JCDN『踊りに行くぜ !!』in前橋vol.9前橋プラザ元気21ダンス巡行

平成20年度文化庁芸術団体人材育成支援事業
JCDN『踊りに行くぜ !!』in前橋vol.9前橋プラザ元気21ダンス巡行
Abe"M"ARIA(東京)『―――』
きたむらしげみとまえばしのおどるこどもたち『おどるこどもたちおどる』(大阪/群馬)
百田彩乃・高山力造(福岡)『spare』
金魚(東京)『沈黙とはかりあえるほどに』
先導:前橋芸術週間ダンス部/恩田香+山賀ざくろ(群馬)
(2008年11月3日 前橋プラザ元気21)

JCDN「踊りに行くぜ!!」今年唯一の関東公演(主催:前橋芸術週間)。前橋では1度お休みはあったもののvol.1から開催しており、毎回「場」の魅力にこだわって劇場ではない場所で公演を行っている。今年はかって大手百貨店の入っていたビルを改装、昨年12月に文化施設としてオープンした前橋プラザ元気21が舞台だった(入場無料・カンパ制)。1階ロビーでガイドの恩田と着ぐるみをきた山賀の前座・前説にはじまりAbeの奔放な即興ソロが始まる。子どもとじゃれあったり、車椅子の女性と踊った美しい「デュオ」を展開したりなどしてロビーに居合わせた人びとまでをも巻き込んでいく。2階の「前橋こども図書館」に誘われると北村と地元の小学生によるワークショップの成果が発表された(トヨタ・子どもとアーティストの出会い in 群馬:公開ワークショップ)。本棚の間から姿をあらわした児童たち。彼らが体を動かすことの楽しさを謳歌しているのは微笑ましい。同じく2階のホワイエで行われた百田・高山作品は親密さと距離感を身体の交感を持って描き出す。3階ホールで行われた金魚(鈴木ユキオ)による同作を観るのは4回目だがストイックな装いのなかに潜む狂気や凶暴性が異様なまでの緊迫感をともなって差し迫ってくる。集会所のような場のため空間が広すぎるという不利な条件ながらもダンサーの身体の強度が増しており密度は薄れなかった。アフタートーク(司会:武藤大祐)も充実。出演者全員が簡潔に自己紹介を行ったあと、観客との質疑応答を交えつつ「自身にとってダンスとは何か」という問題を衒いなく真摯に話し印象に残る。