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ダンスの海へ 舞踊評論家・高橋森彦のblog このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2012-05-24

[]東京新聞制定 舞踊芸術賞・中川鋭之助賞・日本舞踊奨励賞の受賞者インタビュー

東京新聞制定による舞踊三賞は3月3日(中川鋭之助賞)、4月30日(舞踊芸術賞・日本舞踊奨励賞)に東京新聞紙上で発表済みであるが、東京新聞のWebにも受賞者のインタビューが掲載された。

舞踊芸術賞

邦舞:若柳東穂

洋舞:石井清子

http://www.tokyo-np.co.jp/event/bu/gei/interview24.html

平成24年度 中川鋭之助賞

青山季可(牧阿佐美バレヱ団)

http://www.tokyo-np.co.jp/event/bu/nakagawa/interview24.html

第4回 日本舞踊奨励賞

井上かづ子・井上政枝

http://www.tokyo-np.co.jp/event/bu/shou/

舞踊芸術賞の石井は東京シティ・バレエ団の創設メンバーの一人で先年まで理事長を務めていた。地元江東区に根差した活動が評価され、石井版『くるみ割り人形』は江東区の冬の風物詩。これまでに橘秋子賞功労賞、江東区スポーツ・文化功労賞を受賞した。昨秋、文化庁長官表彰を受けたのに続く栄誉である。

中川賞を得た青山は牧バレエから10年ぶりの受賞者。第4回スワン新人賞に続く受賞となる。昨年は牧バレエのすべての主催公演演目に主演し『白鳥の湖』地方公演でも全4回すべてに主演している。「読売新聞」2011年11月18日夕刊に「青山季可を変えたバレエ「白鳥の湖」」と題された取材記事も掲載された。飛躍の一年だった。

2012-05-18

[]被災地を巡演するミニ・バレエ公演「ポールラッシュ・ドリーム・プロジェクト」今年も開催

「清里フィールドバレエ心の震災復興プロジェクト実行委員会」(代表:舩木上次、今村博明)が、昨年に引き続き東日本大震災の被災地を回りバレエ・コンサートを開催する。自動演奏オルガン「ポール・ラッシュ」と「清里フィールドバレエ」に出演しているバレエシャンブルウエストのダンサーたちが15日から東北3県11か所で公演(25日まで)。

ポールラッシュ ドリームプロジェクト

http://www.moeginomura.co.jp/PRDP/index.html

毎夏、山梨の清里「萌木の村」で行われる「清里フィールドバレエ」は全国各地から集った観客でにぎわいをみせている。長年にわたる野外公演でのノウハウ、フットワークの良さを活かし震災から間をおかず慰問公演を行ったのは印象的だった。昨春以降、あまたの芸術団体が被災地への慰問公演を行っているが、一過性のものではない継続的なプロジェクトであり本気度がうかがわれる。


「ポールラッシュ・ドリーム・プロジェクト2」出発式

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2012-05-17

[]わが国の舞踊団体・アーティストの海外公演状況2012‐2013

わが国ではバレエやコンテンポラリー・ダンス、舞踏など舞踊文化が盛んであるが、海外への輸出という点では遅れている面は否めない。とはいえ、さまざまな舞踊団体による海外公演が相次ぐ。文化庁の国際交流支援事業や国際交流基金等の助成を受けて公演が中心となるが、なかには海外のダンス・演劇フェスティバルから直接招聘を受けたり、海外を中心に活動しているアーティストも少なくない。ここ最近の日本の団体・アーティストの海外公演の模様について目につく範囲で簡単にまとめておく。

4月上旬、文化庁による平成24年度国際交流支援事業の採択結果が発表された。これを受けての海外ツアーがめじろ押しである。

なかでも世界的名声際立つチャイコフスキー記念東京バレエ団が第25次海外公演としてパリ・オペラ座の招待を受けガルニエ宮でベジャール振付『ザ・カブキ』を6回上演するのが話題だ(5/18-22)。由良之助役を踊り収めとする高岸直樹と上野水香のペアや柄本弾&二階堂由依という新進気鋭コンビら日替わりキャストで上演。入場券は完売の模様。こちらの公演に関しては各所で既報であるし、公演の模様は間もなく各メディアで大きく報じられるであろうから、これ以上詳しく触れないが成功を願いたい。

バレエでは、日本・モンゴル国交樹立40周年記念東京小牧バレエ団公演も注目される。6/7-8に首都ウランバートルのモンゴル国立劇場で『シェヘラザード』『マダレナ』を上演する。東京小牧バレエ団の40名に加えモンゴル国立バレエ団の賛助出演を得ての公演。創設者・小牧正英以来の親交あるモンゴルで5年ぶりの公演となる。前者のタイトル・ロールは、このバレエ団のプリマ周東早苗、金の奴隷はモンゴルのスター、アルタンフヤグ・ドゥガラー。後者はこの3月に10年ぶりに再演された創作バレエだ。東北地方を舞台に江戸時代のキリシタン弾圧の悲劇を淡く切なく描く。国際地域(アヴィニョン)平和賞受賞作品であり、前団長・故・菊池唯夫の原振付に基づき現団長の菊池宗が改作し酒井正光が改訂振付したもの。タイトル・ロールを躍進目覚ましいソリスト藤瀬梨菜、マチアスを売り出し中の逸材・風間無限、(後藤)寿庵を菊池宗が演じる。

りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館のレジデンシャル・ダンス・カンパニーNoism1は、さる4月、ワシントンD.C.公演を行った(4/26-27 John F. Kennedy Center for the Performing Arts - Terrace Theater)。『Academic -solo for 2』など3部構成の公演。「ワシントン・ポスト」紙の文化面一面に大きく取り上げられるなど反響を呼んだようだ。また、Noism1は、5月末から6月頭にかけて2011年夏に「サイトウ・キネン・フェスティバル松本2011」のメインプログラムとして初演されたバルトーク『中国の不思議な役人』『青ひげ公の城』をフィレンツェ歌劇場にて上演する(5/31-6/5 3回公演)。 金森穣が演出・振付を担当、Noism1が出演する。新潟を拠点としながらこれまで7か国10都市で海外公演を行ってきた。そして、今回は名門フィレンツェ歌劇場への登場である。日本のダンスシーンを大きく牽引する俊英・金森とNoismの動向からは目が離せない。

舞踏/コンテンポラリー・ダンスの大御所たちによる公演も相次ぐ。

この30年余り世界各地でツアーを行っている天児牛大率いる山海塾は5月末以降世界ツアーを行う。この冬には新作をパリ市立劇場で発表するようだ。5/23-28にかけてはロシアのモスクワ、サンクトペテルブルクで『とばり』を上演する。文化庁助成得ているのはフランス(リヨン、サンテティエンヌ)、スロベニア(マリボル)の公演。舞踏創成期から活躍する重鎮・笠井叡率いる天使館は昨秋、横浜で上演し好評を得た『虚舟Utrobne』をイタリアのローマ、パレルモで上演する。笠井の海外公演はこのところ、すっかり文化庁助成が定着している。超大物・麿赤兒の大駱駝艦・天賦典式フランス・メキシコツアーも文化庁助成を受けてのもので定着している。今年はフランス(パリ)、メキシコ(ガナファト、メキシコシティ、アカプルコ)の4都市での公演となる模様だ。

このところ日本での公演機会が増えている勅使川原三郎+KARASであるが、欧州中心に海外での活動も継続している。文化庁助成では一昨年秋初演の『SKINNERS』のモンペリエ公演他、ヨーロッパツアーが採択された。チェコ(プラハ)、フランス(モンペリエ)の2公演が対象となる。他にも直近では6/7-9にイスラエルのエルサレムにて『鏡と音楽』を上演する。内外での旺盛な活動は留まるところを知らない。

コンテンポラリー・ダンス界の寵児・近藤良平率いるコンドルズは国内各劇場から引っ張りだこで近藤個人の振付活動も引きを切らないが、このところ毎年のように海外公演を行っている。アジアツアー2013として中国(香港)、台湾(台北)、タイ(バンコク)公演を予定している。近藤の著書「近藤良平という生き方」のなかで、ショービジネスの世界で活躍する先輩振付家のラッキイ池田や香瑠鼓に「コンドルズはどうして海外公演ができるの?」と羨ましがられるというような記述がある。近藤とコンドルズの創作と活動展開はエンターテインメント性とアート性の按配が絶妙であり、それゆえに公立劇場等の企画にも採用されるし各種助成金等にも採択されるのだろう。それに何よりも多年代・多様な観客層に受け入れられる。コンテンポラリー・ダンスで他に「お笑い系」と思われたりポップで親しみやすく観客のついているカンパニーやアーティストもいるが、それでもストライクゾーンが狭く、エンターテインメント性とアート性の高いレベルでの共存を果たしているところは皆無なのが現状。コンドルズ一人勝ちである。近藤の資質に依るところ大であるが、制作展開のしたたかさには舌を巻かざるを得ない。

他にも文化庁助成受けての国際交流事業がある。『Node/砂漠の老人』は2007年以降内外で再演を続ける『True/本当のこと』を制作した組織による新プロジェクト。中国(香港)公演が採択された。劇団ティクバ+循環プロジェクトベルリン公演2012は現在、神戸に拠点を置くNPO法人DANCE BOXの制作によるもの。大阪時代から代表の大谷燠や気鋭の制作者で現・プログラムディレクターの横堀ふみらが地域に根ざした活動と世界を見据えた先鋭的な活動を両立させてきたが、神戸に移転してから再び地歩を固め意欲的な企画を連打している。地域の拠点の劇場、創造・発信する劇場としてエッジの利いた、それでいて公益性が高い公演を継続している姿勢は、より高く評価されていいのではないだろうか。日本-韓国ダンス交流(Exchange)プロジェクト Yokohama Dance Collection EX × Seoul Dance Collection "Dance Connection"(仮称)は公益財団法人横浜市芸術文化振興財団の制作。ご存じのように毎年2月に行われる「横浜ダンスコレクション」の主催者である。横浜ダンコレから広く世界に羽ばたいたアーティスト、振付家として社会的に認知された人は数知れない。毎年のコンペの開催に加え、過去の受賞者のケアまで心血そそぎ丁寧に行っているスタッフの熱意には、ただただ頭が下がるばかりだ。韓国やフィンランドとの国際共同制作も活発であり、今年度も日韓の交流プロジェクトが採択された。

文化庁助成以外にも海外公演は少なくない。

フラメンコ界の巨匠で文化功労者の栄誉に輝く小島章司は、きたる5/23-26にスペイン・バルセロナにて行われる「シウダ・フラメンコ」と名付けられたフェスティバルに招聘された。スペイン屈指の大規模なフラメンコ・フェスティバルだという。そのオープニングとクロージングを飾る公演に招かれたというから、いかに小島がフラメンコの本場スペインで高く評価され敬愛されているかが見て取れよう。

2008年に「トヨタコレオグラフィーアワード2008」のグランプリにあたる《次代を担う振付家賞》を獲得、昨年末には「週刊オン・ステージ新聞」新人ベスト1振付家に選出されコンテンポラリー・ダンス界の中核を担う存在に成長してきた金魚(鈴木ユキオ)は2月に自主公演「揮発性身体論」を行ったのち、5月〜7月は海外ツアーに出ている。5/17-18にはイギリスの「Jurassic Coast Earth Festival 2012」、5/27にルーマニアの「シビウ国際演劇祭」、6/1-3にはルクセンブルク2ヵ所を回る。さらに9月には新作をたずさえアメリカツアー/アリゾナ他を行うという。鈴木は土方巽の創設したアスベスト館にて舞踏を学び、独自のダンス・メソッドを追求してきた。舞踏/モダン/コンテンポラリーといったジャンル分けを超越するしなやかにして強度あるダンス・スタイルを獲得するに至った極めて貴重な存在である。内外でのさらなる活躍を望みたい。

海外のダンス・演劇フェスティバルの常連で年中世界各地を回っているのが梅田宏明/S20。ダンスだけでなく照明・音響・映像等の細部に至るまで独自の美意識を反映させた緻密なパフォーマンスを特徴とするマルチメディアアーティストである。国内での公演は少なく2009年にprecog、STスポット、横浜赤レンガ倉庫1号館が手を組んで初単独公演を組んだ際には英断に心から拍手を送った。2010年には「あいちトリエンナーレ2010」でも単独公演として取り上げられた。その際は足を運べなかったが制作サイドの見識の高さに感じ入った。梅田は直近では、5/31-6/2 シンガポールの国立劇場 Esplanade で行われる「ConversAsians」に参加。アジアの振付家を世界に紹介するフェスティバルだという。また、9月、神奈川芸術劇場(指定管理者:公益財団法人神奈川芸術文化財団)、NPO法人ドリフターズ・インターナショナル、S20の共催によって久々の単独公演が予定されている模様。ハッキリ言って必見。楽しみにしたい。

ヒップホップのテクニックをベースにしたオリジナルのダンスを志向しコンテンポラリー・ダンスに新風を吹き込んだとされるKENTARO!!はフランスやポーランドなどで公演を行っているが、昨年末にはドイツ3都市ツアーを敢行している。きたる6/1-2に東京ELECTROCK STAIRSとして韓国の「釜山ダンスフェスティバル」に参加、6/5には『雨が降ると晴れる』をたずさえ「インドネシアダンスフェスティバル」に参加するようだ。

※5/17 KENTAROを追加


闘うバレエ―素顔のスターとカンパニーの物語 (文春文庫)

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近藤良平という生き方

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NINA materialize sacrifice [DVD]

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鈴木ユキオ Yukio Suzuki 【etude】

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Holistic strata by Hiroaki Umeda

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2012-05-14

[]「トヨタ コレオグラフィーアワード2012"ネクステージ"(最終審査会)」ファイナリスト決定!

今年で8回目を迎えたコンテンポラリー・ダンスの振付家に焦点を当てたコンペ「トヨタ コレオグラフィーアワード2012"ネクステージ"(最終審査会)」の概要が14日、リリースされた。開催日時、ファイナリスト6組は以下の通り。

日時:2012年7月22日(日) 14:30開場/15:00開演

会場:世田谷パブリックシアター

●ファナリスト

岡本優 北尾亘 篠田千明 鈴木優理子 関かおり 竹内梓

http://www.toyota.co.jp/tca/

岡本優は桜美林大学卒で木佐貫邦子に師事。昨年、舞踏/コンテンポラリー・ダンス界の大御所・笠井叡振付作品『Utrobne〜虚舟〜』に出演して注目された。“POPでいて強烈な、重量感のある身体表現を目指す”といダンス集団TABATHAの活動を行い、『わたしのメキシコ』で先日行われた「NEXTREAM21」優秀賞を獲得している。

北尾亘は子役時代から役者としてのキャリアを誇りつつバレエやストリートダンスを学ぶ。桜美林大学にて木佐貫邦子に師事し、近藤良平の作品にも出ている。2009年ダンスカンパニーBaobabを結成。各種公演・イベントを主催するかたわたらショーケースやコンペにも参加。多彩なスキルを持ち一方向にはとどまらないパフォーミングアーツのスタイルを模索している。コンドルズ振付コンペティション2010準グランプリ受賞。

http://dd-baobab-bb.boo.jp/

篠田千明は演出家/脚本家/イベンター。快快(faifai)にて演出と脚本を受け持つ。演劇やダンス、イベントといった枠を超えた活動を行う。2010年『My name is I LOVE YOU』にて「チューリヒ・シアター・スペクタクル」最優秀賞受賞。昨秋ジェローム・ベル『ザ・ショウ・マスト・ゴー・オン』日本版のオーディションに合格するも演出家との意見の相違から公演2日目には降板したことにより(一部で)話題に。

http://www.faifai.tv/

鈴木優理子は16歳より木佐貫邦子に師事。日本大学芸術学部演劇学科洋舞コース卒業。在学中より浜口彩子、村本すみれの作品に参加。オーストリアにて学び、欧州で創作を上演する実績を持つ。2011年「ACT Festival 2011 Best Choreographic Direction」(スペイン)、「横浜ダンスコレクションEX 2012審査員賞」を受賞。

http://yurikosuzuki.com/Site/Welcome.html

関かおりは幼少よりクラシック・バレエを学び、のちに山田うん、大橋可也ら作品に参加。2003年より自作を発表し2007年には1980年生まれ前後のアーティストと群々(むれ)を結成。2012年には、公私のパートナー岩渕貞太との共作『Hetero』で「横浜ダンスコレクションEX 2012若手振付家のための在日フランス大使館賞」を受賞。

http://kaoriseki.info/

竹内梓は7歳よりバレエを始め、のちに妻木律子、平山素子に師事。日本大学芸術学部演劇学科洋舞コース卒。ここでは加藤みや子にもついている。文化庁新進芸術家海外留学制度によりフランスにわたり以降、フランスを拠点とする。ソロ『Le blanc』にて「横浜ダンスコレクションEX 2011MASDANZA賞」受賞。今年2月には前回のトヨタアワードのファイナリスト、石川勇太とのデュオ作品を吉祥寺シアターで披露した。

http://azzusatakeuchi.blogspot.jp/

以前はファイナリスト選出に評論家等も関わっており、最終審査に関しても海外のプロデューサーや舞踊家、評論家が務めていた。が、前回からファイナリスト選出は最終審査の審査委員を兼ねる各地の劇場等のプロデューサーが務める。良くも悪くも彼ら彼女たちなりのコンテンポラリー・ダンスの見取り図、ビジョンなのだろう。アワード開始当初は新人発掘という主眼に加えコンテンポラリー・ダンスのブランディングという側面もあったと思う。かなりの大物(業界的には)や新人とはいえないようなアーティストも選ばれていた。コンテンポラリー・ダンス界の祭典のような趣も。前回は、コンセプチャルなダンスや演劇的なダンスなども含めダンス表現の多様性を示そうという戦略を感じた。

毎回、選出に対して議論が起こるけれども、今回、最大のサプライズとなったのが篠田の選出であろう。以前、演劇畑と目されるチェルフィッチュの岡田利規が選出され、最終審査会での上演も大きな反響を得たことは記憶に新しい。前回でいえば神村恵の選出に顕著であったが、ダンス/振付の概念を問いかけるようなアーティストを選ぶことによって多様性を示し、広い分野からの注目を集める狙いがあるのかもしれない。

岡本はまだ創作歴が短いので文字通りの新人であろう。他の4者に関しては振付の質の高さと若手ながら実績があることからして順当なところだろう。篠田を除き幼少時からバレエをはじめとした身体訓練を受けており、大学でもダンスを学んでいる人が多い。今年、昨年の「横浜ダンスコレクションEX」の受賞者が入っているが、少し前のコンペ飽和期と違い無理に賞の性格や審査結果に差異を出す必然性はないのだろう。

プロデューサーの人たちがファイナリストを選び、異分野の文化人によるゲスト審査員が加わって最終審査を行うという方式になって2回目。前回の受賞者、プロジェクト大山を主宰する古家優里は、受賞者公演を東京だけでなく金沢で行い、さらには高知でも上演した。各種企画にも招聘され、古家はシス・カンパニー製作、長塚圭史演出「ガラスの動物園」の振付を手掛け大山メンバーが出演した。6月に予定される単独公演は狭き門を突破し芸術文化振興基金助成事業に採択される。まだ本格的にブレイクしたとはいえないが創作の場が広がり、社会的評価を受けた。トヨタ効果は絶大である。

前回、受賞は逸しても、審査委員を務めるプロデューサーが自劇場の企画に起用したり、他の制作関係者がトヨタの舞台を観て声をかけ実現した企画を知っている。活動の場が広がるチャンスなのは疑いない。このコンペを目指す価値はあるだろう。が、いうまでもなくトヨタに限らずコンペに入ったものだけが全てではない。応募してファイナリストに選ばれなかったからといって落胆することはない。向き不向きもある。観客(評論家やジャーナリスト含む)も面白いダンスを観たければ足を使って自分の目で探すのが王道。地道ながらマイペース、ぶれない創作姿勢で歩むアーティストを応援・支援することが大切。そのことを常に再認識させてくれることも含めての“トヨタ効果”である。

2012-05-12

[]ローザンヌ国際バレエコンクールのテレビ放送

今年2月に行われた「ローザンヌ国際バレエコンクール」決選がNHKにて放映される。

スタジオには最高得点を得てスカラシップ賞とコンテンポラリー賞を受賞した高校2年生の菅井円加(佐々木三夏バレエアカデミー)を招く。解説は、このところ定着した安達悦子(一般財団法人 東京シティ・バレエ団理事長・芸術監督)。過去の放送では、おっとりした口調で的確な解説を行いつつときに辛辣な指摘もみせ好評を博している。今回審査員を務めた吉田都、新潟発のNoismを率いる金森穣のインタビューも入る。

菅井の受賞の報は大手紙やテレビでも大きく報道された。過去にないフィーバー。1位入賞というのは確かに快挙ではある。が、先例はあるし「将来性」を評価するコンクールにおいて何よりも大切なのは「その後」である。熱狂ぶりにはを違和感を覚えた。

なにはともあれバレエに対して多大な注目が集まったのは疑いない事実である。わが国では踊り手として職業的なプロフェッショナルとして活動することが容易ではない現状がある。それを打破する足掛かりになれば何よりだと思う。菅井はハンブルク・バレエ・スクールへの留学が決まっている。世間の期待や注目をプレッシャーと感じないで、のびのびと学んで、プロの踊り手として大成してくれることを心より願っている。

今回、金森がインタビューを受けているというのはコンテンポラリー部門における菅井の高評価あってのことだろう。方々で指摘されているが、菅井の入賞の余禄のひとつがコンテンポラリー・ダンスという言葉が広く周知されたこと。得難いことだ。金森とNHKといえば同社とNHKプロモーションの共催による「NHKバレエの饗宴2012」(於:3月31日 NHKホール)においてNoismが金森振付の『solo for 2』を上演し大反響を呼んだことが思い起こされる。日本の代表的なバレエカンパニーが集ったこのガラは6月にNHKにて放映されることが決まっている。ワールドワイドな活躍を見せるNoismの活躍によって古典バレエだけでなくコンテンポラリー・ダンスの魅力が広く伝わることは望ましい。

かつて「NHKバレエの夕べ」を催し、また多くのバレエ番組を制作・放映してバレエ芸術の発展・普及に多大な貢献を果たしてきたNHKであるが、近年はマニュエル・ルグリ、吉田都によるバレエ講座を放映し今年は「NHKバレエの饗宴」を上演・放映するなどしている。バレエを取り上げる機会が再び増しているのは喜ばしい。

第40回 ローザンヌ国際バレエコンクール

チャンネル :Eテレ

放送日 :2012年 5月13日(日)

放送時間 :午後3:00〜午後5:00(120分)

ジャンル :劇場/公演>ダンス・バレエ

【ゲスト】バレエ・ダンサー…菅井円加

【出演】元英国ロイヤル、バレリーナ…吉田都、振付家・ダンサー…金森穣

【解説】安達悦子

【きき手】柘植恵水

(NHKサイト参照)

http://www.nhk.or.jp/classic-blog/100/117741.html

http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2012-05-13&ch=31&eid=16759

2012-05-02

[]「ダンストリエンナーレトーキョー2012」公式サイトがオープン!

9月〜10月に東京・青山で行われるコンテンポラリー・ダンスの一大イベント「ダンストリエンナーレトーキョー2012 / DANCE Triennale Tokyo 2012」(主催: 財団法人児童育成協会(こどもの城)、株式会社ワコールアートセンター、共催:株式会社タゲレオ出版、青山ブックセンター株式会社)の公式サイトが5月1日、オープンした。

http://www.datto.jp/

2002年にビエンナーレとしてスタートし、現在は3年に一度、世界の振付家・ダンサーが東京・青山を中心に集う国内最大級のダンスの祭典。五回目となる今回は、青山円形劇場、スパイラルホールでの公演、ワークショップのほか、青山通りに面するスパイラル1Fショウケース、シアター・イメージフォーラムでのダンスフィルム上映や青山ブックセンター本店でのダンス関連書籍のフェアやトークイベントなどを予定している。

参加予定アーティストは、ベルギー、ブラジル、フランス、ドイツ、インドネシア、イスラエル、韓国、スイス、オランダ、日本の10か国20以上のカンパニーが参加する。アラン・プラテル、ヤスミン・ゴデールといった欧州の大物だけでなく、アジアフォーカスと題されたプログラムでは、ジェコ・シオンポ(インドネシア)、チェ・シンハン(韓国)、近藤良平(日本)というアジア勢に焦点を当てる。ジャパンフォーカスと題されたプログラムでは、平敷秀人、田畑真希、21世紀ゲバゲバ舞踊団、川村美紀子という気鋭を取り上げる。

なお「ダンストリエンナーレトーキョー 2012」は文化庁の平成24年度国際芸術交流支援事業において舞踊のみならず音楽・演劇・古典芸能等含めた全採択事業のなかで最高の助成受給が予定される(5,000万円)。また、セゾン文化財団のパートナーシップ・プログラムにも選ばれ、森下スタジオが貸与される。広く内外の芸術団体等が参加し高い水準の舞台をみせるとともに、わが国のダンス界を活性化し、広範にわたる観客に訴求する国際フェスティバルとなることが強く求められる。成功を願いたい。

参加予定アーティストの動画

Out of Context - for Pina : les ballets C de la B / Alain Platel

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Yasmeen Godder - Singular Sensation - Kunstenfestival 09

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タバマ企画 「ドラマチック、の回」

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2012-05-01

[]石田種生さんが死去

舞踊家・振付家の石田種生さんが、4月30日、肺がんのため亡くなられた。83歳。葬儀・告別式は近親者のみで行い、後日お別れ会を開くという。

舞踊家・振付家の石田種生さん死去

http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20120430-OYT1T00483.htm

創作バレエ 石田種生氏が死去

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120430/k10014817971000.html

石田さんは島根県出身。慶応義塾大学に学び、同大学のバレエ研究会に属しバレエを始めた。松山バレエ団に入団、松山樹子のパートナーとして活躍し、『白毛女』『祇園祭』などの創作作品や『バフチサライの泉』などに出演した。早くから創作者としても活躍し、NHKテレビのディレクターであった藤井修治(現・舞踊評論家)の依頼に応じて日本の風土を扱った戦国三部作『枯野』『砂の城』『影武者』発表している。

1968年、東京シティ・バレエ団設立に参加し、原爆をテーマにした『ヒロシマのレクイエム−うしろの・しょうめん・だあれ』や『女面』『お夏・清十郎』などを発表。全幕バレエとしては『エスメラルダ』『白鳥の湖』などがあり、前者ではアメリカや韓国のバレエ団にも招かれ振付を行った。1980年代にはバイク事故により瀕死の重体に陥り、度重なる手術とリハビリを経て復活する。旭日小綬章、紫綬褒章を受章。東京新聞の舞踊芸術賞や橘秋子賞特別賞といった舞踊界の権威ある賞も受けている。

個人的には晩年わずかではあるが謦咳に接することができた。石田版『白鳥の湖』に関する拙評を認めていただいていたらしいこと、批評活動をはじめる以前に「石田種生の世界」と題されたリサイタルを観ていたことなどを知っていただいたこともあってか、会場等で色々ご教示いただくことも多く、賀状や御著書もお送りいただいていた。不舎という俳号で俳人としても活躍、毎年の賀状に記される句が楽しみであった。

欧州を回った経験もあるが、名匠ブルメイステルが健在の頃のモスクワに滞在したことが石田さんの創作に大きな影響を及ぼしたようだ。ブルメイステルの『白鳥の湖』における「英雄は死なない」いう姿勢に共鳴し、自らの版でもハッピーエンドを採用したというエピソードや、同じブルメイステルでも『エスメラルダ』は「駄作」と言いきり、自版では反面教師としたことなどお話しいただいた。先輩の舞踊批評家と、批評家/研究者と名乗る人物と一緒に長時間お話をうかがったこともある。最後にお会いしたのは今年の3月31日、東京シティ・バレエ団公演『ロミオとジュリエット』の公演会場。一昨年7月に体調を崩されお姿をお見かけしなくなったが久々にお見かけした。酷く痩せられ車いすに乗っておられたが、ご挨拶すると、しっかりと頷きかえしていただいた。

「創る」ということに誰よりも真摯に身を削って立ち向かわれてきた方に思う。創作バレエの巨匠堕つ、の感が強い。寂しい。東京シティ・バレエ団は設立以来古典とともに創作に力を入れ独自の路線を歩んできた。後進の中島伸欣や小林洋壱といった振付者には石田の遺志を継いで、日本の創作バレエの灯を絶やさぬよう今以上に一層の研鑽に励んでほしい。それこそが、石田さんへの何よりの手向けとなろう。そして、それを厳しくも温かく見守ることが、私の評論家としての責務だと任じ活動していきたい。

石田さんのご冥福を心より願っている。


随想 バレエに食われる日本人

随想 バレエに食われる日本人