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2010-11-30

[]高岸直樹&上野水香(東京バレエ団)が入籍!

東京バレエ団プリンシパルの高岸直樹と上野水香が入籍した。

高岸直樹・上野水香、入籍のご報告(東京バレエ団公式ブログ)

http://www.thetokyoballet.com/news/

お知らせです。(上野水香 オフィシャルサイト)

http://www.mizukaueno.com/jp/message.html

両者が上野の東京バレエ団入団前から発表会で組んで踊ったことはある話は知られるが、2004年以降、東京バレエ団公演『ドン・キホーテ』『くるみ割り人形』『ジゼル』『ラ・バヤデール』等で共演を重ねている。つい先日、高岸と上野は、ベルリン国立歌劇場の「マラーホフ&フレンズ」に招待され、その際かつて夏山周久と藤堂真子が踊ったことで知られるベジャール振付作品『詩人の恋』を踊ったばかりだ。

日本人離れした稀代の大型ペアである両者に関する紹介記事等を何度か書いてきた。最近でも今夏の東京バレエ団『ドン・キホーテ』公演で共演するふたりについて期待を寄せる文章を公演プログラムに寄稿させていただいた。そこでも触れたが、上野と組むようになって高岸は若返ったというか元気を取り戻した感がある。『ドン・キホーテ』舞台本番は見られなかったがすばらしかったと聞き及んでいる。

高岸と上野の公私共のさらなる充実を願いたい。

東京バレエ団「ジゼル」(上野水香&高岸直樹)

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上野水香―バレリーナ・スピリット

上野水香―バレリーナ・スピリット


MIZUKA―バレリーナ上野水香のすべて

MIZUKA―バレリーナ上野水香のすべて

2010-11-26

[]「ダンスマガジン」1月号

「ダンスマガジン」1月号を読む。



ボリショイ・バレエ&マリインスキー・バレエ合同ガラ公演の速報スペシャルが充実。両バレエ団の若手ダンサーによる対談がとにかくおもしろい。出ているのはボリショイからナタリヤ・オシポワ、イワン・ワシーリエフ、マリインスキーからヴィクトリア・テリョーシキナ、ウラジーミル・シクラリョーフ。舞台でのエピソードや地元での日常について談論風発という感じ。飾らない人柄やバレエへの真摯な思いが感じられた。また、久々に日本の観客の前で貫録をみせつけた女王ガリーナ・ステパネンコと来シーズンからミハイロフスキー劇場へと移ることが決まっているレオニード・サラファーノフの近況を知ることができるのもうれしい。そしてウリヤーナ・ロパートキナは表紙を飾っている。

来年1月に来日するベルリン国立バレエ来日直前情報もたっぷりで、インタビューやみどころ紹介も豊富。インタビューは、パリ・オペラ座バレエのニコラ・ル・リッシュ。故ヌレエフの薫陶を受けた最後のエトワールであるだけに、ヌレエフと過ごした時間について語られるのは貴重だ。また、ベジャールやプティ、ノイマイヤー、ロビンズ、エックらとの協同作業やシルヴィ・ギエムとの共演についても語られる。偉大なる先人たちから受け継いだ財産を後進へと伝えていく決意も感じられ、なんとも頼もしい。

レビューでは、今夏〜秋に行われ盛況だった「あいちトリエンナーレ2010」のパフォーミングアーツ公演についてや東京はじめ各地で行われたバレエ公演が取り上げられている。谷桃子バレエ団の望月則彦振付『レ・ミゼラブル』、貞松・浜田バレエ団の森優貴振付『冬の旅』という、創作バレエ、コンテンポラリー・バレエの大作が紹介されてもいる。古典偏重といわれるわが国のバレエ界において、日本人の手による物語バレエや創作大作の創造は本当に貴重といえる。コンテでも、マイム・ダンス・演劇を越境した小野寺修二/デラシネラの話題作『異邦人』、2週にわたるロングランを敢行したKENTARO!!のソロ公演がピックアップされていたりしている。この秋のバレエ&ダンス公演は本当に充実していた、という思いを新たにさせられた。

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2010-11-21

[]フラメンコ舞踊の現在〜小島章司を起点に

わが国のフラメンコ舞踊の第一人者のひとりとして活躍する小島章司。昨年秋に文化功労者に選ばれるという快挙を成し遂げたが、今年年明け早々に左脚アキレス腱断裂という事態に見舞われた。しかし、その後経過は良好らしく、ほとんど完治し、9月21日には徳島県郷土文化会館(あわぎんホール)で『小島章司&浅野寿穂 MAHO A MAHO 二人の古希のコンサート』を行い、翌々日には故郷の牟岐町<小島の浜>で絶景を舞台とした野外公演『潮騒に舞う満月のフラメンコ』を行ったという。

残念ながら毎年行われる秋の定期公演は行わない。とはいえお知らせによると来春からの活動への意欲高く、そして、今月23日(火)勤労感謝の日にはNHK総合テレビにて小島のインタビュー番組が放映される。牟岐町での舞台の模様も放送されるとのこと。小島の来歴と現在を知るうえで貴重なものになりそう。

NHK総合テレビ「ホリデーインタビュー」

11月23日(日・祝)午前6:30〜6:53

小島は後進へと託す思いも強く、黄金時代の本場スペインで研鑽し深めてきたフラメンコの精髄を伝えようとしている。2009年8月に行われたARTE Y SOLERA主催 desnudo Flamenco Live vol.3「小島章司 魂の贈り物」では、佐藤と鍵田・佐藤門下の矢野吉峰&末木三四郎、小島門下の関晴光&松田和也と共演し振付も行った。小島はその際のプログラムにおいて“世代間の交流”を掲げており、長年極めてきた奥義を後進に伝える。佐藤らがそれに応え気迫こもる感動的なステージだった。

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ desnudo 小島章司

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現在のフラメンコ舞踊のシーンでは、河上鈴子や香取希代子といったパイオニアを経て小島や先達にあたる山田恵子、小松原庸子らの第二世代が長老・巨匠にあたる。そして、さらに第三世代とよべるジェネレーションが脂にのった活動を展開している。

前述のARTE Y SOLERA(鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団)は主宰の両人が各々踊り手として卓越しているが、創作者としても力量を発揮し各舞踊賞等も獲得。阿木耀子・宇崎竜童と組んだ『FLAMENCO 曽根崎心中』は国内外で再演を重ねる大ヒットとなった。最近は小スペースでの「desnudo Flamenco Live」を開催して、小島を招聘したり、欧州コンテンポラリー・ダンスシーンで注目されるシディ・ラルビ・シェルカウイ作品に出演したアリ・タベと鍵田のコラボレーションを行っている。今月末には待望の劇場での新作『道成寺』が初演される(11月27(土)〜28(日)@ル・テアトル銀座)。佐藤が構成・演出・振付を手掛け、鼓童の吉井盛悟が音楽を手掛けるもので注目が集まる。

【preview】ARTE Y SOLERA 道成寺 dojoji 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ

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また、小島つながりでいえば、2008年に小島が『戦火の詩人たち<愛と死のはざまで>』で舞踊批評家協会賞を受賞した際、同時に同新人賞を得たのが石井智子だった。石井は名門・小松原庸子スペイン舞踊団の華として知られるが、近年は自身の舞踊団活動に力が入っている。2008年の『エル・コンパス』は、コンパスの魔術師と呼ばれるディエゴ・カラスコを招聘しなんとも昂揚感あふれる舞台であった。今秋には、カラスコに加え、天才ギタリストのモライート・チコも招いてフラメンコの魔力的な魅力を探った『MAGIA 魔法』を発表し話題を呼んだ。石井は、華やかで存在感ある踊りもさることながら知的で構成力ある舞台作りと、洗練された演出の手腕を備えている。

鍵田・佐藤と石井の活動を挙げることになったが恣意的ではない。小島起点というのと実力・知名度にもよるが、それ以外に大きな理由がある。それは、本年度の文化庁の「文化芸術振興費補助金(芸術創造活動特別推進事業)」に両舞踊団が採択されていることだ。最高水準の舞台芸術活動に下りるもので、小松原、小島以外のフラメンコ舞踊で採択されたのは初めてではないか(前者は『道成寺』含め2本、後者は『MAGIA 魔法』に対して)。近年、小島の文化功労者や小松原、長嶺ヤス子、岡田昌巳らベテランの相次ぐ受賞に加え、第三世代の活躍が高く評価されているということは、フラメンコ舞踊がわが国の舞踊シーンにおいてより高いポジションを占めつつあることの証左であろう。近年の文化庁芸術祭(舞踊部門・関東)のラインナップを観ても中堅・若手フラメンコ勢の意欲が感じられる。ベテランの充実と新世代のさらなる展開が楽しみだ。




2010-11-19

[]吉田都/英国ロイヤル・バレエ団日本公演『ロミオとジュリエット』放送

バレエ・ファン周知の情報だが念のため触れておく。

今年6月に東京で行われた吉田都主演/英国ロイヤル・バレエ団公演『ロミオとジュリエット』が本日11月19日(金)NHK芸術劇場で放送される。

http://www.nhk.or.jp/art/current/music.html#music1119

ジュリエット役を踊った吉田都さんにとって英国ロイヤル・バレエ団での最後の舞台。共演はロメオ:スティーヴン・マックレー、ティボルト:トーマス・ホワイトヘッド、べンヴォーリオ:セルゲイ・ポルーニン、パリス:ヨハネス・ステパネクほか。チケットが早々に完売して観られなかった人もたくさんいたと思う。貴重な映像なので見逃したくない。

NHK芸術劇場・教育テレビ

放送時間:23時00分〜25時40分

案内役:礒野 佑子アナウンサー

ゲスト:吉田 都(バレエ・ダンサー)

情報コーナー 「吉田都の芸術」

公演コーナー「英国ロイヤル・バレエ日本公演 『ロメオとジュリエット』全3幕」


吉田都 終わりのない旅

吉田都 終わりのない旅


2010-11-18

[]横浜ダンスコレクションEXコンペティション出場者決定

「次世代支援」「交流事業の強化」に重点を置き、リニューアルした「横浜ダンスコレクションEX(エックス)」(旧横浜ダンスコレクションR)。メインプログラムであるコンペティションは、従来の「作品部門」(コンペティション1)に加え、25歳以下の国内作家限定「新人振付家部門」(コンペティション2)を新設するが、このほど出場者が発表された。

コンペティション1参加振付家

旅立ちの銀河(長谷川怜・香取直登・木原寛子・塩野入一代)、三体(木原浩太・塩川友佳子・寺杣彩)、小山遥子、國本文平、Alfred Jan Apura Mercado(フィリピン)、捩子ぴじん、Son Myong-hui(moa) (韓国)、鈴木アイリ、高橋幸平、竹之下亮、竹内梓

コンペティション2参加振付家

檀上真帆、長谷川風立子、岩佐理恵、川村美紀子、木村愛子、喜多真奈美、諸岡美里、中西ちさと、西田沙耶香、大園康司、佐藤夕貴、鈴木拓朗、高橋佳子、豊福彬文、辻田暁

プレスリリース

http://www.yokohama-dance-collection-r.jp/jp/images/ydc11Press%20releasVol.3.pdf

振付家プロフィール

http://www.yokohama-dance-collection-r.jp/jp/images/ydc11_Press%20release_profile.pdf

新人部門などは当然ともいえるがコンペティション1にしても出場者の顔ぶれになかなか新鮮なものがある。大学ダンス系出身の躍進が著しいか。審査員に関しても多角的な視点からの審査を望んでの布陣であろう。各部門で審査員は異なる。

コンペティションのほか「横浜ダンスコレクションEX」では、受賞者公演はじめベルギーのダンスカンパニー公演なども行われる。恒例のコンテンポラリーダンス・ショーケースは、来年2 月14 日から20 日まで横浜で開催される「IETM Satellite Meeting」「TPAM inYokohama」(旧東京芸術見本市)と同時開催となり国際性を強めそうだ。

横浜ダンスコレクションEX スケジュール

1 月22 日(土)、23 日(日) 横浜ダンスコレクションEX 提携公演 杏奈 単独公演

1 月28 日(金)、29 日(土) 海外カンパニー/アーティスト紹介プログラム CHARLEROI DANSES (ベルギー)

2 月5 日(土)、6 日(日) 受賞者合同公演 宝栄美希、パク・ウンヨン、田畑真希、ロサム・プルデンシャド・ジュニア

2 月 8 日(火)〜10 日(木) コンペティション2「新人振付家部門」(新設)

2 月11 日(金・祝)〜13 日(日)コンペティション1「作品部門」(旧横浜ソロ×デュオ・コンペティション・プラス)

2 月13 日(日) 海外フェスティバル交流プログラム

2 月5 日(土)〜20 日(日) コンテンポラリーダンス・ショーケース

2010-11-17

[]Noism01『人形の家』とNoism&金森穣の予定

Noism01秋の公演『Nameless Hands〜人形の家』新潟公演最終日を観た。新シーズンの開幕を飾る公演だが2004年の結成以来よくぞここまで続いていると思うと感慨深い。前日にはNoismの活動をはじめ文化行政に理解の深い篠田市長が3期目の当選を決めたというニュースもあり、市内で耳にしたラジオではそのことについて触れていた。文化都市・新潟のシンボルとしてNoismの活躍に一層期待したい。

さて、『人形の家』は金森穣振付の「見世物小屋シリーズ」第1弾として2008年に初演され好評を博した。朝日舞台芸術賞にて「舞踊賞」「キリンダンスサポート」を獲得。今回は「キリンダンスサポート」助成を得ての再演だ。チケット価格が通常より安価に設定された。公民問わず助成金というものが目に見える形で観客に還元されることは、助成金の大きな存在意義のひとつであるといえる。なんとも喜ばしい限りだ。

舞台の内容や感想については他で触れたい意向があることもあって簡単に。

同作は、金森/Noismにとってエポックメイキングな作品となった『NINA〜物質化する生け贄』とも重なる「人形」というテーマを扱う。ストラヴィンスキーからぺルト、梅林茂、中島みゆき、ヨー・ヨー・マらの作曲した多彩な音楽にのせられた景が続く2幕構成の大作だ。2年前の初演時と構成・内容は基本的にそう大きくは変わっていないと思う。初演時はアングラチックな味わいや意表を突くような選曲等も相まって異色の大胆な問題作といった印象が強かったか。今回、再見してみると、しっかりとした構造とテーマを持った金森らしい構想力に貫かれたものだったという意を新たにさせられた。

初演と大きく異なるのは出演者10人のうち初演メンバーが、井関佐和子、宮河愛一郎、藤井泉の3人のみということ。新たにリ・クリエーションされた印象もある。振付・演出が精緻になり人形や黒子、それに人間との関係性がより鮮明にうかびあがった。ダンスの強度も増した感。演者には、前回を超えないといけないというプレッシャーがあったと思うが、金髪からおかっぱ頭!に変えて踊った井関や見世物小屋の支配人役の宮河ら初演メンバーは確実にパワーアップしている。新たに加わったメンバーもそうは感じさせないくらい金森の紡ぐ見世物小屋の世界に息づいていた。

本作は来年2月に愛知・高知で上演される。間口の広い作りで主題もしっかりしていてスケール感もある。金森の代表作のひとつとして挙げて不足ない。「一度観たから」と今回パスした人、もちろん前回未見の人やNosimを観たことのない人でも観て損はないと思う。公演プログラムも金森と作家の古川日出男の対談はじめダンサーへのインタビュー等内容が充実しておりNoism&金森ファンなら「買い」といえるだろう。

最後にNoismと金森の今後について。Noismは12月上旬にはパリにて『NINA』を上演するほか、来年2月には前記の『人形の家』愛知・高知公演。以下、Noismの春以降の公演予定を掲載する。情報源は配布チラシおよび「Noismサポーターズ会報」。

3月には研修生カンパニーNoism2の発表公演、5月には4年ぶりに外部振付家招聘企画を行う。後者の招聘振付家は以前にもNisimに振付けた面々で再会に期待といったところ。8月には金森が初めてオペラの演出を手掛けるようだ。これは観たい!

Noism2春の定期公演

小尻健太 振付新作

金森穣 振付レパートリー

出演:Noism2

2011年2月25日(金)、26日(土)17:00、27日(日)17:00/りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館スタジオB

チケット料金:1,500円

Noism1 2011年春 新作公演

演出・振付:稲尾芳文&クリスティン・ヒョット・稲尾、アレッシオ・シルヴェストリン、金森穣

出演:Noism1

2011年5月27日(金)19:00、28日(土)17:00、29日(日)17:00/りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館劇場

料金:一般-5,000円 学生-2,500円

サイトウ・キネン・フェスティバル松本

バルトーク/オペラ『青ひげ公の城』

バルトーク/バレエ『中国の不思議な役人』

(2本立て4公演)

指揮:小澤征爾

演出:金森穣

演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ

会場:まつもと市民芸術館

フェスティバル期間:2011年8月8日〜8月28日(予定)

NOISM無設限舞團《NINA−渚Q娜物語》10/16〜18 國家戲劇院

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NINA materialize sacrifice [DVD]

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PLAY 2 PLAY [DVD]

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2010-11-14

[]ヘンリク・グレツキ死去

現代ポーランドを代表する作曲家であるヘンリク・ミコワイ・グレツキが12日、同国南部カトウィツェの病院で死去したようだ。76歳。故人の冥福を祈りたい。

ポーランドの作曲家、ヘンリク・グレツキさん死去

http://www.asahi.com/obituaries/update/1113/TKY201011130183.html

ヘンリク・グレツキ氏=ポーランドの現代作曲家

http://www.yomiuri.co.jp/national/obit/news/20101112-OYT1T01200.htm

H・グレツキ氏が死去(ポーランドの現代音楽作曲家)

http://sankei.jp.msn.com/world/europe/101113/erp1011130030001-n1.htm

グレツキといえば交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」。1967年に作曲され1990年代に人口に膾炙し現代クラシック音楽として空前の大ヒットを果たした名作である。管弦楽とソプラノ独唱のための交響曲であり、3つの楽章それぞれに歌詞が入っている。

Symphony of Sorrowful Songs

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舞踊化も行われているがコンテンポラリー・バレエからいくつか紹介を。

まずは金森穣作品。キリアンやベジャールに学び帰国後Noismの芸術監督としてわが国のダンスシーンを牽引する金森だが、欧州で活動中に一時帰国して新国立劇場の「J-バレエ」に委嘱され振付けた『悲歌のシンフォニー』は同曲を用いている。2006年に新潟限定で行われたNoismの「能楽堂公演」でも『Lento e Largo 』として抜粋上演された。中野綾子と平原慎太郎の詩的で沈思的なダンスが忘れられない。

また、ドイツを拠点にシュテファン・トスらに師事し、酒井はな、津村禮次郎と組んだ能楽とダンスのコラボレーション『ひかり、肖像』が東京、パリやブタベストで上演され、来春にはオーストリアのチロル州立歌劇場インスブルック・ダンス・カンパニーにシェイクスピア「オセロー」を題材とした新作を発表する森優貴も第3楽章に振付けた。古巣の貞松・浜田バレエ団に提供した『羽の鎖』(2007年)で、すでに再々演されている。

海外での最近の話題といえば、今年5月ウラジーミル・マラーホフ率いるベルリン国立バレエ団でロナルド・ザコビッチが振り付けている。ザコヴィッチ作品といえば、「世界バレエフェスティバル」「マラーホフの贈り物」「ローザンヌ・ガラ」などで紹介され、ポリーナ・セミオノワやSHOKO(中村祥子)らの人気プリマが踊っている。おなじみになりつつあるが、『Symphony of Sorrowful Songs』もなかなかの意欲作のようだ。

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2010-11-13

[]長内裕美が「15 MASDANZA」 にて受賞!

今春行われた横浜ダンスコレクションR2010「横浜ソロ×デュオ<Compétition>+」にて「若手振付家のための在日フランス大使館賞」「MASDANZA-EU 賞」をダブル受賞した長内裕美(おさない・ゆみ)がスペイン・カナリア諸島で開催された「15 MASDANZA」Solo Contest 第2位に入ったようだ。ダンコレと本人のblog記事をリンクしておく。

横浜ダンスコレクションEX「ダンコレブログ」

http://ameblo.jp/ydcr/entry-10705066618.html

「長内裕美のblog」

http://mi-0371-mi.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-018f.html

長内は大学ダンス出身の「プロジェクト大山」のメンバーとして活躍し、大学在学中に大島早紀子のH・アール・カオス作品にも出演する等のキャリアがある。独特な感性を誇るダンスが横浜ダンスコレクション等で評価されてきた。自作はソロを数作発表しただけだと思うが、今後のさらなる飛躍が期待されるアーティストである。

横浜ダンスコレクションは過去15年の実績を誇る。バニョレ国際振付賞の予選会も行われ、ここから多くの新鋭が巣立っていった。来年度は「R」から「EX」へとリニューアルし、海外招聘公演、シンポジウムなどの交流事業を充実させ、次世代新人振付家を対象とする賞を新設するなどさらなる意欲を見せる。主催する横浜赤レンガ倉庫1号館にとっても2年前の受賞者宝栄美希が「13MASDANZA」ベストパフォーマー賞を受けたことに続いて今回の長内の受賞は幸先のいいニュースだろう。

concord(振付・出演:長内裕美)

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osanai installation(出演:長内裕美 映像:飯名尚人)

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2010-11-12

[]ラトマンスキーの躍進

アメリカン・バレエ・シアターが年末年始にアレクセイ・ラトマンスキーの新作『くるみ割り人形』を上演する。バレエ・ファンの間では大きな話題になっている。

ABTの『くるみ割り人形』の紹介サイト

http://www.abt.org/nutcracker/index.html

面白そうな演出であるし、バレエ界の新星スター、ダニール・シムキンが主演を務めるのも注目される。次回のABTの来日公演で上演してくれないのだろうか。

バレエ系の振付家といえば、キリアンやノイマイヤー、フォーサイス、エックらの大御所は健在であるが、その下の世代となるとやや小粒になってくる。ドゥアトやマイヨー、ツァネラらが働き盛りといえるし、このところ日本でも抜粋ながら作品紹介されるようになってきたヴィゴンゼッティらが欧州では売れているようだが、まだまだインパクトが薄い感も。そんななかまだ若手といってもいい年齢ながらロシア、欧米の有力カンパニーにおいて次々にクリエーションを行っているラトマンスキーの存在感が増している。

日本で上演されたものでも『明るい小川』『イワンと仔馬』などの愉快なケッサクな物語バレエだけでなくショスタコーヴィッチに振付けた『コンチェルト DSCH』のようなシンフォニック・バレエでも創意をみせる(若書きの『夢の中の日本』や『シンデレラ』には賛否あるが……)。日本で紹介されていない作品の抜粋を映像で観ても、作風は多彩なうえ、世評高いことからも、外れ少なく大抵が水準以上に達しているといえそうだ。

その活躍の源泉は、抜群の音楽感覚にあろう。音楽への鋭い嗅覚と動きの掛け合わせの妙が卓越している。音楽の扱いが抜きんでていて、そこへ研ぎ澄まされた感性と舞踊語彙の創意への意識も相まった創作であるから、どんな傾向の作品を創っても外れが少ないのだろう。若くしてボリショイ・バレエの芸術監督を務め「グリゴローヴィッチ帝国」「古典の殿堂」で鉈を振いレパートリーを大胆に拡大する等リーダーシップも凄い。イージーな言い方だが、いま、もっとも注目されるバレエ人/振付家であろう。

BOLT (Bolshoi): Physical drill and Denis's split with Nastya

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Middle Duet (Contemporary Ballet by Alexei Ratmansky)

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Latvian National Opera - Dmitri Shostakovich "The Bright Stream"

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2010-11-08

[]ベジャール没後3年

20世紀バレエ革新を大胆に押進めた巨匠モーリス・ベジャールの死からはや3年。

現在、ベジャール・バレエが来日中。ベジャールの衣鉢を継いだジル・ロマンに率いられ、ベジャール死後の同カンパニーの真価が問われるツアーといえる。先日はスービン・メータ指揮イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団&東京バレエ団との共演「奇跡の響宴」を行って大成功をおさめたが、今後ベジャールの遺作『80分世界一周』やロマン振付作品『アリア』を含むミックス・プロが予定されている。そちらも楽しみだ。

さて、ベジャールの死に際して、新書館「ダンスマガジン」から増刊特別号が発刊された。題して「総特集 モーリス・ベジャール 1927 〜 2007」。ベジャールと縁の深かった関係者や斯界有数の識者による追悼のコメントや評論がたっぷり掲載されている。


それとは別に、批評家や文化人等&観客に、ベジャール作品について心に残るものを挙げてもらう企画等あっても面白いのでは、と最近思った。膨大な作品を遺したベジャールであるが、観るものにとって個人的嗜好や世代間の相違で好きな作品は違ってくるだろう。人によってどのようなラインナップとなるのかとても興味がある。

ということで、私の好きな、とういうか心に残るベジャール作品を5つほどあげてみた。

ボレロ

『春の祭典』

『アダージェット』

『M』

『東京ジェスチャー』

通・識者ぶったりしなかったわけではないが比較的オーソドックスな選択になったかと思う。他に『バレエ・フォー・ライフ』『ザ・カブキ』『ニーベルングの指輪』『ギリシャの踊り』『ブレルとバルバラ』等も挙げたいが、今現在の気分で5本に絞るとこうなる。

『ボレロ』『春の祭典』はベジャールの出世作だが古びない名作。『ボレロ』に文句をつける人はいないのでは。シンプルに見えて奥の深い振付で、踊り手によって大きく味わいが変わってくるのも魅力だ。メロディー役に関してジョルジュ・ドンやパトリック・デュポン、シルヴィ・ギエム、首藤康之らの演技は伝説的。現在もニコラ・ル・リッシュやエリザベット・ロス、上野水香らの好演が記憶に新しい。『春の祭典』はストラヴィンスキーの名曲を用いたもののなかでもニジンスキー版、ピナ・バウシュ版と並ぶ名作中の名作なのは疑いない。時代が経っても古びない。今後も確実に受け継がれるだろう。

『アダージェット』はドンからロマンへ受け継がれた珠玉の名編。現在、ロマンは踊る機会は滅多にないようだが日本では世界バレエフェスティバルのガラや2年前のベジャール・バレエ来日公演東京公演初日に踊ってくれた。日本のファンがベジャールとそのバレエ団を深く愛していることを知ったうえで特別に踊ってくれたものなのではないか。

『M』は東京バレエ団に書き下ろされた大作であるが、作家の三島由紀夫の生と死をモチーフにベジャールの奔放な想像力と天才的な演出手腕がいかんなく発揮された作品だと思う。万物の始原の海にはじまって海に終わる鮮やかな展開はじつに見事。べジャールの魔術ここに極まれりの感あって筆舌に尽くしがたい感動がある。

『東京ジェスチャー』は、ベジャールお気に入りだった小林十市のために創作された作品。故・6代目中村歌右衛門へのオマージュであるが、クールで涼しげな魅力ある小林の、ジェンダーをも軽やかに超える変幻自在な表現力を活かした異色作だ。小林の特権的身体を得たことで(ドンやギエムとも違う意味での)、ベジャールの、日本の伝統芸能やそれを演ずる演者の身体への関心が極点を迎えた記念すべき一作。

皆さんの心に残るベジャール作品、後世に遺したいベジャール作品はなんだろうか?


ベジャール、そしてバレエはつづく [DVD]

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2010-11-06

[]バランシン・バレエ

このところ牧阿佐美バレヱ団『セレナーデ』、新国立劇場バレエ団『シンフォニー・イン・C』を立て続けにみて「バランシンっていいな」と今更ながらに思った。

バランシンのアブストラクト・バレエが「音楽の視覚化」と呼ばれることは周知のとおりだが、舞踊ことにバレエにとって音楽との関係は切り離せない。バレエ系の振付家の才能を判断する場合、私は第一に音楽センスを見る。それがない人はいくら頑張っても上限は知れていると断言したい。現在のバレエ界を担う振付家、たとえば『マダム・バタフライ』全幕で知られるスタントン・ウェルチや『明るい小川』全幕で話題を振りまいたアレクセイ・ラトマンスキーにしてもオーソドックスなアブストラクト・バレエで見事な音楽性を発揮している。それらはバランシンの血が確実に受け継がれ脈打っている。わが国でもバランシン『シンフォニー・イン・C』と同曲使用の下村由理恵『BIZET SYMPHONY』などバランシンを射程に入れつつむしろバランシン以後で語れる秀逸なものと思う。

日本の舞踊評論家のお歴々のなかには「バランシン命!」を公言して憚らない方もいるし、逆に古典にしろ創作にしろドラマ性のあるものが好きなのであまりバランシンは好きではないという人もいる。好みは色々あろう。ただ、バランシン作品にドラマ性がないというのは一概にそうはいえない。たとえば、バレエ・リュス最後期に振付けた『放蕩息子』のような滋味豊かな舞踊劇もあるし、渡米第一作『セレナーデ』にしても抽象美のなかにそこはかとないドラマが感じられる。とはいえ、バランシンはアメリカに渡らず欧州で活動していたならばあれほどまでにアブストラクト・バレエを量産したであろうか。『放蕩息子』のようなドラマ性のあるものをさらに膨らませていったかもしれない。

個人的にはバランシン作品では『放蕩息子』それにやっぱり『セレナーデ』あたりが好き。『セレナーデ』はわが国のバレエ団が競うようにレパートリー化していて上演を見比べられる楽しみがある。あと東京バレエ団が上演している『バレエ・インペリアル』も嫌いではない。これはバランシンが帝都サンクトペテルブルクへのオマージュを込めた詩情豊かなもの。また、東バのバランシン作品というと長い間上演していないが『水晶宮』がある。これは『シンフォニー・イン・C』と同曲を使ったものだが衣装がより華やかで振付等も異なる。元々はパリ・オペラ座バレエに振付けられたもので後年、バランシンのお膝元・ニューヨーク・シティ・バレエにて上演される際に『シンフォニー・イン・C』として改題・改編されたものなのはよく知られよう。今回の新国立劇場バレエ公演プログラムにおいて長野由紀さんが『シンフォニー・イン・C』と『水晶宮』の違いを分かりやすく解説している。『シンフォニー・イン・C』は昨年、熊川哲也Kバレエカンパニーもレパートリー化したが、日本では久々となる『水晶宮』上演も望みたいところだ。



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Bringing Balanchine Back - New York City Ballet

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2010-11-03

[]斎藤友佳理 著「ユカリューシャ」の文庫版刊行!

わが国を代表するバレエ団・東京バレエ団のプリマバレリーナとして長年第一線で活躍されている斎藤友佳理さんの書かれた「ユカリューシャ」が文庫本になるようだ。

斎藤友佳理著「ユカリューシャ」が文庫本に

http://www.thetokyoballet.com/news/

ダンサー生命を左右しかねない大怪我や出産からのたびたびの復帰を得て活躍する斎藤が、その波乱万丈の半生を書き下ろした単行本(世界文化社刊)は2001年に刊行されて話題を呼んだ。単なるバレエ本ではなく女性の生き方を示した一冊として多くの読者を得たものであるが、今回の文庫化にあたっては、その後、ロシア国立モスクワ舞踊大学院に5年間通い首席で卒業した学生生活や悲願であったクランコ振付『オネーギン』のタチヤーナを踊るまでの日々について加筆しているという。

今春のタチヤーナ役(歴史に残る名演だろう)や今秋のジゼル役の演技を観てもつくづく感じたのだが、斎藤の踊りには全くと言っていいほどに私欲がない。これ見よがしに己の上手さをひけらかしたり、上っ面の演技で観客に媚びを売るようなするような俗っぽい邪念は微塵もない。完全なる無我の境地に達している。日舞や現代舞踊のベテランの踊り手のごくわずかにそういった人はいないではないが、バレエの踊り手で彼ら/彼女らに匹敵するする存在はそう多くはない。斎藤は稀有な存在である。それはバレエにおいてだけでなく生き方からしてストイックでいるからだと思う。

稀代の名プリマの生き方を知る貴重な一冊となるであろう。ぜひ一読したいところだ。


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