平成22年度文化庁予算(案)が決定、0・5%増に

昨秋、行政刷新会議の「事業仕分け」問題で揺れ、衝撃の走った舞台芸術界ですが、平成22年度の文化庁予算(案)では前年度よりも4億8千万円(0・5%)増の1千20億2千万円となる見込み。文化芸術団体等の官庁への陳情の甲斐あったと関係者は胸をなでおろしていることでしょう。私も一舞台芸術愛好家として安堵しています。

平成22年度文化庁予算(案)の概要
http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/yosan/pdf/22_gaisan_gaiyou.pdf
平成22年度予算(案)主要事項説明資料
http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/yosan/pdf/22_gaisanyoukyu.pdf

内訳をみてみると、「文化芸術創造活動への重点支援事業」は前年度よりも減少、その代わり「地域の文化活動支援」、「芸術家等の養成・子どもの文化体験の充実」が増加しています。地域における文化振興および芸術家への支援と芸術普及の重要性があらためて浮き彫りになると同時に“最高水準の舞台芸術公演(オーケストラ,オペラ,舞踊,演劇,大衆芸能等),伝統芸能能楽,歌舞伎,文楽等)等に対する重点支援”(文化庁ホームページより)に対する助成である芸術創造活動特別推進事業等への採択基準の見直しが迫られるのは必定。芸術的成果の再検討とともに公益性のある活動かより問われるでしょう。少しでも動員を増やし入場率を高めるというような営業努力がなされているかも厳しく見られるのでは(それによって助成支給額も変わるので)。
事業仕分け人の発した、“芸術は自己責任”“人材育成は不要”というコメントに怒りを覚えた関係者は無数でしょう。無理解極まりないと感じます。しかし、世間一般の舞台芸術、文化への認識の低さを少なからず反映したものと受け止めるべき面も。喉元過ぎれば熱さ忘れるという言葉もあります。今回は時間もなく場当たり的であっても関係官庁等へひたすら陳情するしかなかったと思いますが、今後同じような事態になったとき、どう対応するのか・・・。各団体・個人の自助努力とともに関係者間のネットワークを強化すること、そして、ジャーナリズムが客観的な立場から芸術創造活動の重要性を訴えるとともにより個々の活動に対して明確な評価を下していく必要があるでしょう。