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ダンスの海へ 舞踊評論家・高橋森彦のblog このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2011-02-28

[]「ダンスが見たい!」新人シリーズ9講評掲載!

当方が新人賞審査員を務めさせていただいた「ダンスが見たい!」新人シリーズ9(1/7〜1/16@日暮里・d-倉庫 平成22年度文化庁芸術団体人材育成支援事業・EUジャパンフェスト委員会 助成)の講評がdie pratzeHPに掲載された。

ダンスがみたい!「新人シリーズ9」審査員による講評

http://www.geocities.jp/kagurara2000/s9c

新人賞

木村愛子「温かい水を抱くII’」

ポコペン舞子(ぶす)「もう少し待っててください」

オーディエンス賞

富野幸緒「TIARA THE BEAUTY〜眠らない、美女〜」

御笑覧下されれば幸いである。

ポコペン舞子(新人賞受賞) 『もう少し待っててください』 ダイジェスト D

踊りに行くぜ!!vol.9広島公演(オーディエンス賞受賞・富野幸緒 出演)

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2011-02-27

[]茨木のり子とダンス〜小尻健太、佐多達枝、池上直子

新潟で行われたNoism2(研修生カンパニー)春の定期公演2011を観てきた。金森穣振付レパートリーから『1/60』(2000年)、『Heavy Ballerina』(2005年『NINA-物質化する生け贄』より)抜粋のほか、元NDT1の小尻健太の『Inscription』を上演した。

小尻作品は、言葉や音楽と動きの関係性を突き詰めつつ若い踊り手に潜在する能力を引き出そうとするものだった。詩や歌詞からの引用が用いられており、椎名林檎、山口小夜子、趙昌仁らの言葉が取り上げられている。そのなかでも印象に残ったもののひとつが、詩人・茨木のり子(1926〜2006)の「自分の感受性くらい 自分で守れよ ばかものよ」だった。これは、叙情派詩人の代表たる茨城の代表的な詩集のひとつ『自分の感受性』からの引用だ。小尻は、若い踊り手たちと向き合い、彼らの過去と未来のはざまで去来する不安や期待で揺れ動く「いま」を鮮烈に刻印したが、厳しさのなかに読むものを愛で包む茨木の詩は小尻の創作の大きなモチーフになったのだろう。


自分の感受性くらい

自分の感受性くらい

茨木の詩に触発されたダンス作品に接する機会は近年他にもあった。

わが国の創作バレエの大家にして衰えを知らぬどころか年々尖鋭さを増した創作を行っている佐多達枝が2007年のリサイタルで発表した『わたしが一番きれいだったとき』は傑作だった。同題詩は多くのの国語教科書にも掲載されている茨城の代表作のひとつだが、佐多はこれをモチーフに高部尚子のソロとして振付けた。この作品は、2009年秋に行われたシンポジウム、ダンス=人間史vol. 21「トリップ! 佐多達枝バレエ・ ワールドヘ」のなかで舞踊批評の門行人が指摘していたように、バレエのパが消え、不定形の動きだけで成立している。確かに、バレエではないしモダンといえばいいのかコンテンポラリーといえばいいのかよくわからない感触のある振付だ。高部が白のベッドのような台の上でひたすら踊り続ける。舞台奥の幕の先には、緑の庭園がのぞき見える。過去への追憶と悲しみのなかにひとりの女性の背負ってきた人生の重みが立ち上がってくるとともに、なんともいえぬ安らぎというかピュアな美しさにも包まれる。


2010年夏に行われた池上直子のソロダンス『花ゲリラ』も茨城の詩に想を得たものだった。池上は、現代舞踊界の実力者のひとり本間祥公率いるダンスエテルノはじめ多くの振付家の下で活躍した才色兼備の踊り手。『花ゲリラ』は本間の下から独立して「ダンスマルシェ」というユニットを立ち上げた旗揚げ公演だった。ヴァイオリニスト・廣川抄子と組んでのソロで、さまざまの感情の揺らぎを繊細かつドラマティックに描き出した。自身の新たな旅立ちともリンクするような内容で、池上の決意表明とも取れる舞台だったと私は思っている。続いて昨秋にはダンスマルシェ第2回公演として、音楽・作曲・ピアノに阿部篤志を迎え、美踊、蛯子奈緒美という俊英ダンサーとともに『moondial〜月と会話〜』というセンスいい秀作を発表。今年1月からはレクサスCT200hウェブCMイメージダンサーとして抜擢された。楽しみな踊り手・創り手のひとりである。

contemporary dance 「moondial~月と会話」 ダイジェスト

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2011-02-24

[]2011年3月 バレエ

今月の東京では、大手中心に各バレエ団がしのぎを削って公演を行う。東京は海外の著名カンパニー/アーティストの押し寄せる一大バレエマーケット。そして、東京都および近郊で活動し、都心の劇場で大きな公演を定期的に打つバレエ団は、10指に余る。そんな都市は世界広しといえども他にないだろう。多彩かつレベルの高い公演が観られてうれしいが、文脈によっては異常ともいえる事態なのかもしれない。

さて、今月のラインナップをみると、熊川哲也Kバレエカンパニー『ピーターラビットと仲間たち』『真夏の夜の夢』(3/10-13 Bunkamuraオーチャードホール)、新国立劇場バレエ団「ダイナミック ダンス!」(3/19-27 新国立劇場中劇場)、スターダンサーズ・バレエ団「振付家たちの競演」(3/12-13 ゆうぽうとホール)とミックス・プロ公演が続く。Kバレエはアシュトン作品で英国バレエ好き&ファミリー層に訴求、新国立バレエはバランシン、サープ、ビントレー作品によるアメリカン・テイストによる異色トリプル・ビル、スタダンは団員軸の創作集。全幕バレエに比べ創作や現代作品のミックス・プロは動員が厳しいのは事実。特にコンテはよくわからないという人が多いようだ。気になるダンサーが出てる、好きな作曲家の曲が使われている、タイトルが気になるetc…なんでもいいから、アンテナにひっかかったものを観に行くのが無難に思う。

本格古典なら牧阿佐美バレヱ団ドン・キホーテ(3/5-6 ゆうぽうとホール)ということになる。見どころはフレッシュなキャスト。ボリショイ・バレエへの研修から帰り骨太さを増した清瀧千晴が青山季可と、昨夏入団後抜擢の続く久保茉莉恵が菊地研とともに主演する。エスパーダの中家正博も大抜擢。活気あふれる舞台を期待したい。

個人レベルのプロデュース公演に目立ったものが続く。篠原聖一バレエ・リサイタルDANCE for Life 2011『ジゼル』(3/4 メルパルクホール)は、このシリーズとしては初めて古典全幕。下村由理恵&佐々木大の円熟した演技が望める。ドラマティック・バレリーナ下村の演技を未見の人は観た方が良いかも。O.F.C『カルミナ・ブラーナ』『陽の中の対話』は、日本バレエ界の巨匠・佐多達枝の大小2作上演。前者はオルフの代表作に振付けた壮大な合唱舞踊劇。佐多の近作たとえば『庭園』『ナギサカラ』などに比べるとオーソドックスな作舞・演出であるが、再演を重ねる秀作のひとつ。後者は、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第三番第一楽章に振付けたアブストラクトな初期作品で、18年ぶりの再演。佐多ワールドの魅力を知るには格好の機会だ。

日本バレエ協会「JBA ヤング・バレエ・フェスティバル」(3/25 ゆうぽうとホール)は、イキのいい若手ダンサーが創作と古典をおどる、国内バレエのフリークには見落とせない公演だろう。今回は、邦人男性ダンサー海外進出の先駆者で、振付家としても独自のエスプリに富んだ佳作を発表している深川秀夫の代表作のひとつ『グラズノフ・スィーツ』を東京の大きな舞台で観られる貴重な機会となる。谷桃子バレエ団で発表した佳作『タンゴジブル』が話題を集めた日原永美子の新作『La Vie de Paquita〜最愛なるリュシアンへ〜』、おなじみの『卒業舞踏会』もあって盛りだくさん。

練馬の光が丘で恒例となりつつあるIMAバレエフェスティバル『くるみ割り人形』(3/12-13 光が丘IMAホール)もマニアには気になるところ。ベテラン松崎すみ子の振付。こじんまりとしたホールでの公演だが温かみのある舞台が魅力。注目は金平糖の精を玄人筋の評価高い西田佑子が踊ること。清楚な雰囲気、精確で美しいパの運びを観ているだけで夢見心地にさせてくれる。王子の黄凱はノーブル・ダンサーの極み。

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2011-02-18

[]「高橋森彦のバレエ&ダンス逍遥」のご紹介〜佐多達枝、川口節子、鍵田真由美&佐藤浩希の活躍について

健康・スポーツ・子育て等に関する単行本や雑誌を刊行している出版社・(株)健康ジャーナル社の運営による、バレエを愛する人のための総合情報サイト「大人からのバレエ.com」に観劇レポート&コラムを連載させていただいている。

「高橋森彦のバレエ&ダンス逍遥」

blogでは更新をお知らせはしていないが、過去ログを紹介させていただきたい。

というのも、創作について確かな実力を持ち、成果を挙げている作家の仕事に触れる機会が相次いだため。創作に興味を持っていただきたいからだ。

1人目は、佐多達枝。創作バレエの第一人者で”日本バレエの宝”とも評される。80歳近い年齢であるが創作意欲は旺盛だ。コラムで取り上げたのは昨年10月3名古屋の「ゆかりバレエ」(代表:神原ゆかり)が上演した『カルミナ・ブラーナ』。佐多作品ではもっとも再演されている作品である。日本では、なかなか創作の再演は難しいなか「ゆかりバレエ」は、佐多の同作品を大切に上演し、昨秋で3回目の上演となった。今年は幸いなことに佐多作品上演が相次ぐ。芸術監督を務めるO.F.C.(オルフ祝祭合唱団)主催公演。3月には合唱舞踊劇『カルミナ・ブラーナ』&1970年初演で佐多の出世作・バレエ『陽の中の対話』が上演される。10月には合唱舞踊劇『ヨハネ受難曲』を上演する。これは2009年夏に初演された、バッハの大曲に振付けた大作だ。キリストの受難をテーマにした壮大なスケールで展開される作品で、音楽・舞踊ファン、いやパフォーミングアーツに興味を持つすべての人必見と断言したい名作。再演が楽しみ。

Vol.4 ゆかりバレエ創立20周年記念公演・佐多達枝『カルミナ・ブラーナ』

〜次代に遺したい日本のバレエの貴重な財産を再演

http://www.ballet-factory.com/ballet-hyakka/gotheater/balletanddance/t-4.html

OFC 合唱舞踊劇CARMINA BURANA

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2人目は、川口節子。知る人ぞ知る名古屋の名振付家で、佐多以後では最も意欲的に創作バレエに身をささげているひとりだと思う。創作といってもアブストラクトなコンテンポラリーを作る人は少なくないが、クランコやマクミランといった人たちの仕事を受けてドラマティックな作風を打ち出す邦人振付家は少ない。川口は『イエルマ』『奇跡の人』『サロメ』といったドラマ性の強い、人間感情の機微、心の襞を鋭くえぐる快作を連打している。連載で取り上げたのは昨年秋に行われた「BALLET SELECTION 2010」公演。川口はそこで『心地よく眠るアリス』等を上演した。この世とあの世のディスタンスを描きつつヒューマニズムに富んだ素晴らしい作品を生んだ川口に拍手したい。

Vol.3 川口節子バレエ団『BALLET SELECTIONS 2010』

〜愛知からの創造と発信に手応え

http://www.ballet-factory.com/ballet-hyakka/gotheater/balletanddance/t-3.html

3人目というか3組目は、フラメンコの鍵田真由美&佐藤浩希だ。ARTE Y SOLERA(アルテ イ ソレラ)を主宰し、大ヒット作『FLAMENCO曽根崎心中』などドラマ性の強い作品を発表してきた彼らは、近年、小スペースで実験性の高い作品を発表してもいる。彼らの近年の蓄積のすべてをぶつけたのが、昨秋上演された大作『道成寺』だった。ここではフラメンコ舞踊の枠を超えた大胆な実験を行いつつ多くの観客に訴求するドラマティックな創作を志向した。本年は『FLAMENCO曽根崎心中』を愛媛の内子座で上演するし、東京でも主催公演のほか新国立劇場に招かれ『女殺油地獄』を発表する。昨年以上に充実した活動が期待できるのでは。その活躍を括目して見守りたいと思う。

Vol.5 ARTE Y SOLERA(アルテ イ ソレラ)『道成寺』

〜鍵田真由美の熱演と、フラメンコの枠を超えた新たな舞踊表現への挑戦

http://www.ballet-factory.com/ballet-hyakka/gotheater/balletanddance/t-5.html

【preview】ARTE Y SOLERA 道成寺 dojoji 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ

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健康ジャーナル社 刊行 バレエ関連本

名作バレエの踊り方

名作バレエの踊り方


バレエダンサーをめざす人へ

バレエダンサーをめざす人へ


バレエを習うということ

バレエを習うということ

2011-02-13

[]横浜ダンスコレクションEX2011受賞結果

2月8日から13日まで横浜赤レンガ倉庫1号館にて行われた若手振付家の登竜門「横浜ダンスコレクションEX2011」のコンペティション部門の受賞結果が発表された。

コンペティション1作品部門

審査員賞:捩子ぴじん

MASDANZA賞:竹内梓

若手振付家のための在日フランス大使館賞:國本文平

コンペティション2 新人振付家部門

最優秀新人賞:川村美紀子

奨励賞:鈴木拓朗 豊福彬文

各部門3日間行われ、私はそのうちそれぞれ1日欠席したので総評は述べる立場にないが、観た限りの印象と表彰式での審査員のコメント等から簡単な雑感を。作品部門は出品者の資質に加え、やはり作品としての仕上がり具合も重視されたのだろう。新人振付家部門は可能性、ジャッジである以上にスカウトの気持ちを大切に選出されたのだと思う。当初予定されていなかった奨励賞(2名)が設けられたというのはその証左に他ならないだろう。作品部門では室伏鴻さん(舞踏家・振付家)が、新人振付家部門では浜野文雄さん(新書館「ダンスマガジン」編集委員)が、総評というかコメントを出されたが、ともに新たな可能性を秘めた才能たちを励ます気持ちのいいものだった。

今年から部門が分かれ、より細かな視点から若い才能を見出し育てていくという姿勢が打ち出されたのは何よりだと思う。そして、今回、世界のダンスフェスティバル等のディレクターたちがこぞって来日していた。その数の多さに驚かされた。「世界とつながっている場」であるということが肌で実感できた。出場者にとってノミネートされるだけでも海外含めた新たな活動の場を得ることが可能に成り得る、魅力的な場であろう。

今回の出場者の一層の躍進と、横浜ダンスコレクションEXのさらなる発展を願いたい。

2011-02-10

[]現代舞踊協会制定 第28回江口隆哉賞に中村恩恵!

社団法人現代舞踊協会制定 第28回(平成22年度)江口隆哉賞ならびに同賞に関わる文部科学大臣賞を振付家・舞踊家の中村恩恵が受賞した。

本日付で現代舞踊協会の公式ホームページに発表されているほか、株式会社VIDEOのホームページにも情報掲載されている。

社団法人 現代舞踊協会 公式ホームページ

株式会社VIDEO 公式ホームページ・第28回(平成22年度)江口隆哉賞 並びに 江口隆哉賞に係る文部科学大臣賞

同賞は“わが国における現代舞踊の振興と協会の繁栄に尽力された、故江口隆哉元会長の功績を記念し1983年10月13日に制定された。年間を通じ優れた現代舞踊を創作発表した作者に、過去の実績を加味して授与することとしている。”(現代舞踊協会HPより)もので、現代舞踊界最高の栄誉とされるが、選考対象は現代舞踊協会の会員に限らない。選考委員は舞踊家と舞踊評論家等の有識者が務める。

中村は、幼時からバレエを学び、1988年にはローザンヌ国際バレエコンクールにおいてプロフェッショナル賞を受賞。欧州に渡り、ネザーランド・ダンス・シアターにおいてイリ・キリアンらの作品を踊って活躍した。キリアンの代表作『ワン・オブ・ア・カインド』の主要パートを任され、中村のために振付けられ埼玉で世界初演された『ブラックバード』の演技でニムラ舞踊賞を得た。なお『ブラックバード』は後にローザンヌ国際バレエコンクールのコンテンポラリー審査の課題作品にも選ばれた秀作である。帰国後振付家として本格的に活動し金森穣のNoism等にも作品提供するなど活動の幅を広げてきた。人格者としても知られ、ワークショップには幅広い層のダンサーが参加すると聞く。

今回の受賞理由は「ローザンヌ・ガラ」(於:青山劇場)において首藤康之とともに踊った『The Well-Tempered』および熊川哲也Kバレエカンパニー「New Pieces」(於:赤坂ACTシアター)にて熊川とともに踊った『Les Fleurs Noirs』という昨夏相次いで上演されたデュオの成果。自主公演等はなかったものの各所での活躍は際立っており、私も各媒体のアンケートやblog等の回顧記事で中村の活躍を挙げている。納得の受賞だ。

中村は本年、本格的な自主公演を行う模様であり(オーディション募集等がかかっていた)、さらなる活躍を期待したい。

Megumi_Nakamura_"Rose_Window" (Rehearsal, September 4th )

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2011-02-05

[]「横浜ダンスコレクションEX2011」開催中

1996 年に若手振付家育成とコンテンポラリー・ダンスの普及を目指してはじまった「横浜ダンスコレクション」。2005 年には、アジア発のダンスマーケットの起点を打ち出し「横浜ダンスコレクション R」 として改編した。そして、今年から海外招聘公演やシンポジウムなどを充実させ、次世代新人振付家を対象とした賞を新設する。「横浜ダンスコレクションEX」としての新展開が期待される(会場:横浜赤レンガ倉庫1号館)。

2月5日(土)、6日(日)には「受賞者公演」が行われ、田畑真希『TOWER』、宝栄美希『Catch』、ロサム・プルデンシャド・ジュニア(フィリピン)『Breaking Hue』が上演される。田畑は日常の淡々とした情景を描くように見せつつそのなかに沈殿するドラマを繊細にすくいあげる。「いま・ここ」のリアルな感触を確かな手ごたえをもって伝える人で、派手さはないが、いい意味でのマイナー・ポエット的な良さがある。宝栄に関しては、一言でいってしまえば、才能の塊。関節柔らかく可動域の大きなダンス、そしてパッと見のかわいさのなかに潜む凶暴ともいえる毒は大変に魅力的だ。国際的ダンスフェスティバルMASDANZA13でベストダンサー賞を獲得したのも頷ける。まだ未知数な面もあるが才能とオーラある踊り手なのは間違いない(今回はグループワーク)。

8日からはコンペティションが行われる。作品部門と新人振付家部門に分かれ、後者は25歳以下の若手振付家が登場する。作品部門にしてもみな若い人たちばかりで、完全に世代交代した感がある。昨年までは、国内参加者は皆まあそれなりに名を知られていたりはする人だったのだが、今回の参加者の作品の大多数をみている評論家/ジャーナリストやプロデューサーがいるかどうか…。それくらいの文字通りの新人・若手振付家が揃う。彼らの発掘・育成の場となりそうで動向が注目される。

他にもシンポジウム等のイベントがあるが、気鋭のパフォーマンスを無料で観られるショーケースや「舞台芸術を記録し続けた飯島篤、その半世紀のかけら〜飯島篤が出逢ったフォトグラファーと共に綴る舞台写真展」も。詳しくは「ダンコレブログ」にて。

Yokohama Dance Collection R 2009 video 田畑真希TABATA Maki 1/3

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Miki Hoei "Line" Part 1

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ヨコハマ・アートナビ 2010・10インタビュー「宝栄美希さん」

http://www.yaf.or.jp/magazine/2010/10/post-24.php

2011-02-01

[]小島章司、勅使川原三郎、森優貴〜相次ぐ欧州公演

ジャンルや年代、文脈は違えども日本を代表するといっても過言ではない舞踊家・振付家である3人が、2月に相次いで欧州で公演を行う。

最初は2009年秋に文化功労者に選ばれたフラメンコ界の巨人・小島章司。第15回「フェスティバル・デ・ヘレス」に招聘される。1997年から開催されるフラメンコの祭典。上演されるのは2009年初演の際に好評を博した『ラ・セレスティーナ 〜三人のパブロ〜』。15世紀ルネッサンス期のスペイン古典文学を代表する悲劇を題材にしたドラマティック・フラメンコの名作だ。世紀の舞姫と評されるエヴァ・ジェルバブエナにも振付けるハビエル・ラトーレとのコラボレーションがスペインでも上演を果たすという快挙となる。アキレス腱を断裂するというアクシデントから復帰した小島を祝したい。

(2月27日於ビジャマルタ劇場 Teatro Villamarta ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ市)

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ desnudo 小島章司

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2人目は、近年日本での公演が増えているが、ヨーロッパ中心に長年海外ツアーを展開している勅使川原三郎。2月15日からグルノーブル(フランス)のメゾン・ドゥ・ラ・クルトゥール・ドゥ・グルノーブルにて勅使川原三郎のソロ『ミロク』、佐東利穂子のソロ『SHE‐彼女』、グループワーク『鏡と音楽』という、近年、新国立劇場はじめ日本の劇場で初演された意欲作を連続上演する。欧州のダンスフェスティバルや舞台芸術祭の常連といえる勅使川原とはいえ3作が続けて上演される機会はなかなかないだろう。日本のコンテンポラリー・ダンスの先駆者・大御所であるが、つねに最前線を走っている。

(『ミロク』2月15、16日、『SHEー彼女』2月18、19日、『鏡と音楽』2月23、24日 メゾン・ドゥ・ラ・クルトゥール・ドゥ・グルノーブル )

Miroku - Saburo Teshigawara

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最後は、ドイツのヴィースバーデン・バレエ/トス・タンツカンパニーにダンサー兼振付家として所属する森優貴。オーストリア・インスブルック・チロル州立劇場/インスブルック・ダンスカンパニーから委嘱されシェークスピア悲劇の1つ「オセロー」を振付ける。森は、古巣の貞松・浜田バレエ団で発表した『冬の旅』『羽の鎖』や酒井はな&津村禮次郎と組んだ能楽とダンスのコラボレーション『ひかり、肖像』など構想豊か・音楽性に富んだ作品を連打し注目集める新鋭であるが、所属カンパニー以外の欧州の名門歌劇場から新作しかも大作を依頼されるのは快挙といえる(『ひかり、肖像』はパリ・ブタベストで上演されている)。欧州拠点にさらなる展開を期待できる若手日本人振付者という点では、右に出る者がいないのは疑いのないところ。一層の飛躍を期待したい。

(2月19日プレミア 以後7回公演を予定 チロル州立歌劇場オペラハウス)

関連記事:森優貴(ヴィースバーデン・バレエ/トス・タンツカンパニー)

ひかり、肖像

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