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ダンスの海へ 舞踊評論家・高橋森彦のblog このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2013-02-22

[]K-BALLET COMPANY『シンデレラ』クローズドイベント

K-BALLET COMPANYは2001年の『ジゼル』を皮切りに続々とグランド・バレエの制作を手掛けている。『白鳥の湖』(2002年)『眠れる森の美女』(2003年)『コッペリア』(2004年)『ドン・キホーテ』(2004年)『くるみ割り人形』(2005年)『海賊』(2007年)『ロミオとジュリエット』(2009年)を芸術監督・熊川哲也独自の演出・振付によって上演してきた。

熊川版の特徴としてストーリーテリングの巧みさが挙げられる。古典の様式を尊重しつつアレンジを加える。初めてバレエを観る人にも伝わりやすい。また、大胆な構成が話題になった『くるみ割り人形』『海賊』はじめ創意豊かな解釈をほどこすことも。豪華で重厚な舞台美術・衣裳もウリである。K-BALLETの舞台は広い観客層に訴える。

K-BALLET の全幕バレエ最新作が『シンデレラ』である。2012年1月、Bunkamuraオーチャードホールの芸術監督に就任した熊川が、その直後に手掛けた舞台。全12公演ソールド・アウトを記録した。熊川が出演していないにも関わらずに。『シンデレラ』といえば熊川がプリンシパルとして在籍した英国ロイヤル・バレエ団のアシュトン版が名高いが、そのテイストも汲みながら独自のタッチで仕上げ好評を得た。美術・衣裳も豪華でファンタスティック。そして、何よりもプロコフィエフの音楽を尊重しているのが好ましい。音と一体化した振付が心地よく幻想的な物語に心地よく身を委ねることができる。

Bunkamuraオーチャードホール Kバレエ カンパニー Spring 2013「シンデレラ」

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1年ぶりの再演(3月6日〜10日@Bunkamuraオーチャードホール)に際し2月15日、東京・赤坂のTBS内でクローズドイベントが催された。

TBSアナウンサー安東弘樹の司会のもと進行。昨年の『シンデレラ』の公演をまとめた映像が映写され、その後K-BALLET COMPANYのプリンシパル松岡梨絵、プリンシパル・ソリストの宮尾俊太郎が登場しトークショウが繰り広げられた。ふたりは昨年の公演のファースト・キャストである(筆者も両者主演日に観劇した)。

いまや押しも押されもせぬトップ・ダンサーとして君臨する松岡。シンデレラの人物像について「温かくけなげで芯の強い女性」と語る。初演時、役作りに関して「誰かの真似ではなく自分のシンデレラを演じることと、2幕の(舞踏会)の衣装になったときに、お客様にジーンとしてもらえるように一幕の演技を大事にすること」を意識したという。美しいプロコフィエフの旋律だが取り組むのは難関だったらしい。「ちょっとでも音がずれると指摘されました。一番難しいのは演技のときの音の取り方。掴みにくかったですね」

甘いマスクと偉丈夫な体つきを誇る宮尾は『シンデレラ』の王子役に関して「理想の王子様。一番シンプルだけれど一番奥が深い」と話す。テレビ・映画への出演も増える売れっ子だが「ダンサーもいろんな役を演じ全くの別人になる。演じる役のバックグラウンドを考えたり研究したりする。アプローチの工程は変わらないですね」とクール。ドラマ出演がバレエに生きるか?という安東アナウンサーの質問には「その場で映像を確認できるので自分を第三者目線で観られる。お芝居の間(ま)、受ける芝居を勉強させていただきました」と謙虚に語った。

『シンデレラ』のみどころは?

松岡「幕が開いたとたん絵本が開いたかのようになる。全てがみどころです」

宮尾「世界観が完成されている。暖炉のセットなど曲がっていたりして不思議な世界観が出ている。熊川ワールド!」

その後、『シンデレラ』の衣裳制作を行なう林なつ子(工房いーち)が登壇しトークに加わった。新国立劇場のオペラ・バレエ等の衣裳制作にも携わっている第一人者だ。

『シンデレラ』の衣裳デザインは英国はじめ世界各地のバレエ団に招かれているデザイナー、ヨランダ・ソナベント。その大胆かつ複雑なデザインを形にするのは難題らしい。

「ヨランダさんは元々絵描きさんなんですが、写実的ではなく発想がどこから出てきているのか?というような、なかなかないデザイン。全部ムラ染めしなければなりません。赤ならば赤一色ではなく紫が混じったり黒が混じったりグレーが混じったりというように。業者さんに任せられないのでガスコンロに入れて染めたりもします」

バレエ衣裳制作において心掛けるのは「ダンサーをきれいに魅せなければならないこと」。『シンデレラ』で使用する衣裳は約150着。「一つひとつダンサーの寸法に合わせて作らなければいけない。オートクチュールになるんでしょうね……」と語るように、すべてが手作業。また、デザインの示す色を出すためにライティングとの兼ね合いも考える。照明スタッフに「この色を出してね!」という掛け合いもするという。

こだわりいっぱいの衣裳を身に着けるダンサーは、どう感じているのだろう。

松岡「なつ子さんの衣裳を着ると役そのものになれる。綺麗に見せてくれる。一点ものに近いしデザインも素敵で上手く踊れるような気がします!」

宮尾「本番前のスイッチの役割ですね。衣裳を着ると、その物語の人物になれる」

林は熊川との打ち合わせの際の珠玉のエピソードを披露してくれた。四季の精がシンデレラを舞踏会へと導く場面、熊川版には創意がある。「四季の精じゃなくてもいいのでは?」となり、バラ、トンボ、キャンドル、ティーカップが踊る趣向になった。松岡が「普段からシンデレラのことをみている物たちが妖精になり、守護神になってパーティへ連れて行ってくれるので心温まる」と愛着持って語るようにユニークな仕上がりだ。

職人芸を極める林だが独学だという。海外のバレエやオペラが来るとウラに潜り込んで学んだという苦労人。『シンデレラ』には思い入れが深いようだ。

「(初演の)舞台稽古で1幕が終わったとき、観ていたスタッフの皆さんが感動していました。そんなことは初めて!熊川さんも一人ひとりに頭を下げて感謝の意を示してくれました。そういう喜びが直に見えるから(仕事を)続けてこられた」

林の考える『シンデレラ』のみどころとは?

「みすぼらしい衣裳を着ていたシンデレラがスモークのなかから金色に輝いて出てくるところ。鳥肌が立ちます。まさにシンデレラ・ストーリー!」

松岡と宮尾は今回の再演にも登板する。熊川が演出・振付に徹した公演でファースト・キャストとして成功に導いたことは自信になったことだろう。再演に期する思いとは?

宮尾「いままでは熊川さんを見て役を研究していました。熊川さんが踊らないので、ずっと(自分たちの)リハーサルを観ている。より研究する機会ができた。ハードな日々を送った思い出があります。(主演した)5公演が終わったときは達成感というよりも解放感を感じました。今回は体に動きが入っているので (演技に)より深みと幅を増やしていきたいですね」

松岡「初演でタイトルロール、前例がない役柄を演じるので試行錯誤しました。ディレクターは「シンデレラとはこういう女性だ」と押しつけることなく任せてくださった。二幕で美しい衣裳を着たときに「当たり前に見える」と指摘を受け、役作りに終わりはないと感じました。演技を掘り下げていきたいと思います」

今回の再演では松岡・宮尾ペア含め4組が競演する。それぞれの個性にじむ演技を見比べるのも一興だろう。惜しみない手間と労力の掛けられた衣裳や装置・照明等のマジックもあいまって生み出される夢の舞台を楽しみにしたい。

またK-BALLETは4月11日〜14日にBunkamuraオーチャードホールでスケール大きな創作『ベートーヴェン 第九』に加え熊川がベンジャミン・ブリテン曲に振り付ける新作『シンプル・シンフォニー』、英国ロイヤル・バレエ団の専任振付家として注目される気鋭リアム・スカーレットに委嘱した新作を上演する。併せて注目したい。


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2013-02-14

[]「ダンスがみたい!新人シリーズ11」講評掲載

「ダンスがみたい!新人シリーズ11」(主催:「ダンスがみたい!」実行委員会 共催:die pratze 助成:EUジャパンフェスト日本委員会)が1月5日〜15日まで日暮里・d-倉庫で行われた。1日4組×9日間=36組の“新人”たちが妍を競った。

昨年、一昨年に続いて新人賞審査委員を務めさせていただいた(他に志賀信夫氏、貫成人氏)。

1/21日付で受賞者が公表された。

新人賞:COLONCH『エスケープ』

オーディエンス賞:井田亜彩実『魚は痛みを感じるか?』

そして、先日d-倉庫HPに講評が掲載された。

「ダンスがみたい!新人シリーズ11」受賞者の発表と審査員の講評

http://www.geocities.jp/azabubu/s11_c.html

上演時間制限は30分。ノンセレクトではなく映像審査を経ているとはいえ20分〜30分の作品が大半である。それを一日4組・10日前後みるのは容易ではない。一作年など言葉が悪いけれども時間を持て余しているような凡作もあって疲労感を覚えたのも事実である。が、今回は観るに耐えないような作品は皆無に等しかった。底上げ著しく「レベルが高い」「粒ぞろい」という声も少なくなかった。

講評で貫氏それに私も記しているが、審査委員の舞踊観は違う。多種多様な上演があり審査は困難を極めた。議論は白熱したが最終的にCOLONCHに新人賞を授与することで決着をみた。個人的には捨てがたい作品がいくつもあって心残りある。でも、合議の結果出した結論を是としたいしCOLONCHには今後ますます健闘してほしいと思う。無論、すべての参加者に対して同様である。

なお一次選考に残ったのは以下の8組(2次選考に残ったものは講評会でも公開していないので、ここでも伏す)。なお、一部で、この8組を「新人賞ノミネート」という風に表記している方たちがいるが、あくまでも審査の経緯上のことであり、公式に「ノミネート」「一次選考突破」という区分けがあるわけではないことを付記しておく。

COLONCH7g水越朋欲張りDDD政岡由衣子愛智伸江×永井由利子Cookie×Cream宝栄美希(出演日順)。

COLONCH「それから、」ダイジェスト

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井田亜彩実PR動画Asami Ida

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2013-02-13

[]セッションハウスの選ぶ第1回セッションベスト賞は中村蓉『別れの詩』に決定!

東京・神楽坂にあるセッションハウスでは地下スタジオを使用し数々の自主公演・イベントを企画制作している。なかでも若手ダンサー/振付者の公募参加による「初めの第一歩」をサポートする企画「シアター21フェス」は名物企画である。ここから出発し飛躍を遂げ、現在第一線で活躍するアーティストは少なくない。

そんな同シリーズであるが、2012年に上演された80作品中10作品を選出し6月と12月に「ダンス花」という企画を設け再演した。そのなかから年鑑の最優秀賞を選ぶという新企画を始めた。「ダンサー達の励みになれば」という願いが込められていると伊藤直子さん(セッションハウス)からお聞きした。観客票及びスタッフ票の集計を参考に審査員5名が最終審査を行って決定したようだ。セッションハウス・アワード「ダンス花」への参加作品=ノミネートは以下の10組。

6月公演 愛知伸江×永井由利子 柿崎麻莉子 清藤美智子 中村蓉 森政博

12月公演 奥野美和 咲〜saku〜 竹之下たまみ hug×boku 中村理

審査員は池野惠(評論家)、近藤良平(振付家・ダンサー)、松本大樹(振付家・ダンサー)、 伊藤孝(セッションハウス代表)、伊藤直子(振付家・セッションハウス企画監修)の5氏。

審査の結果、第1回セッションベスト賞は中村蓉『別れの詩』に決定した。

http://www.session-house.net/bestsho.html

中村は早稲田大学モダンダンスクラブにてコンテンポラリーダンスを始め2009年より小野寺修二・近藤良平の振付作品に参加、アシスタントを務める。郷ひろみMVdocomoTVCM等にも出演。2011年より創作活動を始める。身近で親しみやすい題材を巧みな構成・ダンスによって観客に示すのが特徴。親密感のあるパフォーマンスを明確なコンセプトと豊かな語り口で展開する舞台運びの上手さはなかなかのもの。

昨年、当方が審査委員を務めた「ダンスがみたい!新人シリーズ10」では新人賞には届かなかったが大好評を博し最終審査で私と志賀信夫氏がベスト3に入れ貫成人氏や上村なおか氏も彼女の才能を高く評価していた。続く5月の「ネクストリーム21ダンスコンペティション」では「審査員特別賞」を得た。そして2013年に入り、 第1回セッションベスト賞受賞。さらには先日「横浜ダンスコレクションEX2013」の「コンペティションI 作品部門」において「審査員賞」「シビウ国際演劇祭賞」という2冠に輝いた。いま、もっとも注目される立場の気鋭であるが、知性豊かで自身の足場をしっかり見据える逸材であるだけに末頼もしい。近藤良平が「ダンストリエンナーレトーキョー2012」で発表した『恋のバカンス』で近藤とともに踊るなど華と才気ある躍り手としても注目される。

ノミネートされた人を見ても期待の人たちが揃う。愛知伸江×永井由利子は先日の「ダンスがみたい!新人シリーズ11」にて新作デュオ『WHITE LETTER』を発表、近来稀に見るコンテンポラリー・バレエの清新な佳作に育ち得る可能性を示した。柿崎麻莉子はオハッド・ナハリン率いるバットシェバ舞踊団の下部組織バットシェバ・アンサンブルに入団したばかりの注目の新星。奥野美和は今年の横浜ダンコレで「若手振付家のための在日フランス大使館賞」「MASDANZA賞」を獲得、中村と賞を分けあった。中村と奥野の受賞作がともにセッションハウスを経由していることは注目すべき。1990年代半ば以降現在に至るまでセッションハウスが日本のコンテンポラリー・ダンスのメッカとしての役柄を果たし続けている証左に他ならないだろう。

なお中村の受賞作は3月30日に行われる「ダンス専科2013」にて上演され併せて授賞式も行われるようだ。

中村蓉 half 2011ver.

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Miwa Okuno PV "Put the image on my body"

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2013-02-12

[]横浜ダンスコレクションEX2013コンペ受賞結果発表!中村蓉、奥野美和が作品部門でそれぞれ2冠!!最優秀新人賞に升水絵里香!!

世界のダンスシーンへの登竜門といえる「横浜ダンスコレクションEX」が本年も開催された。メインイベントのコンペティションの受賞結果が11日発表された。

「コンペティションI 作品部門」

審査員賞:中村蓉

奨励賞シマダタダシ

若手振付家のための在日フランス大使館賞奥野美和

MASDANZA賞奥野美和

シビウ国際演劇祭賞中村蓉

「コンペティションII 新人部門」

最優秀新人賞升水絵里香

奨励賞白井愛咲

奨励賞松田鼓童

作品部門は3日間12組、新人部門(25歳以下)は3日間15組が妍を競った。

作品部門の2日目のみ観られなかったが熱戦だった。海外のダンスフェスティバルや演劇祭のディレクター等も多数来場。授賞式では12か国14人のディレクターが紹介された。同時期開催のTPAMに参加している海外の舞台芸術関係者の姿も見受けられた。ショーケースのライブパフォーマンスを含め海外からの参加者も少なくない。国際色豊かなコンペティション/フェスティバルという色彩が年を追うごとに強まっている。

作品部門の受賞結果について。

審査員の室伏鴻の講評によると安全策をとった表現より「ワイルド」「野性味」のあるパフォーマンスを評価したとのこと。たしかにシーン全体を見渡しても小器用に上手くまとめる新鋭は少なくない。挑戦する表現者を支持したいという心意気を感じた。

「審査員賞」「シビウ国際演劇祭賞」を受けた中村蓉は早稲田大学モダンダンスクラブにてダンスを始め、のちに近藤良平や小野寺修二の作品に参加しアシスタントも務めている。昨年から本格的に自身の創作を開始。「ダンスがみたい!新人シリーズ10」では、一昨年の新人部門最優秀新人賞受賞者で、その後活躍の場を広げ各賞総なめの川村美紀子の前に及ばなかったものの好評を博した。「ネクストリーム21ダンスコンペティション」にて審査員特別賞受賞。昨秋の「ダンストリエンナーレトーキョー2012」の「JAPAN FOCUS」では近藤良平とのデュオ作品に抜擢され注目を浴びた。チャーミングで華があり不思議な感性が反映されつつコンセプトのしっかりした佳作を生んでいる。横浜ダンコレに関しては昨年新人振付家部門にノミネートされたものの賞を逸したが今回作品部門で2冠を手にする快挙を果たした。来年以降のダンコレでの受賞者公演が約束されるほか2014年の「シビウ国際演劇祭」に招聘され作品上演するとともに学生向けのワークショップを行なう。楽しみな逸材だ。

「若手振付家のための在日フランス大使館賞」「MASDANZA賞」を受けた奥野美和は北村明子率いる「レニ・バッソ」のメンバーとして注目されたが、近年は自作を発表している。「ダンスがみたい!新人シリーズ9」では山海塾の舞踏手である石井則仁とともにデュオを踊り好評を博した。精度の高い動きを針の振り切れた思い切りの良さで踊るカッコよさがある。「若手振付家のための在日フランス大使館賞」は半年間(以内)フランスのアンジェの国立振付センターを中心にフランス国内でダンスを学ぶことができるというもの。「MASDANZA賞」を受けるとスペイン・カナリア諸島で開催されている国際ダンス・フェスティバル「MASDANZA」に招待される。ダンサーとしての資質を高く評価されたものと思われる。

シマダタダシが受けた「奨励賞」は審査員賞の評価において第2位に3人が入ったためそのなかから選出したとの由。室伏鴻によると「実験的」であった点でシマダが選ばれた。シマダは19歳の時から演技のメソードを奈良橋陽子主宰<UPS academy>で学び、主に即興ソロを中心に活動しているという。振付家・鈴木知久に師事。不定形かつ非常に密度の濃い独自の動きが印象的だった。

新人部門の最優秀新人賞を受けた升水絵里香は桜美林大学総合文化学群卒業。在学中に木佐貫邦子、伊藤千枝の振付作品に出演。米田沙織とのダンスデュオ<ヨネエリ>を主催し昨年の「トヨタコレオグラフィーアワード2012」オーディエンス賞受賞者・北尾亘の<Baobab>などに出演している。完成度の高いデュオには見応えがあった。近年、北尾や今回の作品部門ファイナリスト木村愛子はじめ多くの気鋭振付家/ダンサーを輩出している桜美林であるが、また新たな新鋭が誕生した。

奨励賞は二人。白井愛咲は立教大学映像身体学科を1期生として卒業。自身の振付作品を発表するほか映像作家との共同制作なども行っているという。ソロ作品において知的なアイデアと構成力、バレエを軸に独自のボキャブラリーをみせて才気煥発だった。松田鼓童は18歳でジャズ・ダンスをはじめ以後他分野のダンスを学んでいるという。男性トリオの作品であったが豊富なアイデアと巧みな構成力で押し切った。

受賞者のならびにファイナリストの今後ますますの活躍を願うばかりだ。

2013-02-09

[]第7回日本ダンスフォーラム賞発表!日本ダンスフォーラム賞大賞に笠井叡×麿赤兒、日本ダンスフォーラム賞に北村明子、川村美紀子

日本ダンスフォーラム(JaDaFo)が主催する第7回日本ダンスフォーラム賞の受賞者が8日、分かった。

同フォーラム会員である舞踊評論家・専修大学教授の貫成人氏の公式twitterのツイートによる。

【日本ダンスフォーラム(JaDaFo)賞】2012年度は、北村明子さん、川村美紀子さんにフォーラム賞、笠井叡×麿赤兒両氏に大賞と決まりました。授賞式は、3月末か4月初めの予定(調整中)。みなさまどうかお運び下さい。JaDaFo賞については、http://www.atamatote.co.jp/work/JaDaFo/jadafo.htm

JaDaFoは舞踊評論家・プロデューサーによって構成される。わが国におけるコンテンポラリー・ダンスの年間賞として創設され“提案力のある批評性(criticism)の提示と、新たな表現価値の創造性(creation)を支援”し“専門的な信頼性の高い評価基準で、今までにない視軸”を持つものを標榜している。

国内公演の作品および国際協力作品の中から年間活動に優れた成果を挙げた作家(コレオグラファー・演出家)、公演グループ、ダンサーを、日本ダンスフォーラムのメンバーが推薦し、投票、討議等によって「日本ダンスフォーラム大賞」1名(あるいは1グループ)、「日本ダンスフォーラム賞」若干名(グループ)を決定する。一作年度には「日本ダンスフォーラム賞 特別賞」が新設された。

会員は大学教授や文化人等含む社会的地位のある評論家や制作者が中心であり、コンテンポラリー・ダンスの公演を多数観ている人が多い。社会的・業界的信用あるという点がポイントである。この種の批評家を中心としたサークルの顕彰となると推薦者の「自己顕示/スタンドプレーに走る場」「おもねりたいところに媚びる機会」「お近づきになりたいアーティストへの公開ラブレター」としか思えないことも・・・・・・。有名無実で痛々しく観てはいられない。そういったものと一線画しているのは間違いないだろう。

本年度の選出について。

笠井叡×麿赤兒は舞踏界の大御所。両巨頭と各々が率いる天使館・大駱駝艦の共演した『ハヤサスラヒメ』は舞踏史/コンテンポラリー・ダンス史に残る記念碑的舞台として反響を呼んだ。各紙誌の年末回顧でも高評を受け存在感を示していた。話題性・舞台成果両面から2012年を代表するダンス公演であったことは否定できない。各自の活動も充実していた。笠井は一昨年横浜赤レンガ倉庫で初演した『Utrobne〜虚舟』をたずさえイタリア・ツアーを敢行したほか、スパイラル制作による新シリーズにて黒田育世と協同作業を行い『うみの音が見える日』を発表している。麿にとっては大駱駝艦・天賦典式 創立40周年記念公演『ウイルス』を行った記念すべき年でもあった。

北村明子は1990年代から2000年代半ばにかけてレニ・バッソを主宰。“クール”“カッコいい”と称される作風によって内外で高い評価を受けてきた。信州大学人文学部准教授でもあり教育者としても知られる。実力者久々の新プロジェクトが『To Belong』だった。これはインドネシアと日本のダンサー/音楽家/映像作家によるコラボレーション。緩急自在なダンスと異分野のアーティストの刺激的な協同作業があいまって思索的にも深く忘れ難い舞台となった(ゲネプロ所見)。

川村美紀子は昨年大ブレイクを果たした新人。ストリートダンス等を背景にしたパンチのあるダンスと独自の濃密な世界観を武器にする。「横浜ダンスコレクションEX2011」新人部門最優秀新人賞を得て一躍名が知られた。昨年は「横浜ダンスコレクションEX2012」にて初演され「ダンストリエンナーレトーキョー2012」でも上演された『へびの心臓』をはじめ快作を連打。「ダンスがみたい!新人シリーズ10 新人賞」「エルスール財団新人賞(コンテンポラリーダンス部門)」「週刊オン★ステージ新聞2012年新人ベスト1振付家」に選ばれていたが、またひとつ栄誉が加わった。

アナーキーな魅力あふれる大御所たち、新境地に足を踏み入れた実力派、もはや新人の域を超越した傑物という、世代もダンスのスタイルも大きく異なる三者であるが、2012年度のダンスシーンを大きく盛り上げ高い成果を挙げた人たちなのは間違いない。バランスの取れた良い選出ではないだろうか。

KYOTO EXPERIMENT 2011 - Akira Kasai

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『ウイルス、神様なり』 麿赤児インタビュー

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To Belong -dialogue-

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川村美紀子「へびの心臓」

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銀河革命

銀河革命


怪男児 麿赤兒がゆく 憂き世  戯れて候ふ

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