全国舞踊コンクール バレエ第一部、パ・ド・ドゥ部

65回目を迎えた全国舞踊コンクール。バレエ第一部、パ・ド・ドゥ部の雑感を記しておく。
バレエ第一部では上位入賞3位の今後に期待したいが、入選組に触れておこう。コンクールダンサーやジュニアの踊り手の名や発表会の感想をblogはもちろん媒体での評やアンケート等で不用意に記さないよう気をつけているが、入選組はちゃんとナマの舞台で主役やソリスト等で踊っているのを何度も観て、実力あり世間的に定評もあるので簡単に触れておく。入選第1位の佐々部佳代(ライモンダよりV、松岡伶子バレエ団)、第2位の半井聡子(海賊よりV、貞松・浜田バレエ団)、第3位の法村珠里(ドン・キホーテ第三幕よりキトリのV、法村友井バレエ団)はそれぞれ次代を担う存在となるだろう。優れた音楽性を持つ佐々部、安定感のある半井、伸びやかな動きが魅力の法村と楽しみ。法村は既に主役経験もあり、バレエ協会公演でもソリストを務めおなじみ。次はアンドリアン・ファジェーエフと組んで『眠れる森の美女』全幕を踊る。佐々部はジュニアでコンクール受賞経験豊富であり、バレエ団公演でもソリスト役を務め売り出し中だ。半井も先日明石で観ることのできた「ラ・プリマヴェラ〜春」で今回同様『海賊』を踊って若手のなかでも堅実さが光っており入選は納得。関西、名古屋勢に押されがちだったが、八王子を拠点に躍進するバレエシャンブルウエスト組が健闘した。入賞第1位に若林優佳(シルビアのV)、入選第4位に楠田智沙(パキータよりエトワールのV)が入っており、こちらも今後が楽しみだ。
バレエパ・ド・ドゥ部は押しも押されぬプロが登場、ここではいかにプロとして観客を魅了するかが問われる。第1位の高田万里&青木崇(ドン・キホーテ第四幕よりキトリとバジルのGP)はその意味で文句なし、採点をみても大差をつけての1位だった。青木の胸すくような踊りは大変魅力的。関西発の久々の大スターだろう。ただ、彼の舞台を観ていていつも思うのだが、ノーブルダンサーとしての品格を身に着けていくとともに、より踊っていないときでも相手を思いやっているような献身性が欲しいところ。サポートとはそこまで含めてのものだと思う。高田も文化庁芸術祭大賞受賞作『アンナ・カレーニナ』のタイトルロールで演じた悲劇のヒロイン役の名演が記憶に新しいが、華奢でいて芯の強さを持った優れたバレリーナだ。2位の金子扶生&奥村康祐(くるみ割り人形第二幕より金平糖の精と王子のGP)はまとまりのよさ表現の的確さに好感を持った。金子はちゃんと観るのははじめてだがジュニアでの賞歴は頷ける、好バレリーナ。奥村は関西だけでなく、名古屋、首都圏でも活動、ノーブルで雰囲気のあるいいダンサーだ。この2組、甲乙付けがたいが華、貫禄でやはり高田&青木が圧倒する。3位の金子紗也&福岡雄大(白鳥の湖第三幕よりオディールと王子のGP)はテクニックで魅せるという点では目についた。
(2008年4月19日 めぐろパーシモンホール)