりの時間も長くなってきたので、
(そろそろ薬を飲ませた方が良いだろうか…。)
と、何度か、動物病院に行く決心を固めた。が、そうこうしているうちに、またいくらか改善したりして見送っているうちに、気付けば春の足音が聞こえてくる頃合いになっていたものである。
(暖かくなれば、治まるのかな。)
 寒い時期に自転車に乗せて無駄に通院するのもどうかと思うし、だいいち、私の認識では対症療法の薬である。やたらに飲ませると、効かなくなってしまうのではないか。
「いや、気温の問題ではないですね。それより、あまり放置すると、飲み薬では効かなくなってしまう可能性があるので――。」
 そうだったのか――。
 ドキリとしたのだが、結論から言えば、今回も薬はよく効いた。飲ませ始めてすぐ、アタゴロウの咳はぴたりと治まった。
 猫喘息は、多くがアレルギー性のものだという。
 ただし、アレルゲンの特定が難しいので、原因追求はあまり現実的ではないらしい。だから、対症療法になるわけだ。
 アレルゲンとして考えられるのは、ハウスダストや薬品、芳香剤、煙草など。そのほか、冷たい空気(急激な気温の変化)やストレスが原因となる場合もあるらしい。
 私は煙草も香水も嫌いだし、室内も、たまに気が向くとお香を焚くことはあるが、アロマランプを割ってしまってからはエッセンシャルオイルもお蔵入り状態である。マンションは築十五年以上経過しているから、今更、塗料だ接着剤だという問題ではないだろう。日中は閉め切りだから、冷たい空気にさらされるわけでもない。ストレス?こいつが??いいや、有り得ない(と思う。)
 ま。
 要するに。
 ハウスダスト、だよね。
 こいつ、私が掃除をサボると、これ見よがしに咳をするし。
 などと調べているうちに、別の原因を見つけてしまった。
 キャットフードの添加物。もしくは穀物アレルギー。あるいは、同じフードの続け過ぎ。
 いかにもありそうだが――いや、それではない、と思う。そう思いたい。
 なぜって、前にも書いたが、我が家は今回の冬を迎えた頃には、すでに無添加・グレインフリーのフードに切り替えていたからだ。
 だが逆に、タイミングが一致している、とも言える。
 新しいフードに含まれる何か特定のタンパク質が、たまたま彼のアレルゲンとなってしまったのだろうか。
 それとも――。
 
 
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(黒光りの図)
 
 
 フードを替えるというのは、ちょっとした「賭け」である。
 だがやはり、高価なフードには、それなりの価値がある、と思う。
 そう思うようになったのは、我が家の猫たちの毛ヅヤが、明らかに向上したからである。特に、アタゴロウが。
 生来の毛質を反映して、玉音はフカフカ。ダメちゃんはみっしりどっしり、ついでに、抜け毛が減った。そして、もとよりツヤツヤ系だったアタゴロウは、ツヤツヤを通り越して、背中の辺りが黒光りしている。
 玉音については、別の効果もあった。
 何と、この野良娘、生意気にも高級フードが好きだったのである。明らかに食いつきが良くなり、残さず食べるようになった。結果、ちょっとお痩せさんだった体型がふっくらとし、短足が目立って、実に可愛らしくなってしまったものである。
玉ちゃん、可愛くなったね。」
 見た目も可愛くなったが、喜んで残さず食べるという辺りが、飼い主ゴコロを満足させる愛らしさとも言える。
 玉音に関しては、一回あたりに与えるドライフードの量は、ロイカナ時代と、おそらくほとんど変わっていないと思う。彼女の側がきちんと食べるようになったということだ。
 対して、ダメちゃんとアタゴロウについて言えば、給与量はかなり減っている。ロイカナ時代の六〜七割くらいではないか。カロリーとタンパク質の増加は、それで相殺されているのではないかと思うのだが。
 だが――。
「アタちゃん、胴周りが太くなったんじゃない?」
 先週、我が家に遊びに来た友人さくらは、瞬時にして看破した。
「お腹の垂れっぷりが凄い。」
「いや、お腹は前からよ。仔猫の時から垂れてたから。」
 先日、自分のブログを読み返したら、「お腹に肉団子をぶら下げている」と書いていた。アタゴロウ生後半年くらいの頃のことである。
「でもねえ、何て言うか、全体の太さが太くなって、座るとお尻の辺りがどっしりしちゃってるのよね。アタは、ダメちゃんと違って頭が小さいから――。」
 私はそこで、それまで深く心に秘めていた一言を、人前で初めて口にした。
「黒だるま、って、感じなのよね…。」
 
 
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(黒だるまの図)
  
 
 ここで、我が家のドライフード問題のその後について書いておきたい。
「ファインペッツ」がダメちゃんの便秘を引き起こし、このため、一月早々には、「ファインペッツ」から「シンプリー」に切り替えたことは、すでに書いた。
 その後しばらく、我が家は「シンプリー」一本で落ち着いていたのだが。
 どうやら「シンプリー」は、ダメちゃんにとって食べにくい形状であるらしい、と、やがて気付いた。そして、同じ会社から「モグニャン」が新発売されていたことを知った。
 私は、つまらないところでせっかちである。
「モグニャン」の存在を知ったら、試してみたくてたまらなくなった。このため、「シンプリー」の定期購入三回目が届いたばかりだというのに、「モグニャン」と「カナガン」を一袋ずつ、単品購入してしまったのである。 
 届いてしまったら、もう我慢できなくて、とりあえず開封してしまう。
 まずは「モグニャン」。
 ダメちゃんが「シンプリー」を好まないのは、もしかしたら、粒の形状の問題ではなく、サーモンの濃いフレーバーが嫌なのかもしれない。長いこと愛用してきたロイカナはチキンがベースだし、ひょっとしたら彼は、お肉系を好む猫だったのかも。
 もしそうだったら、白身魚ベースの「モグニャン」も食べないかもしれない。そう思ったからこそ、チキンベースの「カナガン」を一緒に購入したのだ。
 だが、それは杞憂であった。
 彼は一瞬のためらいもなく「モグニャン」を食べた。もし私がそのとき、心を強く持っていなかったら、
(私、一週間くらい、彼にご飯をあげるのを忘れていたかも――。)
と、自分を疑ってしまうくらいの勢いで。
 次の食事時に与えた「カナガン」も、「モグニャン」ほどの勢いはなかったが、ペロリと完食した。
 アタゴロウと玉音も、いずれも普通に完食した。
 それが四月上旬の話である、その後、我が家は「シンプリー」「モグニャン」「カナガン」そして、さくらが分けてくれた「オリジン」を併用する生活が続いていたのだが。
 続けているうちに、まず、ダメちゃんが「シンプリー」を全く食べなくなった。
 他のフードと混ぜてみたりもしたが、「シンプリー」が混じっている皿には、一切口をつけないというほどの徹底ぶりである。
 アタゴロウと玉音も、どうやら、「シンプリー」にはあまり気乗りがしない様子になってきた。「シンプリー」と他のフードを混ぜて出すと、いつも皿の上に、「シンプリー」だけが何粒か残っている。それでも、その残った「シンプリー」を出しっぱなしにしておくと、しばらくしてどちらかがその残り物を片付ける、という具合だった。
(もう、シンプリーはやめよう。)
 二袋ずつ届いていた「シンプリー」の一袋をさくらに引き取ってもらい、残り一袋は、アタゴロウと玉音の食事に少しずつ混ぜながら食べさせて、ようやく全てが片付いたのが、四月も下旬。
 ここで問題になったのは、今後の購入計画を、「モグニャン二袋」にするか、「モグニャン・カナガン一袋ずつ」にするか、ということ。かなり悩んだ。
 が。
 この問題も、おのずから解決した。
 ダメちゃんが、今度は「カナガン」を食べなくなったのである。
 玉音も飽きてきたらしい。三分の二くらい食べると、さっさと遊びに行ってしまうようになった。(その後、残りをデリバリーすると、きちんと完食する。)
「シンプリー」と同じ展開である。 
 
 
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「やっちーはねえ。『モグニャン』の方が駄目だったわ。」
 さくら家は、我が家とは事情が違うらしい。
「粒が小さいから、ほとんど飛ばしちゃうの。」
「ああ。うちもダメちゃんが、飛ばしながら食べてるよ。」
 粒が小さいフードは仔猫や歯のない老猫にも食べやすいだろう、と、思いきや、舌で舐め取る食べ方をする猫にとっては、軽すぎて上手く口に入らない、という落とし穴があるのである。
「で、アタゴロウが太る、と。」
 そう。
 ここでようやく、話が本筋に戻る。
 先程、私は、ダメちゃんとアタゴロウのドライフードの量について「給与量が六〜七割」と書いた。
 この「給与量」がミソなのである。
 確かに、給与量は減らした。だが、「摂取量」は、アタゴロウの場合、確実に「給与量」を上回っていた。
 理由はただ一つ。「みんなの残り物を片付けていたから」である。
 ダメちゃんや玉音が残した「シンプリー」。ダメちゃんが残した「カナガン」。
 そして、ダメちゃんが皿から飛ばした「モグニャン」。
 これらがみんな、アタゴロウのお腹に入っていたのだ。
 ついでに言えば、ダメちゃんは十二歳に至った頃から、以前に比べ食が細くなっている。このため、三匹で分けているウェットフードも、最初は「ダメちゃんが五分の二、アタゴロウと玉音が残りを半々」という分け方から、「三匹で三等分」になった。ここでもアタゴロウの取り分は増えているのだ。
 しかし、彼がトータルでどのくらい食べているのかについては、残念ながら把握のしようがない。彼の「食べ過ぎ」は、全てその時々の残り物の積み上げだからだ。
 実際にアタゴロウにダイエットが必要であるかは、もうすぐ来るべき彼の予防接種の日に、先生のジャッジが下るものと思われる。
 ただ――。
 喘息についていろいろネット検索しているうちに、私はイヤなものを見てしまった。
 ご存知だろうか。「肥満喘息」という言葉を。
 
 
 肥満は喘息の原因もしくはリスク因子である、という説。
 お腹に脂肪がつくと肺が圧迫され、気道を狭めてしまうことに加え、内臓脂肪の増加により分泌が増える「レプチン」という物質が悪さをする、等々。
 断わっておくが、これらは全て、人間の喘息についてのハナシである。
 だが。
 お腹の脂肪が肺を圧迫するなら、猫にだってそれは起こるのではないか。
 いや、猫の場合は、肺とお腹が横一列だから、お腹に脂肪が増えたって、ぶら下がる肉団子が大きくなるだけで、肺には影響がないのかな?
 でもねえ。
 アタゴロウに関して言えば、お腹の肉団子より、現に胴周りが太くなっているわけだし。
 肥満が彼の喘息の悪化の一因だとしたら、フードの変更は、間接的にその一翼を担ったということになる。
 
 
 そうこう言っているうちに、連休明け頃、アタゴロウの喘息は再々発した。
 四月十九日に処方された薬は十二日分(消炎剤が十二日分で気管支拡張剤が十日分)。全て飲み終わっておよそ一週間で再発したことになる。
 この場合、先日の薬は「効いた」になるのだろうか、「効かなかった」になるのだろうか。
 迷いながらも、今日、とりあえず自分だけ動物病院に足を運んだ。
「飲ませたときには、劇的に効いたんですけど…。」
 じゃあ連れて来い、と言われるかなと思いながら、恐る恐る状況を話したのだが、先生はさほど驚いてもいないようであった。あっさりとまた同じ薬を出してくれた。
「これでまた、様子を見てください。」と。
 要するに、薬が足りなかったということなのだろうか。そういえば、前回の薬の最後の日、一回だけ「ケホッ」と咳をしたのだった。(その前数日間は、全くしていなかったのに。) 
 ついでに、これも恐る恐る、訊いてみた。
「食事って、関係ありますか?」
「いやあ。全然ないとは言い切れませんが、まあ、あまり考えられないかな。」
 ほっとした。
 今思えば、この時さらに突っ込んで「肥満は関係ありますか?」と訊けばよかったのだろうか。だが、太ったことは前回伝えてあるわけだし、この点については、次回のジャッジを待つことにしようと思う。予防接種まであと一ヶ月足らずである。
 ふと思いついて、もう一つ訊いてみた。
「黄砂って可能性あります?」
「ああ、あるかもね。」
 なるほど。
 でも、もしそうだとしても、防ぎようがないけどね。
 帰りがけ、先生がロイカナのサンプルの棚を見ながら尋ねてきた。
「アタゴロウくんたちは、どのフードでも食べますか?」
「あ、でも、ウチ、決めたフードがあるんで。」
 今回は、お断りした。
 お断りしなかったら、また「満腹感サポート」を出されたのだろうか、と、ふと思った。
 
 
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 と、いうわけで。
 我が家のフード問題も、併せて最終決着に向かうことになったらしい。
 結論は「モグニャン」である。
 結局、ダメちゃんは、「カナガン」を全く食べなくなった。ついでに、玉音も「カナガン」を出すと、かなりの量を残すようになった。
 二匹とも「モグニャン」なら、喜んで食べる。
 アタゴロウをこれ以上太らせないために大事なのは、残り物を出さないことである。今使っているフードを替えないなら、三匹が喜んで完食する「モグニャン」を結論とすることで、アタゴロウの肥満も防げる理屈になるではないか。
 なお、ダメちゃんのモグニャン飛ばし問題も、ほぼ解決している。彼がコツを覚えたらしく、おおむね上手に食べられるようになったことと、私ができるかぎり傍にいて、彼が飛ばした粒を拾ってあげることにしたからだ。アタゴロウも、私が彼の傍にいると、諦めて立ち去るようになった。
 ただ、同じフードばかりを続けるのも良くないらしいことも知ってしまった以上、ローテーションを組むために、三匹が喜んで完食する、他のフードを探し続ける必要はあるかもしれない。
 黒缶問題から始まった我が家のフード漂流は、今度は、黒光りの黒だるまによって、その行方が運命づけられることになったのである。
 
 
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(黒光りの黒だるまの図)