Hatena::ブログ(Diary)

ダンスの海へ 舞踊評論家・高橋森彦のblog このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006010203040506070809101112
2007010203040506070809101112
2008010203040506070809101112
2009010203040506070809101112
2010010203040506070809101112
2011010203040506070809101112
20120102030405060708091112
201301020304050607091011
20140102040508
201506070809

2011-01-28

[]2011年2月

今月は来日ものが少ない。メジャーなものでは、フラメンコの人気舞姫率いるマリア・パヘス舞踊団『ミラーダ』(2/19-20@Bunkamuraオーチャードホール)くらいだろう。創立20周年記念公演で新作世界初演。招聘元のカンバセーションが昨年末に倒産したが、無事パルコに引き継がれ公演されるようだ。あと、横浜で日本×カナダ 共同制作公演・カハーウィ・ダンスシアター公演(2/19-20@ランドマークホール)がある。

マリア・パヘス コメントmovie

D

国内バレエでは東京バレエ団「ダンス・イン・ザ・ミラー」(2/4-6@ゆうぽうとホール)が最大の話題。ベジャールの旧作をジル・ロマンが新たに編成し直したもので、ベジャールの歩んできた道程を振り返る祝祭感富んだ舞台となりそう。谷桃子バレエ団『ラ・バヤデール』(2/5-6@東京文化会館)も注目される。主役級に個性と実力ある人が揃っているし、3幕の幻影の場の舞台美術の美しさは格別だ。NBAバレエ団『新・白鳥の湖』(2/19-20@ゆうぽうとホール)は、エストニア国立バレエからアレナ・シュカトラが客演するのを観られる貴重な機会。東京シティ・バレエ団・シティ・バレエ・サロンvol.1「TOKYO CITY BALLET LIVE 2011」(2/24@ティアラこうとう小ホール)は小ホールでの新作バレエ集という新企画らしい(チケット完売の模様)。新国立劇場バレエ研修所の成果発表の場である「エトワールへの道程2011」(2/19-20@新国立劇場中劇場)もバレエ・フリークなら抑えたいところか。佐々木大、法村圭緒、吉本真悟、中島周らが多ジャンルの男性ダンサーたちと組む『GQ Gentleman Quality 紳士の品格』(2/10-13@サンシャイン劇場)も楽しみ。西島千博らの出る「ザッツ スーパーコラボレーション!!」(2/25@江東区文化センター)というイベントもある。

ジル・ロマン「ダンス・イン・ザ・ミラー」を語る

D

コンテの公演もいろいろ。なんといっても「横浜ダンスコレクションEX2011」(〜2/22)はコンペ部門や受賞者公演、ショーケースと目白押し。期待は受賞者公演に登場するCI部の宝栄美希。異様にやわらかい関節を持っていて彼女のダンスは必見といえる(今回はグループワーク)。他の公演で注目したいのは2008年度のトヨタコレオグラフィーアワードにて「次代を担う振付家賞」を獲得した金魚(鈴木ユキオ)『HEAR』(2/4-6@青山円形劇場)。辻直之(アニメーション)、内橋和久(音楽)とのコラボレーションで昨夏の金沢公演が好評を博したというから期待したい。Noism1『Nameless Hands〜人形の家』(2/2-3@愛知県芸術劇場、2/16@横浜赤レンガ倉庫1号館ほか)は金森穣の代表作のひとつなので未見の人はフォローしたいところ。愛知では人気者の共演黒田育世・近藤良平『私の恋人』(2/9-10@愛知県芸術劇場小ホール)がある。山口では梅田宏明新作ダンス公演『Holistic Strata』(2/19-20@山口情報芸術センター)も行われる。そして、マイムのCAVA(さば)『Continent』(2/4-6@アサヒ・アートスクエア)もおもしろい。エジンバラ・フェスで好評受けての凱旋公演で、フィジカルな演技の魅力にエンターテインメント性も備え、知的興奮をももたらす俊英集団だ。

Yukio Suzuki 鈴木ユキオ 【HEAR】 PV

D

CAVA_CONTINENT_mime.mov

D

岩淵多喜子のDance Theatre LUDENS『Anonym〜失い得るもの〜』(2/18-20@吉祥寺シアター)は実力者だけに折り目正しい上質なコンテンポラリーダンスを味あわせてくれそう。天才舞姫・内田香率いるルッシュワルツ『真実』(2/18@セシオン杉並)は個性豊かな踊り手がパワフルに踊って気分爽快にさせてくれること請け合い。ケイ・タケイs ムービングアース・オリエントスフィア『CHANTING HILL』(2/12-13@日暮里サニーホール)はポストモダン期のアメリカ中心に世界的に活躍した舞踊家のグループワーク。輝く未来『いないあなたとここにいて』(2/24-27@STスポット)は残念ながら彼らの解散公演となる。ヨシフ・イワノフ&伊藤郁女(2/27@吉祥寺シアター)は、欧州の著名振付家から引く手あまたの伊藤が新進ヴァイオリニストと共演する。高嶺格『Melody Cup』(2/19-20@横浜赤レンガ倉庫1号館)、川口隆夫 『TABLEMIND』(2/23―27@川崎市アートセンターアルテリオ小劇場)は、実力派の異才アーティストの公演なのでファンには見逃せないところか。天狼星堂舞踏公演ソロ小品集2011は身体・空間制御術に長けた大倉摩矢子のソロをチェックしたい。 Noismの研修生カンパニー・Noism2春の定期公演2011(2/25-27@りゅーとぴあスタジオA・B)は金森穣の旧作とNDT1で活躍した小尻健太新作が見られる。

Roussewaltz "moon"

D

演劇系もいくつか。チェルフィッチュ『ゾウガメのソニックライフ』(2/2-15@神奈川芸術劇場大スタジオ)は岡田利規待望の新作だけに見落とせない。世界の小劇場 Vol.1 ドイツ編は世界の同時代のパフォーミングアーツを紹介する意欲的な企画。ベルリン発のイキのいい舞台が見られそう。おなじみのリミニ・プロトコル『ブラック・タイ』(2/25-27)ほかシー・シー・ポップ『遺言/誓約』(2/19−20)、アンドカンパニー&Co.『道化の霊廟』(2/26-27)が上演される。会場は神奈川芸術劇場。脚本・演出・映像:奥秀太郎、主演・振付: 黒田育世(BATIK)による『サウス オブ ヘブン』(2/26-27@ PARCO劇場)というステージもあるようだ。

「世界の小劇場 vol.1 ドイツ編」リミニ・プロトコル トレイラー

D

2011-01-23

[]東京バレエ団「ダンス・イン・ザ・ミラー」公開リハーサル

逝去から早3年が経つ現代バレエの巨匠モーリス・ベジャールのレパートリーを多々擁するチャイコフスキー記念東京バレエ団が、ベジャール作品のアンソロジー「ダンス・イン・ザ・ミラー」を初演する(2月4日〜6日 於:五反田・ゆうぽうとホール)f:id:dance300:20110113135938j:image:right

これは、『現在のためのミサ』『舞楽』『未来のためのミサ』『ヘリオガバル』『バロッコ・ベルカント』『M』『火の鳥』といったベジャールの名作の数々を“亡き偉大なベジャールへの祈りと、未来への希望”という構想のもと、モーリス・ベジャール・バレエ団(BBL)の芸術監督ジル・ロマンが新たに編み直すというもの。ベジャールの遺志を継いで完成させた『80分間世界一周』や2009年の「世界バレエフェスティバル」特別プロとして上演された「オマージュ・ア・ベジャール」等に続いて、ロマンがベジャールの振付と精神を受け継ぎつつ新たな物語を紡いでくれているものと期待されている。

開幕まで3週間を切った1月19日の夕刻、目黒・東京バレエ団スタジオで行われたリハーサルにお邪魔させていただいた。

この日見せていただいたのが、冒頭に上演されるという『現在のためのミサ』ソロ、アンサンブルの場面だった。『現在のためのミサ』は、1967年に20世紀バレエ団が初演したもので、今回が日本初上演という。宗教儀式・祈りを主題とし、力強くてサイケデリックなピエール・アンリの音楽とのコラボレーションがみどころだ。ベジャール一流のダイナミックなダンスが次々に展開され、秘儀的な空間が立ち上がる。f:id:dance300:20110113135929j:image:left

1月の下旬に来日して最後の仕上げを行うというロマンに代わって今回振付指導を任されているのが那須野圭右(BBL)。2002年のBBL来日公演の際には、まだあどけない少年のおもかげもあったが、いまやカンパニーの中軸ダンサーだ。この日稽古場に入ったきた際には、眼光鋭く引き締まった顔をしており、芸術家として仕事師として充実期を迎えた自信が感じられた。ダンサーたちは本番同様のジーンズに白のスニーカーといういでたち。斎藤友佳理、井脇幸江、吉岡美佳、小出領子、高岸直樹、木村和夫、後藤晴雄らのプリンシパル勢、それに高村順子や佐伯知香、高橋竜太、松下裕次らソリストたちも勢ぞろいしている。芸術監督・飯田宗孝、バレエミストレス・友田弘子の見守るなか、那須野の厳しいチェックが入り、リハーサルが進行していった。f:id:dance300:20110113134911j:image:right

大人数の男女が登場し、多彩で変化に富む群舞が展開される。腰を落としたり寝転がっての動きや上半身を大きく使ったいわゆる“ベジャール振り”を駆使した振付と金属音や電子音楽による呪術的な響きが掛け算となる。男女のパ・ド・ドゥで埋め尽くしたユニゾンの迫力もさることながら「小走り」「ひざまずき祈る」といった印象的な振付も織り交ざってうねりを生む。ベジャール振付の魔力を改めて実感させられた。

鳥が翼を羽ばたかせるように両手を上下させる振付があるのだが、そこで那須野のチェックが入った。「手や肘でなく胸を起点にして大きく動かすように」。そうすると、より動きがいきいきとしたものへと変わっていった。那須野は、鏡の前の台の上に立ち足踏みしながらリズムを取るかと思うと、ダンサーの側まで行き細かな部分を修正する。全体の流れから細部に至るまでくまなくフォローする、緻密で熱心な指導ぶりだった。f:id:dance300:20110113144302j:image:left

リハーサル終了後、那須野と今回の作品で「進行役」として大きな役割を果たすという木村の話を聞いた。

那須野は今回、ロマンから振付指導を一任されたが「プレッシャーはない」と語る。ベジャール作品を踊ることで一番大切なものは?との問いに「エナジー」と即答。ベジャール作品を指導する際「形ではなく精神を伝える」ことが大事とも語る。バレエ学校時代から数えるとベジャールの晩年10年を共に過ごした那須野にとって、ベジャールの魂を伝えていくことは使命となっているようだ。「ジルやミッシェル(・ガスカール)のように、より深くベジャール作品の精神を伝えていけるようになりたい」と思いを込めて語ったのが印象的だった。

「進行役」を務める木村は、『火の鳥』(抜粋)のなかでタイトル・ロールを踊る。しっかりとしたテクニックと抜群の音楽性を誇る木村にとって十八番といえるが、毎回踊り終わるたびに「目の前が真っ暗になる」ほど精根を使い果たすという。今回は、那須野によるBBL版に基づく振付の指導も受けてさらなる高みを目指すことになる。これまでの豊富な経験を活かしつつ心機一転気持ちを新たにしての舞台を楽しみにしたい。f:id:dance300:20110113144718j:image:right

ベジャールは、もはやこの世にいない。不在の欠落感は観客だけでなく踊り手にも色濃いと思う。新作を得たり、直々に教わる機会が二度と失われてしまったのだから。しかし、今回の「ダンス・イン・ザ・ミラー」は、ベテランから若手まで東京バレエ団が心をひとつにしてベジャールのすばらしい遺産にあらためて取り組み、踊り継いでいこうとしていることが、リハーサルからもひしひしと感じられた。ジョルジュ・ドンとフレディ・マーキュリーに捧げられた『バレエ・フォー・ライフ』の、死の痛ましさの先に美しく生を肯定する終幕ではないが、The Show Must Go On!ベジャールの魂は、永遠に受け継がれる――。東京バレエ団とロマン、那須野らBBLの固い絆から生まれる、未来への希望に満ちたステージが繰り広げられる予感がする。開幕を心待ちにしたい。

photo:Kiyonori Hasegawa

上2点(『現在のためのミサ』)

中央(指導する那須野圭右)

下から2番目(『ヘリオガバル』上野水香&柄本弾)

一番下(『バロッコ・ベルカント』パ・ド・トロワ、斎藤友佳理/吉岡美佳/井脇幸江)

提供:NBS 財団法人日本舞台芸術振興会

なお、NBS 財団法人日本舞台芸術振興会 公式HP用にも寄稿したが、主催者の了承えたうえで当ブログでもレポートさせていただいた。下記が、その寄稿記事。

NBS Web 東京バレエ団「ダンス・イン・ザ・ミラー」リハーサルレポート

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/post-294.html

ジル・ロマン「ダンス・イン・ザ・ミラー」を語る

D

2011-01-18

[]「ダンスが見たい!」新人シリーズ9結果発表

「ダンスが見たい!」新人シリーズ9が1月7〜16日までd-倉庫で行われ、新人賞の審査員を務めさせていただいた。8日間31組のダンスを観たが、現在のダンスシーンの縮図の面もあって考えさせられることも多く、貴重な経験をさせていただいた。

新人賞およびオーディエンス賞は下記のように決定した。

新人賞

木村愛子「暖かい水を抱くII’」

ポコペン舞子(ぶす)「もう少し待っててください」

オーディエンス賞

富野幸緒「TIARA THE BEAUTY〜眠らない、美女〜」

新人賞審査員:志賀信夫、高橋森彦、花上直人、ヒグマ春夫、武藤容子

http://www.geocities.jp/kagurara2000/s9

後日、総評がd-倉庫&diepratzeのホームページに掲載される予定なので、詳しくはそちらをご覧いただきたいと思うが、新人賞は通常1組のところ審査員たちの合議の際、活発な議論が交わされ、最終的には2組に授与されることになった。

新人賞の木村とポコペン舞子とオーディエンス賞の富野は、今夏の「ダンスが見たい!」13への参加機会を得ることになる。「新人賞」と銘打っているからには、選ぶ方もジャッジではなくスカウトの姿勢で選びたいと思っていたので、新人賞2組選出できたのは結果的には悪くないと思う。d-倉庫&diepratzeのご理解に深く感謝したい。

2011-01-14

[]新国立劇場2011/2012シーズンラインナップ

新国立劇場の2011/2012シーズンラインナップが発表された。

新国立劇場 2011/2012シーズンラインアップが発表されました!http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20001307.html

バレエはオペラパレスでの6公演で、すべて全幕もの。ビントレー体制最初の2010/2011シーズンは古典全幕が牧阿佐美版『ラ・バヤデール』しかなかったため、いくらなんでも古典・クラシックが少ないのでは?との声も散見されたが、次シーズンは『白鳥の湖』『くるみ割り人形』の2演目が入る。新制作『パゴダの王子』に人気作の『マノン』『こうもり』、それに昨年初演した『アンナ・カレーニナ』と物語バレエが並ぶ。定番の古典全幕を上演しつつ人気の物語バレエを相次いで上演する。グランド・バレエに酔いしれる一年となりそうで、多くのバレエ・ファンに訴求するラインアップだろう。

ただ、近現代作品の上演は無し。2010/2011シーズンでは、昨秋ビントレー『ペンギン・カフェ』、バランシン『シンフォニー・イン・C』、フォーキン『火の鳥』という、近現代作品の粋を集めたミックス・プロを上演し、今年3月に行われる「ダイナミック ダンス!」でも、ビントレー、サープ、バランシン作品によるトリプル・ビルが予定される。ビントレーならではのバレエ史観・チョイスが感じられ興味深く意欲的だと感じていたのだが、次シーズンは大作『パゴダの王子』初演こそあるもののビントレー色は薄まったようにも思われる。欧米と違ってミックス・プロや現代作品系の公演は動員が厳しい面は理解できるが、1公演くらいはあってもよかったのではないかという気がしなくもない。民間の団体でもかなりなリスクを負って上演しているわけだから。

ダンサーでは、小野絢子をより中心に据えていくことを打ち出している。『マノン』のタイトル・ロールは楽しみで、狂喜したファンも少なくないだろう。昨年入団した米沢唯の抜擢も目につく。ゲストでは、牧阿佐美からビントレーに芸術監督が代わり、ロシア系からはゲストを呼ばないのでは?と危惧するファンも少なからずいたと思うが、ザハーロワが『白鳥の湖』に客演するようで、ファンにとってはうれしいだろう。スター性・動員という面もあるにせよ、世界の名だたる歌劇場に先行してザハーロワを立て続けに招聘してきた牧と劇場に対するビントレーの敬意が感じられるといってもいいかもしれない。

コンテンポラリー部門では、首藤康之&中村恩恵、鍵田真由美&佐藤浩希、加賀谷香、小野寺修二という、近年活躍目覚ましい面々が登場する。中堅クラスで、すでに一家を成した人たちであるが、新国で上演されるということによって、よりパブリック、メジャーな存在になるのであれば、それは悪いことではないだろう。

バレエ

パゴダの王子

2011年10/30(日)〜11/6(日)

くるみ割り人形

2011年12/17(土)〜25日(日)

こうもり

2012年2/4(土)〜12(日)

アンナ・カレーニナ

2012年3/16(金)〜20(火・祝)

白鳥の湖

2012年5/5(土)〜13(日)

マノン

2012年6/23(土)〜7/1(日)

コンテンポラリーダンス

中村恩恵×首藤康之Shakespeare THE SONNETS

2011年9/30(金)〜 10/1(土)

近松DANCE弐題

2011年11/17(木)〜27(日)

小野寺修二 カンパニーデラシネラ カラマーゾフの兄弟

2012年2/8(水) 〜12(日)

DANCE to the Future 2012

2012年4/21(土)〜22(日)


2011-01-13

[]愛知芸術文化センター「パフォーミング・アーツ・ウェーブ」のプレビュー記事を寄稿

愛知芸術文化センターでは、今月末から来月上旬にかけて「パフォーミング・アーツ・ウェーブ」と題したダンス&パフォーマンスのイベントを行う。

これは、金森穣/Noism『Nameless Hands〜人形の家』、黒田育世+近藤良平『私の恋人』という最注目のアーティストによるダンスのほか、AACサウンドパフォーマンス道場プロジェクト特別公演や田畑真希をゲストに招く「パフォーミング・アーツ・ガーデン2011」も行われる。昨夏〜秋にかけての「あいちトリエンナーレ2010」パフォーミング・アーツ部門の熱気冷めやらぬなか放たれる多彩な魅力に富んだ企画だ。

私事であるが、愛知芸術文化センターの主催する展覧会や舞台公演等を紹介する広報誌「AAC」vol.67号(最新号)にプレビュー記事を書かせていただいた。

地元等で配布されるほか、同センターサイト内の「AAC」のページから読むことができる(PDF形式)。ご高覧いただければ幸いである。

愛知芸術文化センター広報誌「AAC」サイト

http://www.aac.pref.aichi.jp/frame.html?aac/aactop.htm


NINA materialize sacrifice [DVD]

NINA materialize sacrifice [DVD]


近藤良平という生き方

近藤良平という生き方


2011-01-12

[] 「平成23年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」募集要項

文化庁の新たな助成金が1月11日に発表・募集開始された。

それは、「平成23年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」で、昨年までの「芸術団体人材育成支援事業」を受けてのものだ。音楽・舞踊・演劇・伝統芸能等・大衆芸能・美術及び映画・その他(これらに関連するもの,または複数の部門に及ぶもの)の新進芸術家が、基礎や技術を磨いていくために必要な舞台などの実践の機会や知識を身につける場を提供して次代の芸術家を育成していくものである。

平成23年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業の募集について

http://www.bunka.go.jp/geijutsu_bunka/05ikusei/h23_boshu.html

これまでの赤字補てん等ではない助成システムという点に注目集まるが、同時に、その対象となる費用に関して細かな制限がついている。昨年、芸術団体の不正受給問題が話題になったが、「どんぶり勘定」やルーズな予算の組み方をしていては、社会的に信用されない。制作サイドには厳しい内容にも思えるが、国民の血税が投じられているのであるから、お金の出所をより明確にしていくのは当然のことである。

いずれにせよ各分野の芸術団体は、この事業の利点を活かしつつ、より広く社会から信頼されるに足る公演活動・事業を行っていくことが強く求められる。

2011-01-11

[]祝・谷桃子先生 卒寿

本日(1月11日)、戦後バレエに偉大な軌跡を残した谷桃子が卒寿(90歳)を迎える。

それに先立っての祝賀パーティーが1月10日、帝国ホテルにて行われ盛会だった。山野博大、福田一雄、牧阿佐美、妹尾河童という、谷に所縁ある人が挨拶をし、乾杯の音頭を取った。谷の親戚者等による生演奏や団員たちによる余興も行われ楽しめた。

そして、会の席上、谷桃子バレエ団の新体制として団長:赤城圭、芸術監督:望月則彦、副団長:高部尚子という陣容が発表された。谷は矍鑠としており、バレエ団も創立60周年記念シリーズを無事打ち上げているが、老舗ならではの伝統を残しつつ新時代を見据えたさらなる展開が期待される。

:「高橋森彦のバレエ&ダンス逍遥」(「大人からのバレエ.com」掲載)

谷桃子バレエ団『レ・ミゼラブル』〜日本人の心・感性を通したバレエを創造

http://www.ballet-factory.com/ballet-hyakka/gotheater/balletanddance/t-1.html


バレリーナへの道〈65〉バレリーナ谷桃子の軌跡

バレリーナへの道〈65〉バレリーナ谷桃子の軌跡


名作バレエの踊り方

名作バレエの踊り方


2011-01-05

[]国内バレエ編

■東京バレエ団とKバレエの充実

公演数&動員・規模・国際性・一般への訴求力・芸術性といったあらゆる面においてバランスよく高い水準をみせたのが、以下のふたつのカンパニーではないだろうか。

前年からの創立45周年記念のシリーズを打ち上げた東京バレエ団は、物語バレエの最高峰クランコ振付『オネーギン』、アシュトンの異色大作『シルヴィア』を日本のバレエ団としてはじめて初演する快挙を成し遂げた。名ダンサー・小林十市の引退公演ともなった5年ぶりの『M』(ベジャール振付)もあった。ダンサーでは、役に憑依したかのような斎藤友佳理の『オネーギン』、斬新な解釈をみせた上野水香のラコット版『ラ・シルフィード』の演技など。欧州ツアーも行い、創設以来の海外通算公演回数が700回を超えた。今年2月にはベジャールの旧作集『ダンス・イン・ザ・ミラー』を世界初演する。

テレビ局をスポンサーにして公演数と舞台規模の大きさで際立つ熊川哲也Kバレエカンパニーは、全幕ものの新作初演はなかったものの『海賊』『コッペリア』等の熊川版の古典全幕を各地で再演。年末に行った赤坂ACTシアター版『くるみ割り人形』は立見の当日券も出るほどの盛況をみせた。新制作では、中村恩恵ら日本人振付家3人に新作委嘱した「New Pieces」を催している。日本人による創作バレエの発展のための貴重な機会であり、芸術監督・熊川哲也の英断と見識をいくら称揚してもし過ぎることはない。ダンサーでは、熊川のほか荒井祐子の安定感が際立った。

ジル・ロマン「ダンス・イン・ザ・ミラー」を語る

D

■新国立劇場と大手団体

わが国のバレエの中核となるべき新国立劇場バレエ団も恵まれた条件に相応しい規模の大きな活動を行っている。春にはエイフマン『アンナ・カレーニナ』が、秋には新芸術監督ビントレーの『ペンギン・カフェ』等によるトリプル・ビルが話題に。前者に主演した厚木三杏の演技を多くの評論家が賞賛している。ベテランでは山本隆之、新鋭では小野絢子、福岡雄大。ビントレー体制の展開に注目集まるが、前芸術監督・牧阿佐美の10年に及ぶカリスマ的な指導力あっての現在であることを強調しておきたい。

わが国バレエ界の最大組織たる日本バレエ協会(会長:薄井憲二)は、原典に立ち返りつつ独自の演出をみせて説得力あるメアリー・スキーピング版『ジゼル』日本初演(都民芸術フェスティバル助成公演)が意義のみならず仕上がりの面でも大きな成果を挙げた。篠原聖一の引き締まった力作『カルメン』等を上演した「バレエ・フェスティバル」をはじめとする各事業も充実をみせる。2011年は公益社団法人として再スタートする重要な一年と位置づけられているだけに、さらなる躍進・発展を期待したい。

名門大手も安定した活動を行った。三谷恭三率いる牧阿佐美バレヱ団は若手の躍進が著しく活気を増してきた感。秋の『ラ・シルフィード』『セレナーデ』は、古典・新古典の確かな継承を感じさせる質的に高い仕上がりで、大手・名門の底力を示した。松山バレエ団は、森下洋子&清水哲太郎が相変わらず健在。秋には第3次となる『白毛女』の試演会を行い今年は本公演にて発表予定となっている。大阪を拠点とするわが国きっての名門・法村友井バレエ団は、ロシア・バレエの第一人者・法村牧緒の手による重厚で格式ある舞台づくりに定評あるが、期待の若手プリマ法村珠里が『ドン・キホーテ』『コッペリア』に主演し、いっそう華やぎのあるものとなった。

ビントレー振付『ペンギン・カフェ』(英国ロイヤル・バレエ団公演)

D

■節目の年を迎えた団体の躍進

創立〜年というシリーズ公演を行った団体が積極的な活動を行ったのも特筆される。

創立60周年シリーズの後半を迎えた老舗・谷桃子バレエ団は、年初に前年度の成果を受けて団・団員が相次いで舞踊賞を獲得して波にのった。団付きの望月則彦の創作『レ・ミゼラブル』のほか『ドン・キホーテ』『リゼット』という日本初演以来磨き上げてきた十八番のレパートリーを高部尚子、永橋あゆみ、齊藤拓、今井智也、三木雄馬ら新旧の個性と実力を兼ね備えた魅力的なキャストで上演し、いずれも高い評価を受けた。創設者で日本バレエの生ける伝説・谷桃子はこの新春で卒寿を迎える。

創立45周年シリーズを行った神戸の貞松・浜田バレエ団も意欲的。『白鳥の湖』『ドン・キホーテ』等の古典のほか同バレエ団出身でドイツ拠点に欧州で活躍する森優貴振付の大作『冬の旅』を世界初演して注目を浴びた。また、「ラ・プリマヴェラ〜春」においてスタントン・ウェルチ『ア・タイム・トゥ・ダンス』を披露。関西のバレエ団としては初めての中国公演(上海・北京)も行なった。年間通しての成果は水際立ったものといえる。ダンサーでは、大ベテラン貞松正一郎はじめ技量と華に加え芸術的解釈の深さ際立つ瀬島五月、コンテンポラリーにも独自の感性をみせる武藤天華ら多士済々。

貞松・浜田バレエ団『白鳥の湖』(瀬島五月&廣岡奈美&A・エルフィンストン)

D

■首都圏中心とした主要団体の活動

在京中心に一定規模の公演を行い、文化庁助成等を受ける団体の活動を振り返る。

吉田都らを招いた「チャリティ・ガラ」等のほか中国公演も行ったスターダンサーズ・バレエ団、江東区との芸術提携を深め地域密着姿勢を堅持しつつ気鋭振付者キミホ・ハルバートを招くなど新理事長・安達悦子のカラーも出つつある東京シティ・バレエ団は東京バレエ協議会に属し、都民芸術フェスティバルの助成を受けての公演も行った。

関直人振付の古典全幕を手堅く上演し独自の美意識溢れる舞台を生む井上バレエ団、マクミランやド・ヴァロワ等の英国バレエの紹介に努め島添亮子の活躍が目立つ小林紀子バレエ・シアター、貴重なニジンスカ版『ラ・フィユ・マル・ガルデ』を日本初演してバレエ愛好家を喜ばせてくれたNBAバレエ団、「清里フィールドバレエ」のほか都心と地元・八王子で定期的に質の高い公演活動を続ける川口ゆり子&今村博明のバレエシャンブルウエストも個性豊かでこだわりの深さを感じさせる活動を展開した。

酒井はな主演『火の鳥』等のダブル・ビル、沖縄出身&国際派で近頃稀なスケール感ある新人・長崎真湖と中国のトップダンサー呂萌を招いての『コッペリア』を上演して名門復活へと気勢を上げる東京小牧バレエ団は、小牧正英の甥・菊池宗の下、近ごろ公演規模が急激に拡大してきており注目される。また、中部地区では、松岡伶子バレエ団がキーロフの名花だったナターリャ・ボリシャコーワ振付による『白鳥の湖』のほか「アトリエ公演」にてカナダで活躍する新鋭・井上勇一郎作品を上演して気を吐いた。

長崎真湖(遼寧バレエ団)『カルメン』

D

■秀逸なガラ公演&女性振付家の活躍

作品/公演/個人で特筆すべきものを挙げる。

夏には海外で活躍する踊り手が帰国してのガラ公演等がいくつか行われたが、現代作品中心にクオリティと多彩さでローザンヌ国際バレエコンクール受賞者らによる「ローザンヌ・ガラ2010」が際立っていた。芸術監督は熊川哲也。福岡雄大、法村珠里のほか文化庁芸術祭新人賞を受けて波に乗る奥村康祐ら関西出身者でバレエ界の次代を担っていくであろう若手をフィーチャーしたほか田中祐子、岩田守弘、小嶋直也、法村圭緒らの超一流ダンサーが共演したMRB松田敏子リラクゼーションバレエ「バレエスーパーガラ」も企画性高く昂揚感もあって楽しませた。

振付では、前述のKバレエ公演で熊川哲也と、「ローザンヌ・ガラ」で首藤康之とのデュオを発表した中村恩恵が一皮むけた印象。各所での散発的な活動ではあったものの傑出した成果を挙げたのはだれの目にも明らかだろう。東京シティ・バレエ団に振付提供したキミホ・ハルバートの仕事も充実していた。「あいちトリエンナーレ2010」共催事業の川口節子バレエ団「BALLET SELECTIONS 2010」において川口が発表したドラマティック・バレエ『心地よく眠るアリス』が注目され、各紙誌等で高い評価を受けたのも印象深い。先述のベテラン望月則彦、円熟味を増してきた篠原聖一、新進気鋭の森優貴らの活躍もあったが女性振付家の健闘が目立ったように思う。

ダンサーでは、前述以外に、プリマ級としてフリーランスで活躍するベテランの下村由理恵、売り出し中の西田佑子、それにベルリン国立バレエのプリンシパルで夏にKバレエと「ローザンヌ・ガラ」に客演し活躍したSHOKO(中村祥子)を挙げておきたい。男性では、奥村康祐や碓氷悠太のような優れたノーブル・ダンサーも出てきたものの若手が全般的に小粒に思える。テクニックあって綺麗に踊る子は多いが見映えがパッとしない。身体条件とはおそらく無関係に。プリマに関しても同様で、テクニックが精確で清楚、身体のラインが美しい中堅・若手は少なくないのは喜ばしいが、大型で迫力のある大人のプリマが不足している。前者は玄人受けしても一般の観客には物足りない印象をあたえることも。日本のバレエの未来を考えるうえで、男女とも大型の新星が台頭してくることを期待したいし、それを育み受け入れる土壌づくりが必要に思う。

中村祥子『カラバッジオ』(ビゴンゼッティ振付)

D

2011-01-03

[]概況&来日公演

■芸術文化と社会

2010年は、前年秋の「事業仕分け」における文化予算削減の危機に瀕したものの結果的に文化予算総額では0・5%増というニュースに糠喜びすることからはじまったように思う。いざ蓋を空けてみると、各芸術団体への助成金は公演単位では前年までよりも削減される傾向に……。文化庁の予算枠では、劇場からの発信事業や共同制作事業の方にシフトが傾きつつあるようだ。舞踊に限らず日本の舞台芸術は民間の力によって発展してきた。ただ、少なからぬ額の助成金を得るようになれば、社会的な責任も負ってしかるべきということになる(アーティストのなかにはそういうのを嫌う人もいるが)。各芸術団体が芸術面の追求のみならずより公益性を重んじた活動をしていくことも求められる。助成の在り方以上に、各芸術団体・アーティストが社会とどう向き合って活動していくのかが、あらゆる局面で問われてくるようになるだろう。

■厳しいなか盛況の公演

不況や助成金の減少等もあって公演数が減った/減らないといった議論が批評家等のなかで見られる。純粋に数だけで言えば、減っていない。むしろ小さなスペースでの公演等含めれば年々増えているのは間違いないだろう。が、このところ公演数や公演の規模が縮小気味の団体が散見されるのも事実だ。バレエの発表会等で出演者が減ったりするということも耳にする。欧州の先端のコンテンポラリー・ダンス等を紹介してくれていたカンバセーションアンドカムパニーが年末に倒産するという衝撃の報もあった。厳しい制作条件のなか懸命に活動を続ける団体・アーティストや制作関係者には敬意を表したい。そして、上演の水準でいえば今年は内外公演とも平均的に極めて高いものが揃った印象があり、充実した一年だったのは喜ばしい限りである。

■ビッグ・カンパニーの来日

来日では、3月にパリ・オペラ座バレエ団、6月に英国ロイヤル・バレエ団というビッグ・ネームが相次いで来日し底力を見せてくれた。ヌレエフ版『シンデレラ』、元祖本家たる『ジゼル』においてみせたパリ・オペの洗練されたスタイル、『うたかたの恋』『ロミオとジュリエット』等でみせたロイヤルの演劇性と各々の個性を心ゆくまで満喫できた至福の上半期だった。吉田都がロイヤル・バレエとのお別れとなる舞台をみせたのも記憶に残る。グレアム・マーフィーによる大胆な古典改作を携えて3年ぶりに来日したオーストラリア・バレエ団、亡き巨匠の魂を継いだジル・ロマンの下、感動的な舞台をみせたモーリス・ベジャール・バレエ団の公演も好評を博した。ニーナ・アナニアシヴィリ率いるグルジア国立バレエも来日しニーナのファンを喜ばせた。

モーリス・ベジャール・バレエ団『80分間世界一周』

D

■世界有数のバレエ都市・東京

大カンパニー等の来日も実り多かったが、それ以上にインパクトあったのがガラ公演だ。ロシアの2大カンパニーによるボリショイ・バレエ×マリインスキー・バレエ合同ガラ公演やルグリとギエムの久々の共演が話題となった「マニュエル・ルグリの新しき世界」、パリ・オペラ座バレエ団のエトワール中心に現代作品を軸とした「エトワール・ガラ」も極めてレベル高かった。これらの企画は世界広しといえども東京でしか観られないもの。「世界バレエフェスティバル」こそなかったものの東京という都市がバレエ市場として世界有数であることを改めて実感した一年だった、ウラジーミル・マラーホフによる「マラーホフの贈り物」も現代作品中心の玄人好みの演目でマラーホフの芸術監督としての手腕を再確認。マラーホフは、現在、欧州バレエ界の最重要人物のひとりであるが、彼をいち早く愛し、育てたのは日本の観客であることが誇らしい。

ベルリン国立バレエ団「チャイコフスキー」プロモーション映像

D

■ケースマイケルの活躍

現代ものでは、日本とも縁の深かいピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団がピナ亡きあと初めて来日し変わらぬ支持を集めた。熱狂的な観客の多いことで知られるオハッド・ナハリン率いるイスラエルのバッドシェバ舞踊団来日もファンたちの間で盛り上がっていた。日本初登場組ではナハリンの下から出て英国で活躍するホフェッシュ・シェクターが注目された。パリ公演でも旋風を巻き起こした注目株だけに時期を得た招聘だった。来日常連組のヤン・ファーブル、2度目の来日のピーピング・トムなどの公演もあった。ローザス/アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルジェローム・ベルと組んでの実験的な意欲作『ドライアップシート』を披露したほか、多彩なラインナップの光った「あいちトリエンナーレ」においてローザスの出世作『ローザス・ダンス・ローザス』を日本再演した。ヌーベル・ダンスの旗手として台頭し、いまや巨匠の地位にありながらチャレンジングな作品を発表するケースマイケル。両作を観ることで彼女の進化・深化が感じられ興味深かった。ケースマイケルはオペラの演出も手掛けるし、パリ・オペラ座バレエ団に代表作の『レイン』がレパートリー入りするなど存在感を高めている。ベジャールやカニングハム、ピナ亡きあとダンス界を牽引することが期待される。

ローザス『ローザス・ダンス・ローザス』

D

■「奇跡の饗演」と「アポクリフ」

来日公演の主なものを列記したが、批評家等の回顧アンケートで圧倒的な支持を集めたのは純粋な来日公演というよりも国際共同制作のような舞台だった。ひとつめは、イスラエル・フィル&モーリス・ベジャール・バレエ団&東京バレエ団「奇跡の響演」。ズービン・メータ指揮によるイスラエル・フィルの至高の演奏にのせてのマーラー&ストラヴィンスキー曲によるベジャール・プロ。艶と深みのあるマーラーにのせての「愛が私に語りかけるもの」も忘れがたいが、私的にはベジャール・バレエと東京バレエ団という、いわば兄弟バレエ団がそれぞれの個性を保ちつつ溶け合った『春の祭典』に特に感銘を受けた。この公演も東京でしか実現しえない“奇跡”だ。もうひとつはシディ・ラルビ・シェルカウイ×首藤康之『アポクリフ』。人種や国籍の違うダンサーたちのスリリングな掛け合いと多彩な演出、アカペラグループの生演奏が相まった重層的な舞台づくりのなかに、ダンス表現が秘める思索性の高さを鮮烈に思い知らせてくれる衝撃の体験だった。初演から三年、東京での公演が実現したのは意義深かった。

シディ・ラルビ・シェルカウイ×首藤康之『アポクリフ』

D

2011-01-02

[]吉田都さんが第52回毎日芸術賞を受賞!

バレリーナの吉田都さんが第52回毎日芸術賞(毎日新聞社主催)音楽部門(クラシック・舞踊)を受賞された。

毎日芸術賞に村上龍、吉田都さんら5人

http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20110101-OYT1T00478.htm

対象は昨年6月の英国ロイヤル・バレエ来日公演『ロミオとジュリエット』の演技。同バレエ団とのお別れとなる公演で多くの観客を感動させたのは記憶に新しい。受賞発表された毎日新聞紙上に、評論家の三浦雅士さんが都さんの紹介を書かれている。都さんは観客に感動をあたえただけでなく、英国を中心とした世界的な活躍によって後進の日本人ダンサーを勇気づけたことが素晴らしいと指摘している。同感である。

毎日芸術賞は、あらゆる芸術分野を対象にしたもので、洋舞では過去に森下洋子さんが受賞されている。また、近年では、チャイコフスキー記念東京バレエ団が特別賞を受けている。他では1980年代に牧阿佐美が振付け、主演を三谷恭三が務めた大作バレエ『海』(牧阿佐美バレヱ団公演)がノミネートされたと、かつて故・高柳守雄氏が書かれている文章をバレエ誌で目にしたことがある。いずれにせよ洋舞での受賞はまだ少なく、今回の都さんの受賞は大変に目出度く喜ばしい。おめでとうございます!


英国ロイヤル・バレエ団「くるみ割り人形」(全2幕) [DVD]

英国ロイヤル・バレエ団「くるみ割り人形」(全2幕) [DVD]



吉田都 終わりのない旅

吉田都 終わりのない旅

2011-01-01

[]謹賀新年2011

                    謹賀新年

旧年中は当ページを読んでいただきありがとうございました。

折からの不況や「事業仕分け」もあって文化予算の縮小(少なくとも芸術団体や個人のアーティストにとっては)等厳しい御時世ですが、だからこそ時流に惑わされず、地に足ついた活動が求められてくるのではないでしょうか。確かな展開を期待したいです!

舞踊ジャーナリズムも、利害や偏見や趣味で論じ語るのではなく(そういう向きは極めて少ないのですが)広く舞踊界・舞台芸術界ひいては社会全般の利益を見据えての発言・提言が求められていると感じます。自戒を込めて。そうでない手前勝手な言動を行うならば、淘汰されていっても当然の流れではないでしょうか。

どんな立場であれ、凛として気高く生きたいものです。

非力ではありますが本年もなにとぞよろしくお願いします。

Connection: close