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ダンスの海へ 舞踊評論家・高橋森彦のblog このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2009-08-04

[]コレオグラファーズYダンスコンサートvol.2、服部有吉×辻本知彦×群青『3D』、MOKK LABO#5『古民家』、EAST DRAGON 2009

コレオグラファーズYダンスコンサートvol.2

安田敬の主宰するダンスカフェとムーブ町屋・日暮里サニーホール指定管理者シービーシーメソッド主催公演。若手ダンサー/振付家が、照明を中心に劇場スタッフの協力を得てステップアップする場として大変貴重です。今回は、福島千賀子の自作自演ソロ、垣内友香里が中島加奈子に振り付けた『Five of Kana's(分かちがたく付きまとう五つの私事)』、maguna-tech(武智圭佑/博美)『Happy Flower』を上演。バレエ/コンテに通じよく体の利くソロを展開した中島作品、ノイズ音楽とダンスのぶつかりあいをみせるmaguna-tech作品は、綿密に錬られた照明プランと相俟ってまとまりのあるものに。ただ、完成度を高めようとしたためか奔放さに欠けた面も。作品を練り上げる過程で失われるものもある。そのあたりの按配は難しい…。垣内作品は、ひとりの女性の内面の沈鬱を通して、個人と社会の関係に潜む病のようなものを浮き彫りにしていきます。言葉、声、歌も織り交ぜた多層的な舞台づくりも演劇畑出身の垣内ならでは。垣内の、表現者として「いま」という時代に向き合う誠実な姿勢に共感を覚えました。

(2009年7月30〜31日 ムーブ町屋)

服部有吉×辻本知彦×群青『3D』

服部有吉の日本では2年ぶりとなる劇場での新作発表に注目が集りました。バレエ(服部)×コンテンポラリー・ダンス(辻本)×ストリート・ダンス(群青)によるジャンルを越えたコラボレーション。そこにジャズピアニストの松永貴志が絡みます。ダンサーの三人は最初、ゆったりと動く場が多いですが、後半になるにつれ、それぞれの得意技を披露します。松永も足でピアノを弾いたりダンスに加わったりとやりたい放題に。かなりの部分は段取りが決まっていると思いますが、ジャズセッションのような即興を交えた自在さも感じました。個人的には結構楽しめたのですが、各人の妙技に浸れる以上の何かがあったか、作品として一本筋の通った核があったかとといわれれば疑問の声はあるかも。とはいえ、企画物としては「あり」なのでは。客席の反応も上々のようでした。

(2009年7月31日〜8月2日 あうるすぽっと)

MOKK LABO#5『古民家』

劇場にとらわれない空間においてパフォーマンスを行ってきたダンス集団MOKK(主宰:村本すみれ)が奈良県五條市新町「新町通り」古民家内において公演を行いました。アートによる町おこしとして地元NPOと提携、一年前からワークショップを行ったり地元イベントに参加したりと交流を重ねてきたうえでの公演です。天井裏からパフォーマーが現われたり、狭い屋内を所狭しと走り回ったり、庭でも踊ったりと場の魅力を活かし暴れまわります。時代を感じさせる古民家のなか行われるパフォーマンスに観客は日常から非日常の世界へとゆるゆると誘われシュールでユーモラスな世界に浸れます。地域に根付き活動、地元住民とも協力を重ね公演を行いコンテンポラリーなパフォーミングアーツの魅力を伝えたことは有意義。アサヒビール芸術文化財団の公募助成を受けていますが、こういった公益性のあるイベントへの援助は望ましく思います。

(2009年8月1〜2日 奈良県五條市新町「新町通り」古民家内)

EAST DRAGON 2009「與東龍共舞」

アジアの気鋭若手アーティストを取り上げてきたダンス企画「EAST DRAGON」。今回は3組が独自の才能を発揮しました。木野彩子の自作自演ソロ『ろうそくの火はどこへ消えるのか』は、暗闇のなか4つのロウソクを動かし空間を形成しつつじっくり踊ります。生成と消滅――ダンスという時間芸術の宿命とも重なる主題を知的に捉えていました。沼田志歩作品『NOT A DROP BUT THE FALL』は、沼田と梶谷拓郎のデュオ。デュオとは、最小単位の関係性の生まれるものですが、両者の微細な距離の揺らぎを捉えていました。振付・出演:KIM Sung-yong、音楽・演奏:Fracois RIALLAND、映像:JUNG Seung-Jaeによる『MAYDAY』は、ダンスとライブの音楽、ダンサーの動きと呼応したライブの映像が交錯。3者が不可分な状況を創り出し展開するパフォーマンスでアイデアは豊富でした。好企画なのに1回公演というのがなんとも惜しいところ。

(2009年8月3日 日暮里・d-倉庫)