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2013-11-22

[]Twitterアカウントのご紹介

短文投稿サイトTwitterアカウント@dance300のTLを埋め込みました。

バレエ&ダンスに関する情報を紹介したり、寄稿情報や公演の雑感、記者会見の模様などを記しています。

フォローお待ちしております。



2013-07-12

[]鈴木忠志/SCOT 利賀からの新たなる挑戦

世界的な演出家・鈴木忠志率いる劇団SCOT(Suzuki Company of Toga−旧名 早稲田小劇場)は、1976年(昭和51年)以降、東京から富山県利賀村(現・南砺市利賀村)に拠点を移して活動している。利賀村の協力のもと、合掌造りの民家を改修した利賀山房や野外劇場などの施設を用いて公演活動を行ってきた。1982年〜1999年には、世界演劇祭「利賀フェスティバル」を催している。鈴木とSCOTの利賀での活動は内外の演劇人に影響をあたえてきた。最近では新潟・りゅーとぴあのレジデンシャル・ダンスカンパニーNoismを率いる金森穣が鈴木に兄事していることが知られる。

このたびSCOTは新たな運営方針を打ち出した。DMが届いたのだが、その内容をみると、なかなか革新的。「利賀の公演は、すべての人に開かれています」ということで、入場料金はなし。利賀で行われるSCOTの舞台や国際共同制作作品、海外からの招聘作品などを無料で観られるという。新たな支援組織「SCOT倶楽部」ができるが、観劇予約を優先的に受け付ける等の特典はあるものの会友の「お志」は「ご随意に」とのこと。その意図・狙いについては、鈴木が思いを綴った文章に譲りたい。

http://www.scot-suzukicompany.com/blog/suzuki/2013-07/#blog000142

新たな観客、潜在的な観客を掘り起こしていかなければ舞台芸術に未来はない。舞台を観てもらう機会を増やすこと。入場料無料にすることだけが、その方法ではないにせよ、アクセスしやすい環境を整えることは大切だ。鈴木の英断は注目される。

利賀には10年以上前の夏に一度行ったことがある。キャンプ場に泊まり、利賀山房や野外劇場で舞台を観劇。鈴木独自の身体訓練法である「スズキ・メソッド」のデモンストレーションも観ることができた。豊かな自然に囲まれた環境での観劇は忘れがたい経験となっている。行ったことのない方は足を運んでみるとよいかもしれない。


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2013-07-08

[]舞踊評論家・桜井勤氏が死去

音楽・舞踊・演劇・映像の綜合専門紙「週刊オン★ステージ新聞」7/12号(第1970号)によると、舞踊評論家の桜井勤氏が6月14日に死去されたとのこと。享年95歳。6月5日に肺の病気のため老人病院に入院し療養していたが間もなく亡くなられたという。

氏は従軍後、戦後に平凡社で林達夫のもと辞書編纂などに携わる。1960年代から本格的に舞踊評論をはじめ「音楽新聞」「現代舞踊」「ダンスマガジン」「BALLET」などに長年にわたって執筆を続けた。バレエ・現代舞踊・児童舞踊・日本舞踊・民族舞踊等ジャンルを問わずオールラウンドに活躍。各地の公演も回られていた。(旧)文部省や文化庁の各委員、各舞踊賞・コンクールの選考委員・審査員を歴任した。いまでは会員数が大幅に減少し洋舞方面に人材も少ないため寒々しい状況を呈している舞踊批評家協会が、かつて権威あった時期の事務局も務められていた。

晩年は体調を崩し劇場に足を運ばれなかった。最後に氏をお見かけしたのはいつだっただろう。2007年末ル・テアトル銀座で行われた小島章司フラメンコ「戦下の詩人たち 《愛と死のはざまで》」の会場でお話ししたのは覚えているが、その後しばらくして公演会場でお姿をおみかけすることはなくなった。とはいえ外出できないもののお元気だと耳にしており「セーヌ」誌に昨秋まで「桜井勤のSTAGE WATCHING」を連載されていた(現在は rememberと題し過去記事ダイジェスト掲載)。

私的に深い交流はなかったが「いつも記事を読んでいるよ」と声をかけていただき大御所・長老ぶらない気さくな方だと感じていた。実際、温厚篤実な人柄によって親しまれ多くの舞踊家たちに信頼され愛された評論家であった。私なども「桜井先生にお世話になった、今もお元気ですか?」と聞かれることが少なからずある。戦後の舞踊界を見守り続けてきた証人のひとりが、またひとり世を去った。謹んで冥福を祈る。

2013-06-02

[]平成25年度新進芸術家海外研修制度採択結果発表

文化庁の「新進芸術家海外研修制度」は、美術・音楽・舞踊・演劇・映画・舞台美術等・メディア芸術の各分野における新進芸術家に海外の大学や芸術団体・芸術家等への実践的な研修に従事する機会を提供するもの。1年派遣、2年派遣、3年派遣、特別派遣(80日間)の4種類があり、平成23年度末までに3,008名を派遣している。(以上、文化庁HPより)

平成25年度の採択結果が発表された。

平成25年度新進芸術家海外研修制度採択一覧

http://www.bunka.go.jp/geijutsu_bunka/05kenshu/pdf/25_shinshin.pdf

今年度の応募は全分野・派遣年数あわせ313で採択は79。採択率は25.2%である。前年よりもアップしているが、やはり「狭き門」である。

舞踊の採択者は12名(前年11名)。

1年 350日 松理沙モダンダンス アメリカ・ニューヨーク

1年 350日 木場裕紀 コンテンポラリーダンス、舞踊教育 アメリカ・マディソン

1年 266日 平原慎太郎 振付、演出、舞踊家スペイン・マドリッド

1年 350日 井田亜彩実 コンテンポラリーダンス イスラエル・テルアビブ

1年 350日 前納依里子 コンテンポラリーダンス ドイツ・ベルリン

1年 350日 星利沙 現代舞踊 アメリカ・ニューヨーク

1年 350日 津田ゆず香 現代舞踊(振付・ダンサー・モダンダンス) アメリカ・ニューヨーク

2年 700日 長谷川まいこ 現代舞踊・振付 フランス・パリ

2年 700日 渡辺恭子 クラシックバレエ ドイツ・カールスルーエ

特別 80日 稲毛やよい ジャワ舞踊 ヨグヤカルタ形式 インドネシア・ヨグヤカルタ

特別 80日 池田素子 現代舞踊 アメリカ・ニューヨーク

1年(15歳以上18歳未満) 350日 南帆乃佳 コンテンポラリーダンス オランダ・アムステルダム

松は富山の和田朝子舞踊研究所所属で東京新聞主催全国舞踊コンクール第一部第1位などコンクールでの上位入賞歴多数。木場はコンクールの創作部門で入賞歴がある。東京大学大学院にて学び、舞踊学会でも発表を行っている。平原は元Noismメンバーで現在はコンドルズに出ている人気ダンサー。近年は振り付けにも進出。井田は筑波大学で平山素子に師事し東野祥子のBABY-Qなどにも参加している。国際コンクール含め大小様々なコンペで入賞歴あり。前納はお茶の水女子大学出身で加賀谷香に師事。JCDN「踊りに行くぜ!」で作品発表もした。星は秋田の川村泉舞踊団所属でコンクールや現代舞踊協会の公演で活躍する若手実力者。津田は井上恵美子ダンスカンパニーのメンバー。近年各種コンクールで上位を占め井上作品には欠かせない。

長谷川は二見一幸のダンスカンパニーカレイドスコープ等の活動に参加し埼玉全国舞踊コンクール現代舞踊シニア部門で第1位に輝いている。公私のパートナー坂田守と共作した『amulet』で東京新聞主催全国舞踊コンクール創作部門第1位。前年ひと足さきに坂田が在研(2年)を得たため同時にパリに移住した。才人ふたりが何を学んで帰ってくるのか気になるところ。渡辺はスターダンサーズ・バレエ団で主役経験もある注目のバレリーナ。伊藤胡桃に師事しドイツのライプツィヒで踊っていたこともある。テクニックが正確で踊りの表情が豊か。古典やバランシン、鈴木稔作品など何を踊らせても目をひく存在だ。

池田は現代舞踊界の中堅屈指の舞踊家・振付家のひとり。昨秋初の単独公演を行った。指導者としても評価が高い。

南帆は児童舞踊界の超名門・平多正於舞踊研究所所属で現代舞踊のコンクールジュニア部門で好成績を挙げている。

稲毛については当方不勉強なので活動を実際に把握しておりません。

今年はバレエの人が例年に輪をかけて少ないかも。それに女性がほとんど。あと採択者の分野について「現代舞踊」「モダンダンス」「コンテンポラリーダンス」というジャンル分けが、もはやよくわからない感じもする。自称なので何でも構わないが。

とにもかくにも近年はいろんなタイプの人が選ばれていて良い傾向。応募書類提出に関しては芸術団体経由でなくとも都道府県・政令指定都市に出せる。コンクール等での賞歴などが重視されるのでは?とあきらめる人もいるかもしれないが、そういったタイトルを持っていないような人でも最近は採択されている。一定の実績があり、受け入れ先と推薦書がしっかりしていれば可能性あるのでは。数年前には舞踊家・振付家ではなくバレエのレッスンピアニストを派遣したこともあった。音楽の枠ではまず無理だろう。いろいろ意見もあろうが、裏方だけれども重要な仕事を担う若者にチャンスをあたえる良い選考に思う。

在研制度はなかなか恵まれていて、往復の航空賃(エコノミークラスの実費)と支度料(2万5千円)のほか滞在中は日当・宿泊費が支払われる(地域や研修期間によって支給額は異なる)。人材育成支援というのは、すぐに結果の出ないもの。文化予算の削減という話になると、真っ先にやり玉にあがるところだ。以前よりも予算は縮小しているとはいえ、それでも長い目で見て芸術界の将来を担う人にチャンスが開かれているのは喜ばしい。日本には劇場文化がないしプロフェッショナルと呼べるカンパニーも少ない。「本場」という言葉を安易に使いたくないが、ただ自分が踊る・創るだけでなく、恵まれた環境に身を置き、広範な視点から舞台芸術を考えられるまたとない機会だろう。

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2013-03-12

[]平成24年度(第63回)芸術選奨文部科学大臣賞及び同新人賞発表 山本隆之、森山開次らに決定!

文化庁は12日、平成24年度(第63回芸術選奨文部科学大臣賞及び同新人賞を発表した。

平成24年度(第63回)芸術選奨文部科学大臣賞及び同新人賞の決定についてhttp://www.bunka.go.jp/ima/press_release/pdf/geijyutsusensyo_130312_ver2.pdf

舞踊部門は以下のとおり決定した。

芸術選奨文部科学大臣賞

山本隆之(職業:バレエダンサー 授賞対象:「アンナ・カレーニナ」他の演技)

贈賞理由

山本隆之氏は新国立劇場のダンサーとして、ほとんど全ての作品で主役を踊り、同バレエ団では名実ともにトップダンサーである。氏のダンサーとしての資質は、まず気品があり、どんな役を与えられても自分自身の色に染め、誰にもまねの出来ない空間を創ることの出来る日本には稀な逸材である。平成24年3月の新国立劇場における「アンナ・カレーニナ」は、エイフマン振付のもので、高度なテクニックと豊かな表現力の必要な作品であるが、氏は見事にカレーニン役を自分のものとして熱演し、深い感銘を与えた。

芸術選奨文部科学大臣賞

吉村輝章(職業:日本舞踊家 授賞対象:「座敷舞道成寺」他の演技)

贈賞理由

上方舞四流の家元の中で吉村輝章氏は、生まれも活動の拠点も東京であるのが異色だが、吉村流六代目を継承後、流儀の結束に尽力。自身の大病をも克服して、近年は一段と円熟味が増し、味わい深い舞が注目されている。とくに本年は着流しで舞った長唄「座敷舞道成寺」(2月18日・国立劇場、10月13日・国立文楽劇場)が上方特有の品ある色香を漂わせ、格調高い舞台に仕上げた。他にも一中節「都見物左衛門」(5月3日・国立劇場)や上方唄「世界」(11月23日・国立劇場小劇場)で洗練された技芸と芸域の広さを示した。

文部科学大臣新人賞

森山開次(職業:ダンサー・振付家 授賞対象:「曼荼羅の宇宙」の成果)

贈賞理由

その柔軟な感受性と身体能力によって、舞踊のみならずミュージカルや演劇、テレビ等幅広いジャンルで活躍してきた森山開次氏は、日本の伝統文化への共感も深い。10月に新国立劇場で初演の「曼荼羅の宇宙」では、高木正勝演奏のピアノと対峙する渾身のソロ「虚空」と、5人の優れたダンサーを起用した「書」からなる二部構成の舞台を演出振付し、さらには自ら曼荼羅図を描く等多才ぶりを発揮。人間の生の営みを通して知の記憶を呼び覚ますと同時に、豊饒な精神を感じさせた。独自の世界観を知らしめ、舞踊の可能性を広げた功績を称えたい。

非常に権威ある顕彰である。日本のバレエ・ダンス史に残る大物舞踊家、振付家でもタイミングを逸したためであろうが受賞していないケースも多々ある。

授賞理由や活躍ついては文化庁が公表しているものを参照されたし。新国立劇場での公演の受賞が連続しているが、目立つ場所において好条件で公演できる/踊れることも、運を含め実力であろう。

山本は2007年に新人賞を授賞済。それ以来の進境ぶりが評価されたのだろう。日本を代表するダンスール・ノーブルのひとりであり『アンナ・カレーニナ』カレーニン役は確かに名演だった(アンナ役の厚木三杏の好演も見逃せない)。選考基準の「これまでの業績に加え、将来性、年齢、他の受賞歴等も勘案して選出する」という点からすると、現在、山本は古典全幕の主役は踊らなくなりつつあり「将来性」という点で、やや引っかかる向きもあるかもしれない。しかし、何も主役だけがすべてではない。『シンデレラ』の義姉や平山素子『兵士の物語』悪魔などキャラクター役にも味をみせ独自の境地を開きつつあるのでフォローできそうだ。実績その他は申し分ない。

各種メディアに注目される森山に関しては秋の芸術シーズンまっさかりに新国立劇場主催公演で話題作を発表。ソロ作品に加え男性5人を使った群舞を発表した。これは彼にとって初となる本格的な群舞作品なのでは。ソロ公演等で魅せる美術的センスには独自のものがあり魅力的なクリエイターである。が、大人数を動かす振付家としては、まだこれからという面もあろう。今後のさらなる活躍を期待したい。なお第29回江口隆哉賞(制定:現代舞踊協会)とのダブル受賞となった。

贈賞理由に加え、このところ選考委員・推薦委員が発表と同時に公表されるようになった。さらに本年度は審査経過も明記されている。オープンな姿勢は望ましい。

選考経過

舞踊部門では選考審査員と推薦委員から、文部科学大臣賞の候補として11名、新人賞の候補として16名の名前が挙がった。まず例年に比べて推薦が少なかった大臣賞の候補者各人について、推薦した委員から活動の詳細と推薦理由が述べられた後、質問や議論が交わされ、推薦委員からの候補者に関しても、推薦理由と添付された資料をもとに意見が交わされて、全員で客観的情報を共有するに至った。次に新人賞候補16名について、同じ手順で議論が尽くされ、最終的に投票した結果、二次選考の対象として大臣賞候補4名、新人賞候補5名を残した。第二次選考審査会では、一次選考での議論に補足するかたちで意見が述べられた後、投票に移った。まず大臣賞で、1名が全員の賛同を得たが、残り1名の枠について、該当者なしとすることも含めて議論が行われ、結果的に地唄舞の吉村輝章氏、バレエダンサー山本隆之氏の2名を選出した。新人賞は最初の投票で3名にまで絞られたが、票数が等しく三者に分かれて難航し、長い議論の末に再度投票して、森山開次氏を選んだ。

選考委員

藍本結井(舞踊評論家)

池野惠(舞踊評論家)

佐々木涼子(東京女子大学教授)

篠原聖一(公益社団法人日本バレエ協会業務執行常務理事)

西村彰朗(演劇評論家)

丸茂美惠子(日本大学教授、舞踊評論家)

推薦委員

尼ヶ崎彬(学習院女子大学教授)

稲田奈緒美(舞踊評論家、昭和音楽大学バレエ研究所准教授)

上野房子(舞踊評論家、明治大学非常勤講師)

鈴木英一(聖学院大学講師)

高畠整子(朝日新聞企画委員(シニア・スタッフ)、社団法人当道音楽会理事)

永田宜子(新国立劇場運営財団研修主管)

長野由紀(舞踊評論家)

坂東亜矢子(演劇評論家)

平野英俊(舞踊評論家)

守山実花(尚美学園大学非常勤講師)

2013-02-09

[]第7回日本ダンスフォーラム賞発表!日本ダンスフォーラム賞大賞に笠井叡×麿赤兒、日本ダンスフォーラム賞に北村明子、川村美紀子

日本ダンスフォーラム(JaDaFo)が主催する第7回日本ダンスフォーラム賞の受賞者が8日、分かった。

同フォーラム会員である舞踊評論家・専修大学教授の貫成人氏の公式twitterのツイートによる。

【日本ダンスフォーラム(JaDaFo)賞】2012年度は、北村明子さん、川村美紀子さんにフォーラム賞、笠井叡×麿赤兒両氏に大賞と決まりました。授賞式は、3月末か4月初めの予定(調整中)。みなさまどうかお運び下さい。JaDaFo賞については、http://www.atamatote.co.jp/work/JaDaFo/jadafo.htm

JaDaFoは舞踊評論家・プロデューサーによって構成される。わが国におけるコンテンポラリー・ダンスの年間賞として創設され“提案力のある批評性(criticism)の提示と、新たな表現価値の創造性(creation)を支援”し“専門的な信頼性の高い評価基準で、今までにない視軸”を持つものを標榜している。

国内公演の作品および国際協力作品の中から年間活動に優れた成果を挙げた作家(コレオグラファー・演出家)、公演グループ、ダンサーを、日本ダンスフォーラムのメンバーが推薦し、投票、討議等によって「日本ダンスフォーラム大賞」1名(あるいは1グループ)、「日本ダンスフォーラム賞」若干名(グループ)を決定する。一作年度には「日本ダンスフォーラム賞 特別賞」が新設された。

会員は大学教授や文化人等含む社会的地位のある評論家や制作者が中心であり、コンテンポラリー・ダンスの公演を多数観ている人が多い。社会的・業界的信用あるという点がポイントである。この種の批評家を中心としたサークルの顕彰となると推薦者の「自己顕示/スタンドプレーに走る場」「おもねりたいところに媚びる機会」「お近づきになりたいアーティストへの公開ラブレター」としか思えないことも・・・・・・。有名無実で痛々しく観てはいられない。そういったものと一線画しているのは間違いないだろう。

本年度の選出について。

笠井叡×麿赤兒は舞踏界の大御所。両巨頭と各々が率いる天使館・大駱駝艦の共演した『ハヤサスラヒメ』は舞踏史/コンテンポラリー・ダンス史に残る記念碑的舞台として反響を呼んだ。各紙誌の年末回顧でも高評を受け存在感を示していた。話題性・舞台成果両面から2012年を代表するダンス公演であったことは否定できない。各自の活動も充実していた。笠井は一昨年横浜赤レンガ倉庫で初演した『Utrobne〜虚舟』をたずさえイタリア・ツアーを敢行したほか、スパイラル制作による新シリーズにて黒田育世と協同作業を行い『うみの音が見える日』を発表している。麿にとっては大駱駝艦・天賦典式 創立40周年記念公演『ウイルス』を行った記念すべき年でもあった。

北村明子は1990年代から2000年代半ばにかけてレニ・バッソを主宰。“クール”“カッコいい”と称される作風によって内外で高い評価を受けてきた。信州大学人文学部准教授でもあり教育者としても知られる。実力者久々の新プロジェクトが『To Belong』だった。これはインドネシアと日本のダンサー/音楽家/映像作家によるコラボレーション。緩急自在なダンスと異分野のアーティストの刺激的な協同作業があいまって思索的にも深く忘れ難い舞台となった(ゲネプロ所見)。

川村美紀子は昨年大ブレイクを果たした新人。ストリートダンス等を背景にしたパンチのあるダンスと独自の濃密な世界観を武器にする。「横浜ダンスコレクションEX2011」新人部門最優秀新人賞を得て一躍名が知られた。昨年は「横浜ダンスコレクションEX2012」にて初演され「ダンストリエンナーレトーキョー2012」でも上演された『へびの心臓』をはじめ快作を連打。「ダンスがみたい!新人シリーズ10 新人賞」「エルスール財団新人賞(コンテンポラリーダンス部門)」「週刊オン★ステージ新聞2012年新人ベスト1振付家」に選ばれていたが、またひとつ栄誉が加わった。

アナーキーな魅力あふれる大御所たち、新境地に足を踏み入れた実力派、もはや新人の域を超越した傑物という、世代もダンスのスタイルも大きく異なる三者であるが、2012年度のダンスシーンを大きく盛り上げ高い成果を挙げた人たちなのは間違いない。バランスの取れた良い選出ではないだろうか。

KYOTO EXPERIMENT 2011 - Akira Kasai

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『ウイルス、神様なり』 麿赤児インタビュー

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To Belong -dialogue-

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川村美紀子「へびの心臓」

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銀河革命

銀河革命


怪男児 麿赤兒がゆく 憂き世  戯れて候ふ

怪男児 麿赤兒がゆく 憂き世 戯れて候ふ

2013-01-23

[]平成24年度名古屋市芸術賞発表 芸術奨励賞に倉知可英

名古屋市では、音楽・演劇・舞踊・美術・文芸等の芸術領域の優れた創造活動を顕彰するために、名古屋市芸術賞(名古屋市芸術特賞及び名古屋市芸術奨励賞)を設置している。平成24年度の受賞者が22日、明らかになった。

奨励賞に現代舞踊の倉知可英が選ばれた。

芸どころ名古屋において内外で活躍する舞踊家は少なくないけれども同賞に選ばれる人は多くない。近年では深川秀夫(特賞)、平山素子(奨励賞)といった内外でのキャリア豊富な大物が顕彰されている。倉知も実力者である。

倉知は6歳から大叔母で名古屋の現代舞踊の祖・奥田敏子にモダンダンスを学ぶ。石井みどり、折田克子、倉知外子に師事しコンクール等での受賞も経験している。1998年「愛知県新進芸術家海外留学等補助事業」の助成を受けジャン=クロード・ガロッタ率いるグルノーブル国立振付センターで2年間研修。その後、ガロッタのカンパニーに在籍し世界20か国をツアーで回っている。ガロッタといえばフランスのヌーヴェルダンスの代表的旗手として注目され現在も第一線で活躍する世界的振付家である。

2006年に帰国後は名古屋を拠点に国内外で舞踊家/振付家として活躍している。ガロッタのカンパニーで同僚だったヤニック・ヒューゴンとKAYAKU PROJECTを結成。また、ジャイロトニック&ジャイロキネシストレーナーとしても活動している(2011年にGYROKINESIS®のトレーナー資格取得)。

東京では2007年に青山劇場・青山円形劇場のプロデューサーであった故・高谷静治の肝いりによって「日韓ダンスコンタクトVol.9」に招聘され『RAOUX 1998』を踊り存在を示した。昨年秋に石井みどり・折田克子舞踊研究所「I.O Dance Flame」で披露した『innermost〜深いトコロ〜』には、ただただ圧倒された。精神の均衡と揺らぎを彷徨っているかのような一人の女性の在り様が、狂おしいほど痛切に伝わってくる。現代舞踊の名家に育ち、世界の最前線で踊ったキャリアを持ちながら安住しない。彼女独自の舞踊を追及するストイックかつ意志の強い表現に感銘を受けた。

異分野のアーティストとのコラボレーションにも積極的で、あいちトリエンナーレ2010「祝祭ウィーク公演」では役者・演出・歌手など多彩に活動する児玉たまみと共演し『光の記憶』を発表している。そして、海外経験豊富でありながら、いや、だからこそであろうか「日本人であること」への意識の持ち方にもこだわりがあるようだ。昨春、名古屋市文化振興事業団・(社)現代舞踊協会中部支部が共催した「花より華らしく・・・芸術に生きた女・女・女」では日本初の女優といわれる川上貞奴をテーマに『Ma Sad Yacco〜 凛として咲くが如く〜』を発表。好評を得ている。

『光の記憶』では、日本人としてはじめてミラノ・スカラ座バレエ学校を卒業しミーシャ・ヴァン・ヌック・バレエアンサンブルやチリのサンティアゴ市立歌劇場バレエ団活躍した中田一史を抜擢し、『Ma Sad Yacco〜 凛として咲くが如く〜』では、天野天街率いる少年王者舘の役者であり二見一幸のダンスカンパニーカレイドスコープ等に出演している若手・池田遼を登用した。若き精鋭を見抜く目も持ち併せているようだ。

あいちトリエンナーレ2013「祝祭ウィーク事業」の『光の記憶II』では、児玉をはじめさまざまなアーティストと「グローバルなコラボレーション」を目指すという。注目したい。

Ma Sada Yacco〜凛として咲くが如く〜 ダイジェスト版.avi - YouTube

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2012-12-24

[]「週刊オン★ステージ新聞」2012新人ベスト1決定!舞踊家:秋元康臣、振付家:川村美紀子

音楽・舞踊・演劇・映像の綜合専門紙「週刊オン★ステージ新聞」2013年1月号に恒例の洋舞ベスト5とアンケート選出による新人ベスト1舞踊家&振付家が掲載されている。

これは舞踊評論家/ジャーナリストが各々のベスト5を挙げるとともに新人ベスト1として舞踊家/振付家それぞれに対して票を投じるもの(各カテゴリー2名まで)。本年度は以下の16名が投票した。池野惠、上野房子、海野敏、うらわまこと、門行人、児玉初穂、佐々木三重子、佐々木涼子、桜井多佳子、祐成秀樹、新藤弘子、高橋森彦、長野由紀、山野博大、村山久美子、渡辺真弓(五十音順・敬称略)。

結果、下記のように新人ベスト1が決定した。

新人ベスト1舞踊家秋元康臣

新人ベスト1振付家川村美紀子

新人舞踊家はおおむね30歳くらいまでが対象となる。秋元はロシア・バレエ・インスティチュートを経てボリショイ・バレエ学校に編入・卒業。NBAバレエ団では若くしてプリンシパルとして活躍する。小柄ながら端正なテクニックとしなやかな身体使いが魅力的な踊り手だ。2010年に熊川哲也Kバレエカンパニーに入団。今年は『シンデレラ』『ドン・キホーテ』などに主演した。まだ20代半ばと若く、さらなる活躍が期待される。

Kバレエカンパニー メンバー情報 秋元康臣

新人振付家はおおむね40歳くらいまでが対象となる。川村は1990年生まれ!今春、日本女子体育大学の舞踊学科を卒業したばかりの新星。高校時代からはじめたストリートダンスを出発点にコンテンポラリー・ダンスシーンに旋風を巻き起こす。昨年から今秋にかけて「横浜ダンスコレクションEX2011最優秀賞新人賞」「ダンスがみたい!新人シリーズ10新人賞」「第1回エルスール財団新人賞(コンテンポラリーダンス部門)」と立て続けに受賞。「ダンストリエンナーレトーキョー2012」にも招待された。ソロだけでなく群舞の入ったフルイブニングの作品も制作している。要注目の奇才だ。

川村美紀子 公式サイト

舞踊家の次点は二階堂由依(東京バレエ団)、中家正博(牧阿佐美バレヱ団)。二階堂は『ザ・カブキ』顔世、子どものためのバレエ『眠れる森の美女』オーロラ、中家は『ノートルダム・ド・パリ』フロロで鮮烈な活躍を見せたが、いま少し古典全幕主演経験を積めばシーンを担う存在としての地位を確立するだろう。振付家の次点は大柴拓磨、田畑真希、舩木城、山本康介。小林十市とのデュオ作品が話題を振りまいた大柴、コンテンポラリー・ダンス界きっての実力派作家である田畑、NBAバレエ団公演委嘱作品が注目された舩木、英国時代にビントレーの薫陶を受けた才人・山本が続く。

洋舞ベスト5の選出や選者のコメント等は誌面を参照されたし。

Akimoto Yasuomi Flame of Paris variation

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川村美紀子「へびの心臓」

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2012-12-12

[]読売新聞 【回顧2012舞踊】バレエ菅井などで例年になく脚光

「読売新聞」東京本社版12/11夕刊「クラシック 舞踊」に2012年のバレエやダンスを回顧する記事が出ている。

【回顧2012舞踊】バレエ菅井などで例年になく脚光

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/stage/theater/20121211-OYT8T00989.htm

祐成秀樹 記者による回顧と評論家三氏(海野敏、立木子、村山久美子各氏)のベスト3。

冒頭、菅井円加のローザンヌ入賞、それに端を発し浮き彫りとなった「日本バレエ界の現状」や中学体育授業におけるダンス必修化にも触れている。話題豊富な一年であったことを再確認した。

公演に関しては来日もの・国内で話題になった公演やフェスティバルを挙げつつバレエでは話題が集中しがちなKバレエカンパニーや新国立劇場だけでなく松山バレエ団、牧阿佐美バレヱ団、東京小牧バレエ団など老舗の活動にも触れているのが印象的。

バレエダンサーではマリインスキー・バレエの至宝と称されるウリヤーナ・ロパートキナ、国内公演では米ボストン・バレエ団で活躍する倉永美沙(東京小牧バレエ団『白鳥の湖』客演)の名が挙がっている。ロパートキナに関しては評論家の三氏の挙げるベスト公演でも彼女の主演舞台が対象なので衆目一致する賞賛といっていいだろう。倉永はローザンヌ入賞後、モスクワ、ジャクソンの各コンクールでゴールドメダルを獲った日本人最高のタイトル・ホルダー。今回が東京での初の全幕主演となった。

コンテンポラリー・ダンスや舞踏にも目配り。笠井叡、麿赤児、黒田育世、勅使川原三郎の仕事に着目している。石田種生さん、若松美黄さんというバレエ、現代舞踊それぞれの巨匠の死についても記されている。あらためて合掌。

Ulyana Lopatkina & Danila Korsuntsev in Swan Lake (Pas de Deux)

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Principal Dancer Misa Kuranaga

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随想 バレエに食われる日本人

随想 バレエに食われる日本人


銀河革命

銀河革命


2012-09-21

[]平成23年度財団法人松山バレエ団顕彰 発表

世界的プリマ・森下洋子の第24回高松宮殿下記念世界文化賞受賞という吉報に沸いているであろう松山バレエ団であるが、平成23年度財団法人松山バレエ団顕彰の受賞者が21日、明らかになった。

芸術賞木村公香(木村公香アトリエ・ドゥ・バレエ 主宰)

教育賞故 福田一平(元日本民俗芸能協会 会長)

平成二十三年度特別賞平多浩子(平多浩子舞踊研究所 主宰)

平成二十三年度特別賞今村博明川口ゆり子(バレエシャンブルウエスト 主宰)

今年で22回目。洋舞のジャンルを問わず教育者を含め全国各地の舞踊関係者のなかから目配りよく顕彰するユニークな賞である。

芸術賞の木村は日本の洋舞における本流を歩んで来た指導者である。現代舞踊のパイオニア石井漠に学んだのち戦後バレエの礎を作った小牧正英率いる小牧バレエ団の絶頂期の活動に参加した。そして、チャイコフスキー記念東京バレエ学校開校とともに同校でワルラ−モフ、メッセレル、スミルノフらに学ぶ。正しいロシア・バレエのメソッドを習得し同校では指導にもあたった。レニングラード・バレエ学校(現ワガノワ・バレエ・アカデミー)に日本人として初めて学び、わが国を代表するノーブル・ダンサーとして活躍し現在ロシア・バレエ上演の第一人者である法村牧緒も留学直前の学生時代に木村の指導を受けている。子女の斎藤友佳理はご存じ東京バレエ団のプリマバレリーナとして内外で大活躍。主宰するアトリエ・ドゥ・バレエは斎藤の師であるエカテリーナ・マクシーモア記念の名を冠し、斎藤やその夫君でボリショイ・バレエのプリンシパルであったニコライ・フョードロフも指導にあたっている。昨年は公益社団法人日本バレエ協会関東支部神奈川ブロック公演において『ジゼル』全幕を振付けた。主演したのは斎藤と法村牧緒の子息にあたる法村圭緒だった。長きにわたり確かなロシア・メソッドに基づく指導を継続してきた木村の功績が評価されたのは喜ばしい。

教育賞の福田は昨年9月に逝去した。早大時代からモダンダンスを踊り創作する。のちに評論に転じ洋舞・邦舞問わず健筆をふるい「朝日新聞」「東京新聞」などに寄稿。文化庁や民間の顕彰・助成、舞踊コンクールの審査委員を歴任した。舞踊評論の頂点を極め一時代を築いた存在だったといえる。晩年まで演出家として活躍し、歌舞伎座の「俳優祭」の演出等も行った。日本女子体育大学で教鞭も取った。多くの仕事のなかでも終生情熱を注いだのが民族舞踊の研究・紹介である。日本民俗芸能協会の会長を務め国際交流基金などと提携し海外公演も実現させた。教育者というか指導者、普及者としての多大な功績があらためて顕彰されたということになる。ちなみ福田は昨年まで、この松山バレエ団顕彰の選考委員を務めていた。本年度の任期中に逝去したため今回は藤井修治、うらわまこと、清水哲太郎の三氏が選考したようだ。

本年度は選考委員の推挙により特別賞として東日本大震災復興に尽力した舞踊関係者に贈られることになった。

平多浩子は仙台で舞踊研究所を主宰。日舞から現代舞踊に転じ江口隆哉に師事した。仙台発のモダンダンスの祭典「ダンスと杜の仲間たち」をプロデュースするなど内外に広く目を向けた活動を行っている。昨夏は東日本大震災の影響を受け仙台の多くのホールが使用できないなか当初予定していた会場とは場所を異にしながらも「One for all, all for one」のもとに発表会を行い大成功を収めたという。大震災に負けず奮闘する東北の舞踊家は多いが、その代表として平多に賞が贈られたのだろう。

今村・川口は牧阿佐美バレヱ団のプリンシパルとして活躍した経験を活かし八王子を拠点にバレエシャンブルウエストを展開している。古典バレエをきっちり上演するとともに『タチヤーナ』『天上の詩』など創作バレエに手腕を発揮し文化庁芸術祭大賞を2度獲得。昨年も『LUNA』の再演によって文化庁芸術祭優秀賞を得た。また、山梨県・清里高原で「清里フィールドバレエ」を開催し今年で23年目となる。創造と普及両面で日本のバレエの向上に貢献してきた。昨年は「清里フィールドバレエ心の震災復興プロジェクト実行委員会」(代表:舩木上次、今村博明)が大震災の被災地を回りバレエ・コンサートを開催。自動演奏オルガン「ポール・ラッシュ」と「清里フィールドバレエ」に出演しているバレエシャンブルウエストのダンサーたちが東北3県11か所で公演。本年も継続して公演を行なっており一過性ではない支援活動が評価される。


バレエを習うということ

バレエを習うということ


ポールラッシュ・ドリームプロジェクト

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