第7回日本ダンスフォーラム賞発表!日本ダンスフォーラム賞大賞に笠井叡×麿赤兒、日本ダンスフォーラム賞に北村明子、川村美紀子

日本ダンスフォーラム(JaDaFo)が主催する第7回日本ダンスフォーラム賞の受賞者が8日、分かった。
同フォーラム会員である舞踊評論家・専修大学教授の貫成人氏の公式twitterのツイートによる。

【日本ダンスフォーラム(JaDaFo)賞】2012年度は、北村明子さん、川村美紀子さんにフォーラム賞、笠井叡×麿赤兒両氏に大賞と決まりました。授賞式は、3月末か4月初めの予定(調整中)。みなさまどうかお運び下さい。JaDaFo賞については、http://www.atamatote.co.jp/work/JaDaFo/jadafo.htm

JaDaFoは舞踊評論家・プロデューサーによって構成される。わが国におけるコンテンポラリー・ダンスの年間賞として創設され“提案力のある批評性(criticism)の提示と、新たな表現価値の創造性(creation)を支援”し“専門的な信頼性の高い評価基準で、今までにない視軸”を持つものを標榜している。
国内公演の作品および国際協力作品の中から年間活動に優れた成果を挙げた作家(コレオグラファー・演出家)、公演グループ、ダンサーを、日本ダンスフォーラムのメンバーが推薦し、投票、討議等によって「日本ダンスフォーラム大賞」1名(あるいは1グループ)、「日本ダンスフォーラム賞」若干名(グループ)を決定する。一作年度には「日本ダンスフォーラム賞 特別賞」が新設された。
会員は大学教授や文化人等含む社会的地位のある評論家や制作者が中心であり、コンテンポラリー・ダンスの公演を多数観ている人が多い。社会的・業界的信用あるという点がポイントである。この種の批評家を中心としたサークルの顕彰となると推薦者の「自己顕示/スタンドプレーに走る場」「おもねりたいところに媚びる機会」「お近づきになりたいアーティストへの公開ラブレター」としか思えないことも・・・・・・。有名無実で痛々しく観てはいられない。そういったものと一線画しているのは間違いないだろう。
本年度の選出について。
笠井叡×麿赤兒は舞踏界の大御所。両巨頭と各々が率いる天使館・大駱駝艦の共演した『ハヤサスラヒメ』は舞踏史/コンテンポラリー・ダンス史に残る記念碑的舞台として反響を呼んだ。各紙誌の年末回顧でも高評を受け存在感を示していた。話題性・舞台成果両面から2012年を代表するダンス公演であったことは否定できない。各自の活動も充実していた。笠井は一昨年横浜赤レンガ倉庫で初演した『Utrobne〜虚舟』をたずさえイタリア・ツアーを敢行したほか、スパイラル制作による新シリーズにて黒田育世と協同作業を行い『うみの音が見える日』を発表している。麿にとっては大駱駝艦・天賦典式 創立40周年記念公演『ウイルス』を行った記念すべき年でもあった。
北村明子は1990年代から2000年代半ばにかけてレニ・バッソを主宰。“クール”“カッコいい”と称される作風によって内外で高い評価を受けてきた。信州大学人文学部准教授でもあり教育者としても知られる。実力者久々の新プロジェクトが『To Belong』だった。これはインドネシアと日本のダンサー/音楽家/映像作家によるコラボレーション。緩急自在なダンスと異分野のアーティストの刺激的な協同作業があいまって思索的にも深く忘れ難い舞台となった(ゲネプロ所見)。
川村美紀子は昨年大ブレイクを果たした新人。ストリートダンス等を背景にしたパンチのあるダンスと独自の濃密な世界観を武器にする。「横浜ダンスコレクションEX2011」新人部門最優秀新人賞を得て一躍名が知られた。昨年は「横浜ダンスコレクションEX2012」にて初演され「ダンストリエンナーレトーキョー2012」でも上演された『へびの心臓』をはじめ快作を連打。「ダンスがみたい!新人シリーズ10 新人賞」「エルスール財団新人賞(コンテンポラリーダンス部門)」「週刊オン★ステージ新聞2012年新人ベスト1振付家」に選ばれていたが、またひとつ栄誉が加わった。
アナーキーな魅力あふれる大御所たち、新境地に足を踏み入れた実力派、もはや新人の域を超越した傑物という、世代もダンスのスタイルも大きく異なる三者であるが、2012年度のダンスシーンを大きく盛り上げ高い成果を挙げた人たちなのは間違いない。バランスの取れた良い選出ではないだろうか。
KYOTO EXPERIMENT 2011 - Akira Kasai

『ウイルス、神様なり』 麿赤児インタビュー

To Belong -dialogue-

川村美紀子「へびの心臓」


銀河革命

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怪男児 麿赤兒がゆく 憂き世  戯れて候ふ

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