第44回(2012年)舞踊批評家協会賞・同新人賞が決定!

第44回舞踊批評家協会賞ならびに同新人賞が決定した。
2012年1月1日から12月31日までに日本国内で公演された舞踊活動が対象。
第44回(2012年)舞踊批評家協会賞、新人賞が決定
http://www.chacott-jp.com/magazine/news/other-news/442012.html

舞踊批評家協会賞
笠井叡麿赤兒 
『ハヤスラヒメ 速佐須良姫』(構成・演出・振付:笠井叡)は舞踏の異種混合ともいうべき画期的な舞台で、それぞれの若手軍団を率いた両巨頭の存在感は圧倒的で、これからのダンスシーンの可能性を予測させる成果だ
小林紀子バレエ・シアター
09年から『眠れる森の美女』『マノン』『アナスタシア』とマクミランの大作を初演。とりわけ『アナスタシア』は、歴史の一断面を鮮烈に描き、近年のバレエ表現のひとつの頂点に至った点に対して
花柳壽輔
「日本舞踊×オーケストラ」---伝統の競演----に置ける『牧神の午後』『ボレロ』の振付、及び5曲の企画、総合演出の成果に対して

舞踊批評家協会賞新人賞
大橋可也
『ウィスパーズ』『断崖』において、尖鋭的かつ繊細な舞台を独特の空間を生かして展開した成果に対して
花柳源九郎
新作『走れメロス』における卓越した表現力に対して
福岡雄大
2012年は新国立劇場バレエ団の『マノン』『シルヴィア』『シンデレラ』ほかの主要作品に主演を果たし、強靭なエネルギー溢れる舞踊を踊った
南阿豆
舞踏ソロ『傷跡』『傷跡II』の両公演で、自らの肉体的痕跡に萎縮することなくバネにして、激情と悲痛さの両極端にわたってダイナミックに踊りきったエネルギーは今後、おおいに期待できる

同協会は評論家有志による団体。3ヶ月に一度例会を持ち、年明け2月半ば頃に最終審査を行い、前年度の公演のなかから協会賞3〜5件、新人賞2〜3件程度を選ぶ。

過去の受賞者リストをみると、わが国の舞踊史が一望できる。あらゆるジャンルの舞踊から受賞者を選ぶ視野の広さと、国の顕彰や民間の財団等の賞とは違った独自の選択眼のバランスに定評あった。
会員はもちろん評論家。かつて故・村松道弥、故・江口博、故・早川俊雄ら戦後の代表的な評論家・ジャーナリストにはじまって現在の長老格の山野博大、うらわまことらが主導的な立場にあった。1990年代〜2000年代初頭くらいまではバレエやコンテンポラリー・ダンス系の中堅や文化人も多く参加し会員が30人ほどいた時期も。紆余曲折を経て現在の会員は15名ほどになっている。
評論家の団体が賞を出すことに賛否あろう。賞を出すならば推薦理由が明確であること、推薦者が対象舞台を含むジャンルにおいて業界内外から信用を勝ち得ていることが非常に重要だ。そうでなければ説得力に欠け、受賞者の方に対し非礼にあたる。日本舞踊、舞踏に関しては主導的地位にあるといっていい方が3人以上名を連ねるが、洋舞に関しては現役で幅広く舞台を鑑賞し定期的に書いている方は限られる。とはいえバレエでいえば、商業媒体に定期的に寄稿し各種審査員等も務められる立派な業績を持つ方が、お二方いらっしゃる。その方々が推薦されれば問題ないのだが……。現代舞踊やコンテンポラリー・ダンスに手が回らない状況にあるのは寂しい。
参照:http://kado.seesaa.net/article/185474540.html 舞踊評論家とその周辺(2) 舞踊批評家協会 - 観劇記 〜 No Body No Lid -
今回の選考に関して異論ない。協会賞は3件に絞ってきた。実績含め多くの人が首肯するに違いない選出であるし、新人賞に関しても話題になったり注目されている人が選ばれている印象を受ける。受賞された方々に祝意を申し上げたい。


銀河革命

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怪男児 麿赤兒がゆく 憂き世  戯れて候ふ

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ペテルブルグのバレリーナ―クシェシンスカヤの回想録

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