平山素子の活躍

北京オリンピックのシンクロナイズドスイミングチームへの振付やボリショイ・バレエのプリマ、スヴェトラーナ・ザハーロワへの作品提供などアクティブかつワールドワイドに活躍するのが平山素子。ダンサーとしても卓越した存在であるうえに、美術・衣装・照明等スタッフとの緻密な協同作業の生むイマジネーション豊かな創作にも大いに定評ある。これまで新国立劇場にて手がけた作品がすべて再演される(予定含め)という実績を残しているのは驚異的だ。また、昨年末には、愛知芸術文化センターにて初のソロ公演『After the lunar eclipse / 月食のあと』を行っており、新境地を開いた。
今年も晩秋に新国立劇場と兵庫芸術文化センターにて「ストラヴィンスキー・イブニング」と題して、芸術選奨文部科学大臣新人賞・江口隆哉賞をダブル受賞した評判デュオ『春の祭典』および新作『兵士の物語』を上演する。これは大いに話題になりそうだが、平山の公式ホームページをみると、他の活動予定もなかなか興味深い。
まず、6月に行われる第17回イスタンブール国際演劇祭にて『春の祭典』が再演される(同時上演:森山開次『弱法師 花想観』)。日本で製作されたプロダクションがどんどん海外に紹介されることは望ましいところ。また、今月半ばには「徳島LEDアートフェスティバル2010」にて、逢坂卓郎のライトアートに平山が出演してダンスを披露する。最新作『After the lunar eclipse / 月食のあと』でも、無数のライトをまとった平山のパフォーマンスが印象的だったが、屋外で踊るらしく、おもしろそう。
精力的な活動もさることながら平山が注目されるべきは、社会としっかり向き合っていること。『After the lunar eclipse / 月食のあと』の公演の際には、観客とのアフタートークにおいて、真摯に観客と対話する姿勢が際立っていた。舞台芸術というものは観客なしに成立しない。平山は、筑波大学にて教鞭を取る立場にして後進を育てていることも特筆されるが、広範・多彩な活動を通じてダンスという芸術表現の魅力・可能性を広く社会に伝えていることは評価されよう。今後の動向にも注目したい。
詳細:
http://www.motokohirayama.com/info.html