Hatena::ブログ(Diary)

ダンスの海へ 舞踊評論家・高橋森彦のblog このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006010203040506070809101112
2007010203040506070809101112
2008010203040506070809101112
2009010203040506070809101112
2010010203040506070809101112
2011010203040506070809101112
20120102030405060708091112
201301020304050607091011
20140102040508
201506070809

2008-04-28

[] 八王子市学園都市文化ふれあい財団主催・バレエ シャンブルウエスト『コッペリア』

川口ゆり子・平成18年度紫綬褒章授章祝賀公演『コッペリア』全幕が行われた。バレエ シャンブルウエストの公演ではあるが主催は八王子市学園都市文化ふれあい財団。八王子市に生まれ、日本バレエのパイオニアの橘秋子、牧阿佐美のもとで学び日本を代表するプリマのひとりとして活躍を続けてきた川口の授章、功績を称えて自治体が場を提供したものである。どの世界でもそうだろうが自分で企画を立案し実行に移す行動力も大切。ただ第三者から頼まれて仕事が発生してこそプロという一面も。市場のパイが狭いバレエの世界で、自治体から声がかかって会を主催してもらえるということはなかなか出来ることではないし凄いことなのだ。川口個人のみならず芸術監督・今村博明との二人三脚、後援者の支援もありユースバレエとして発足以来、20年近く八王子を拠点に芸術文化の振興を図ってきた成果を確認できる証でもある。

さて、舞台に目を移そう。川口の授章を記念しての公演であり、主役のスワニルダは当然川口が演じた。1幕から3幕までほぼ出ずっぱり、体力を要する役だが立派に務め上げた。1幕でのチャーミングな演技、2幕、コッペリアの仕事場での堂々たる人形振り、3幕、グラン・パ・ド・ドゥにおけるえもいわれぬ品格と大ベテランらしく演じわけがさすがだ。コッペリアは逸見智彦。川口・今村の開いたバレエスクールの第1期生である(吉本泰久、橋本尚美も同期)。牧阿佐美バレヱ団や新国立劇場でたびたび主役を努め、橘秋子賞優秀賞、服部智恵子賞と立て続けに受賞しバレエ界の栄誉を欲しいがままにしている。王子役、ノーブルダンサーとして得難い存在のひとり。今回の舞台で逸見は妙に3枚目ぶったりすることなく自然体でフランツという青年を演じており好感がもてる。師の祝賀公演での主役、しかもパートナーという大役をよく務めた。

シャンブルウエストの魅力は何よりもアンサンブルの良さにある。第1幕の村人たちの踊りや3幕の時のワルツなど、単に揃っているとかいうのではなくダンサー間の息の合い方や一体感がなんともいい雰囲気なのだ。主宰者の目が隅々にまで行き届いているのだろう。ユニットとしての統一感が抜群。ソリストでは、吉本真由美、松村里沙、深沢祥子、田中麻衣子といったベテラン、中堅どころに加え、太田恵、望月美帆、楠田智沙、新井優美、若林優佳らが台頭している。男性陣も海外や外部団体へ羽ばたいた人材も多いが、土方一生や伊藤達哉らが伸びている。今後にも期待できそうだ。

『コッペリア』はロマンティック・バレエ最後期に初演されたものだが、クラシック・バレエへの移行期の作品ともいえ、スタイルはやや流動的。そのため、ダンスとマイムを絶妙に融合させたピーター・ライト版やそれに影響を受けつつより娯楽性を重視、曲順等も大幅に変えた熊川哲也版が好評を得るなどさまざまな試みもみられる。川口・今村版は原点を重んじつつクラシックの枠組みを押さえたつくりになっている。第三幕のディヴェルティスマンから主役ふたりのパ・ド・ドゥまでの流れなどにそれは顕著。古典の形式、手法を重んじる姿勢は、この団体の大きな売りである『天上の詩』『タチヤーナ』『フェアリーテイルズ』『LUNA』『ブランカ』『おやゆび姫』といった創作物語バレエでも揺るがない。新奇さを競う創作や海外の著名振付家の著名作を移植導入、紹介する団体は少なくなく、またそれは意義のある仕事である。が、古典をベースに独自の創作を生み出すシャンブルウエストの仕事は貴重。着実に成果を挙げているのは確かだ。

シャンブルウエストの活動は近年充実を増し文化庁の重点支援事業にも採択されている。その存在も広く知られ、夏の風物詩「清里フィールドバレエ」の盛況は全国に報じられている。都内での公演も行なっているが、地元八王子、清里での活動を続け、地域に根ざしつつより広範な観客層に訴求する芸術団体として一層躍進してほしい。

(2008年4月27日 八王子市芸術文化会館いちょうホール)

2008-04-22

[]全国舞踊コンクール バレエ第一部、パ・ド・ドゥ部

65回目を迎えた全国舞踊コンクール。バレエ第一部、パ・ド・ドゥ部の雑感を記しておく。

バレエ第一部では上位入賞3位の今後に期待したいが、入選組に触れておこう。コンクールダンサーやジュニアの踊り手の名や発表会の感想をblogはもちろん媒体での評やアンケート等で不用意に記さないよう気をつけているが、入選組はちゃんとナマの舞台で主役やソリスト等で踊っているのを何度も観て、実力あり世間的に定評もあるので簡単に触れておく。入選第1位の佐々部佳代(ライモンダよりV、松岡伶子バレエ団)、第2位の半井聡子(海賊よりV、貞松・浜田バレエ団)、第3位の法村珠里(ドン・キホーテ第三幕よりキトリのV、法村友井バレエ団)はそれぞれ次代を担う存在となるだろう。優れた音楽性を持つ佐々部、安定感のある半井、伸びやかな動きが魅力の法村と楽しみ。法村は既に主役経験もあり、バレエ協会公演でもソリストを務めおなじみ。次はアンドリアン・ファジェーエフと組んで『眠れる森の美女』全幕を踊る。佐々部はジュニアでコンクール受賞経験豊富であり、バレエ団公演でもソリスト役を務め売り出し中だ。半井も先日明石で観ることのできた「ラ・プリマヴェラ〜春」で今回同様『海賊』を踊って若手のなかでも堅実さが光っており入選は納得。関西、名古屋勢に押されがちだったが、八王子を拠点に躍進するバレエシャンブルウエスト組が健闘した。入賞第1位に若林優佳(シルビアのV)、入選第4位に楠田智沙(パキータよりエトワールのV)が入っており、こちらも今後が楽しみだ。

バレエパ・ド・ドゥ部は押しも押されぬプロが登場、ここではいかにプロとして観客を魅了するかが問われる。第1位の高田万里&青木崇(ドン・キホーテ第四幕よりキトリとバジルのGP)はその意味で文句なし、採点をみても大差をつけての1位だった。青木の胸すくような踊りは大変魅力的。関西発の久々の大スターだろう。ただ、彼の舞台を観ていていつも思うのだが、ノーブルダンサーとしての品格を身に着けていくとともに、より踊っていないときでも相手を思いやっているような献身性が欲しいところ。サポートとはそこまで含めてのものだと思う。高田も文化庁芸術祭大賞受賞作『アンナ・カレーニナ』のタイトルロールで演じた悲劇のヒロイン役の名演が記憶に新しいが、華奢でいて芯の強さを持った優れたバレリーナだ。2位の金子扶生&奥村康祐(くるみ割り人形第二幕より金平糖の精と王子のGP)はまとまりのよさ表現の的確さに好感を持った。金子はちゃんと観るのははじめてだがジュニアでの賞歴は頷ける、好バレリーナ。奥村は関西だけでなく、名古屋、首都圏でも活動、ノーブルで雰囲気のあるいいダンサーだ。この2組、甲乙付けがたいが華、貫禄でやはり高田&青木が圧倒する。3位の金子紗也&福岡雄大(白鳥の湖第三幕よりオディールと王子のGP)はテクニックで魅せるという点では目についた。

(2008年4月19日 めぐろパーシモンホール)

2008-04-12

[]MOKK project02『ましろ』

MOKKproject02『ましろ』

演出・振付・出演:村本すみれ

出演:江角由加、北島栄、菅彩夏、手代木花野、寺杣彩、広瀬梨江

美術・照明:影山雄一、音楽:衣袋宏輝、衣裳:本多あゆみ、舞台監督:大畑豪次郎、舞台監督補:江原早哉香 

宣伝美術:菅渉宇、宣伝写真:和知明、制作:上栗陽子、加藤小百合

企画・製作/MOKK

(2008年4月12日 神楽坂・赤城神社境内)

・MOKKは村本すみれ主宰による「劇場機構に留まらない空間からの発信」を軸にしたダンスプロジェクト。昨年末、九段下の廃墟ビルの一角で行われたパフォーマンスが面白かったので注目している。今回の舞台は神楽坂・赤城神社。その境内の一角に土が敷き詰められている。そこに白の衣装を着た女の子たちが三々五々あらわれ、パフォーマンスが始まる。通行人や参拝客がすぐ近くを通り、近所の民家からはピアノの音が聞こえてくる。衣装のなかからニンジンやセロリといった野菜を取り出しそれを齧ったり、木に登ったりといった無邪気な楽しさあふれる景に始まり、やがてホースで放水し水を浴びつつやがては泥まみれになる場へと展開。風景と場の面白さを活かし趣向を凝らして飽かせない。ダンスには奇を衒ったところはなく空間になじむよう拵えられている。遊び心とアイデアの面白さで十分たのしませてくれるが、より身体とそれを取り巻く空間の有り様を追求すれば新展開が生まれるように思う。今後もLABO公演等が続くようで楽しみだ。

前回公演の感想:http://d.hatena.ne.jp/dance300/20071217

2008-04-09

[]ラ ダンス コントラステ第12回アトリエ公演

ラ ダンス コントラステ第12回アトリエ公演

※『オン スゥイット』

構成・演出・振付:中原麻里

出演:森田真希、工藤洋子、朝弘佳央理、岩沢彩、竹内春美、山田洋平

※『La rue×ラ リュ』

構成・演出・振付:佐藤宏

出演:依田久美子、伊藤さよ子、山口智子、堀内麻未子、澤井貴美子、鈴木淑子

(東京芸術劇場小ホール1 夜)

2008-04-08

[]2008年1〜3月のベスト5+1

・ダンスカンパニーカレイドスコープ『Cache-Cache』1月11日 全労済ホール/スペースゼロ

・首藤康之×小野寺修二『空白に落ちた男』1月14日 ベニサン・ピット

・Kバレエカンパニー『ベートーヴェン 第九』3月15日 赤坂ACTシアター

・Rossewaltz『PICNIC』3月18日 めぐろパーシモンホール

・東京バレエ団 ジョン・ノイマイヤー振付『時節の色』3月22日 ゆうぽうとホール

・アンサンブル・ゾネ『Falken Schrei- 鷹の声』3月30日 シアターχ

モダン=コンテンポラリーに手ごたえある作品が並んだ。ダンスカンパニーカレイドスコープ『Cache-Cache』は二見一幸の卓抜な作舞術とカンパニーの錬度の高さに魅了された。まさに絶頂期を迎えている。Rossewaltz『PICNIC』も内田香ならではのクールでカッコいい路線であるが明るく楽しい作風に好感を持った。所夏海、Emilyら活きのいい女性陣に加え鈴木陽平ら曲者揃いの男性陣もいい。アンサンブル・ゾネ『Falken Schrei- 鷹の声』は岡登志子独自の淡々としかし緊密感のある創作に魅了された。音楽の高瀬アキとのコラボレーションも今後に期待を抱かせる。伊藤愛ほかダンサーもいい。首藤康之×小野寺修二『空白に落ちた男』は「水と油」の不思議ワールドに首藤が絶妙に溶けこんでいた。今年のベストに推す人も少なからず出てくるだろう。Kバレエカンパニー『ベートーヴェン 第九』も見応えがあった。ベジャールや佐多達枝に先行作あるが曲調に負けないテーマの壮大さはよく、音楽をしっかり捉える熊川の作家としての力量も非凡だと思う。東京バレエ団『時節の色』は同作と相通じる要素を持つハンブルク・バレエ『冬の旅』を見た後に再見すると、9・11を挟んで創作された両作品を通じてノイマイヤーの、混迷する世界への深い絶望を改めて感じ心胆を寒からしめるに十分だった。

2008-04-06

[]ギグメンタ2008/美学校1969年の現在「一過性であるがゆえに」細江英公×黒田育世

ギグメンタ2008/美学校1969年の現在「一過性であるがゆえに」ダンス×平面(企画:志賀信夫、宮田徹也)

※細江英公(写真家)×黒田育世(振付家・ダンサー)

・土方巽を被写体とした「鎌鼬」のスライドにあわせ黒田が踊る。写真とダンスがせめぎ合いエッジな身体が立ち上がった。

(アートコンプレックス・センター 昼所見)

2008-04-05

[]ギグメンタ2008/美学校1969年の現在「一過性であるがゆえに」会田誠×小林嵯峨

ギグメンタ2008/美学校1969年の現在「一過性であるがゆえに」ダンス×平面(企画:志賀信夫、宮田徹也)

※会田誠(美術家)×小林嵯峨(舞踏家)

・久々の小林嵯峨。会田はコンセプトのみの参加だが異能の作家同士のぶつかりあいが濃密な時間を生み出していた。

(アートコンプレックス・センター 夜所見)

2008-04-04

[]新国立劇場ダンスプラネットNo.26・勅使川原三郎『空気のダンス』

※新国立劇場ダンスプラネットNo.26・勅使川原三郎ディレクションによる新プロジェクト公演『空気のダンス』

振付・美術・照明・音響・衣裳: 勅使川原三郎

出演:赤井捺美、渋井綾乃、杉下せり、高木花文、田切眞純美、中根百合香、福田汐里、山本奈々、鰐川枝里、

加見理一、齋藤竜一、塩谷南、福士宙夢

(新国立劇場小劇場)

・余談だが、福士宙夢はベジャールの『M』初演に出てた子役。

[]よなみね颯乃フォトコラージュ展「11人のパフォーマー 心踊るシーンに出会いたい」(4/2-7)

よなみね颯乃フォトコラージュ展「11人のパフォーマー 心踊るシーンに出会いたい」&オープニングパーティー

・下村由理恵、川野眞子、白井剛らを撮影したものにコラージュを施した新感覚アート。こういった試みは増えていい。

(ギャラリーきらり)

2008-04-03

[]Noism08「メンバー振付ワークショップ公演〜中越沖地震チャリティ」

Noism08「メンバー振付ワークショップ公演〜中越沖地震チャリティ」

※中野綾子『Hymn』出演:宮河愛一郎、原田みのる、櫛田祥光、堀田千晶、藤井希、真下恵

※宮河愛一郎『an-g』出演:井関佐和子、佐藤菜美、堀田千晶

※藤井泉『1.7.7』出演:原田みのる、櫛田祥光、藤井希、真下恵/音楽:Davy Bergier

山田勇気『lost pilgrim』出演:青木尚哉、高原伸子、青木枝美

(りゅーとぴあ スタジオB)

・4本で約90分。井関、青木と主軸メンバーを配した宮河、山田作品に見応え。中野、藤井作品も初振付ながら健闘。

2008-04-01

[]舞踊作家協会《第130回 伝統と創造》「源氏物語・序の舞」

舞踊作家協会《第130回 伝統と創造》「源氏物語・序の舞」

※舞一「プロローグ」柳川真理子、花柳衛菊、ウタコ、桑原麻実、木部花子、松田朱美

※舞二「藤壺をテーマに」武元賀寿子、岡庭秀之

※お話・杉昌郎、國吉和子

※奏・枇杷「春の宴」吉永鶴奏

※舞三「藤壺をテーマに」二世 泉徳右衛門

(ティアラこうとう小ホール)

・「源氏物語」をテーマにしたシリーズの第一回。ロシア民謡にあわせた泉徳右衛門の舞が秀逸だった。