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ダンスの海へ 舞踊評論家・高橋森彦のblog このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2009-09-30

[]今年は『眠りの森の美女』の当たり年、でもある

今年は国内の多くのバレエ団が『ジゼル』を上演することが話題でした。後半戦に入り、谷桃子バレエ団を残すのみ。それに加え本年は『眠れる森の美女』上演も少なくない1年となります。以下、私が今年現時点で観た『眠り』全幕を挙げておきます。

東京バレエ団(主演:ヴィシニョーワ&マラーホフ)

1月8日 東京文化会館

東京バレエ団(主演:吉岡美佳&後藤晴雄)

1月9日 東京文化会館

貞松・浜田バレエ団(竹中優花&武藤天華)

2月8日 明石市民会館アワーズホール

日本バレエ協会(主演:下村由理恵&佐々木大)

3月25日 ゆうぽうとホール

日本バレエ協会(主演:島添亮子&法村圭緒)

3月26日 ゆうぽうとホール

日本バレエ協会(主演:酒井はな&李波)

3月27日 ゆうぽうとホール

小林紀子バレエ・シアター(主演:島添亮子&テューズリー)

4月24日 新国立劇場中劇場

さがみ湖野外バレエフェスティバル(主演:酒井はな&李波)

8月9日 さがみ湖野外特設劇場

世界バレエフェスティバル全幕特別プロ(主演:コジョカル&コボー)

8月15日 東京文化会館

日本バレエ協会関東支部埼玉ブロック(主演:酒井はな&齊藤拓)

9月13日 川口リリアホール

ほかにはレニングラードク国立バレエが1月に上演し、秋以降、マリインスキー・バレエ&キエフ・バレエが上演しますね。それでも上演団体数でいえば、『ジゼル』には及びませんね。複数キャストをチェックしたため例年になく多く観ることになったのでしょう。

『眠り』は、いわゆるチャイコフスキー三大バレエのひとつですが、かのディアギレフが全幕をロンドンにて上演した際、莫大な負債を抱えてしまった、というエピソードからもわかるように、上演しようとすれば経費が半端なくかかります。本格的な上演はそう多くはありません。ソリスト、コール・ド・バレエの人数・水準とも充実していなければ目も当てられない上演になり、上演団体の体力を計ることのできる作品ともいわれます。とはいえ、観客の興味は主役ペア、とくにオーロラ姫に尽きるでしょう。オーロラ役は、第一幕のローズ・アダージョや第三幕のグラン・パ・ド・ドゥまで踊りが豊富、技術的にも簡単ではないはず。でも、それ以上に、踊り手の個性・オーラの有無が如実に現れる役柄ではないでしょうか。まさにスターの試金石といえるでしょう。

今年観たオーロラのなかでは、アリーナ・コジョカルの演技が群を抜いてすばらしかった。怪我からの復帰間もなく本調子でないでしょうが、それでも各幕を多彩に演じ分け圧巻。エレガンスと音楽性に富んだ踊りは当代随一でしょう。ロシア・メソッドによる柔軟なラインと、英国スタイルの典雅さを兼ね備えた、現在世界最高峰のプリマだと証明するに充分な出来ばえ。「スーパーバレエレッスン」放映中の吉田都さんも「ダンスマガジン」の連載のなかで、その意志のある見事なパフォーマンスを絶賛していました。

日本を代表するプリマ、下村由理恵、酒井はなの演技も充実。それぞれ佐々木大、李波とのパートナーシップの妙でも魅せました。酒井は、齊藤拓とのコンビでも充実。私生活での結婚(フォーサイス・カンパニーの島地保武)後、はじめての全幕主演に相応しい演目であり、幸福なオーラが漂ってきました。吉岡美佳は当初予定されていた小出領子に代わっての登板。その類まれな“お姫様オーラ”を最大限発揮できるのは、やはりオーロラ役であると再認識させられました。竹中優花&武藤天華組は公私にわたるパートナーであるだけに両者の醸す雰囲気の好さも忘れ難い。島添亮子&法村圭緒ペアをみると、それぞれの師である小林紀子、法村牧緒が、かつてバレエ協会公演の華であったことを想起させられ、時代の移り変りを感じずにはいられません。

わが国には、多くのカンパニーがあり、同じ作品でもそれぞれ異なったプロダクションを上演しています。それが必ずしも全ていいことばかりではないかもしれませんが、多くの多彩な上演に接し、見比べる楽しみは、捨てがたいものがあります。

2009-09-28

[]岩名雅記監督作品『朱霊たち』ポルトベロ国際映画祭グランプリ受賞

舞踏家・岩名雅記の監督した映画『朱霊たち』がポルトベロ国際映画祭ベストフィルム(グランプリ)を受賞したそうです。岩名さんからのメール(BCC)で知りました。

岩名は1945年生まれ。舞踏研究所白踏館を主宰し、現在は仏・ノルマンディに在住し公演活動を行なっています。岩名は大学卒業後TBSでドラマ制作に関わり、映画を撮ることを念願としてきました。製作に4年をかけデビュー作『朱霊たち』を完成。2007年、ポレポレ東中野でのレイトショー公開を皮切りに内外で上映を重ねてきました。

『朱霊たち』は、戦後7年目の東京・麻布の廃墟が舞台。生と死、現実と夢が交錯する白昼夢のようなドラマをモノクロフィルムに定着させた異色作です。澤宏、長岡ゆりはじめ日本の舞踏家に加え、イタリア、フランス人キャストが出演。パスカル・マランによる撮影が息をのむように美しく、すばらしかったのを覚えています。

『朱霊たち』の受賞したポルトベロ国際映画祭は、インディペンデントの映画祭としては英国最大規模を誇るとのこと。長編、短編、ドキュメンタリー、アニメなど含めた約700本のフィルムのなかから今回、グランプリに選ばれたそうです。

なお岩名は、劇映画第二作「夏の家族」を製作中。2010年1月のロッテルダム映画祭出品を目指して準備中とか。そちらの日本公開も楽しみなところです。

ポルトベロ国際映画祭 公式ホームページ

http://www.portobellofilmfestival.com/

『朱霊たち』公式ホームページ

http://www.shureitachi.com/

岩名雅記 公式ホームページ

http://iwanabutoh.com/

2009-09-25

[]パリ・オペラ座バレエ2009/2010シーズン開幕

バレエの殿堂パリ・オペラ座バレエの新シーズンが9月24日、『ジゼル』全幕によって開幕しました。シーズン開幕に『ジゼル』を持ってきたというのは、古典重視、そしてオペラ座の伝統を重んじる姿勢を打ち出したといえるでしょう。ロマンティック・バレエの名作『ジゼル』の初演は、この劇場で行われています。かつて女性舞踊手がエトワールになるためには、『ジゼル』のタイトル・ロールを踊りこなせなければならないという不文律があったというのは有名な話。オペラ座の原点である特別な作品といえるでしょう。

近年は年間プログラムのほとんどを現代作品が占めるという偏った編成の時期もありましたが、今シーズンは古典・現代作品のバランスのいいプログラミングなのが誰の目にも明らかです。古典ではヌレエフ版の『くるみ割り人形』『ラ・バヤデール』。新古典ではバランシンの『ジュエルズ』。ノイマイヤー『椿姫』が再演され、キリアンの『輝夜姫』が新たにレパートリー入り。『三角帽子』『バラの精』などによるバレエ・リュス プロも。現代作品では、同バレエ団に『ル・パルク』『メディアの夢』を振付けている鬼才アンジェラン・プレルジョカージュ新作『シッダールタ』はじめ意欲作揃い。ベジャール・バレエ・ローザンヌの来演やオペラ座バレエ学校公演も。パリの観客が羨ましくなります。

とはいえ、日本でも今年から来年にかけて、パリ・オペラ座絡みの公演等が続々行われるので楽しみに。来春3月には、パリ・オペラ座バレエの来日公演が東京のみとはいえ開催されますね。今シーズンの開幕を飾る『ジゼル』と、ヌレエフ版『シンデレラ』というグランド・バレエ2演目を上演します。来夏には、「エトワール・ガラ」が行われ、オペラ座エトワール中心のキャストが共演。そして、この秋には映画「パリ・オペラ座のすべて」も公開されます。ヌレエフ世代にくらべると、ダンサーが小粒になったとの評判は拭えませんが、ドロテ・ジルベールやマチルド・フルステー、マチュー・ガニオ、マチアス・エイマンら注目の若手も出てきており、その活躍にも期待したいところ。

最後になりましたが、このたびオペラ座関連の書籍が刊行されるようです。「フィガロ ジャポン」にて連載された記事をまとめたものでしょう。副題にガニオの名が入っていますが、日本デビュー間もない頃、あらゆるメディアにおいて彼の名を頻繁に目にした記憶が・・・。父母がともに世界的な有名ダンサーであったというバレエ界きってのサラブレッド。ガニオのエトワール昇進以後、中堅・若手のエトワール昇進が続きました。やはり新時代のスターにして中心的存在はガニオになっていくのでしょうね。


2009-09-24

[]特別版<出張ダンス=人間史>vol.19&20

HOT HEAD WORKS主催による<ダンス=人間史>は、1998年よりスタートした対談シリーズです。舞踊批評家生活50年余年の舞踊史の証人・山野博大と舞踊家/振付家で、プロデューサー的立場からのイベント・講座も主催してきた加藤みや子が、日本の現代ダンス史を担ってきたアーティストの肉声を伝え、創造のルーツを探る企画。

今回、特別版が行われます。「20世紀のダンス 2つのターニングポイント」と題し、2つのトーク&シンポジウムを開催。舞踊学徒はもとより、これからのダンスシーンを担っていく若いアーティストにとっても、先人の切り開いた道を知ることは大切ではないでしょうか。バレエ&ダンス公演が重なったりもしますが、ぜひフォローしたい企画です。

特別版<出張ダンス=人間史>

「20世紀のダンス 2つのターニングポイント」

Vol.19 「日本の劇場ダンス創世紀に海外を目指した人たち」

パネリスト:國吉和子×山野博大

9月26日(土)10:15-12:00

Vol.20 「ポストモダンダンス、その衝撃と影響を考える」

パネリスト:米井澄江×武藤大祐×加藤みや子 司会:山野博大

9月26日(土)13:00-15:00


会場:日本大学芸術学部 江古田校舎E-301(東棟3F)

入場料:一般-2000円、学生-1000円(日大生別)

問合せ:アネックス仙川ファクトリー http://as-factory.jp/

2009-09-23

[]「DANCE FILM VARIATION ダンス・フィルム・ヴァリエーション」&ヴィスコンティ『ルートヴィヒ 復元完全版』

先日はじまったコンテンポラリー・ダンスの祭典「ダンストリエンナーレ トーキョー 2009」。その一環のプログラムである「DANCE FILM VARIATION ダンス・フィルム・ヴァリエーション」は、フランスの映像アーカイブ、シネマテーク・ドゥ・ラ・ダンスの協力を得て、20世紀のダンスの歴史をスクリーンで振り返ることができます。

http://www.imageforum.co.jp/dance/Site/top.html

コンテンポラリー・ダンスのファンや研究者には見逃せないでしょうが、バレエ・ファン的にもチェックしたいものも。早速、モーリス・ベジャール作品特集とマギー・マラン特集を観てきました。ベジャール特集は、ベジャールの代表作『春の祭典』『ボレロ』を1960年代の二十世紀バレエ団の上演でノーカット上映。デビュー作『孤独な男のためのシンフォニー』も入っています。ダンサー、ベジャールも登場。ベジャール関連の映像ソフトは結構出ていますが、1960年代の二十世紀バレエの上演をじっくり観られるのは貴重といえます。マギー・マラン特集では、マランの出世作『May B』から近作の『Umwelt』まで抜粋ながら一望できました。見逃せないラインナップが続きますが、ポストモダンダンス特集が1回しかないのは意外。日本のダンス シーンにおいてポストモダンダンスの再考の文脈が出てきていることもあり、関心の深い人も少なくないと思うのですが・・・。

さて、会場は東京・渋谷のシアターイメージフォーラム。連日21:00からのレイトショーとして10月8日まで上映されます。青山劇場/青山円形劇場、スパイラルホールで行われるダンストリエンナーレ トーキョー2009 のソワレ公演を観たあとでも間に合うように組まれているようです。回によっては混雑も予想されるため、早めに整理券をGETできれば吉かもしれませんね(この劇場は朝から当日上映分の整理券を発行)。


あと、ダンス絡みの映画ということで、ルキノ・ヴィスコンティ監督『ルートヴィヒ 復元完全版』(1972年)を紹介しておきましょう。9月26日(土)東京・池袋の新文芸坐において「魅惑のシネマクラシックス」シリーズとして2回上映(上映時間237分)。

http://www.shin-bungeiza.com/

イタリアの生んだ巨匠ヴィスコンティの代表作のひとつであり、バイエルン国王のルートヴィヒ2世(1845〜1886)の数奇な後半生を描く超大作です。ルートヴィヒ2世といえば、リヒャルト・ワーグナーを援助したことで知られる芸術愛好家。政治や恋愛を避け、芸術に魅入られ、孤独の世界を彷徨う彼の魂の遍歴が描かれます。

ルートヴィヒ2世は、バレエ・ファンには、ジョン・ノイマイヤーの代表作『幻想・白鳥の湖のように』の主人公として知られます。古典バレエの代名詞『白鳥の湖』の王子をルートヴィヒ2世に置き換えたもの。錯乱した王が古城に幽閉される場から始まり、王が回想のなかで『白鳥の湖』を踊る王子役に同化するという劇中劇の構成が印象的です。ヴィスコンティの映画もルートヴィヒの狂気や苦悩を流麗・格調高いカメラワークで捉えて秀逸。本物の古城や美術品を用いて撮影されたという豪華絢爛・重厚な場などは、やはりスクリーンで観るに限ります。上映環境もいいので特に未見の方はぜひ。


ルートヴィヒ 復元完全版 デジタル・ニューマスター [DVD]

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ルートヴィヒ2世―白鳥王の夢と真実 (ヒストリー・ブック・シリーズ)

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2009-09-22

[]現代舞踊は変わりつつあるのか? それとも・・・

わが国のダンス・シーンにおいてバレエ/コンテンポラリー/モダンといったジャンルの壁がいまだ強固に存在します。非バレエのアートダンスとしては、近年、コンテンポラリー・ダンスが隆盛を誇り市場を拡大してきました。舞踊ジャーナリズムの援護も手厚い。いっぽう、現代舞踊といえば、コンテンポラリー・ダンスの陰に隠れている印象。しかし、近年は、モダン/コンテンポラリーという枠組は比較的緩やかな感も。

コンテンポラリー・ダンスの優れたアーティストの少なからぬ人たちも、現代舞踊や大学ダンス、児童舞踊出身です。「横浜ダンスコレクションR」コンペ部門では2005年以降、現代舞踊系の振付家の作品が決選に残ることも増えてきました。JCDN「踊りに行くぜ!」でも、現舞系や大学ダンス系の若手アーティストが選出され、各地でパフォーマンスを披露しています。現代舞踊サイドから、優れた逸材が出ているというのは事実。現代舞踊を中心に観ている批評家等が「面白く大きく開花する可能性を秘めた才能は誰か」を厳選して情報発信してもらえると、観客サイドとしては大変助かるのですが、なぜかそういう情報はあまり流れてこない・・・。この9月前半に足を運んだ公演では、現代舞踊系と目される中堅・若手アーティストの創作・ダンスに興味深いものが散見されました。本来、当方の役回りではないのですが、簡単に報告しておきましょう。

若手による自主公演に刺激的なものが続きました。高瀬多佳子ダンスギャラリー『Dancing,Passing,and Landing』(9月4、5日 シアターΧ)、本間祥公ダンスエテルノ主催/山口華子ダンスパフォーマンス『décalcomanie』(9月15日 Super Deluxe)です。

高瀬公演の話題は、アメリカで生まれ、日本・オランダ・イギリスで学び、現在ロンドンのヘンリ・オグイケ・ダンスカンパニーで活躍する高瀬譜希子。その敏捷な運動神経から生み出されるエッジの利いたダンスは一度見たら目に焼きついて離れません。今回は、ロンドンの仲間たち、母の多佳子とのコラボレーションを発表しました。やや抑えたトーンのダンスが続き、観客の期待する爆発的なエナジーに満ちたダンスとは違ったもののダンサーとして創作者として模索している様が見て取れ興味深い公演でした。

ダンスエテルノ公演は、2009年度東京新聞主催全国舞踊コンクール創作部門第1位を獲得するなど新進の振付者として期待される山口の初単独公演。山口と本間、檜山和久によるトリオ『デカルコマニー』、シューベルト曲/シラー詩による「弔いの幻想D7」を用いた女性群舞作品『メメント・モリ』を発表しました。前者では、3者の関係性・距離感のなかに、山口の無意識の意識が顕在化するような緊密感を孕み、後者では甘美に痛切に生と死という主題を衒いなく取り上げ、観るものに何がしかの深い感銘をあたえます。山口には振付スキルも充分ありますが、それ以上に「語るべき何か」を持っていると感じさせるのが末頼もしく、創作者としての今後に大いに期待が持てました。

いっぽう、現代舞踊の牙城といわれる現代舞踊協会は「2009 時代を創る 現代舞踊公演」開催しています(9月1、2日 東京芸術劇場中ホール)。以前「新鋭・中堅舞踊家による現代舞踊公演」という名で行われてきたものを近年名称変更、次代を担う創作者を育てる姿勢を鮮明に。この類の会は、5分から10数分の作品がいくつも並び、観客にとって不親切なものが少なくないとの批判も耳にします。この企画では、最近、総体的な質の向上と上演順の工夫などによって新機軸を狙っている模様。いくつか批評記事を目にすると、内田香『flowers』、ハンダイズミ『blue bird』などが好評だったようです。

同協会活動として今後注目されるのが、来る12月、文化庁芸術団体人材育成支援事業として行われる「現代舞踊公演」。そのラインアップは、「現代舞踊的には」という留保つきとはいえ挑戦といえます。加賀谷香『パレードの馬』、菊地尚子『シンフォトロニカ・フィジクロニクル』、池田美佳『innocent』。従来は、率直に言って“人材育成”と銘打ちながら、大御所や中堅が順繰りに作品発表してきた印象もありました(出演者に若手を起用する等の意義あって文化庁助成基準を充たしていたということは理解できますが)。今回は、作者もダンサーも20〜30代の若手中心の大抜擢が続きます。

加賀谷、菊地作品は再演。加賀谷の『パレードの馬』は新国立劇場コンテンポラリーダンス公演で初演された話題作のため、ご覧になった人も多いはず。『シンフォトロニカ・フィジクロニクル』はラヴェルの名曲「ボレロ」にのせアンサンブルが緩急自在に踊る異色作。意図してかどうか分かりませんが、現代舞踊が苦手の人にも受け入れられ易いものを選んできた印象です。そして、注目は池田作品でしょう。池田は、まだ20代半ばです。切れよく繊細なダンスを持ち味とし、コンクールでの小品においても動きだけでなく照明や演出にもセンスをみせる新鋭。平山素子や新上裕也作品等への出演も増え、注目されつつあります。今回大舞台に抜擢されたのは、異例中の異例。若い世代に期待といったところなのでしょうか。数年前ならば考えられもしないことが起こりつつあるのは確か。新しい波がこれからも続くのか、あるいは一過性に終わってしまうのか…。観客やジャーナリズムは、その動向を見守るしかありません。

2009-09-20

[]Vol.1 瀬島五月(貞松・浜田バレエ団)

今回ご紹介する瀬島五月(せじま さつき)は、関西を中心に大活躍しているプリマ・バレリーナ。クラシック・バレエからコンテンポラリーと、幅のある踊りと演技を魅せ、抜群のオーラを放っています。また、自作の創作作品にも才を発揮するなど注目の存在。

瀬島は7歳から神戸の貞松・浜田バレエ学園にてバレエを始めました。決して早いスタートとはいえないかもしれませんが、ジュニア時代から早々と頭角を表し、1998年には、全日本バレエコンクール・ジュニアの部にて第1位を獲得。翌年には、アジア・パシフィック国際バレエコンクール・シニアの部第1位も受賞しています。名門・英国ロイヤル・バレエ・スクール推薦留学を経て、2001年にロイヤル・ニュージーランド・バレエ団に入団、以後、主役級や主なソリスト役を踊りました。2003年に夫君のアンドリュー・エルフィンストンを伴って日本に帰国し、夫妻で古巣の貞松・浜田バレエ団に入団。以後、同バレエ団の看板ダンサーのひとりとして華々しい活躍をみせています。

瀬島の魅力としてまず触れておきたいのが、多彩な表情ぶりについて。『白鳥の湖』オデットでみせた楚々とした風情のなか屹立する強い意思、『くるみ割り人形』金平糖での舞台を締める圧倒的な磁力に満ちたオーラ、『ドン・キホーテ』街の踊り子における溢れんばかりの華々しさ、ジョージ・バランシン振付『セレナーデ』での心に染み入るかのような抒情、オハッド・ナハリン振付『DANCE』(東京でも公演)で大道芸人よろしく観客を惹き込む15分に及ぶ自在な即興ソロ……。作品・役柄によって、この踊り手には、こういう貌があったのか・・・と驚かされ、さらなる挑戦と進化を見守りたくなる――これこそ、スター・ダンサーたる条件の重要要素のひとつではないでしょうか。

その多彩な踊りと演技を支えるのが、アカデミックな役作りや魅せ方の上手さです。日本の中堅・若手プリマのなかで、振付の意味を考え、どう魅せるか、を誰よりも考えて踊っていると私が感じるのが瀬島です。古典にしろバランシンにしろ、パと音楽が緻密かつ有機的に組み立てられ構成されているという点は変わりません。振付を体に入れ、咀嚼するのはまず基本。とはいえ、作品が、振付が輝くのには、踊り手が自分なりのニュアンスを付けなければなりません。瀬島の踊りには、音楽性、ラインの魅せ方、腕の使い方、表情の付け方はもとより、メイク等の工夫といった面にまで意識が行き届き、幅広い視野から作品・役柄に挑んでいることが実感できます。アカデミックな探究に裏打ちされた、自己主張・意志のある踊りのできる、わが国では数少ない存在のひとり。コンクール受賞歴も華麗ですが、何よりも舞台で輝くのが末頼もしい。

そして、そういった緻密な役作りの上を行いつつも、計算があまり透けて見えないのは、天性ともいえる踊り心の持ち主だからでしょう。『くるみ割り人形』ゼリー、さらには山崎敬子振付『Do You Like The Piano ?』、貞松正一郎振付『ラグタイム』等では弾ける様な陽気さをみせて観る者の胸を躍らせますし、『白鳥の湖』オデットのようなドラマティックな役でも一挙手一投足が淀みなく折り重なって痛切にドラマを語ります。今後より多くの役柄に挑み、舞台経験を重ねていくに従って表現力が深まり、踊り心も磨かれ、一層魅力的な演技を魅せてくれるのでは、と期待したいところ。

今秋は出演舞台が続きます。9月末には『ジゼル』全幕に初主演。2006年に2幕パ・ド・ドゥのみ踊っていますが、そのときと同じくエルフィンストンとの共演になります。ドラマティックな資質が大きく開花するのを楽しみに。10月の「創作リサイタル21」では、バランシン振付『セレナーデ』に主演するほか、イリ・キリアンの日本初演作『6 DANCES』にも出演。現代作品において、その多彩さを発揮してくれるでしょう。12月には『くるみ割り人形』に主演、金平糖の精を踊ります。また、10月には、北海道において「櫻の園」というイベントに参加、自作等を踊るとか。手垢に塗れた言葉ですが、いま、もっとも見逃せない踊り手のひとり。その動向にますます注目が集るに違いありません。(敬称略)

表紙を飾りインタビュー掲載の「クロワゼ」↓

Croise (クロワゼ) Vol.30 2008年 04月号 [雑誌]

Croise (クロワゼ) Vol.30 2008年 04月号 [雑誌]

関連LINK

瀬島五月 公式ホームページ

http://ssatsuki.hp.infoseek.co.jp/

貞松・浜田バレエ団 公式ホームページ

http://www.sadamatsu-hamada.com/

今後の出演舞台予定

貞松・浜田バレエ団:特別公演『ジゼル』全幕

平成21年度文化芸術振興費補助金(芸術創造活動特別推進事業)

2009年9月27日(日)17:00開演/尼崎・アルカイックホール

【主演】ジゼル役

貞松・浜田バレエ団:特別公演「創作リサイタル21」

平成21年度文化芸術振興費補助金(芸術創造活動特別推進事業)

平成21年度文化庁芸術祭参加

2009年10月10日(土)18:30開演/神戸文化中ホール

【主演】『セレナーデ』のほか『6 DANCES』に出演

「櫻の園 vol.3 秋櫻〜Von〜」

2009年10月17日(土)19:00&10月18日(日)13:30開演/札幌市教育文化会館 小ホール

http://www.ac.auone-net.jp/~sakura-r/

貞松・浜田バレエ団:特別公演『くるみ割り人形』

平成21年度文化芸術振興費補助金(芸術創造活動特別推進事業・20日のみ)

2009年12月19日(土)18:30(お菓子の国バージョン)、19日(日)15:30(お伽の国バージョン)/神戸文化大ホール

【主演】お伽の国の女王(20日)

2009-09-18

[]日本のコンテンポラリー・ダンス 海外での活躍

つい先日まで、東野祥子のBABY-Q室伏鴻のKo & Edge Co.、中村しんじのナチュラルダンステアトルの3組によるドイツツアーが行われていたようですね。9月4、5日@デュッセルドルフ、9月11、12 日@ミュンスター、9月16、17 日@ポツダムを巡演。Ko & Edge Co.に参加している鈴木ユキオさんのblogでは、その模様が触れられています。

日本のコンテンポラリー・ダンスのアーティストは毎月のように海外公演を行っています。室伏さんなど海外公演の方が圧倒的に多いでしょう。大御所的なKARASの勅使川原三郎(最近は日本での活動が増えていますが・・・)、北村明子のレニ・バッソや最近では梅田宏明もそう。日本での公演が減少している大島早紀子率いるH・アール・カオスも初夏にアメリカ公演を行って健在ぶりを示しファンを安心させました。

今回のドイツツアーに参加した鈴木さんも自身、金魚というカンパニーを主宰、このところ“月刊・鈴木ユキオ”といえるほど積極的に公演/ワークショップ活動を行っていますが、海外での仕事も増えているようですね。BABY-Qは今年新春、ジャパニーズ・コンテンポラリーダンス・ショーケース 米国ツアー2009「Japan Dance Now」にもニブロール、千日前青空ダンス倶楽部とともに参加していますが、来月(10月10〜13日)には、代表作のひとつ『ALARM!』を携えてノルウェー公演を行います。

日本のコンテンポラリー・ダンスは世界の潮流とは少し違ったベクトルで展開している面もあり個性豊か。ガラパゴス化(乗越たかお氏)ともいわれます。とはいえ、世界をまたにかけて精力的に活躍するカンパニー/アーティストたちが少なくないことを忘れてはいけません。彼らの海外公演情報に接するたび、頼もしく思います。

2009-09-17

[]谷桃子バレエ団関連の出版物が相次いで刊行

このところバレエ関連の記事が女性雑誌に掲載されたり、単行本の出版が相次いでいます。今年、創立60周年を迎え、2年間にわたり記念公演シリーズを大々的に展開する名門・谷桃子バレエ団の関係者が関った出版物が続けてリリースされています。

「Grazia」10月号(講談社)「ニッポン・ビューティ 21世紀への伝言」。戦後バレエのパイオニア/不世出のプリマ・バレリーナとして広く知られる谷桃子が登場しています。


Grazia (グラツィア) 2009年 10月号 [雑誌]

Grazia (グラツィア) 2009年 10月号 [雑誌]


今夏、谷も関った「名作バレエの踊り方」も出ており、大手書店等では平積みに。


名作バレエの踊り方

名作バレエの踊り方


他に、谷バレエ団員である川瀬美和ほかによる「みんなのバレエ・ストレッチ」がバレエ出版最大手の新書館 「クララ」シリーズとして今春出版されてもいます。


みんなのバレエ・ストレッチ

みんなのバレエ・ストレッチ

2009-09-16

[]五耀會 東京公演

日本舞踊は、日本のさまざまの古典芸能の集成でありながら、バレエやオペラ同様、舞台上で上演することを目的とした舞台芸術です。しかし、現代において、その魅力が広く人口に膾炙しているといえないのが現状でしょう。そういった状況に風穴を開けるべく結成されたのが五耀會です。西川箕乃助、花柳錦之輔、花柳基、藤間蘭黄、山村若という、名実ともに日本舞踊界の次代を担う舞踊家5人が流派を超えて集いました。3月、大阪での旗揚げ公演を経ての、満を持しての東京公演です。古典名作から創作、新作まで幅広い演目が上演され、日本舞踊の多彩な魅力を伝えていました。

第一部最初は、地唄『葵の上』。座敷舞の伝統をもつ座敷舞であり、謡曲「葵上」をもとにつくられた本行物です。上方舞のニューリーダーである山村若が至芸を披露しました。続く義太夫長唄『浜松風』は、手踊りや立ち回りなど歌舞伎舞踊ならではの手法が全編を彩るもの。出演は藤間蘭黄、西川箕乃助です。蘭黄の女形が艶やかで見物でした。第二部の長唄『一人の乱』は、1985年初演の二世花柳壽楽作品。平安中期、敵対しつつ互いの武勇を尊重しあう源頼義と阿部宗任の友情を描きます。花柳寿楽と花柳基が紋付袴の簡素な衣装姿ながら緻密にドラマを展開しました。第三部は、メンバー総出演の新作『七福神船出勝鬨』(作・演出:植田伸爾)。戦争を続け、大恐慌下にある人間界を憂う七福神が、下界を救うため宝船を漕ぎ出す――レビューのような楽しさを備えつつ、今日の世界状況を織り込んだ、楽しめ、考えさせられる一編でした。

開演前や幕間には、アナウンサーで日本の伝統芸能に造詣深い葛西聖司による解説が行われました。日本舞踊を舞台芸術として身近に感じてほしいという会の趣旨を反映して、みどころを分かりやすくレクチャー。義太夫、長唄や囃子方等も多数出演する、本格的・大規模な会でありながら、チケット代が破格ともいえる値段に抑えられていたのも注目に値します。HPの開設、バレエ公演等でのチラシ配布やプレイガイドへのチケット委託といった営業努力や、大手紙等に事前取材記事が載るなどした広報活動にも並々ならぬ意欲を感じさせました。これは、邦舞のみならず、バレエや現代舞踊等の洋舞の公演のあり方についても示唆に富む挑戦。さらなる展開が注目されます。

(2009年9月14日 国立劇場大劇場)

2009-09-15

[]ライブ・エンターテインメント市場が好調

ぴあ株式会社の子会社のシンクタンク、ぴあ総合研究所株式会社は、2008年のライブ・エンタテイメント市場動向についての一覧「ぴあ ライブ・エンタテインメント白書 2009」を9月18日に発売するとリリースしました。

経済不況の中で、ライブ・エンタテインメント市場規模は健闘 2008年ライブ・エンタテインメント市場概況

http://www.pia.co.jp/pia/release/2009/release_090909.html


ぴあ ライブ・エンタテインメント白書 2009

ぴあ ライブ・エンタテインメント白書 2009

5つのライブ・エンターテインメント――音楽、ステージ、映画、遊園地/テーマパーク、スポーツのうち、映画のぞく4ジャンルで前年を上回る好調な推移を示したとの報告。動員数は対前年比1.0%減にもかかわらず、1人当たり単価が上昇しているようです。さすが不況に強いといわれてきたライブ・エンタテイメント。しかし、スポンサーによる協賛金などの減少がみられ、また高額チケットは売れ難くなるなどの影響は若干出ているようです。人気公演とそうでない公演の二極化も激しいと記事では触れています。

特に気になるのは、音楽業界でライブが伸張していること。CDシングルが極端に売れなくなったと近年度々報じられているのと反比例して大幅な伸びを見せています。1990年代半ばには、ミリオンセラーが続出するという、今にして思うと異常な時期もありましたが、アーティストも欧米のようにアルバム重視の戦略に出ているようですし、観客と近い距離で交流できるコンサート/ライブに活路を見出しているよう。消費者も高いチケット代でも、観たいものにはお金を出す傾向に。これはステージでも同様でしょう。

また、映画では、累計では前年割れとなりましたが、邦画の市場規模は大幅に伸びていることも注目されます。洋画とくにアメリカ・ハリウッドの大作が日本ではあまり当らなくなり、邦画の話題作が相次いでヒット。2003年頃からそれは顕著になり、同年春公開された『黄泉がえり』あたりから若い観客が抵抗なく邦画に接しているのを個人的にも実感してきました。海外作品に依存しない、自国のコンテンツがマーケットに確固たるポジションを占めているのは好ましい。とはいえ邦画ブームにのって製作本数は増えましたが、ここでも当っているものはごく一部という二極化は否めないようです。

ダンスや演劇に関しても潜在的な観客層は少なくないはず。厳しいご時勢ですが、だからこそライブの感動に浸り、人間性を恢復したいもの。文化は空気や水のように自然に身近にあって然るべき。バレエ・マーケットでは、圧倒的に海外のブランド・カンパニー/アーティストに人気が集中するとはいえ東京バレエ団やKバレエカンパニーのように少なくない観客を動員し、しかも一般の有料入場者がほとんどを占める団体もなくはありません。コンテンポラリーの市場規模は小さいですが金森穣のNoismのような団体が健闘。舞台の質が大切ですが売り方次第で伸張の余地はあるのでは。そのうえで、観客が自国のコンテンツを育てていく流れが上手く作られればいいなと思います。

2009-09-14

[]文化庁芸術祭舞踊部門の参加作品が決定

平成21年度(第64回)文化庁芸術祭の開催が近づいてきました。

舞踊部門では、関西:平成21年10月2日(金曜日)〜平成21年11月10日(火曜日)、関東:平成21年10月12日(月曜日)〜平成21年11月10日(火曜日)の間に行われる公演のうち公募選考を経て参加の認められたなかから大賞、優秀賞、新人賞を選びます。

関東部門参加は26公演。そのうち、バレエ公演は1つのみとやや寂しく、フラメンコと日本舞踊がほとんどを占めています。いっぽう関西の参加は16公演ですが、バレエ、日本舞踊、フラメンコ、コンテンポラリーと例年になく多彩な顔ぶれ。選考結果は例年12月20日頃に発表となりますが、充実した公演を期待したいところです。

関東参加公演の部(PDF形式(88KB))

http://www.bunka.go.jp/geijutsu_bunka/geijutsusai/pdf/21_e_buyou.pdf

関西参加公演の部(PDF形式(72KB))

http://www.bunka.go.jp/geijutsu_bunka/geijutsusai/pdf/21_w_buyou.pdf

2009-09-12

[]CAVA『CONTINENT』チラシに当blogコメント掲載

パフォーマンスグループCAVA(さば)の新作公演『CONTINENT』のチラシに拙コメントが掲載されています。昨年11月に行われた前回公演『罠』について当blogに書いた感想からの引用抜粋。舞踊批評家の志賀信夫さん、ダンサー/振付家で京都造形芸術大学准教授の伊藤キムさんのコメントとご一緒させていただいています。

言葉ではあらわせないような人と人の間に生じる微細な感情の揺れ動きをシニカルにしかしユーモアを忘れずに描くあたりは心憎い。ダンサブルな場もあるし、展開にメリハリあって飽きさせない。マイムというしっかりとしたスキルを武器にしているだけに軽やかな演技のなかにも強度があるように感じた。

―舞踊評論家 高橋 森彦氏―

「ダンスの海へ」より http://d.hatena.ne.jp/dance300/20081126/p1

CAVAは2003年に日本マイム研究所出身の黒田高秋、藤代博之、丸山和彰によって結成されました。その魅力は“パントマイムをベースにダンス・演劇・美術を掛け合わせ、観る者の想像力を刺激する空間と、言葉の裏側を風刺的な視点で切り取り、ユーモラスに描いている”ことに尽きます。活動休止中の「水と油」や「くるくるシルク」といったマイムをベースにしたパフォーマンスグループの活躍が近年目立つなか、CAVAも自主公演のほか外部企画にも出演し、海外の演劇祭に参加を重ねてきました。更なる展開が楽しみなグループです。大人の作り手の創った大人の観客が楽しめる好ピースが期待できそう。演劇・ダンスのファンに限らない多くの方々が楽しめるのでは。

CAVA(さば)新作公演『CONTINENT』

【開演時間】

10月23日(金)19:30、24日(土)15:30、19:30、25日(日)15:30、26日(月)19:30

【会場】

ウエストエンドスタジオ(西武新宿線 新井薬師前駅より徒歩5分)

【料金】

前売/2,800円 当日/3,000円

ペア券(2枚1組)/5,400円 学生割引(要学生証)/2,300円 (各割引は前売りのみ)

チケットは、CAVAと「チケットぴあ」にて9月15日(火)受付開始

2009-09-09

[]小スペース、スタジオでのダンス公演が面白い!

連日ダンス公演が目白押しの首都圏のダンス・シーンにおいて、刺激的な実験が行われているのが小スペースでの公演です。何も今に始まったことではなく、神楽坂のセッションハウスやdie pratze(同じ経営による新劇場・日暮里のd-倉庫も)、横浜のSTスポットでは劇場主催のフェスティバルや自主事業がおこなわれ盛況。こまばアゴラ劇場でも主催・提携公演において新進アーティスト/カンパニーの公演が増えています。

セッションハウスでは、気鋭にレジデンス・アーティストとしてステップアップの場を与え、STスポットでは、10年以上続く「ラボ」シリーズにおいて若手発掘をおこなっています。die pratzeの「ダンスがみたい!」新人シリーズも軌道にのっているようですね。近年では、これらの劇場の主催する公演に文化庁芸術団体人材育成支援事業や芸術文化振興基金の助成も下りるように。より質の高い企画を期待したいところです。

さらに、小スペースでの公演というと、個人のスタジオ等での上演が目立つようになってきました。思いつくものを挙げてみましょう。先日は大ベテランのケイ・タケイが世田谷は豪徳寺にあるスタジオで自身の代表作「LIGHT」シリーズを再演して話題を呼びました。同じく世田谷の千歳烏山にあるStudio GOOでは、同スペースを管理する吉福敦子を中心に女性ダンサー4人が集う「ばら色の日々」と題するシリーズを開始しています。高襟(ハイカラ)主宰の深見章代は、自ら経営するDance Studio UNOにおいて高襟公演のほか、毎月1回、自身と垣内友香里、根岸由季、カワムラアツノリとともに「東京ダンスタワー」を一年以上継続中。神奈川は南林間にスタジオを持つダンスカンパニーカレイドスコープも主宰の二見一幸のほかメンバーによるダンスショーケースを行います。フラメンコでも鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団がdesnudo Flamenco Live と題して代々木上原ムジカーサにて連続公演を展開。六本木のイベントスペース、Super Deluxeにおいても諸ジャンルのダンスパフォーマンスやコラボレーションが続々と。

劇場やプロデューサーに認められ発表の場を得ることも重要ですが、アーティスト自身が自ら積極的に発表の場を設け、創作を世に問うという空気がでてきたのは望ましいこと。コンテンポラリー・ダンスでは、一時のコンペ熱が冷めてきており、そのこととも連動しているかもしれません。自身のやりたいことを貫いたり、制作面のリスクを減らして実験的な企画をやりたい場合に、小スペースでの公演が多く観られます。面白い公演が散見されるのも当然でしょう。観客も密な空間でアーティストのパフォーマンスを肌で感じられるのはうれしいところ。今後も小スペースでの公演が注目されます。

2009-09-07

[]ルグリ&ギエムが来年2月、15年ぶりに共演!!

来年2月下旬に「マニュエル・ルグリの新しい世界」の上演が決定したようですね。

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/15.html

パリ・オペラ座バレエの仲間たちと行ってきた「ルグリと輝ける仲間たち」に続く位置づけの企画でしょう。話題は、シルヴィ・ギエムとの15年ぶりの共演!バレエ・ファンにとって来年は、来日公演ラッシュで嬉しい悲鳴状態ですが、そのなかでももう既に話題No.1は決まったも同然の大事件といえます。

ギエムとルグリが何を踊るのか不明ですがこれは見逃せません。

※参考映像は完璧・最強のルグリ&ギエム『グラン・パ・クラシック』

Sylvie Guillem & Manuel Legris : Grand pas classique

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[]今夏の女性振付家による創作バレエを振り返って〜佐多達枝、矢上恵子、キミホ・ハルバート、下村由理恵ほか

今夏の創作バレエについては折に触れて取り上げてきました。あらためて振り返えると女性振付家の活躍が目につきます。ベテランの充実した仕事、若手の躍進ともに見応え十分。以前の記事と重なる箇所もありますが簡単にまとめておきましょう。

ベテラン中のベテラン佐多達枝は合唱舞踊劇『ヨハネ受難曲』の演出・振付を手がけました。1995年から芸術監督を務めるO.F.C(主宰:柴大元)に委嘱されたものです。イエスの受難を主題としたバッハの難曲をドラマティックに視覚化することに成功しましたが、本作を創作バレエの枠で捉えるだけでは不十分。合唱と音楽と舞踊が一体となった“合唱舞踊劇”を標榜しているのですから。台本・美術の河内連太、照明の足立恒、衣装の宮村泉らスタッフの仕事が今回、驚異的に高い水準にあり、それらをまとめあげた佐多の演出力が圧巻でした。また、佐多は8月に北海道にて新作バレエ『シラノの恋』を佐々木和葉&森田健太郎主演で振付けて好評を博したようです。

関西のバレエ界のカリスマ振付家矢上恵子は松田敏子リラクゼーションバレエ主催「バレエスーパーガラ」において新作『Ado』を発表。矢上自身と福岡雄大、福田圭吾によるトリオ作品です。ノイズ系中心の音楽は矢上の自作曲。ハードでテンション高い動きとめくるめくスピード感が魅力的です。パワフルに押す矢上作品は難渋な現代作品は好まないとされる関西の観客にも受けがよく、今回も会場の反応は良好でした。矢上は今秋、日本バレエ協会「バレエ・フェスティバル」において『BOURBIER』を発表。矢上作品を関東では観る機会は貴重なため、気になる方はお見逃しなく。

若手のトップランナーといえるのがキミホ・ハルバート。今春に大作『White Fields』を発表してファンを増やしたのは記憶に新しいところです。今夏は岸辺バレエスタジオ発表会において『Garden of Visions』を発表しました。2007年のユニット・キミホ旗揚げ公演の際に発表したものを改訂再演。森田真希らとともにジュニア層の踊り手が踊りました。激しく踊る場もあるのですが、総じて踊り手たちの身体からあふれるエナジーがじんわりと空間を充たしていく、そのプロセスが見もの。大きな緑の木のオブジェが印象的に使われ、足立恒の微細な変化に富んだ照明が彩ります。キミホならではの繊細な感受性が抜群の美的センスをもって鮮やかに浮かび上がる佳品でした。

日本を代表するプリマ下村由理恵は振付にも才を発揮。名古屋の松岡伶子バレエ団アトリエ公演においてビゼー「交響曲第1番ハ長調」に振付けた『Bizet Symphony』を発表しました(初演は2008年日本バレエ協会「全国合同バレエの夕べ」)。下村は曲調を大切に、音符が踊り、観る者の心が躍るような新鮮な驚きに満ちた舞踊世界を紡ぎます。若手気鋭・碓氷悠太の力強いソロが印象的な第一楽章、ベテラン・大岩千恵子&大寺資二の情感豊かな踊りと余韻が見事な第二楽章、俊英・伊藤優花&市橋万樹らが優美に踊る第三楽章と変化に富み飽かせません。精緻な作舞と踊り心溢れるセンスが絶妙のバランスで同居。音を無駄にせず間然とするところのない見事なシンフォニック・バレエでありながら、そこはかとなく醸しだされるウェットなテイストが特徴といえ、私的には同曲に振付けられたバランシン『シンフォニー・イン・C』よりも好みです。下村の並大抵ではない才能を実感しました。天は二物を与えたもうた…。

他に高部尚子『ロデオ』(於:日本バレエ協会「全国合同バレエの夕べ」)、田中祐子『RAIN』(於:「バレエスーパーガラ」)、松崎えりのギャラリーパフォーマンス『rooms』なども印象に残りました。より本格的な創作活動を期待される人たちです。

女性に限らず、わが国において振付者が本格的創作を発表する場は不足気味。個人でリサイタルを行う場合は莫大な経費を負担しなければならず、一流ダンサーを集めリハーサルを組むだけでも大変な労力を要します。制作条件が恵まれないためか、仕上げのツメが甘くなる場合も。となると、大手の団体に優れた才能を起用してもらうことが望まれるところ。日本バレエ協会では近年、若手振付者に発表機会を与えていますし、島崎徹にいち早く作品委嘱したことで知られる松岡伶子バレエ団や海外著名振付家作品と並んで石井潤や後藤早知子らによる日本バレエ史に残る作品を取り上げている貞松・浜田バレエ団のような団体が懸命な努力をしているのがせめてもの救い。矢上や名古屋の川口節子のような地域で活動する創り手を尊重しつつ各地の団体、そして首都圏においても優れた創作者をより積極的に起用してほしいと思います。

2009-09-05

[]「スーパーバレエレッスン/ロイヤル・バレエの精華 吉田都(NHKシリーズ)」

NHK教育テレビで8月28日から毎週金曜午後0:00〜0:25に放送されている「NHKスーパーバレエレッスン/ロイヤル・バレエの精華 吉田都」がバレエ・ファンや関係者の話題を集めています。英国ロイヤル・バレエのゲスト・プリンシパルの都さんが古典やマクミラン、アシュトン作品を指導する姿が収められ、踊り手だけでなく観客としてもバレエの舞台をより深く楽しむために有益でしょう。テキストブックも充実しています。


各講座、都さんが牧阿佐美バレヱ団系列の俊英ダンサーを手取り足取り指導するプロセスを写真と文で再現。各作品の解説や振付家紹介をわが国の舞踊評論界を代表するお歴々が執筆しています。さらに各講座の後には、「バレエ・ア・ラ・カルト」と題して岡本佳津子、大原永子、藤井修治の各氏が専門的見地からヴァリエーションの演技のポイントについて鼎談。また、都さんのインタビューとともに、都さんの恩師ピーター・ライト、ロイヤル・バレエの同僚フェデリコ・ボネッリ、ロバート・テューズリーが都さんを語るインタビューも収録しています。英国ロイヤル・バレエ・スクール留学のパイオニアの小林紀子さんの談話も。巻末のバレエ用語集も簡にして要を得ていて分かりやすい(諸角佳津美さん筆)。監修・編集アドヴァイザーを舞踊評論家の林愛子さんが担当されていますが、なかなか目配りの行き届いた、周到な執筆者人選といえるのでは。

以下余談になります。このテレビ・シリーズ、専門教養番組ですし、放映の時間帯も時間帯なので視聴率としてはそう高いものではないでしょう。しかし、都さんの存在が多くの人に知られる契機になれば嬉しいですね。日本のバレエ人で世間一般に突出して名を知られるのは、古くは故・貝谷八百子、故・小牧正英、谷桃子、牧阿佐美といった巨星から戦後生まれの森下洋子、草刈民代、熊川哲也というビックネームの方たち。あと強いてあげれば、最近の上野水香さんくらいでしょうか。数年前、都さんがKバレエカンパニーに移籍するというニュースがテレビやネットを賑わせましたが、世間の多くの人には「誰?」と思われたのが正直なところでしょう(都さんファンには申し訳ないですが…)。東洋人でありながら英国バレエの粋を体現する都さん。彼女がより広く認知されることは、バレエ芸術がわが国において社会的地位を高めるためにも得難いこと。その意味においても、今回のテレビシリーズは貴重といえるのではないでしょうか。

2009-09-04

[]イデビアン・クルー活動休止と、ほうほう堂&身体表現サークル活動再開に思うこと

ダンス界のみならず演劇ファン等にも幅広い人気を誇るダンス・カンパニー、イデビアン・クルー(主宰・井手茂太)が、先日行われた『挑発スタア』をもって一時クリエーション活動を休止しました。1990年代半ばから活動してきた、コンテンポラリー・ダンス界を代表する人気カンパニーであるだけに、多くのファンや関係者にとってショッキングなニュース。メンバー各自や井手個人のプロジェクトは行われるようですが寂しい限りです。個人的にも10年くらい欠かさず観続けてきたため残念でなりません。

今回の休止について井手はこう語っています(「挑発スタア」blogより)。

自分の中で一番しっくりくるのは、「産休」という言葉です。というのはイデビアンには女性ダンサーが多く、この14年間で結婚して家庭を持つ人も出てきました。そうした中で、今は時期的にも、各メンバーがそれぞれの家庭を大切にする時間が必要なときではないかなと考えたんです(中略)実は、僕自身にも「産休」が必要ではないかと思えてきました。もちろん男の僕は子供を産めませんから、クリエーションに関してですけど。今はきっと、ひとつのことについてもっと深く考え、追究して、あたためてから作品作りをするような、そんな時期にきたのかなと思っています。要するに充電期間を置きたいということですね。

イデビアンといえば、ユーモラスな作風が特徴的ですが、魅力はそれだけに留まりません。日常的な身振りや仕草といったものにバレエのパを大きく崩したような動きを絡ませたりする井手振付は意想外の面白さ。群舞構成の巧みさも捨てがたいものがあります。ムーブメントの革新性において、世界的に観ても類のない達成をしたと私的には考えます。とはいえ、イデビアン作品の魅力の多くはメンバーの個性に拠る面があるもの事実。その意味では、今回の選択は致し方ないのかなとも思います。幸いにして活動再開の可能性を示唆しており、近い将来の復活を待つしかありません。

いっぽう朗報もあります。ほうほう堂と身体表現サークルの活動再開です。ほうほう堂(新鋪美佳・福留麻里)は、微細な身体感覚に富んだデュオを展開して人気を博してきました。ここ数年、個人での活動が続いていましたが、今月半ばに行われる「吾妻橋ダンスクロッシング」において再び両者が組んでユニット再開と相成るとのこと。身体表現サークルは、 常樂泰により広島で結成されたユニット。褌一丁をトレードマークに、宴会で行われる一発芸を発展させたような脱力パフォーマンスのなかに立ち上がる身体のぶつかりあいが刺激的です。ここ2年ほど活動がなく「あの人たちはいま?」状態だったのですが、常樂が留学先のニューヨークから帰国、今秋、広島にて「踊りに行くぜ!!」に出演するとのこと。ともにトヨタコレオグラフィーアワードのオーディエンス賞を獲得しており、人気あるアーティストのため、活動再開を喜ぶファンも少なくないでしょう。

いまに始まったことではありませんが、コンテンポラリー・ダンスに対して「終わった」「散漫な素人芸」「マーケットの過剰なブランディング化」などと吹聴・批判する向きも見受けられます。もっとも、若い才能をチヤホヤしておいて、ある期間が過ぎると賞味期限切れみたく才能を安易に消費したりする傾向もなくはありません。しかし、“新しいもの探し”は一段落し、底の浅いアーティストは自ずと淘汰されていく――日本のコンテンポラリー・ダンス・シーンは、いい意味での成熟の時期に入っているのでは。気概のある創り手は、外野が無責任にあれこれ言おうが紆余曲折あってもダンスと真摯に向き合い、持続する志を持っています。イデビアンに捧げるべき言葉は「お疲れさま、ありがとう」。ほうほう堂と身体表現サークルに対しては「お帰りなさい」。そして、彼らの新たな展開を楽しみにするのが、ダンス・ファンの仁義というものではないでしょうか。

2009-09-03

[]乗越たかお著『どうせダンスなんか観ないんだろ!?』

作家・舞踊評論家の乗越たかお氏の新著『どうせダンスなんか観ないんだろ!?―激録コンテンポラリー・ダンス』(エヌティティ出版)が刊行されました。


どうせダンスなんか観ないんだろ!?―激録コンテンポラリー・ダンス

どうせダンスなんか観ないんだろ!?―激録コンテンポラリー・ダンス

「シアターガイド」(月刊)、「DDD」(隔月刊→月刊)において連載したものを中心にまとめられた評論集。氏の「コンテンポラリー・ダンス徹底ガイド」は、入門書・ガイド的役割を果たし広く読まれてきましたが、本書は、内外のダンスの最前線に取材しつつ社会や時代の空気をも鋭く抉り出す、奔放・刺激的にして的確な文章、熱くも冷静な視点が魅力的です。加えて第一章に氏が2004年朝日新聞に連載した「私が偏愛するダンス」を収載。コンテンポラリー・ダンスって何?という疑問に多角的な視点から応え、1980年代後半以降わが国で起こった新たなダンスの波を検証・紹介しています。

コンペティション・システムの限界や日本のコンテンポラリー・ダンスのガラパゴス化、ウィンブルドン化etc…。氏がリアルタイムのダンスに正面から向き合いうとともに、先を見越し、辛口も交えつつ常に問題提起を行ってきたことを確認できます。無名の若手の公演をメジャーな媒体において積極的に取り上げてきたことも特筆もの。多くの若手アーティストに希望を与えてきたのではないでしょうか。また、のべ20カ国をめぐって世界のダンス状況を伝えてきたフットワークのよさ・行動力の高さには圧倒されざるをえません。本書は、闘い、行動する評論家の面目躍如といえる激闘録です。

終章にも触れないわけにはいけないでしょう。連載や氏の公式blogに書かれたことをベースに書き下ろされたと思われる「ハイブリッドな舞踊評論のために」。評論家の理想像として氏は“研究者とジャーナリストのハイブリッドであるべき”と述べます。“社会に向けて文章を書く”という意識を欠かしてはならないという指摘には同感。“日本のダンスが始まるのは、まだまだこれからだ”という期待を持ち、“時代の空気自体を撃つ”そして“現場に届く評論”を続ける氏が改めて記した所信表明といえるのでは。

そして最後に強調しておきたいのが、本書が何よりすばらしい点は、ときに辛口であっても、根底には、ダンスとダンスに関る方への愛情と感謝の念があふれんばかりに満ち満ちていること。はじめに、と題された文章のタイトルは、「ダンスがなければ、書かれなかったことども」。ダンスを創り、支える人たちの存在があって、はじめて評論活動が成り立つ――その点を誰よりも自覚して書き続けられ、ダンスへの敬意と愛があるからこそ、氏の文章は、現場や観客・読者に広く深く届くのではないでしょうか。

2009-09-02

[]シルヴィ・ギエム&アクラム・カーン・カンパニー『聖なる怪物たち』ハイライト映像

12月に来日するシルヴィ・ギエム&アクラム・カーン・カンパニー『聖なる怪物たち』のハイライト映像が招聘元のチャンネルにアップされていますね。

バレエ界の女王ギエムとインドの舞踊"カタック"とコンテンポラリーな表現を融合させたアクラム・カーンとのコラボレーション。日本では初演(英/サドラーズ・ウェルズ劇場)から間もない2006年の11月にエルメス社主催の顧客向けクローズドイベントにおいて一夜限りの上演(抜粋)が行われているものの待望の来日となります。

今夏行われた第12回世界バレエフェスティバルでは、世界のトップスターが居並ぶなか、クラシック・バレエという枠を越え淡々と我が道を突き進むギエムの姿が印象的でした。シディ・ラルビ・シェルカウイとのデュオ『ゼロ度』において日本でも注目された異才・カーンとの協同作業による『聖なる怪物たち』は、本年度の来日ダンス・バレエ公演のハイライトとなることは確実なので、見逃せないところです。


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2009-09-01

[]JCDN主催「踊りに行くぜ!!」vol.10開催に寄せて

JCDN主催の「踊りに行くぜ!!」が今年で10周年を迎えました。2000年に札幌、東京、横浜・大阪の4都市で始まったプロジェクトは、これまで224組のアーティストが参加し、40地域を旅してきたそうです。今年は33のダンス作品が全国18地域に旅に出ます。

今年は10周年記念のスペシャル企画・イベントも用意。10周年記念BOOKの刊行、「世界のおもしろビデオダンス上映会/映像祭」の開催、地域スペシャルバージョンとして前橋で「踊りに行くぜ!! with VIDEO DANCE」、別府で「踊りに行くぜ!! MINI DANCE FESTIBAL」の開催、そして「10周年記念パーティー もう一度観たい あのダンス・あのアーティスト」として以前話題をさらったラインアップの再演等が予定されています。

詳しくは特設サイトにアクセスしていただけると分かるかと思いますが、「踊りに行くぜ!!」は、全国のパフォーマンススペース間を巡回し、同時代の多様な身体表現を幅広い観客層に示してきました。天野由紀子、身体表現サークルらの衝撃的な登場はもはや伝説!? いまは亡き野和田恵里花さんと近藤良平のデュオ作品等の佳作も忘れられません。アートによる町興し、地域文化の活性にも一役買っています。コンテンポラリー・ダンスを観る楽しみとは、ダンスという表現が言葉以前のあふれるイメージを内包し、観るものに新しい価値観を生むことにある――主催者提唱のこの考えは、この10年で浸透し、各地のアートシーンを活性化、その輪はアジアにも広がっています。

「踊りに行くぜ!!」の行われてきた2000年代は、1990年代にブームを起したとされるコンテンポラリー・ダンスの成熟・発展の時期だったのかもしれません。2010年代を見据え、よりコンテンポラリー・ダンスが社会に根付き、発信力を高めるためにも「踊りに行くぜ!!」の一層の発展は重要。さらに魅力的な催しになっていってほしいと思います。

「踊りに行くぜ!!」vol.10 開催地・日時

2009年

10/9(金)18:30/文化フォーラム春日井(愛知)

10/10(土)19:00/イムズホール(福岡)

10/14(水)19:30/生活支援型文化施設 コンカーリョ(札幌)

10/31(土)17:00/鳥の劇場(鳥取)

11/7(土)19:00/舞鶴赤れんが倉庫群<巡行型>(京都)

11/15(日)17:00/アルカスSASEBO イベントホール(佐世保)

11/22(日)-23日(祝)各日17:00/シネマまえばし(前橋)

11/28(土)19:00/豊岡市民プラザ(兵庫)

12/2(水)19:00/川崎市アートセンター(神奈川)

12/5(土)18:30/アステールプラザ(広島)

12/6(日)19:00/沖縄県立美術館・博物館(沖縄)

12/8(火)19:00/函館市芸術ホール(函館)

12/12(土)18:30/清水市文化センター<巡行型>(静岡)

12/12(土)18:30/メディキット県民文化センター<舞台上舞台>(宮崎)

12/16(水)-17(木)各日19:00/ひめぎんホール(松山)

2010年

3/13(土)-14(日)/別府市中心市街地「MINI DANCE FESTIBAL」(別府)

2/20(土)-21(日) /伊丹アイホール「SPECIAL IN ITAMI」(伊丹)

3/5(金)-6(土)/アサヒアートスクエア「SPECIAL IN TOKYO」(東京)

3/7(日)/アサヒアートスクエア「10周年記念パーティー もう一度観たい あのダンス・あのアーティスト」(東京)