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ダンスの海へ 舞踊評論家・高橋森彦のblog このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2009-07-31

[]埼玉全国舞踊コンクール 成人の部を観て

夏恒例の埼玉全国舞踊コンクール(主催:埼玉県舞踊協会)が今年も行われました。最終日はクラシックバレエ決選 1部(成人)、モダンダンス決選 1部(成人)。さいたま市文化センターの大小のホールを用い、ほぼ同時間帯に開催されるため、両部門すべてをフォローすることができないのは残念ですが、バレエ全60曲とモダン80曲中40曲程を観ました。結果は公式ホームページ等で確認いただくとして、所感をいくつか。

応募者数について。今年は応募者数がやや少なかったようです。ことにバレエの1部は予選のエントリー数が77と少ないのは気になりました。プログラム記載の応募状況をみると、特に関西以西からの出場者が少ない。夏シーズンは発表会等もあり、スケジュール上都合つかないケースもあるでしょうし、奨学金の出る新規のコンクールへと応募が傾く傾向もみられるようなので致し方ないのでしょう。なにしろ国内のバレエコンクールの総数は30を越えたと聞きます。埼玉全国舞踊コンクールは今年で42回目、東京新聞の全国舞踊コンクールにつぐ歴史を誇り、埼玉をモデルにして以後多くのコンクールが立ち上がっていったことは間違いなく、その意味ではやや寂しさも。

男性出場者について。近年、男性出場者有利の審査傾向にあるのではという批判が各種コンクールにつきまといます。わが国では成人男性がプロの舞踊家として活動するケースは困難なだけに、若く優れた人材を評価、励ますため男性に対する審査が甘くなるのではという批判。とはいえ現在、各コンクールともそういった兆候は少ないようで今回もそういう印象は持ちませんでした。バレエ成人部門では、応募者が少ないとはいえ半数程度が予選で落とされています。決選出場者は粒揃い。私見ではもっと上位に入ってきてもおかしくないと感じた人もいたくらい。男性有利とは感じませんでした。モダン成人部門はバレエ以上に男性出場者が少ないですが、観ることのできたなかでも彼らは総じて健闘しており、上位入賞者も出ていてそれも当然に思いました。

最後にコンクールの意義について。埼玉全国舞踊コンクールは故・藤井公らが“(埼玉)県内のダンサーたちのレベルを引き上げたくて始めた”(協会HPのインタビュー記事より)そうですが、その後すぐに広く全国から応募者を募りました。ダンサーたちの“自己研鑽の場”として、また振付も審査対象となるそうで(上記インタビューより)指導者の質の向上の場として歴史を刻んでいます。現在無数にコンクールがあり、プロとしての就職口へのパスポートとなるものや踊る場の少ない人たちが踊り場を求めて気軽に参加できるもの等タイプはさまざま。それぞれにそれぞれの意義はあります。が、自己研鑽の場、関係者同士が刺激を受けあうような場としての埼玉独自の気風は健在のようなので、そこを今後もしっかりアピールし、受け継いでいってほしいと思います。

2009-07-30

[]コチェトコワ&シムキン主演『ドン・キホーテ』全幕

世界バレエフェスティバルが全幕特別プロ『ドン・キホーテ』によって開幕!ワシーリエフ版『ドン・キホーテ』はバレエフェス全幕の定番、前回はタマラ・ロホ&ホセ・カレーニョ、前々回はガリーナ・ステパネンコ&アンドレイ・ウヴァーロフというベテラン組が主演していますが、今回は若手のマリア・コチェトコワ&ダニール・シムキン主演です。

ジュニア時代から国際バレエコンクールで賞を総なめにしたシムキンは、小柄ながらまれに見るテクニシャン。愛嬌もあって過去2回の来日では『レ・ブルジョワ』等ソロ中心に踊って沸かせました。アメリカン・バレエ・シアターに入団後まだ日が浅いものの一流カンパニーできっちり古典を学ぶことによって、よりスケールの大きな踊り手になりつつあるのが感じられます。跳躍の軽やかさ、ピルエットの滑らかさは見事。そして、音を外すことなく優美に踊るのがすばらしい。本格的なパ・ド・ドゥに初めて挑んだのは、4年前のNBAバレエ団「ゴールデン・バレエ・コー・スター」においてだったようですが、今回、サポートも丁寧で片手リフトも様になっていました。コチェトコワも小柄ながら小気味よいテクニシャン。グランフェッテは余裕でダブル入り。ピケターンも強く精確です。とはいえ、こちらも技に溺れず、余裕を持ってキトリ役をはつらつと演じ好感を持ちました。

東京バレエ団は近年中堅層が抜けてしまいましたが、やはり人材豊富で層が厚い。この日の白眉は、ガマーシュの平野玲とキトリの友人の佐伯知香。平野は王子役も踊れる資質を持っているので平野ファン的にはキャラクテールでの起用に不満もあるようですが、演技派であり、ガマーシュをやらせると天下一品。気障で鼻持ちならない、芝居臭さが鼻につくくらいの演技があって面白くなる役どころを、さらりとやってのけるのが痛快でした。佐伯は軸が安定していてラインも美しい逸材。先日『ジゼル』(学校公演のため一般非公開)にて主演デビューを飾っており、上野水香、小出領子に続く東京バレエ団のプリマとして期待されます。この日もリズミカルな踊りが際立っていました。

夢の場も美しく、闘牛士たちの踊りも盛り上がり、総体的に水準の高いステージ。ワシーリエフ版上演を振り返ると、2001年初演での熱気と興奮、ステパネンコ&ウヴァーロフを招いた際の比類ない完成度、上野水香の入団後初の国内全幕主演の際の高揚感も忘れ難いですが、今回は群舞の端々までよくこなれて演者が楽しんで踊っているのが感じられました。ゲストと団員のプロポーションの釣り合いもとれ一体感もある。明るく楽しくハッピーな『ドン・キホーテ』。納涼バレエとして最高でした。

(2009年7月29日 東京文化会館)

参考映像:Daniil Simkin - Ballet Don Quixote - Basil

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2009-07-29

[]V.I.I.M project、深谷正子、金魚(鈴木ユキオ)、Monochrome Circus+じゅんじゅんSCIENCE、手塚夏子

BABY-Q+Nibroll presents 「V.I.I.M project」

映像作家が身体表現や音響を取り込んで立体的なパフォーマンスを行うという試み。高橋啓祐 演出・映像『ネコロール』と斉藤洋平 演出・映像『TIGER.TIGER』の二本立てです。『ネコロール』では、ニブロールの大きな魅力たる矢内原美邦の振付とダンス、高橋の映像が前面に出ていました。大橋可也作品でおなじみのミウミウのダンスも面白い。ただ、ニブロール的に新機軸を打ち出したという印象はあまりなかったかも。『TIGER.TIGER』は、斉藤洋平の映像を軸に、伊東篤宏とガルペプシの音楽、ケンジル・ビエンのダンスが掛け算となって刺激的なパフォーマンスとなっていました。レーザー光線の使い方も絶妙で立体感と奥行きを醸しだして圧倒的。映像を軸としたテクノロジーと身体表現とのコラボレーションとして先鋭的かつ楽しめるイベントでした。

(2009年7月20〜21日 六本木・Super Deluxe)

ダンスの犬 ALL IS FULL『CHAIN2』

藤井公・利子門下を経て独立したベテラン深谷正子のソロ。美術家、関直美とのコラボレーションでした。直方体のようなビニール状のオブジェのなかに深谷が佇む時間が続きます。緊密なピーンと張りつめた空気に心地よい緊張感を覚えました。

(2009年7月22日 シアターΧ)

金魚(鈴木ユキオ)『言葉の縁』

トヨタコレオグラフィーアワード2008受賞者公演。志気高い力作です。禁欲的・クールな鈴木のソロにはじまり、女性群舞や安次嶺菜緒のソロが間断なく配される前半は息苦しいくらいの密度の濃さ。ストイックな緊張感が張りつめるのは従来の鈴木作品同様ですが、鈴木のソロ軸のユニットスタイルからカンパニー的な作りを模索したのが見て取れます。己の表現の核を大切にしつつ新境地に挑む姿勢は頼もしい限り。久住亜里沙や加藤若菜らモダン出身ダンサーが参加しましたが、ユキオメソッド(鈴木忠志の鈴木メソッドと区別)になじんでいて、その技量と対応能力の高さに舌を巻きました。そして何よりも安次嶺の身体を張った入魂のパフォーマンスが圧巻。ただ、暴力的で残酷に思える景から雪が舞い降り叙情的、繊細な景への流れれがやや見え難いかも。80分ほどの上演時間が長いと感じる向きもあるでしょう。でも、どこを切っても鈴木の血が噴き出してくるような、全力投球、熱のこもった骨太さがたまらなく魅力的でした。

(2009年7月24〜26日 シアタートラム)

Monochrome Circus+じゅんじゅんSCIENCE「D_E_S_K」

Monochrome Circusの掌編ダンス『水の家』(振付:坂本公成)は、小さなテーブル上で男女2人が絡む展開です。動と静が交錯して生まれる危うい緊張感を捉えて圧倒的な完成度を誇っていました。傑作。活動休止中の水と油・じゅんじゅん(高橋淳)のソロ『deskwork』は、寝転がって主に上半身の動きでみせるあたりは面白いのですが、立ち上がって踊りだすとやや単調にも感じました。『緑のテーブル』は、じゅんじゅんがMonochrome Circusに振付けたものです。生の芝生を敷いたテーブル上で男女2人づつが入り乱れるパフォーマンスはスリリング。最後まで飽かせませんでした。

(2009年7月21〜26日 こまばアゴラ劇場)

実験ユニット第三弾『人間ラジオ2』@神楽坂die pratze

手塚夏子を久しぶりにフォロー。手塚を最初に観たのは2002年春、横浜での『私的解剖実験2』なので比較的早いうちから観ていましたが、ここしばらくはご無沙汰でした。実験ユニットは、手塚と音楽家のスズキクリ、照明の中山奈美のコラボレーション。チューニングの調節がテーマらしく、手塚のダンスと、ラジオの音、照明が対等に並列することでダンスと音楽の水平な関係を示したりハプニング的な展開を導こうとします。文字通り実験といった趣であり、観る人を選ぶパフォーマンスには感じました。

(2009年7月25〜26日 神楽坂die pratze)

2009-07-28

[]ポストモダンの大家、マース・カニングハム逝去

ポストモダンダンスの先駆者として知られる振付家/舞踊家のマース・カニングハムが26日、ニューヨークにて老衰のため逝去しました。享年90歳。

巨星堕つ、とはありきたりな表現ですが、一昨年のモーリス・ベジャール、今年6月のピナ・バウシュと20世紀舞踊の大家たちが次々に世を去っていくのには一抹の寂しさを感じずにはいられません。謹んでご冥福をお祈りいたします。

[]不況下にできること

今秋に来日するニューヨーク・シティ・バレエが先日コール・ド・バレエのダンサー11名を解雇しました。入場料収入だけでは団員・スタッフに給料を払うことはおろか、舞台を制作し定期的に公演を打つことすら容易ではないのは世界共通。公的な助成金や民間企業・個人からの援助なしに舞台芸術は成り立ちません。アメリカ各地には大小さまざまのバレエ団やカンパニーが存在しますが大方の経営は苦しいようですね。米自動車最大手のゼネラル・モーターズ(GM)が6月1日経営破綻したというニュースは世界中に衝撃をあたえましたが、経済不況の打撃は舞台芸術にもおよんできています。

とはいえ日本の舞踊界は欧米と違って、経済面においてプロフェッショナルに相応しい報酬を受け活動するアーティストは数少ない。なのに、公演単位のものや赤字補填が精一杯とはいえ文化庁や民間の助成金も少なくないためか、不況でも公演数は一向に減る様子はなく表面的には舞踊界は活況に思えます。ただ、アーティストたちがプロとして社会的・経済的に評価される場は確立されていないのが現状です。

無論、報酬さえ充分ならプロといえるのではなく、芸術性や技術力、上演水準の質に対しての評価も重要であり、日本のアーティストや団体のなかには一流のものも少なくありません。ただ、社会に対するアピールやプレゼンテーションがまだまだ弱いのは否めない。舞踊界やアーティストの社会的・経済的地位を向上には、バレエ界でいう、カンパニーやスタジオの統合再編成といったドラスティックな変化も避けられないでしょうが、まずは個々のグループ・アーティストの努力の積み重ねが大切に思います。

観客へのアピール、公演動員の方法、情宣先の再検討と改めて見直すことは少なくないのでは。チラシさえロクに撒かない“公演”もありますが、発表会ならいざしらずプロを自認するのであれば、それは恥ずべきことではないでしょうか。公演チケット代を値下げしたり、学生券を設けたり、新人を抜擢するシリーズ企画を設け安価な通し券を発売したりといった経営努力を行う団体も出てきているのは好ましいですね。観客を育てるのも仕事。手弁当で厳しいなか日々の活動・運営に追われるのは致し方ないのは理解できます。でも、各団体・アーティストは、社会や観客に対して視野を広げ、目先の利益利害のみならず先を見据えた展望をもって活動していってほしいと思います。

2009-07-26

[]佐多達枝作品常連・弟子筋たちが振付家として活躍

某SNSから得た情報ですが、スイス在住の日本人ダンサー首藤泉作品が2010年度ローザンヌ国際バレエコンペティション・フィシャルコンテンポラリーヴァリエーションビデオに選出されたようですね。首藤さんは元ネザーランド・ダンス・シアター2の団員。2003年の来日公演でも踊っていましたから記憶に残っている方もいらっしゃるでしょう。

首藤さんは東京出身、幼少から佐多達枝・河内昭和バレエスタジオにてクラシック・バレエを学んでいます。佐多さんは、いわずと知れた日本バレエ界の巨匠振付家。先日も上演時間2時間を越える大作・合唱舞踊劇『ヨハネ受難曲』を発表、衰えを知らぬ創造エネルギーを見せつけ観るものを圧倒しました。日本のバレエ界は世界の一線で活躍するダンサーを無数に輩出していますが、振付というクリエイティブ面ではまだまだ…。そんななか、佐多さんの弟子筋や佐多作品を踊ったダンサーから現在の日本の創作バレエの中核を担うべき存在や次代のホープが出ているのは目を惹きます。

堀登、坂本登喜彦、堀内充らは働き盛り。佐多作品を踊る前に創作でも名を成した人も含まれますが、佐多作品に出演を重ね大きな役柄を踊っており、その影響も少なくないのでは。佐多作品に多く出ている谷桃子バレエ団のベテランプリマ高部尚子は昨年『ライトモティーフ』を発表して好評、今夏『ウエスタンゲート』をバレエ協会公演に提供しました。同じく谷バレエ出身で近年の佐多作品には欠かせない石井竜一も2003年の『RIVER』以降寡作ながらも秀作を手がけており、2007年発表の『シャコンヌ』はスペイン古楽にあわせ豊富な現代バレエの語彙と抜群の音楽性を発揮した傑作。モダン畑ながら佐多作品常連の関口淳子も昨年から自作ソロ等を発表して高評を得ています。佐多門下の若手でコンテンポラリー・ダンスの神村恵作品に出ている遠藤綾野も今春習作を発表。未知数ながら型にはまらない奔放さが際立ち魅力的でした。

欧米では、現代バレエの父と称されるジョン・クランコのもとからケネス・マクミラン、イリ・キリアン、ウィリアム・フォーサイスら超一流振付家が生まれ、さらにその孫弟子的存在が現在のダンス界を担っています。日本では佐多さんがそういった存在になりつつあるのではと思います。優れた踊り手=優れた振付家となるとは限りません。とはいえ当代一流の振付家の作品に出演、その創作過程を体験し学び思考することで獲得できる舞踊語彙や音楽性は得難いものでしょう。佐多門下、佐多作品を踊ったことのある振付家たちは、ダンサーとしての経験や想像力を大切にしつつ知的に作品を組み立てる力量を発揮しています。今後もその動向が注目されるところです。

2009-07-24

[]千日前青空ダンス倶楽部の最新作『アカイノノハナ』

土方巽らの生み出した舞踏は、現在のコンテンポラリー・ダンスにも大きな影響を与えています。1990年半ば以降大ブレイクした伊藤キム、山崎広太は舞踏出身であり、彼らの存在・作風がネオ舞踏と称された時期もありました。土方に師事、麿赤兒の大駱駝艦の旗揚げにも参加した伝説的舞踏家・室伏鴻も2000年のソロ『edge』以降、舞踏とコンテンポラリーな感性を掛け合わせたダンスによって独自の存在感を示しています。昨年のトヨタコレオグラフィーアワード大賞を得た気鋭・鈴木ユキオも舞踏出身。

舞踏とコンテポラリーの境界が緩やかな現在、関西を拠点に活動しポップな作風と内面表現豊かなダンスを特徴に異彩を放つ舞踏ユニットが千日前青空ダンス倶楽部です。主宰は土方直系・北方舞踏派出身の紅玉。踊り手は全員女性です。2000年の旗揚げ以降内外各地で公演を行い、東京では2002年『夏の器』、今年3月『水の底』を短縮版ながら上演しています。新作『アカイノノハナ』は精華演劇祭参加作品。

銅版?のオブジェの前でときに繊細にときに激しく踊る。ストリップ小屋の楽屋を思わせるうらぶれた場で2人が紅い舌を出しながら西瓜を舐める。4人がフープのようなものを回しながら踊る。片足ハイヒールで踊り水辺で口から白い玉を吐き出すソロ。ドラム缶のなかから踊り手たちが現われ、ゴロゴロ転がり、やがてそこに最後に天井から無数の白い玉が落ちてくる終幕。静謐であったり、混沌としていたり、エロティックであったり、耽美的であったり、ノスタルジックであったりと多彩な展開に惹かれます。連綿と、いつ果てるともなく回り巡っていくような、めくるめくイメージの織りなす小宇宙。

ここで見落とせないのが、単に漠たるイメージや想念を羅列したものではないということ。踊り手たちの身体が核にあって、それを中心にイメージが雄弁に立ち上がっていきます。水をめぐるさまざまの記憶やイメージを、幻想美とリアルの狭間に浮き上がらせた『水の底』(2006年初演)も傑作でしたが、今回の『アカイノノハナ』からは、より多彩なイメージが確かな実存を伴い奔流のごとく迫ってきて目を離せませんでした。

ベテラン稲吉以外はメンバー変遷を経ていますが、関西の若手注目ダンサーが常に加わってカンパニーを活性化しています(かつては福岡まな実、きたまりも在籍)。今回は、銅版?とドラム缶を使った褐色の錆びた色調のオブジェを造った川井ミカコ、微細に抑えたトーンのなかに陰影に富んだ照明を当てた吉本有輝子らスタッフの仕事が特に傑出しており、一層奥行きのある世界を生んでいたように感じました。関西の生んだ愛すべき実力派カンパニー。機会があればぜひ多くの人に観てほしいと思います。

千日前青空ダンス倶楽部のインタビュー動画↓

http://www.hatch-amp.com/index.php?ca_id=11&mv_id=701

芸術文化振興基金助成事業・精華演劇祭参加作品

千日前青空ダンス倶楽部『アカイノノハナ』            

構成・演出・振付:紅玉 

出演:稲吉/あやめ/小つる/ぼたん/日向/かがり

舞台美術:川井ミカコ

sound:ORGAN

題字:紫舟

衣装製作:山本容子

舞台監督:大田和司

照明:吉本有輝子

音響:秘魔神

宣伝美術:升田学(アートーン

(2009年7月17〜19日 大阪・精華小劇場)

2009-07-22

[]今夏の創作バレエ

例年7、8月は連日舞踊公演が目白押しです。今年は3年に1度の「世界バレエフェスティバル」も開催されます。世界各地で活躍している日本人ダンサーがシーズンオフのため帰国して公演や発表会に出るのも夏シーズンのみどころ。話題尽きないダンスシーンですが、ここでは、この夏上演の創作バレエについて触れたいと思います。

創作“バレエ”といいつつなんなのですが、この夏最初に大きなインパクトを与えてくれた創作公演として佐多達枝演出・振付による合唱舞踊劇『ヨハネ受難曲』(7月4、5日 すみだトリフォニーホール)が挙げられます。イエスの受難を描く大作であり、半世紀を越えるキャリアを誇り数々の名作を放ってきた巨匠の集成でした。そして、東京シティ・バレエ団が新制作した『ロミオとジュリエット』(7月18、19日 ティアラこうとう)も話題の公演。近年の中島伸欣・石井清子のコンビ作では『真夏の夜の夢』『カルメン』に続くものであり、多様な観客層に訴求する創作物語バレエ路線は健在です。同バレエ団は古典に加え創作に力を入れるカンパニーとして貴重な存在といえるでしょう。

夏恒例の日本バレエ協会「全国合同バレエの夕べ」(7月18日 新国立劇場中劇場)でも創作バレエが発表されました。今年は高部尚子『ウエスタンゲート』、坂本登喜彦『Proud-彼女たちの誇り-』という夫妻の競演が話題に。中堅の坂本、まだ2作目の高部。両者ともさらなる活躍が期待されます。昨年のこの会では、下村由理恵振付のシンフォニック・バレエ『Bizet Symphony』が上演され、下村&佐々木大、島田衣子&法村圭緒というスターの競演もあり注目されました。古典的完成度とバランシン以後のシンフォニック・バレエに相応しい精密さ備えた佳品です。それが先日早くも名古屋の松岡伶子バレエ団アトリエ公演(7月19日 愛知県勤労会館)にて再演されました。この会では同時に下村の公私のパートナー篠原聖一振付『Got Gershwin Tonight』も上演。ガーシュウィン曲を用いた洒落た作品です。篠原はフリー振付者として精力的に活動しており、日本の創作バレエを語る際欠かせない存在のひとりでしょう。

今夏今後行われる舞台では大坂の「バレエスーパーガラ」(8月2日 グランキューブ大阪)において矢上恵子、石川愉貴作品が上演されます。豪華出演者が話題ですが10回の歴史のなかで関西バレエの振付者を取り上げてきた実績は見逃せません。また今年の同公演では、かつてローザンヌ国際バレエコンクールにて振付賞を獲得したこともある田中祐子が自作ソロを発表。北海道でもガラ公演が行われ佐多達枝新作やラ ダンス コントラステの佐藤宏の創作が発表されるとか。フリーランスで活動する深川秀夫も各地の公演に作品提供するようです。そして山梨・清里で行われる「清里フィールドバレエ」(7月27日〜8月9日 萌木の村特設野外劇場)においてバレエシャンブルウエストによる創作全幕バレエ『タチヤーナ』が上演されるのも見逃したくないところ。

日本では創作ものは動員が難しい。多大な労苦を払い発表にこぎつけても、儚い一瞬の夢として散ってしまう…。来日バレエやコンテンポラリー・ダンスばかり話題になりますが、日本の創作バレエに少しでも陽があたることを切に願うばかりです。

2009-07-20

[]神奈川の舞踊事情

先日、神奈川・横浜にて2つのダンス公演を続けて観ました。

ひとつ目は『牛2』というイベント。会場は横浜の名所で京都や鎌倉から歴史的建造物を移築した三渓園にある旧・澄名寺本堂でした。ダンサーと音楽家のコラボレーションを中心としたプログラムであり、観たのは黒沢美香(ダンス)×スティーヴエトウ(パーカッション)の共演回。アンダーグラウンドで疾走し続ける黒沢のダンスとポップな装いのなかに一流の腕を感じさせるエトウ演奏の絡む妙を心ゆくまで堪能しました。

ふたつ目はDance Sanga Workshop Showing「中村恩恵と仲間たち」(於:神奈川県立青少年センター多目的プラザ)。ネザーランド・ダンス・シアター1で活躍した中村が行う催しです。中村と廣田あつ子のデュオや小尻健太、堀田千晶、西貴子によるトリオなどを上演。ユニセフへの寄付支援を目的とするチャリティイベントでもあり「ダンスを通じて社会に対して何ができるのか」を考え活動する中村の真摯な姿勢が光りました。

黒沢さんと中村さんはともに地元が横浜。地域に根を張った活動が印象的です。神奈川は舞踊の盛んな土地柄であり、日本バレエ発祥の地。バレエ界の有力者が多く在住しバレエスタジオが点在、日本バレエ協会関東支部神奈川ブロックも精力的に活動しています。現代舞踊も盛んで神奈川芸術舞踊協会があります。舞踊コンクールもいくつも行われています。コンテンポラリーでは、横浜赤レンガ倉庫1号館やSTスポットや急な坂スタジオの活動が積極的。黒沢さん、中村さんらのほかに二見一幸や矢内原美邦らも公演活動は都内中心ながら神奈川にスタジオ等を構えています。

首都圏一極集中といわれる日本のダンスシーンですが、東京都内と近郊地域を一括りにはできません。神奈川には文化庁の重点支援事業を受けて活発に活動するバレエ団のような大手民間団体はありませんが地道に活動する舞踊家が少なくない印象です。最近では、THE バレエカンパニー・オブ・横浜という団体が立ち上げられ、今後の動向が気になるところ。今年は横浜の開港150周年ということで盛り上がっていますが、神奈川の舞踊シーンの充実ぶりと発展も注目されていいと思います。

2009-07-18

[]Noism1・金森穣振付 秋の新作タイトルが決定!!

先日、金森穣率いるNoism1秋の新作公演概要が公式blog等にて公表されました。ご存知の方は多いでしょう(当blogでも取り上げました)。7月17日更新の公式blog記事によると、未定タイトルが『Nameless Poison - 黒衣の僧』に決定したようです。

2008年初演の『Nameless Hands-人形の家』につづく見世物小屋シリーズ第2弾。前作は略して『人形の家』と呼ばれましたが、今回はその例に倣うと『黒衣の僧』。果たしてそう呼ばれるのでしょうか。いずれにせよ開幕が今から待ち遠しいところです。

りゅーとぴあ レジデンシャル・ダンス・カンパニー Noism1 

見世物小屋シリーズ 第2弾

2009年秋新作『Nameless Poison - 黒衣の僧』

演出振付:金森穣 衣裳:中嶋佑一(artburt) 出演:Noism1

[新潟公演]

2009年11月20日(金)、21日(土)、22日(日)、23日(月祝)

2010年3月1日(月)、2日(火)、5日(金)、6日(土)、7日(日)、12日(金)、13日(土)、14日(日)

※全12回公演

■開演時間 [平日]19:00 [土日祝]17:00

■公演会場 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 スタジオB

【入場料】 一般4,000円 学生2,000円(税込)

【発売日】 N-PACmate 9月19日(土)/一般発売 9月26日(土)

【チケット取扱い・お問い合わせ】りゅーとぴあチケット専用ダイヤル TEL: 025-224-5521

主催:財団法人 新潟市芸術文化振興財団

2009-07-16

[]バッハ音楽と舞踊

先日、佐多達枝演出・振付の合唱舞踊劇『ヨハネ受難曲』が上演されました。「ヨハネ受難曲」はイエスの受難を描くJ.S.バッハ(1685〜1750)の大曲。舞踊と合唱と管弦楽を融合させるO.F.Cの集大成でした。佐多と台本の河内連太は、ときに曲想から離れつつも人間の愚かさ弱さを怜悧に見据え、そして、そのすべてを力強く大らかに肯定します。バッハ音楽に通じた声楽家、選り抜きのダンサーたちに加えときに踊りもする合唱隊の動きも躍動に満ち、スケール大きく感動的な舞台に仕上がっていました。

『ヨハネ受難曲』公演プログラムによると、佐多さんの一番好きな作曲家はバッハとのこと。近代音楽の父といわれるバッハは、オペラ以外のあらゆるジャンルの曲を書き遺しており、現代の振付家に大きな影響を与えています。このところの話題の舞踊公演を振り返ってみても、バッハの曲が印象的に使われたものは少なくありません。

6月上演のNoism09『ZONE〜陽炎 稲妻 水の月』は、金森穣が専門的な身体にこだわり創作した三部からなる作品。最初のパートは「academic」と題され、群舞や金森&関佐和子のデュオが展開されます。バレエ基本に精度の高い動きで観るものを圧倒しました。そこに使われたのがバッハ「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ」。古典的な身体トレーニングを経たうえでのコンテンポラリーな身体の有り様を表現するに際し、古典的なバッハのヴァイオリン曲を選んだ点に、金森のセンスと意気込みがうかがえます。

この4月に行われた 東京バレエ団「創立45周年スペシャル・プロ」では、18年ぶりに再演されたジョン・ノイマイヤー振付『月に寄せる七つの俳句』が話題に。芭蕉や一茶の句を配しつつノイマイヤー一流の審美世界が繰り広げられました。そこに使われた曲がバッハと現代音楽家のアルヴォ・ペルトのものです。芭蕉と同時代に生きて同じ月を見ていたという発想からバッハを用いたのはいまや有名なエピソード。俳句という文学的主題を扱うも叙情に流されずダンサーの身体から豊かなイメージが立ち上がる傑作であり、バッハの音楽ががそれに大きく寄与しているのは明らかです。

また、先日発表されたニムラ舞踊賞の受賞者は笠井叡でしたが、主な授賞対象となったのが昨年上演されたピアニスト高橋悠治とのコラボレーション『透明迷宮』。バッハ未完の遺作「フーガの技法」を笠井のソロ、群舞、オイリュトミーと3つの違った作品に仕上げて一挙上演しました。「フーガの技法」は、単純な主題が様々に変奏・反復されていく「対位法」を用いることにより緊密かつ豊穣な音楽世界を構築したバッハの代表作のひとつ。笠井は多彩なヴァリエーションを用い同曲に挑み成果を挙げていました。

バッハといえば、モーツァアルトやベートーヴェン、シューマンやリストといった音楽家、ゲーテやヘーゲルといった文学者・哲学者にも影響を与えました。現在ベストセラーの村上春樹「1Q84」はふたつの物語が交互に48章にわたって連なる構成ですが、村上も明言するようにバッハ「平均律クラヴィーア曲集」を模しています。対位法に代表される、構造への高い意識や完璧なまでの美的完成度を誇る世界はあらゆる芸術家にとって憧れと畏怖の対象なのかもしれません。その音楽世界に挑むのは並大抵ではないはずですが、現代の振付家も高いハードルだけに挑み甲斐があるのでしょう。その果実たる傑作・秀作群を享受できる我々もバッハに感謝しなければいけません。

2009-07-15

[]ウィーン産ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』

7月4日からミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』が上演されています(帝国劇場で八月末まで上演)。脚本・歌詞を空前の大ヒット作『エリザベート』のミヒャエル・クンツェが担当したウィーン産ミュージカル。原作は「チャイナタウン」「テス」「戦場のピアニスト」を撮った名匠ロマン・ポランスキー監督の映画「吸血鬼」(1967年)で、ウィーン初演(1997年)ではポランスキーが演出を手がけています。日本では東宝が2006年夏に初演、尻上がりに人気が出て大きな話題となりました。今回3年ぶりの再演です。

舞台は十九世紀、ルーマニアのトランシルバニア地方。彼の地の寒村や古城を舞台にしたホラー・コメディであり、ヴァンパイアハンターのアブロンシウスウス教授と若き助手アルフレートの冒険を軸に描かれます。文明を叡智で救う正義漢のアブロンシウス教授とクロロック伯爵=ヴァンパイアとの対決、アルフレートと宿屋の娘サラとの恋。教授と助手は果たしてヴァンパイアの恐怖に立ち向かい勝利を収めることができるのか…。

このミュージカルはダンス的要素が満載。ヴァンパイアたちによる群舞が何度も出てきます。1980年代は『レ・ミゼラブル』をはじめとした歌唱中心のミュージカルが世界を席巻しましたが、近年、日本では劇団四季が上演した『コンタクト』(2000年/スーザン・ストローマン演出・振付)あたりからダンスが存在感を示すミュージカルが息を吹き返したのは周知の通り。『ダンス オブ ヴァンパイア』もその流れのなかで捉えられるでしょう。本公演のプログラムに演劇・舞踊ジャーナリストの岩城京子さんがそのあたりを深く考察された一文が載っているので詳しくはそちらを参照いただければと思います。

『ダンス オブ ヴァンパイア』日本版振付は上島雪夫。退廃美世界を表現するのを得意とし、商業舞台の振付・演出のかたわらコンテンポラリー系の公演でも作品発表しています。ヴァンパイア・ダンサー=伯爵の化身は前回に引き続いての新上裕也と今回新たに挑む森山開次というダブルキャスト。ジャンル問わず精力的に活動する異能の踊り手たちです。群舞のダンサーたちもショーイベントやモダン、コンテンポラリーなど幅広い舞台を経験している実力者揃い。アートシーン、ショービジネスといった壁を越えて積極的に踊るダンサーたちの活動に一層光が当るようになってほしいところです。

2009-07-14

[]舞踊批評の重要性

ダンス公演は公演期間が1、2日と短いことが多く、舞台評が出るのは公演後ということがほとんど。ブロードウェイのように、ロングランシステムをとり得るのであれば、プレビューや初日を観劇した記者や評論家の書いた評がすぐさま掲載され、動員はおろか公演の存続に影響を与えるのですが、日本においてまずそんなことはありません。公演中に評が出るのは、一部の商業演劇やミュージカルに対するものくらいでしょう。

そんななか、「讀賣新聞」の文化欄「クラシック 舞踊」(東京本社版)では、舞踊公演の評を公演期間中に掲載するケースが増えています。今年に入ってから勅使川原三郎『ダブル・サイレンス‐沈黙の分身』、Nosim09『ZONE〜陽炎 稲妻 水の月』、大駱駝艦・壺中天『穴』などなど。文化部のバレエ専門記者、祐成秀樹氏の方針のようです。勅使川原の場合、週をまたいで週末に6公演行われたため、休演中の火曜日の夕刊に早速外部評論家寄稿の評が出ていました。大駱駝艦の場合は、小スペースでのやや長めの公演形態だったため、勅使川原同様公演期間中に評を出せたのでしょう。Noismの場合、東京公演に先行する新潟公演の評を載せる形をとったようです。

日刊紙、専門誌には公演評以外にアーティストへのインタビューやプレビュー記事も載ります。フリーマガジンやweb媒体などプレビューの場は増えている印象。いっぽう批評に関しては流行らないというか商業メディアではあまり書く場もありません。ネット時代の現在、観客による公演の感想等が即時にアップされます。それらにも有益なものはありますが、プロの評論家や専門記者が専門的な観点から偏ることなく舞台に向き合って書かれる質のよい批評はより貴重になるでしょう。日刊紙において公演期間中に出ることは、さらに価値がある。今後もそういった試みが増えてほしいと思います。

2009-07-13

[]MOKKが関西初登場

MOKKは、ダンサー/振付家の村本すみれを中心に、舞台監督、照明、音響、制作を手がけるスタッフで構成されたグループです。企画ごとにクリエイターやダンサーを集め、劇場にとらわれない空間においてパフォーマンスを展開してきました。

公演を行ってきた場所はといえば、ギャラリー、駐車場、廃墟ビル、神社の境内、コンテナボックス内などなど。場の魅力を生かしつつアイデアある演出とダンスによって空間を鮮やかに変容させるパフォーマンスが特長です。

今夏、はじめてのツアーを行い関西に初登場!!場所は奈良県五條市「新町通り」にある古民家内。「新町通り」は、日本最古の古民家もある往来であり、約1キロにわたって江戸・明治期の建物が点在。吉野川のすぐそば、映画「萌の朱雀」(1997年/河瀬直美監督)のなかで描かれた幻の五新鉄道の橋脚もたたずむそうです。

この企画は、「新町ダンスアート2009」というイベントの一環として行われます。MOKKでは、地元NPOと提携、約1年前からワークショップや地元イベントへの参加等を行ってきました。アートによる町おこしであり、町の魅力を再発見しようというもの。場・空間の特性にこだわって創作してきたMOKKにぴったりの企画といえるのでは。

歴史を感じさせる街並みで体感する一癖あるパフォーマンスが楽しみなところです。

MOKK LABO#5『古民家』

日時:2009年8月1日(土)16:00〜/18:30〜 8月2日(日)16:00〜/18:30〜

会場:奈良県五條市新町「新町通り」古民家内(通称:新町座)

チケット料金(日時指定・全席自由・税込):一般1,500円・中学生以下1,000円

※会場地図やアクセス等はMOKKのHP等を参照

演出・振付・出演:村本すみれ

出演:池田遼/手代木花野/寺杣彩/登戸カッパ

照明:影山雄一

舞台監督:大畑豪次郎

進行:加藤小百合/吉田千尋

記録写真撮影:和知明

記録映像撮影:大橋翔/高崎周子

企画制作:大崎美穂(新町通りダンスアート実行委員会)/上栗陽子

※参考映像

MOKK LABO#2 廃墟@九段下テラス

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MOKK LABO#4【10】gallery ver.@六本木ストライプハウスギャラリー

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MOKK project02ましろ@神楽坂・赤城神社境内

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2009-07-12

[]六本木・Super Deluxeで行われるダンス公演

東京・西麻布にあるバー・イベントスペースSuper Deluxeをご存知でしょうか。六本木ヒルズからも程近い六本木通り沿いビルの地下にあってアクセス・雰囲気とも抜群にいいスポット。ライブイベント中心に連日さまざまの催しが行われています。

最近、そのSuper Deluxeがダンス・パフォーマンス公演の会場としてよく使われます。少し前には、ASA-CHANG&巡礼・JUNRAY DANCE CHANGやチェルフィッチュの演劇『三月の5日間』再演などが行われましたし、内田香のRoussewaltzは何度もパフォーマンスを展開してきました。内田や新上裕也らの作品に出ている鈴木陽平もソロシリーズを発表しています。今年は3月に小浜正寛/ボクデスの『スプリングマン、ピョイ!』、5月にRoussewaltzの『echo』がありました。先日はフランスのカンパニー・サミエル・マチューの公演やゼロ次元×石井満隆のパフォーマンスが行われたようです。

小スペースながらフラットな空間を活かし多様に舞台・客席を組むことができ、音が出せるので音楽家とのコラボレーションに適しています。若いアーティストがコンペやショーケースからステップアップして自主企画を行う場、実績あるアーティストが実験的な企画を発表する場として貴重。観る方もドリンク片手に気軽にパフォーマンスを楽しめるのが魅力的です。こういったスペースを上手く活用していけば、創り手・ダンサーのスキルアップの場になりますし、新たな観客との出会いにもつながるかもしれません。

今後のラインナップも気になるところ。7月20〜21日にはBABY-QNibroll presents 「V.I.I.M project」が行われます。映像作家が身体表現や音響を取り込んで立体的なパフォーマンスを行う試み。高橋啓祐 演出・映像『ネコロール』と斉藤洋平 演出・映像『TIGER.TIGER』の二本立てです。中心となるのは、ニブロールとBABY-Qという、エッジーな活動を展開するパフォーマンス集団の映像作家であり、彼らの競演は見逃せません。9月以降は、本間祥公ダンスエテルノ企画シリーズとして本間や山口華子らによる公演も行われるとか。秋にRoussewaltzのパフォーマンスも企画されているようです。今後もSuper Deluxeで行われるダンス・パフォーマンス公演から目が離せません。

2009-07-11

[]東京バレエ団『ラ・バヤデール』制作日記の展開

以前にもご紹介しましたが、東京バレエ団が9月に新制作するナタリア・マカロワ版『ラ・バヤデール』制作日記blogが着々と更新されています。

リハーサルの模様やインタビュー、チケット情報などがアップされてきましたが、今回、「ラ・バヤデール」〜誕生から現在まで〜(1) と題し「ラ・バヤデール」の誕生という記事がアップされました。3回にわたって『ラ・バヤデール』の誕生から変遷、マカロワ版に至るまでの歴史や背景等が解説されるようです。執筆者は村山久美子さん。言わずと知れたロシアバレエ/舞台芸術研究・評論・翻訳の第一人者の方です。

http://www.nbs.or.jp/blog/0909_labayadere/contents/2009/07/1.html

招聘元や各バレエ団が公式blogや公演単位のblogを立ち上げるケースは珍しくなくなりました。パブリシティ情報やキャスト変更情報等が即時に更新されるのは便利ですし、ダンサーの素顔に迫る記事やインタビューはファンにとってうれしい。でも、加えて公演や作品をより深く楽しめるような解説記事等も織り交ぜれば一層充実したものになるのでは。2006年のボリショイ・バレエ来日時には、公式blogにてダンサー紹介が連載されました(赤尾雄人氏)。踊り手の資質や踊った作品に触れつつボリショイの魅力や特徴、現在の姿がよくわかって役に立った記憶があります。今回の『ラ・バヤデール』解説記事もアカデミックかつ作品の本質を知ることのできるもので有益です。

プロモーターや主催者はパブリシティやファンサービスに留まらずよりダンス・舞台芸術の魅力を広く深く伝え観客を育てる手段としてblogを活用していってほしいですね。

2009-07-10

[]Noism1秋の新作は見世物小屋シリーズ第2弾

金森穣率いるNoism1秋の新作の速報が公式blog等に出ています。

今回は昨年夏に発表され話題を集めた『Nameless Hands〜人形の家』に続く見世物小屋シリーズ第2弾。新潟公演のほか各地での上演も予定されているようです(現在ネット上等に出ている情報では愛知県芸術劇場にて12月19、20日に上演予定)。

6月に新潟、東京で上演された最新作『ZONE〜陽炎 稲妻 水の月』はプロの身体、専門性の復権にこだわって創った趣の異なる3つのパートを並べた意欲作。新国立劇場との共同制作ということもあっていつも以上に力が入っている印象でした。今回は、りゅーとぴあの劇場ではなくスタジオを使用しての公演(06年夏の『sence-datume』以来)。ダンサーの息遣いが伝わってくる密な空間でのパフォーマンスとなり、『人形の家』でみせた、観るものを楽しませ刺激する多彩な演出術に期待したいところです。

りゅーとぴあ レジデンシャル・ダンス・カンパニー Noism1 

見世物小屋シリーズ 第2弾

2009年秋新作

演出振付:金森穣 衣裳:中嶋佑一(artburt) 出演:Noism1

[新潟公演]

2009年11月20日(金)、21日(土)、22日(日)、23日(月祝)

2010年3月1日(月)、2日(火)、5日(金)、6日(土)、7日(日)、12日(金)、13日(土)、14日(日)

※全12回公演

■開演時間 [平日]19:00 [土日祝]17:00

■公演会場 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 スタジオB

【入場料】 一般4,000円 学生2,000円(税込)

【発売日】 N-PACmate 9月19日(土)/一般発売 9月26日(土)

【チケット取扱い・お問い合わせ】りゅーとぴあチケット専用ダイヤル TEL: 025-224-5521

主催:財団法人 新潟市芸術文化振興財団

2009-07-09

[]「フィガロジャポン」のシルヴィ・ギエム独占インタビュー

現在発売中の「フィガロジャポン」7/20号(7月4日発売)に「奇跡の舞姫、シルヴィ・ギエムが語る。」と題して6ページにわたるインタビュー記事等が掲載されています。



ギエムといえば、カナダ・ケベックの奇才演出家ロベール・ルパージュと振付家/ダンサーのラッセル・マリファントとのコラボレーション『Eonnagata』が今春ロンドンで上演され話題となったばかり。今年12月には、インド民族舞踊カタック出身のダンサー/振付家、アクラム・カーンと共演した『聖なる怪物たち』が東京・大阪他で上演されます。無論、3年に1度のお楽しみ、世界バレエフェスティバル(8月、東京)にも出演します。

インタビューにおいてギエムは、いまの自分に満足することなく飽くなき探究心を持ち続けられているのは、器械体操からバレエの世界に入ったこともあり、ダンサーになること自体が目的ではなかったためと語ります。若いうちに燃え尽きず、長いスパンで将来を冷静に見ていたのでしょう。テレビでアクラム・カーンのパフォーマンスを観て興奮、彼の公演がパリで間近にあると知ると、完売でチケットが手に入らなくても自ら劇場へ電話をかけアプローチ。そのことがカーンの耳に入り、協同作業へとつながったそうです。バレエ界の頂点を極めながらも奢ることなく自らの手で積極的にキャリアを切り開くギエム。天与の資質と行動力、冷静に自己を見つめる理性を備えていることこそ、ギエムを特別な存在たらしめているのでしょう。インタビューからもそう伺えます。

取材・文はフリーランスライターの佐藤友紀さん。映画やミュージカルの海外取材に定評があり、モーリス・ベジャールや先日亡くなったピナ・バウシュらについても取材を重ね多くの記事を書かれています。ギエムの独占インタビューはなかなか取れないと聞きますが、ギエムの現在とこれからを捉えた、とても貴重な記事に思いました。

Sylvie Guillem - Eonnagata - 2009

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2009-07-08

[]「バレエ用語集」

少し前になりますが「バレエ用語集」という本が出ました。


バレエ用語集

バレエ用語集

バレエ・レッスンで使われるパ(ステップ)について意味・種類・動き方例等が解説されています。写真&イラスト付。動きのコツについてのポイントも記され、レッスンに励む若い生徒さんや大人からバレエを始められる方必携かもしれません。

加えて鑑賞者にとっても便利な一冊。超基本のポジションからして6番についてちゃんと触れられ親切です(普通、5番までしか書いていない・・・)。体の方向、足の位置、腕のポジション等も明快に解説されており、バレエを観始めて日の浅い方はもとより鑑賞歴は長くてもあまり専門用語を知らない観客にとっても有益でしょう。

付録として「舞台用語集」も付いており使える一冊に思います。

2009-07-07

[]NPO法人バレエノアの活動紹介がNHK総合TV「こんにちはいっと6けん」にて放映

先日紹介した群馬のNPO法人バレエノアの活動や話題作『紙ひこうき』を取材したものが7日(火)、NHK総合テレビ「こんにちはいっと6けん」にて紹介されるそうです。11:05〜11:54の間の枠内です(関東のみの放映)。

ヴッパタール舞踊団で踊っていたファビアン・プリオヴィユが振付けた『紙ひこうき』は、女子高生たちのリアルな生態を描き出したもので、昨年4月に初演されるや否や大反響を呼びました。急遽東京公演も行われることに。先月末に地元・高崎公演を経て今月5日にドイツの「ビーレフェルト・ダンスフェスティバル」にて上演されています。その間の6月30日に、ヴッパタール舞踊団の芸術監督ピナ・バウシュが突然の逝去、プリオヴィユや関係者の心中を察すると胸が痛みます。昨年は「ピナ・バウシュ国際ダンスフェスティバル」でも同作を上演しており、バウシュのお膝元で話題になったようですが、今回のドイツ公演は図らずもバウシュへの追悼の舞台となってしまいました…。

あらためてバウシュのご冥福を祈るとともにバレエノアの活動を紹介しておきます。

※関連記事:

「バレエノアによる話題作『紙ひこうき』高崎公演」↓

http://d.hatena.ne.jp/dance300/20090630/p1

[]『ロミオとジュリエット』、クルベリ版を中心に

創立60周年を迎えた谷桃子バレエ団が先日、ビルギット・クルベリ(1908〜1999年)振付の2作を上演しました。クルベリは、スウェーデンが生んだ女傑、『ジゼル』等の読み換え版によって知られる異才マッツ・エックの母親でもあります。谷バレエ団では、1980年に『ロメオとジュリエット』(1969年)を、1989年には『令嬢ジュリー』(1950年)をレパートリーに加え折に触れて再演を重ねてきました。愛なき性の交わりの果ての悲劇『令嬢ジュリー』においてタイトルロールを踊った高部尚子の神懸ったような名演も心に残りましたが(7月5日夜)、ここでは『ロメオとジュリエット』をについて触れます。

クルベリ版『ロメオとジュリエット』は、おなじみセルゲイ・プロコフィエフ曲を再構成、1時間弱にまとめています。キャピレット家とモンタギュー家をそれぞれ青と赤の衣装で分け、両家の対立の構図を鮮明に。ジュリエットの従兄弟ティボルト、ロミオの親友マキューシオ以外は脇役も省かれています。簡素化、シンボリックな構成が特徴。ロミオとジュリエットの出会いからふたりの死に至るまでがドラマティックに描かれます。悲劇が永遠の愛の賛歌へと昇華される幕切れが感動的です。振付は重心の低い動きや意想外のフォルムを多用。「この母にしてエックあり」と思わせられる異色のものです。

プロコフィエフ曲によるダンス版『ロミオとジュリエット』では、作曲から4年後に上演されたラブロフスキー版(1940年)が最初の傑作といわれます。演劇性が高く古式ゆかしい趣が得難い。キーロフ・バレエが第二次世界大戦後、シェイクスピアのお膝元で演劇の国、英国で上演するや否や大反響。英国中心とした欧州に物語バレエの新潮流を生むきっかけになります。1958年にはジョン・クランコが、1965年にはケネス・マクミランが振付け、人間心理の綾を微細に描き物語バレエの可能性を広げます。ジョン・ノイマイヤー版(1974年)もクランコらの流れを汲むもの。ただ、これらにはクラシックの規範を崩した動きや創意あるアイデアはあるものの重厚長大なグランド・バレエです。1幕ものにしてドラマの展開・舞踊スタイルともモダンな感覚に富むクルベリ版は、当時、斬新なものと受け止められたのは想像に難くありません。ベルリオーズの音楽と劇中劇という手法を用いたモーリス・ベジャール版(1965年)と並び、ダンス版『ロミオとジュリエット』上演史における画期的作品だと今回思いを新たにしました。

クルベリ版以後の展開も端折ってみてみます。近年のモダン〜コンテンポラリーの流れのなかで極めつけといえるのがヌーベルダンス出身のアンジュラン・プレルジョカージュ版(1990年)。ダークなSF風の舞台意匠が大胆、振付にも創意あり大成功を収めました。ノイマイヤーのもとで学び物語バレエの旗手と目されるジャン=クリストフ・マイヨー版(1996年)は洗練された演出・振付が人気です。昨年日本初演され絶賛を浴びたのがナチョ・ドゥアト版(1998年)。マイムを排し動きで語る手法を貫いたものでした。ドゥアトはかつてエックのもとで踊っており、振付にエックの影響も見て取れる。クルベリからすればドゥアトは孫弟子的存在。20世紀舞踊史の流れを感じずにはいられません。

2009-07-06

[]池上直子プロデュース公演『Tulip』『Precious〜かけがいのない大切なもの〜』

池上直子は、しっかり踊れ、目力もあって美人という才色兼備のダンサーです。モダンダンスを本間祥公、バレエを高木俊徳に師事、師の創作や上田遥、白井剛作品に出演してきました。今回の公演は、本間祥公ダンスエテルノシリーズ企画 第一弾。小空間で観客と向きあい創作していく姿勢を打ち出したものです。会場は神楽坂の小劇場。客席を対面式にして、その間がアクティングエリアとなっていました。

公演は2部構成。前半は邵智羽と池上によるデュオ作品『Tulip』でした。秋庭潤のオリジナル曲をヴァイオリニストの瓦田美子、進藤瑞希が奏でるなか、ふたりの距離・関係がセンシティブに描かれます。足裏の微細な動きや息遣いまで感じられるのは小空間ならでは。後半は『Precious〜かけがいのない大切なもの〜』と題されたグループ作品。バレエ、ストリート、コンテンポラリー等など出自の異なるダンサー6人がゆったり絡んでいきます。派手にダンスダンスしなくても、肉体から発せられる「気」のようなものが次第に空間を支配していきます。鍛錬された身体を持つ者のみが放つエナジー。ダンスと詩を織り交ぜたパフォーマンスを行うカズマ・グレンの発するコトバも印象的です。ダンスと詩と音楽がじんわりとなじんで親密感あふれる世界を生んでいました。

紛れもない池上の自主公演ながら称するはプロデュース公演。ダンサーやアーティスト仲間との出会いに対して“今後に繋がる機会となるように”“一人一人をプロデュースしたい”との思いがあるそうです。踊り手としての優れた資質に加え美麗な容姿を誇る池上のこと、もう少し自身を強くアピールしてもいい気もしないではありませんが、一歩引いて着実に自身と仲間たちの足場を固めていくクレバーさも魅力に感じました。

本間祥公ダンスエテルノシリーズ企画 第一弾

池上直子プロデュース公演

プロデュース・演出・振付:池上直子

第一部『Tulip』

ダンサー:邵智羽(牧阿佐美バレヱ団)/池上直子

ヴァイオリニスト:瓦田美子/進藤瑞希 作曲:秋庭潤

第二部『Precious〜かけがいのない大切なもの〜』

ダンサー:田中ノエル/西澤美華子(東京シティ・バレエ団)/穴井豪/井向健二/カズマ・グレン(bodypoet)/池上直子

音楽構成:神前昭彦

(2009年7月3〜5日 神楽坂・シアターイワト)

2009-07-03

[]「STUDIO VOICE」誌休刊とダンスメディアの現在

サブカルチャー誌の草分け的存在である「STUDIO VOICE」誌(INFASパブリケーションズ)が9月号(8月6日発売)をもって休刊となることに決まったようです。

映画や音楽についてのエッジな情報が多く、気鋭ライターによるレビュー・紹介記事等もあって、現代文化を語る際に欠かせないメディアのひとつであったのは間違いないでしょう。演劇やダンスに関しての紹介記事も載っており、コンテンポラリー・ダンスや小劇場演劇関係者とっては重要なパブリシティの場であったのでは。

Webニュースによると「部数の低迷や広告減などから(休刊を)判断した」とのこと。最盛期には約10万部を発行していたそうですが、最近は3〜4万部と低迷していたそうです。部数減に関しては、サブカル情報をwebによって即時に得られる時代になったことも影響しているのでしょうか。広告減に関しては、不況のなか雑誌業界最大の悩み。先日、女性誌「マリ・クレール」の休刊もニュースになりましたがどこも厳しいようです。

ダンスのメディアでは最大手・新書館が「ダンスマガジン」、姉妹誌「クララ」、その別冊「クロワゼ」を出しています。他にはファッション誌的センスを放っている「DDD」が成功しています。文園社の出している「バレリーナへの道」も年4回発行ですが堅実に続いています。フリーマガジン「DANZA」はプロモーターや劇場、舞踊団から多くの広告を取って軌道にのっている様子。業界紙では「週間オン・ステージ新聞」があります。他にも部数は少なくともメディアがいくつかあり、商業臭を排するなど各々ポリシーをもって編集・発行されています。ネットメディアを立ち上げようとする動きもありますが、資金面と人的労働力が確保できないことから続かないようですね(ダンス用品のチャコット全面支援による「DANCE CUBE」は別)。限られたパイしかありませんが少しでも書く場が増えていってほしい。私は書いたことありませんが、「STUDIO VOICE」誌はダンス系のライターにとっても貴重なスペースだったため、休刊はとても残念に思います。

[]佐多達枝・合唱舞踊劇『ヨハネ受難曲』を観る前に

佐多達枝演出・振付による合唱舞踊劇『ヨハネ受難曲』がまもなく上演されます。

合唱舞踊劇『ヨハネ受難曲』

日時:2009年7月4日(土)18:00、5日(日)14:00

会場:すみだトリフォニー 大ホール(JR 錦糸町駅)

演出・振付:佐多達枝

指揮・アルト:青木洋也

ダンサー:石井竜一/斉藤隆子/島田衣子/関口淳子/武石光嗣ほか

歌手:畑儀文/浦野智行/藤崎美笛/鈴木准

合唱・コロス:オルフ祝祭合唱団

チケット:全席指定 S席:\10,000 (完売) A席:\8,000 B席:\6,000 C席:\4,000

公演への期待は先日当blogに書きました(6/23日付記事)。

http://d.hatena.ne.jp/dance300/20090623/p1

佐多は御年77歳。“日本バレエ界の宝”(舞踊評論家・吉田裕)と評され『父への手紙』『庭園』等代表作多数。各種褒章、顕彰も多数受けていますが、日本が世界に誇るべきアーティストだとは残念ながらそれほど認知されていません。発想力、動きの創意、音楽性、演出力いずれとっても高次元にあり、あくまで私見ですが、世界のベスト10は確実、見方によってはベスト5に入る振付家だと確信しています。その佐多が敬愛するというバッハの大曲・難曲に挑む舞台ですから見逃すわけにはいきません。

合唱×管弦楽×舞踊による合唱舞踊劇は、厳密にいえば佐多にとって個人リサイタルとは違って依頼を受けての外部の仕事。楽曲ありきですし、プロの舞踊家ではない合唱隊も踊ります。振付も個人リサイタルの際ほど先鋭的ではない印象。しかし、オルフの『カルミナ・ブラーナ』等の秀作を生んできました。半世紀にわたって活動する佐多はかって「ストーリーテラー」と評された時期もあったようですが、その後現在に至るまで、抽象性に傾いた創作を多く手がけています。しかし、『ヨハネ受難曲』は、イエスの受難という物語があり、ドラマティックな展開が予想されます。初めて佐多の作品に接する人や佐多作品は難解と及び腰になっている方も楽しめるのではないでしょうか。

旧作・合唱舞踊劇『ルードヴィヒ〜交響曲第9番〜』のダイジェスト映像が出ているのでお知らせしておきます。あと、主催のO.F.Cのサイトに河内連太による台本のあらすじが掲載されています。鑑賞前に一読すると、より理解が深まると思います。

O.F.C. 合唱舞踊劇 ルードヴィヒ 〜交響曲第9番〜ダイジェスト版

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台本あらすじ(PDF)

http://homepage2.nifty.com/ofc/documents/2009/johannespassion_story.pdf

台本あらすじ(blog掲載)

http://blog.livedoor.jp/choraldancetheatre/

2009-07-02

[]ニムラ舞踊賞に笠井叡

長野県・諏訪市が主催するニムラ舞踊賞の第29回目の受賞者に舞踊家/振付家の笠井叡が選ばれました。地元紙等が既に報じています。

ニムラ舞踊賞は長野県上諏訪町(現諏訪市)生まれの舞踊家・新村英一(ニムラ エイチ/1897〜1979)の名を冠したものです。新村は1918年に渡米し、モダンダンスのルース・セント・デニス、テッド・ショーンらに師事。ニューヨーク・カーネギーホールにスタジオを開設し多くの舞踊家を育てました。日本の舞踊家の海外進出のパイオニアといえます。とはいえ、祖国日本への思いを終生忘れることなく、日本の後進舞踊人のためニムラ舞踊基金を設立しました。1973年にはニムラ舞踊賞が創設されています。分野を問わずダンス界に寄与した振付家やダンサー、プロデューサーらに賞が与えられてきました。現在は舞踊評論家の大御所、山野博大らが選考委員を務めています。

今回の受賞者の笠井は、若き日に故・土方巽や大野一雄らとともに暗黒舞踏の創立を担いました。天使館を主宰、ドイツに学んでオイリュトミーを習得し、自らの踊りを「言霊舞」と名付け独自の活動を続けています。バレエファンには、ファルフ・ルジマートフに振付けたソロ『レクイエム』によってその名を知られているでしょう。ここ最近では、ピアニスト、高橋悠治とのコラボレーション『透明迷宮』を行ったり、コンテンポラリー・ダンス界の風雲児・黒田育世/BATIKに『バビロンの丘に行く』を振付けしています。

バレエ界や現代舞踊界の顕彰はともかく国による顕彰等が、舞踏・コンテンポラリーやジャンルの枠にとらわれず活動してきた人たちに与えられる機会は多くありません。設立当初コンテンポラリーに傾斜していた朝日舞台芸術賞は休止に。ニムラ舞踊賞は、近年、ケイタケイ(武井慧)、勅使川原三郎、大島早紀子、中村恩恵といった日本の舞踊界の枠に収まらない意欲的な活動を行ってきた人を受賞者に選んできました。笠井の受賞も「小さくても大きな賞」を標榜する同賞の面目躍如といったところでしょう。

2009-07-01

[]ピナ・バウシュが死去

ヴッパタール舞踊団のピナ・バウシュが6月30日亡くなったようです。享年68歳。

亡くなる前日、群馬・高崎で元ヴッパタール舞踊団のダンサー、ファビアン・プリオヴィユが振付けた『紙ひこうき』をみてバウシュのことを考えていたばかりでした。

1980、90年代の来日公演でファンになりコンテンポラリー・ダンスの魅力に目覚めた方は多いはず。近年も若い世代のファンも増やしていただけに残念です。

劇場ロビーやカーテンコールでみせた穏やかな笑顔や『カフェ・ミュラー』での夢遊病者のように踊る姿は目に焼きついて今でも忘れられません。一生忘れないでしょう。

遅れてきた観客ですがいくつもの感動的な舞台に立ち会えたことに心から感謝。

謹んでご冥福をお祈りいたします。

http://www.pina-bausch.de/

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