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ダンスの海へ 舞踊評論家・高橋森彦のblog このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2011-11-26

[]エリェナ パァヴロヴァをしのんで〜没後70周年記念遺品展〜

今年は日本バレエの母と称されるエリアナ・パブロバ(Eliana Pavlova/1899〜1941)の没後70年にあたる。

1919年のロシア革命から逃れて訪日したパブロバは、鎌倉・七里ヶ浜に稽古場を開く。ここから服部智恵子、東勇作、橘秋子、貝谷八百子、近藤玲子、大滝愛子、島田廣ら多くの日本バレエのパイオニアたちが育つことになる。

日本バレエ発祥の地 鎌倉・七里ヶ浜の旧パブロワ記念館

http://www.j-b-a.or.jp/pavlova.html

このたび没後70年を記念して「エリェナ パァヴロヴァ〜没後70周年記念遺品展〜」(12/13〜14日 鎌倉生涯学習センター ギャラリーD 入場無料)が行われる。鎌倉に遺された遺品の数々やバレエ資料を展示し、パブロバの活動を振り返るという。

また、1984年にパブロバの記念碑を建立するのを目的に組織された「エリェナ パァヴロヴァ顕彰会」は参加者の多くが鬼籍に入ったこともあり活動休止の状態であったが、このほど新たに体制を整え、顕彰活動を続けていくようだ。

エリェナ パァヴロヴァ没後70周年記念遺品展

http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/mobile/bunka/paburoba.html

展示会チラシ(会場案内図)(PDF:183KB)

http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/bunka/documents/tirasi1.pdf



瀕死の白鳥―亡命者エリアナ・パブロバの生涯

瀕死の白鳥―亡命者エリアナ・パブロバの生涯


七里ヶ浜パヴロバ館―日本に亡命したバレリーナ

七里ヶ浜パヴロバ館―日本に亡命したバレリーナ

2011-11-25

[]「トヨタ コレオグラフィーアワード 2012」募集開始

コンテンポラリー・ダンスの振付家の登竜門である「トヨタ コレオグラフィーアワード」の2012年度の概要・募集情報が25日、公表された。

トヨタ コレオグラフィーアワード 2012募集開始!

http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/social_contribution/society_and_culture/tca/2012/index.html

トヨタ自動車株式会社が世田谷パブリックシアターと提携し次代を担う振付家の発掘・育成を目的とした同アワード。2001年に創設され、今回で8回目となる。

募集期間は11月28日から2012年1月20日(当日消印有効)まで。応募資格は、日本国籍を有するか日本に在住もしくは活動の拠点を置いている振付家で、自身の振付作品を発表した経験のある人。ジャンルは問わない。

選考方法は、公募のなかから審査委員によるファイナリスト選考会にて選出されたファイナリスト6名/組が同年7月22日に行われる“ネクステージ”(最終審査会)において作品を上演。審査委員、ゲスト審査委員により「次代を担う振付家賞」(1名)、観客投票により「オーディエンス賞」(1名)を決定する。

審査委員は小倉由佳子、楫屋一之、唐津絵理、近藤恭代、橋本裕介、藤田直義、丸岡ひろみ、という全国の劇場プロデューサー・制作者が務める。そこに本選からゲスト審査委員として加藤訓子(パーカッショニスト)、四方幸子(メディアアート キュレーター)、長塚圭史(劇作家・演出家・俳優)、やなぎみわ(美術作家・演出家)が加わる。

振付家賞受賞者には次年度(2013年度)に受賞者公演の場が提供される。トヨタ自動車から作品製作費の一部として200万円が授与され、世田谷パブリックシアターより受賞者公演の場としてシアタートラムでの公演を提供される。

これまでの振付家賞受賞者は砂連尾理+寺田みさこ、黒田育世、東野祥子、隅地茉歩、白井剛、鈴木ユキオ、古家優里。コンテンポラリー・ダンス界を背負って立つ活躍をみせている。選考方法や最終審査の結果に関して毎回議論が起こる。ダンス雀の話題を呼ぶイベント。とにもかくにも議論や意見交換が積極的に行われるのは健全だと思う。「コップの中の嵐」ではいけないが、ダンスの未来を踏まえての建設的な議論であれば望ましい。何の問題提起も起こらない閉じた世界に未来はないのだから。


TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2010

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TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2008

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2011-11-23

[]来春、韓国の2大バレエ団が我が国で競演!

我が国と韓国のバレエ界との関わりは少なくない。

国立の韓国国立バレエの初代芸術監督は服部・島田バレエ団出身の林聖男。林と青年バレエグループ(服部・島田バレエ団を脱退した者や佐多達枝が結成)で活動を共にした石田種生が同バレエ団に大作『エスメラルダ』を振付してもいる。戦後バレエのパイオニアたる巨匠・小牧正英も韓国国立バレエに招かれ演出・振付をしているし、東亜日報バレエコンクール審査員を務めるなど日韓バレエ界の親善に尽くしてきた。

近年も2004年に神戸で日本バレエ協会と韓国のバレエ協会が合同で『眠れる森の美女』全幕を上演し、新国立劇場バレエ団が2002年『ドン・キホーテ』で、キム・ジュウォン&ジャン・ウンキューという韓国ペアをゲストに招いているのは記憶に新しい。

さて、来春注目したいのが、韓国を代表する2大バレエ団、韓国国立バレエと民間のユニバーサル・バレエが相次いで日本の舞台に立つことである。

韓国国立バレエは2002年にグリゴローヴィッチ版『白鳥の湖』『ジゼル』を持って来日。今回は埼玉県舞踊協会の主催する「ダンスセッション2012」(2月5日彩の国さいたま芸術劇場大ホール)に客演する。小品/少人数での参加と思われるが、故・藤井公が中心となって国際交流にも励んできた同協会だからこそ実現できる企画といえそうだ。

http://www.saitamaken-buyoukyokai.jp/image/guidance/event_tirasi_dancesession2.pdf

ユニバーサル・バレエは民間カンパニーであるが精力的に海外ツアーを行い、世界的なプリマであったジュリア・ムーンが芸術監督を務めている。この秋も『ジゼル』を持って首都圏3都市で公演を行い好評を博した。近年の来日公演では、『ジゼル』のほか韓国の古典文学を基にした『春香伝』という創作バレエを持ってきていたけれども、来春の来日公演(2月28−29日 パルテノン多摩大ホール)では「THIS IS MODERN」と題して、イリ・キリアンの『小さな死/6 DANCES』、ウィリアム・フォーサイスの『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド』、オハッド・ナハリンの『マイナス7』が上演される。コンテンポラリー・バレエ/ダンスのファンにとっては垂涎といえるプログラムだ。

http://www.mde.co.jp/danza/book/037/#page=28

http://www.universalballet.jp/

韓国国立バレエ、ユニバーサル・バレエともども世界の有力振付家のレパートリーを導入し意気盛んだ。同じアジアといっても体型面では大陸系の韓国の方に分がありそうな気もする。いずれにせよ、日本と韓国のバレエが、いい意味で競いあい、交流し合って、アジアのバレエの水準向上につながっていけばよいと思う。期待したい。


Korea National Ballet [Swan lake]-Pas de Trois

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韓国 ユニバーサル・バレエ 沈清

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2011-11-21

[]今年設立40周年の東京バレエ協議会が公式HP開設

今年で設立40周年を迎えた東京バレエ協議会の公式HPが11月1日付で開設された。

http://www.tba-ensemble.com/

同協議会の設立経緯は以下のようになる(HPより)。

1968年、文部省の外局として文化庁が設置されたのを機に、日本のバレエ界と文化庁を結ぶパイプラインとして連絡協議会が組織されました。そこに集まった団体の中から、それぞれが直面している共通の悩みや問題を協力しながら解決しよう、明日のバレエ界の発展のために自由に討議する場をつくろうという声があがり、1971年にスターダンサーズ・バレエ団、チャイコフスキー記念東京バレエ団、牧阿佐美バレヱ団の3つのバレエ団によって結成されたのが、東京バレエ協議会です。その5年後に東京シティ・バレエ団が加わり、現在まで続く4つのバレエ団による組織となりました。

文化予算を獲得したり、実演家の社会的地位の向上を訴えたり、観客層を広げていくためには、自助努力だけでは難しい面もある。バレエ団の枠を超えて協力すべきところは協力するというのは当然の流れであろう。とはいえ合同公演は行わない。それぞれの芸術理念を尊重する。所属団体が公演を行う時に後援するという形を取る。「四大バレエ団競演」という形で一夕の公演を持つときも個々が独自の演目を出してきた。

現在の東京バレエ協議会の活動としては、各団体の公演を後援、機関誌を年1回発行している。また、東京都の都民芸術フェスティバルを持ち回りで受け持っているようだ。来年度は、スターダンサーズ・バレエ団と東京シティ・バレエ団が参加する。

新国立劇場ができてバレエ団を持ち、テレビ局がバックアップするKバレエカンパニーが躍進するなか、民間の団体は減少気味の文化予算を何とか獲得し、そのなかで懸命に公演活動を続けているのが現状と思われる。そんななか本年度の文化庁の文化芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業)において、東京バレエ団が舞踊部門で採択件数・総予算額でトップであり、牧阿佐美バレヱ団、スターダンサーズ・バレエ団は東京圏での定期公演すべてが採択されている。各団体の長年の実績と常日頃の活動が評価されている証であり、バレエ協議会の存在感を示してもいよう。

近年ようやく一般社団法人に移行した東京シティ・バレエ団は、このところ江東区と芸術提携を結び年4回の活動を基盤にしている。一部に“江東区のバレエ団”という呼称もあって、バレエ界での存在感という点で、いささか弱いのは否めない。が、堅実に活動を続け地域密着姿勢を十数年にわたって続け培ってきた親しみやすいバレエは貴重。地域未着という点では、“日本が生んだ世界のバレエ”とも称される東京バレエ団が来春、地元の目黒にある、めぐろパーシモンホールで、子どものための『眠れる森の美女』を新制作することが報じられている。公的な助成・支援を受けていたり、公益法人等の認定を受けて活動する団体にとって地域への貢献がより求められてもくる。シティというか前理事長・石井清子の働きは先見の明があったといえるかもしれない。


闘うバレエ―素顔のスターとカンパニーの物語 (文春文庫)

闘うバレエ―素顔のスターとカンパニーの物語 (文春文庫)


バレエに育てられて―牧阿佐美自伝

バレエに育てられて―牧阿佐美自伝

2011-11-18

[]来日ダンス公演・招聘のあり方について〜ジェローム・ベル『ザ・ショー・マスト・ゴー・オン』日本版上演に思う

舞台芸術シーズンたけなわ、公演がめじろ押しのなか、一際話題を集めたのが、公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団フェスティバル/トーキョーが共催した『ザ・ショー・マスト・ゴー・オン』(11月12、13日 彩の国さいたま芸術劇場大ホール)だろう。

これはコンテンポラリー・ダンス界で注目を集める振付家ジェローム・ベルの代表作(2001年初演)。ベルはコンセプチャルで「ノン・ダンス」と称されるダンス的表現を極力排した作風によって注目される鬼才だ。『ザ・ショー・マスト・ゴー・オン』は誰しもが一度は耳にしたことがあるようなポップソングにのせ、職業や年齢や性別の異なるパフォーマーたちが出演する異色作(今回の日本版には公募キャストとDJ等29名が出演)。

闇のなか流れる「ウェストサイド物語」の「Tonaight」に続きミュージカル「ヘアー」からの「Let the Sunshine In」にのせて舞台が少しづつ明るくなる。映画「タイタニック」の主題歌として知られるセリーヌ・ディオンの「My Heart Will Go On」にのせてレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットによるお約束のポーズを皆でやったかと思うと、ビートルズの「Yellow Submarine」が鳴り響き、出演者はセリにのって沈没していく。DJが突然音響を止めたり、また鳴らしたりした挙句、舞台に乱入してソロを踊るというお遊びや、客席に照明を当て舞台に何もない時間を作ったりといった意表をつく展開も。コンセプチャルで人を喰ったような演出がつるべ打ちのように続いていく。

本作について、「ダンスとは何か」「観ることとは何か」「劇場とは何か」といった命題を問いかけたもののように喧伝されているし、ベル自身もアフタートーク他でそのようなことを言っている。いかようにも読み解くことは可能。とはいえ、ベルのコンセプトや流される楽曲のニュアンスを「理解」したうえで、ベルの挑発にのせられつつ舞台と客席で進行している事態をクールに眺めながら楽しんでいた人も多かったのではないか。10年前にパリで初演された際には、観客のブーイングを浴びて、ひと騒動になったというから、それに比べ日本の観客はベルの挑発・企みに対し、じつにクールでスマートな処置・対応をしたといえようか。あくまで個人的実感に過ぎないが…。

ともあれ10年前の作品である。いまさら、なぜこれを?という疑問を抱いていた/抱いた向きも少なくないはず。ベル作品の日本上演ということでいえば、昨年、同じさいたま芸術劇場で上演され「あいちトリエンナーレ2010」のクロージング作品ともなった『3Abschiedドライアップシート』(ローザスのアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルとの共作)という近作が先になっている。ベルが欧州コンテンポラリー・ダンス界の寵児といわれていても、その存在が日本で知られるようになったのは近年。パリ・オペラ座に委嘱された『ヴェロニク・ドワノー』や「横浜トリエンナーレ2008」の片隅でひっそり上演された『ピチェ・クランチェンと私』によってマニアックな支持を得てはいたが、比較的メジャーといえる存在になったのは昨年の『3Abschiedドライアップシート』においてだろう。

海外作品の招聘に関しては呼ぶ側の選択だけでなく諸条件やタイミングに左右されることが多いかと思う。さいたま芸術劇場としては『ヴェロニク・ドワノー』を映像上映し(「videodance2008」)、昨年の『3Abschiedドライアップシート』を経て、ベルの存在を浸透させ今回代表作上演にこぎつけたというプロセスがある。『ザ・ショー・マスト・ゴー・オン』が現地キャストで上演されるようになったのは近年ということもある。世界50都市で上演されてきたという、この10年のコンテンポラリー・ダンス界の大ヒット作を今回のタイミングで日本版にて上演したことは、それなりに時機を得たものといえるかもしれない。賛否両論あるようだが、ベルにとっても招聘者にとっても望むところだろう。議論や反響を巻き起こす力を秘めたソフトであり、刺激的であったのは確かである。

いまや誰しもが気軽に飛んで行ける時代である。来日するものだけを観ていて世界のコンテンポラリー・ダンス云々を安易には語れない時代である。各国のファスティバルに積極的に通う評論家の方もいる。個人的には、ごくまれに来日のコンテンポラリー・ダンスの評を依頼された場合、作品評というだけでなく、その作品がいま日本で紹介されたことにどういう意義があるのだろうか考えて触れるように努めているつもり。けれども結果論に過ぎないと痛感もする。すべては、めぐりあわせ。だが、一昔前のようにビッグネームや来日していない気鋭アーティストを呼ぶことに比重がかかり大きな価値がある時代は終わった。有能な招聘者ならば、誰を、いつどういう機会にどのタイミングで呼ぶか熟慮しているに違いない。そして、それがどのように影響を及ぼしていくのか。結果論であろうと、そこが問われ検証されていくことも求められるのではないか。

コンテンポラリー・ダンスのアーティストの場合、タイムラグがなく近作が継続的に紹介されるのが望ましい形ではあろう。その点、さいたま芸術劇場では、近年、ダンス界の巨匠が相次いで亡くなるなか注目度が一層増してきており、音楽ファンにも訴求するケースマイケルを定期的に招いているし、美術畑出身で現代美術に関心を抱く層にもアピールするヤン・ファーブルに関しても最近作を継続して上演している。以前はピナ・バウシュやイリ・キリアンらを招聘しビッグプロジェクトを企画していたが、近年は、先鋭的かつ広範囲にアピールできるアーティストを取り上げているように思われる。時代の要請と招聘環境に応じた、ひとつの見識に違いない。アフタートークや他の機関とリンクしてのシンポジウム等、作品理解を深める企画を比較的丁寧に行っているのも望ましい。アーティストの存在や作品の魅力を観客に届ける補助線を引くのも大切だ。観客を消費するようでは何のために誰のために招聘しているのか分からないのだから。

ザ・ショー・マスト・ゴー・オン

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Veronique Doisneau 1

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2011-11-16

[]「BALLET FACTORY(大人からのバレエ.com)」のコラム

健康づくり、スポーツ、子育て、それにバレエに関する単行本やムック本を刊行している出版社・(株)健康ジャーナル社が運営するバレエ情報サイト「BALLET FACTORY(大人からのバレエ.com)」。バレエスタジオ訪問記事やバレエ関連ブログの紹介等のコンテンツに加え数人の書き手によってバレエコラムが連載されている。

今月配信されたものをご紹介しておく。

ひとつ目は1991年〜2006年までパリに15年間在住しパリ・オペラ座をはじめフランスや欧州のバレエ&ダンスについて造詣の深い舞踊ジャーナリスト・渡辺真弓さんによる「ようこそ劇場へ」。今回は10月〜11月にかけて行われたミラノ・スカラ座バレエによる『ライモンダ』初演版復活上演についてのレポートが掲載されている。

http://www.ballet-factory.com/balletcolumn/favorite/index.html

1898年、巨匠マリウス・プティパの手によってサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で初演された原典版の再現として話題になっているプロダクション。復活上演を手掛けたのはセルゲイ・ヴィハレフ。古典バレエの復活上演に定評あり、日本でもマリインスキー・バレエが来日公演で上演した『眠れる森の美女』やNBAバレエ団による『ドン・キホーテ』『コッペリア』などプティパ・バレエ復元版が上演されている。記事を拝読すると今回のプティパ最後の大作で豪華絢爛な『ライモンダ』の初演版復活上演も大成功をおさめた模様。スカラ座提供と思われる舞台写真の数々もきれいで必見。

Petipa's Raymonda reconstruction 1/4, Teatro alla Scala, 2011

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ふたつ目は手前味噌だが「高橋森彦のバレエ&ダンス逍遥」。大阪の地主薫バレエ団による「ロシア バレエ トリプル・ビル」の模様を報告した。舞台写真11枚付。

http://www.ballet-factory.com/ballet-hyakka/gotheater/balletanddance/index.html

地主バレエは近年注目集めるカンパニーで、米の名門ボストン・バレエのトップ・プリンシパルとして現地で絶大な人気を誇っている倉永美沙や今春、英国ロイヤル・バレエに入団した若手ホープ金子扶生、貴重なノーブルダンサーにして役柄も広げ新国立劇場にソリストとして入った奥村康祐らを輩出している。今回の現代作品トリプル・ビル公演は、26歳のロシア人新進振付家コンスタンチン・セミョーノフの振付けた音楽性豊かでセンスのいい作品群を錬度高いダンサーたちが踊っており、大変見応えがあった。


金子扶生&奥村康祐『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』

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長年にわたる豊富な取材経験を誇りフットワーク抜群の渡辺さんによるワールドワイドな記事と国内のディープな公演を中心に触れているつもりの拙記事は対照的であるが、内外バランスがとれているといえるのではないかと思う。


バレエを習うということ

バレエを習うということ



バレエの鑑賞入門 (ほたるの本)

バレエの鑑賞入門 (ほたるの本)

2011-11-15

[]北九州市民文化賞に津村禮次郎、奨励賞に崔由姫

北九州市が同市出身で芸術文化活動活躍した人物に贈る今年度の市民文化賞・奨励賞を発表した。

市民文化賞に能楽の津村禮次郎(69)を、また、将来が期待される人物、団体が対象の市民文化奨励賞にバレエの崔由姫(27)を選んだ。

北九州市民文化賞:津村さんに 奨励賞は薗畠さん、崔さん /福岡

http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20111115ddlk40040447000c.html

観世流能楽師の津村は演劇やダンスとの協同作業に積極的に取り組む。先日、新国立劇場バレエ団が新制作した『パゴダの王子』ではアドヴァイザーを務めているし、2008年にセルリアンタワー能楽堂で行われた能楽とダンスのコラボレーション『ひかり、肖像』では、バレエダンサーの酒井はな、振付家・舞踊家の森優貴と共演。

崔は2002年にローザンヌ国際バレエコンクール入賞後英国ロイヤル・バレエ団に入団。現在、ファースト・ソリストとして活躍し、主役経験もある。英国ダンス批評家賞新人賞を獲得し、バレエ・ファンの注目も浴びている。

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Yuhui Choe & Young-jae Jung Black Swan PDD

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2011-11-13

[]舞台照明家・アイカワマサアキの死から間もなく一年

舞踏やコンテンポラリー・ダンス中心に活動した舞台照明家アイカワマサアキ(相川正明)が急逝したのは昨年の12月29日だった。享年61歳。コンテンポラリー・ダンスにとって2007年に45歳で亡くなった名ダンサー・野和田恵里花に続く痛恨の損失だった。

アイカワは慶應義塾大学文学部哲学科卒業後、笠井叡主宰の天使館に踊り手として参加した。後に、笠井叡、大野一雄、大野慶人、小林嵯峨、室伏鴻、山田せつ子、黒沢美香、指輪ホテル等の舞台に照明家として関わっている。JCDN「踊りにいくぜ!!」のテクニカルデイレクターを務めるなど若手を支援し、ヤミーダンス、カワムラアツノリの初期型、おやつテーブル等の若いアーティストとの仕事も少なくない。

韓国の現代舞踊や現代演劇との仕事にも力を入れ、後進を育てる「スタッフ塾」を展開した。亡くなる前後にも舞台に関わっており文字通り殉職といった感もある。

個人的には劇場等ですれ違えばご挨拶を交わす程度で、親しいお付き合いはなかったけれども、一度さる公演の打ち上げで、氏が関わっていた黒沢美香の舞台等についてお話しする機会に恵まれたことは大切な思い出である。

黒沢とのコラボレーション「薔薇の人」シリーズでは印象的な仕事をみせていたが、最後となった『南国からの書簡』(昨年9月上演)の成果によって今年6月、黒沢と高野尚美が第31回ニムラ舞踊賞に選ばれた。8月に行われた授賞式の挨拶で黒沢はアイカワへの感謝を口にしたと伝え聞く。故人への手向けとなったと信じたい。

アイカワの一周忌を迎えるにあたって彼の仲間や後進によりイベントが行われる。

まず、両国・シアターΧで開催される『オッケー!John’s アイカワ祭』(11月18、19日)では、杉田丈作、山田せつ子、黒沢美香、矢野通子、秦宜子、大野泰代、原口佳子、上田美佐子による実行委員会の指揮の下ゆかりのアーティストたちによるパフォーマンスやトークが行われるようだ。

『オッケー!John’s アイカワ祭』

http://www.theaterx.jp/11/111118-111119p.php

また、アイカワの遺志を継いで運営されているスタッフ塾の活動も見逃せない。

12月12〜16日@StudioGOO、29日@pit北/区域でコンテンポラリーダンサー、舞踏家を対象にスタッフとのコミュニケーションを深め作品を作り上げていくことを狙いとした企画を行うようだ。

ダンサーのためのスタッフ塾

http://www.stuffjuku.com/

あらためてアイカワの冥福を祈るとともに残された仲間や後進たちが彼の遺志を引き継ぎ前へと進むことを心より願いたい。

(敬省略)

2011-11-11

[]横浜市がアートフェスティバル「ダンス・ダンス・ダンス アット ヨコハマ2012」開催

横浜市が来年開催する新たなアートフェスティバルについて発表した。

報道によると来年7月中旬から10月上旬に開催される「ダンス・ダンス・ダンス アット ヨコハマ2012」と名付けられたこのアートフェスは、バレエや現代ダンス、フラダンス、ヒップホップ等のダンスの舞台を展開するもの。先日閉幕した国際現代美術展「ヨコハマトリエンナーレ」に続いて同市は2012年はダンス、2013年は音楽を発信していく。

会場は赤レンガ倉庫や神奈川芸術劇場などで、国内外で活躍するダンサーたちを誘致するほか、市民や観光客が参加できる催しも行うようだ。詳細は来春に決まる。

今後の動向が注目される。

来年はダンスステージ展開(朝日新聞)

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000001111100005

芸術薫るヨコハマに(読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20111110-OYT8T00130.htm

来年は「ダンスの祭典」、市が文化観光で成長戦略、3年輪番でイベント開催へ/横浜 カナロコ(神奈川新聞)

http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1111090025/

2011-11-10

[]『パゴダの王子』までの25年と、これから

新国立劇場バレエ団が2011/2012シーズンのオープニングを飾る舞台として、舞踊部門芸術監督デビッド・ビントレー振付『パゴダの王子』を上演した。

後年傑作物語バレエ『オネーギン』を生むジョン・クランコが振付し、イギリス人作曲家ブリテンに委嘱して創られた同作の初演(1957年)は、複雑な構成の台本のため失敗に終わったとされる。後年、英国バレエの重鎮・マクミランも振付けたが彼の代表作と呼べるものにはならなかった。英国が生んだオリジナル・バレエに新たに挑んだビントレーは、歌川國芳の浮世絵などからインスピレーションを受けて舞台に日本に変え、王子と王女のロマンス劇から兄妹愛・家族愛をテーマとする新たな物語を紡ぎ出した。

このプロダクションはビントレーが芸術監督を務めるバーミンガム・ロイヤル・バレエ団との共同制作。2014年にはバーミンガムで上演が予定される。開場から15年を前にして、海外へ発信できるプロダクションを生み出したことはひとまず評価に値しよう。

しかし、ここまでの道のりは平坦ではなかったろう。海外の旬な著名振付家に新作の大作バレエを振付けてもらうということ自体容易ではない。バレエはグローバルな芸術。一流の振付家との協同作業、文化を超えての芸術創造活動は、バレエ芸術の新たな可能性を秘めているが、実績も国際的な評価もなしに実現は難しい。

わが国の団体が海外の第一線の振付家に書き下ろしの大作を依頼して実現し国際的に大成功をおさめた最初の例は東京バレエ団がモーリス・ベジャールに委嘱した『ザ・カブキ』だろう。いわゆる「忠臣蔵」を題材とした同作は1986年に初演され、直後の欧州ツアーにおいてパリ・ロンドン・ミラノなど欧州の名だたるオペラハウスで上演され大反響を呼んだ。以後、今日にわたって内外でじつに170回余りの上演を行ってきた。全世界で東京バレエ団のみが上演できるレパートリーで、来年5月には久々となるパリ・オペラ座(ガルニエ)での上演が予定されている。初演時は賛否割れたが再演を重ね、いまや「現代の古典」という評価に落ち着いているのは周知の通りだ。国際感覚豊かなプロデューサー・佐々木忠次の偉業のひとつに数えられよう。

ついで、国際共同制作という形で大作バレエを制作したのが牧阿佐美バレヱ団がベジャールと並ぶ20世紀バレエの巨匠ローラン・プティに委嘱した『デューク・エリントン・バレエ』。『ザ・カブキ』から数えて15年後、2001年の初演で、ジャズ音楽の巨匠デューク・エリントンの音楽にのせて展開される軽快で楽しく洗練されたエンターテインメント・バレエとして話題を呼んだ。これは、イタリア・ナポリのサンカルロ劇場との共同制作で、牧バレエの上演後にナポリでも上演されている。2年後には東京のほか名古屋・大阪でも再演。これがプティとのさらなるコラボレーション『ピンク・フロイド・バレエ』ニューバージョン制作(2004年)につながり、同作は2005年、2006年、2008年とスペインやフランスでツアーを重ねた。牧阿佐美/三谷恭三の仕事も国際色豊かである。

これまで民間の力によって国際的プロダクションが実現してきたが、新国立劇場も開場から10年あまりして体力が付き、国際的人脈も得て、ビントレーに新作『アラジン』を依頼した。これが大ヒットし、ビントレーの芸術監督就任そして『パゴダの王子』に繋がる。(ここでも前舞踊芸術監督である牧の先見性を評価せねばならないだろう)。『ザ・カブキ』から25年、四半世紀、『デューク・エリントン・バレエ』から10年してやっと新国立が海外のカンパニーと共同制作して海外へ発信できる新作バレエが生まれたというのは感慨深い。『デューク・エリントン・バレエ』初演は新国立のオペラ劇場であったが、その時、新国立劇場運営財団は会場協力をするに留まっていた。それから10年してたどり着いた今回の『パゴダの王子』新制作は、新国立にとって待望の悲願のプロダクションであり、日本のバレエにとって大きな意義を持つものといえるのではないだろうか。

さらに未來の話をしよう。『パゴダの王子』や『アラジン』が海外のバレエ団に買われて上演されるとすれば喜ばしい。が、究極的には日本人が生んだ創作バレエが広く海外で上演され、創造面で世界のバレエ界に貢献できるようになることも求められてくる。民間に比べ諸条件で恵まれている新国立劇場に寄せられる期待は大きい。





闘うバレエ―素顔のスターとカンパニーの物語 (文春文庫)

闘うバレエ―素顔のスターとカンパニーの物語 (文春文庫)


2011-11-08

[]アキコ・カンダをあらためて追悼する

モダンダンスの第一人者のひとりアキコ・カンダ(本名・神田正子)が亡くなったのは9月23日のことだった。昨年10月より肺癌を患い、芸能活動と闘病を両立させていたが、9月9日〜11日まで青山円形劇場で開催されたリサイタル『花を咲かせるために〜バルバラを踊る〜』に病躯をおして出演したのち入院し、世を去ってしまった。公演中は劇場と病院を行き来して輸血を受けながら舞台に立っていたという。

最後となったリサイタル冒頭のソロ『生命(いのち)のこだま』では、弱弱しげに佇み踊るなかにも生への意思をひしと伝える。後半の『バルバラを踊る』では、はかなくも凄絶に生命を燃やし尽くすかのような懸命なアキコの踊りに慄然とさせられながらも、いついかなるときでも一切の虚飾を廃し純粋にダンスと向き合ってきた彼女らしく儚くもピュアで美しい踊りに魅了された。この公演の模様については先だって「讀賣新聞」(東京本社版)夕刊に「生命燃やし 儚く、凄絶に」と題された記事を寄稿させていただいた。

享年75歳というのは、やはり惜しまれる。アキコがマーサ・グレアムの下へ旅立つ直前に行った初のリサイタルを観て批評を書き、帰国後から最後までの公演を見続けてきた評論家の山野博大はアキコの死について“寿命の延びている最近の日本女性としては、かなり早すぎる”(インターネット舞踊誌「The Dance Times」掲載の追悼文)と記した。文芸評論家で新書館編集主幹の三浦雅士もグレアムが長生きだったので、アキコも長生きすると思い込んでいたという旨を綴っている(「ダンスマガジン」12月号所載)。無我の境地で一途にダンスを追求してきたアキコが、この先80歳、90歳と踊ることができれば、さらなる深い境地・ダンスの新たな地平が生み出せたかもしれない…。そう考えると、遺族や関係者はもとより観客にとって何よりの痛恨であり無念である。

しかし、いまとなっては、生涯現役を通し、多くの後進を育てたアキコに感謝するとともに、想いを伝え、受け継いでいくしかない。アキコ・カンダ ダンスカンパニーは遺族の理解もあって今後も高弟の市川紅美らが引き継ぎ活動していくという。来る13日(日)、さいたま市民会館おおみやホールで行われる、おおみや舞踊協会公演では、昨年のリサイタルで好評を博した『光の交錯』をアキコ・カンダ ダンスカンパニーが踊り、また、アキコの代表作『愛のセレナーデ』を洋舞協会メンバーが踊る。今回、立ち会えないのが残念だが盛会を祈っている。アキコへの何よりの手向けとなることを願いたい。

(敬称略)


アキコ・カンダ、篠山紀信 AKIKO―1971‐2006

アキコ・カンダ、篠山紀信 AKIKO―1971‐2006

2011-11-06

[]オールニッポンバレエガラコンサート2011 in いわき

日本人バレエダンサー達による復興支援チャリティー「オールニッポンバレエガラコンサート2011in いわき〜東日本大震災復興支援 特別無料公演〜」が12月28日(水)18:00いわきアリオス中劇場で行われる。

公演詳細

http://iwaki-alios.jp/cd/app/index.cgi?CID=event&TID=PAGE&dataID=00827

オールニッポンバレエガラコンサート2011 公式ホームページ

http://nippon-balletgala.com/

これはバレエダンサーで構成される実行委員会(実行委員:遠藤康行、西島千博、酒井はな、島地保武、山本隆之、森田健太郎、伊藤範子、志賀育恵、中村恩恵)と出演者および事務局で構成されるボランティア団体が今年の8月15日に東京・メルパルクホールでチャリティガラコンサートを開催し、その収益金をもとに被災地で公演やワークショップを行う活動の一環である。わが国を代表するバレエダンサーたちが、無料で被災地の人々が公演を観る機会を提供するという素晴らしい企画だ。

会場となるいわきアリオスは大震災発生直後、避難所に指定されてはいなかったけれども、多くの地元の人々が続々身を寄せ、数か月間にわたって避難所の役割を果たしたことで知られる。日頃から地域社会に親しまれ人々と厚い信頼で結ばれていた証左に他ならないだろう。先日ようやく全館再オープンとなり、シルヴィ・ギエム&東京バレエ団によるチャリティ・ガラも行われた。これはテレビ・新聞等の報道によってご存知の方も多いだろう。ギエム公演が行われ12月のチャリティガラの開催される中劇場は700席あまりと客席数が少ないのが難点だが、日本を代表するダンサーたちが被災地に赴き公演を行うことで、現地に少しでも活力をもたらしてくれること、そして大震災や原発問題が風化しないようにアピールする原動力となることを心より願いたい。

遠方から公演を見守りたいファンや関係者も少なくないはず。8月の東京公演時同様ユーストリームによる配信をぜひとも期待したいところだ。

オールニッポンバレエガラコンサート2011グランドフィナーレ ロング版

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2011-11-02

[]紫綬褒章天児牛大

2日付で発表された秋の叙勲で、山海塾を主宰する舞踏家・天児牛大(あまがつ・うしお/65歳)が紫綬褒章を受章する。

紫綬褒章受章者(時事通信)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011110200088

天児は平成15年度(第54回)に芸術選奨文部科学大臣賞を受けている。データをみると、同賞受賞が紫綬褒章受章につながることが多い。

天児の前に同賞を受けた、吉田都、下村由理恵が紫綬褒章獲得済で、天児のあと同賞に選ばれた川口ゆり子、勅使川原三郎も受章しているだけに、実績・データからして「ここで来なければ誰が来る」というくらいの極めて順当な選出といえるかと思う。

芸術選奨受賞もそうだったが紫綬褒章受章も舞踏界では初の快挙。現在休止中の朝日舞台芸術賞でも第6回(2006年度)に山海塾『時のなかの時−とき』が演劇作品を押しのけてグランプリを受賞しており、これが唯一の舞踊作品のグランプリ獲得となっている。海外での評価の高さ、受賞の多さについては述べるまでもないだろう。

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