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2011-09-30

[]MOKKが活動再開、11月に韓国公演

MOKKというグループがある。

舞踊家・振付家の村本すみれを中心にメンバーは皆スタッフで構成される集団だ。 日本大学芸術学部在学中の2002年に前身が発足し、2007年『---frieg』より活動を本格化してきた。「劇場機構にとらわれない空間からの発信」を軸とした活動を行ってきたのが特徴である。駐車場や廃墟ビル、コンテナボックス、古民家などの特殊な空間において身体表現の可能性を探るMOKK LABOを行い、映像作品も制作している。

私はMOKK LABO#2『廃墟』(2007年12月@九段下ビル)、MOKK project02『ましろ』(2008年4月@神楽坂 赤城神社境内)、 MOKK LABO#3『暗闇』(2008年6月@東京都板橋区蓮根 コンテナボックス内)、MOKK LABO#4【10】gallery ver.(2009年4月@六本木・ストライプハウスギャラリー)、MOKK LABO#5『古民家』(2009年8月@五條市新町通り 古民家内)などをみた。場所・空間を活かしたパフォーマンスは魅力的で、ことに奈良・吉野の歴史ある街並みにある古民家で行われた『古民家』は忘じ難い。

そんなMOKKだが、2010年6月に東京キリストの教会で行われたMOKK project03『LAURA』を最後に活動をお休みしていた。村本は欧州に短期留学していたらしく、他のメンバーもさまざまな現場で研鑽を積んでいたようだ。出演ダンサーも飛躍している。演劇・ダンス界両面から虎視眈々とのしあがってきた長谷川寧主宰の冨士山アネットの話題作『SWAN』に主演するなど華のある寺杣彩、小野寺修二のカンパニーデラシネラの公演に出て個性豊かに活躍する手代木花野、菅彩夏など注目株である。

そのMOKKだが、このほど活動を本格的に再開するという。11月に『LAURA』を韓国・ソウルにてバージョンを変えて上演する。11/23にソウル国際振付フェスティバルopening performanceおよび梨花女子高等学校礼拝堂にて公演行う。

http://www.arko.or.kr/home2005/jp2007/arko/artstheater.jsp

『LAURA』の初演時、教会の礼拝堂という場を活かした演出は興味深く、20数名の出演者による群舞は迫力あったが、MOKK作品のなかでは、いささかオーソドックスなダンスの集積という印象を持った。実験的要素強いLABO作品では、空間の面白さありきで場の魅力を活かした演出が冴えているが、『ましろ』含めた本公演的位置づけのproject公演では、村本のやりたいテーマや抱えているモチーフが前面に出ており、ダンスはもちろんのこと空間の選択ですらそれに従属するものといった感も受ける。方向性は大いに理解できるのだが、私はLABO作品をこよなく愛していただけに、少々肩透かしを喰らった感もあった。とはいえ、年間のベスト3に入れたジャーナリストもいるし、とにもかくにも力作だったのは事実である。韓国での上演決定は喜ばしい。

これを機に、MOKKには、またいろいろな場所で活発に暴れてほしいと願っている。

MOKK LABO#5 古民家 ダイジェスト

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MOKK LABO#2 廃墟

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MOKK project02ましろ

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2009-12-30

[]2009舞踊回顧

今年もたくさんの公演が行われました。バレエ、コンテンポラリー・ダンス中心に観ましたが、質的に高いものが散見され鑑賞者としてうれしい限り。東京/関東圏では多様多彩な公演が連日あり、創作作品のバラエティの豊かさはなかなかのもの。関西や名古屋等で観る機会を得たバレエ・ダンスにも実り豊かなものがありました。「事業仕分け」による文化予算の削減が舞台芸術界に激震を与えましたが、創造活動とともに芸術の力を社会の多くの人にアピールしていくことがより求められます。

年間回顧として細かに書いてもいいのですが、自己満足の開陳を目的としないので、フォローしていない分野等はあまり触れません。つらつらと個人・団体名を列挙したり、舞踊界ベストなどと1個人で1番から10番までみたいな順位付けするような不遜(かどうかわかりませんがそうとられても仕方ない)なこともしません。とはいえ、国内公演のうち36公演を感動した、印象に残るあるいは興奮したものとしてあげておきます。年間観劇公演数は明らかにしませんが、かなりな上澄み部分の数になります。無論、ここで挙げた以外に感激した舞台はありますし、公演単位で選んだため名を挙げられないものもあることを付記しておきましょう(例えば内田香による奇跡的名演『flowers』)。

バレエ系が少ないのが意外ですが、やはり個人的には創作ものに惹かれるというのがあります。クラシック/古典のバレエ全幕ものでは東京バレエ団『ラ・バヤデール』、法村友井バレエ団『エスメラルダ』、貞松・浜田バレエ団『ジゼル』の入念な仕上げが際立っているように感じましたし素直に感動しました。Kバレエカンパニー『ロミオとジュリエット』も話題を呼び、実際見ごたえ十分で高評価を受けました。ウエストモーランド版を改定した牧阿佐美バレヱ団『白鳥の湖』も特筆すべき。旧来の版のよさを残しつつ踊りの見せ場豊富に層の厚い団員の力を引き出した優れたプロダクションでしょう。芸術性とカンパニーの発展に耐えカンパニーの将来を約束するに足るもの。未来を内包している。古典を受け継ぎ未来へ繋げる大切さを任じる見識が強く感じられました。海外作品の受容では、これまでのように貴重なレパートリーを紹介してくれたというだけで賞賛されるような時代は過ぎ、上演水準が厳しく問われるべき。現況は甘いのでは。そんななか、東京バレエ団のマカロワ、ベジャール作品、谷桃子バレエ団のクルベリ作品、牧阿佐美バレヱ団のアシュトン作品、貞松・浜田バレエ団のキリアン&ナハリン作品などは上々の出来。NBAバレエ団によるニジンスカ『レ・ビッシュ』日本初演もパリ・オペラ座の客演も得て充実した仕上がり。観られて心からありがたく思いました。

邦人バレエ創作やモダン/コンテほかもさまざまの佳作がありました。個々に触れていてはきりがないので端折りますが、女性振付者の活躍が目覚しい印象。平山素子、キミホ・ハルバート、黒田育世ら気鋭若手が進境をみせました。その下の世代も出てきています。そして、秋に続けてみたフラメンコ系の舞台に心揺さぶられました。順位付けしないといっておきながらなんですが、ベスト1はNoism1『Nameless Poison〜黒衣の僧』。不定形な面白さ・刺激性に加え完成度も高い。個人的には金森穣の現時点でベスト。いつも最新作がもっとも刺激的という稀有なアーティストと同時代を生きていることに喜びを感じます。巨匠の勅使川原三郎作品は高評価を受け、完成度の高さは疑うべくもありませんが、大資本や大劇場での創作よりも若手の気鋭の名を上げたくここではパスしました。金森、平山作品も悩みましたが新国立劇場制作ではない舞台をあげておきます。そんななか個人での着実な活動を続けてきた大ベテランたち、佐多達枝のO.F.C合唱舞踊劇『ヨハネ受難曲』、小島章司の『ラ・セレスティーナ〜3人のパブロ』に激しく心揺さぶられました。佐多は合唱と管弦楽と舞踊を融合させ新しい舞台表現を模索しかなりな水準で成功を収めたと思います。小島もハビエル・ラトーレとともにドラマティック・フラメンコの極めつけといえるような作品を作り、フラメンコ舞踊のみならず舞踊史に残る名舞台に。ともによりパワーアップした再演を楽しみにしたいところ。

2009年 印象に残る公演36(国内公演・公演日順)

ユニット・キミホ『White Fields』

(2月1日 青山円形劇場)

NBAバレエ団「BALLET RUSSES GALA」(「レ・ビッシュ」他)

(2月20日 ゆうぽうとホール)

酒井幸菜×ウィスット・ポンニミット『ダマンガス!!』

(2月28日 川崎市アートセンター)

The Ground Breaking 2009・梅田宏明/S20 新作公演

(3月20日 横浜赤レンガ倉庫1号館)

川口節子バレエ団・川口節子舞踊作品集「舞浪漫2009」(「イエルマ」他)

(3月29日 愛知県芸術劇場)

ダンスカンパニーカレイドスコープ「Dance Gathering Performance」

(5月13、14日 北沢タウンホール)

ミクニヤナイハラプロジェクト『五人姉妹』

(6月25日 吉祥寺シアター)

O.F.C合唱舞踊劇『ヨハネ受難曲』

(7月4、5日 すみだトリフォニーホール)

谷桃子バレエ団『ロミオとジュリエット』『令嬢ジュリー』

(7月5日 新国立劇場中劇場)

千日前青空ダンス倶楽部『アカイノノハナ』

(7月18日 精華小劇場)

金魚(鈴木ユキオ)『言葉の縁』

(7月24日 シアタートラム)

Monochrome Circus+じゅんじゅんSCIENCE『D_E_S_K』

(7月25日 こまばアゴラ劇場)

MOKK LABO#5『古民家』

(8月1日 奈良県五條市「新町通り」古民家内)

第20回清里フィールドバレエ『白鳥の湖』

(8月5日 清里高原「萌木の村」野外特設劇場)

BABY-Q『[リゾーム的]なM』

(8月9日 吉祥寺シアター)

ケイ・タケイ’s ムービングアース・オリエントスフィア・LIGHT, Part 7『Diary of the field―創作畑の日記』

(8月21日 スタジオ・ムービングアース)

ARTE Y SOLERAdesnudo Flamenco live Vol.3「小島章司 魂の贈り物」

(8月26日 ムジカーサ)

「dancetoday2009」

(9月11日 彩の国さいたま芸術劇場小ホール)

山口華子ダンスパフォーマンス『décalcomanie』

(9月15日 Super Deluxe)

東京バレエ団『ラ・バヤデール』

(9月25日 東京文化会館)

貞松・浜田バレエ団『ジゼル』

(9月27日 尼崎アルカイックホール)

貞松・浜田バレエ団「創作リサイタル21」(「6DANCES」「BLACK MILK」他)

(10月10日 神戸文化中ホール)

Kバレエカンパニー『ロミオとジュリエット』

(10月15日 Bunkamuraオーチャードホール、11月7日 東京文化会館)

牧阿佐美バレヱ団『白鳥の湖』

(10月24日 ゆうぽうとホール、11月28日 藤沢市民会館)

入交恒子CONCIERTO FLAMENCO Vol.11『La Luna de Andalucia(アンダルシアの月)』

(10月24日 草月ホール)

東京小牧バレエ団「バレエ・リュス100年に捧ぐ」

(10月25日 新宿文化センター大ホール)

石井智子フラメンコ公演『EL COMPAS エル・コンパス』

(10月29日 新宿文化センター)

法村友井バレエ団『エスメラルダ』

(11月5日 大阪厚生年金会館)

高襟『浮気姉妹』

(11月9日 Dance Studio UNO)

BATIK『花は流れて時は固まる』

(11月17日 にしすがも創造舎)

第十四回『蘭黄の会』(特に「禍神」)

(11月25日 国立劇場小劇場)

小島章司フラメンコ2009『ラ・セレスティーナ〜3人のパブロ』

(11月29日 ル・テアトル銀座)

黒沢美香&ダンサーズ『jazzzzzzzz-dance』

(11月30日 こまばアゴラ劇場)

文化庁芸術団体人材育成支援事業「現代舞踊公演」

(12月15日 新国立劇場小劇場)

平山素子新作ソロ公演『After the lunar eclipse/月食のあと』

(12月19日 愛知県芸術劇場小ホール)

Noism1『Nameless Poison〜黒衣の僧』

(12月24日 愛知県芸術劇場小ホール)

2009-08-26

[]MOKK LABO#5「古民家」のダイジェスト動画

8月1、2日に奈良県五條市新町通りの古民家にて開催された、新町通りダンス アート2009MOKK LABO#5「古民家」のダイジェスト版動画がyoutubeにupされました。

先日当blogにて感想を書きましたが、古民家というレトロなロケーションと夕暮れていく時間のなかで行われるパフォーマンスは魅惑的でした。夏のすてきな思い出に。

劇場にとらわれない空間においてパフォーマンスを行ってきたダンス集団MOKK(主宰:村本すみれ)が奈良県五條市新町「新町通り」古民家内において公演を行いました。アートによる町おこしとして地元NPOと提携、一年前からワークショップを行ったり地元イベントに参加したりと交流を重ねてきたうえでの公演です。天井裏からパフォーマーが現われたり、狭い屋内を所狭しと走り回ったり、庭でも踊ったりと場の魅力を活かし暴れまわります。時代を感じさせる古民家のなか行われるパフォーマンスに観客は日常から非日常の世界へとゆるゆると誘われシュールでユーモラスな世界に浸れます。地域に根付き活動、地元住民とも協力を重ね公演を行いコンテンポラリーなパフォーミングアーツの魅力を伝えたことは有意義。アサヒビール芸術文化財団の公募助成を受けていますが、こういった公益性のあるイベントへの援助は望ましく思います。

(2009年8月1〜2日 奈良県五條市新町「新町通り」古民家内)

http://d.hatena.ne.jp/dance300/20090804/p1 より

MOKK LABO#5 古民家 ダイジェスト

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2009-08-04

[]コレオグラファーズYダンスコンサートvol.2、服部有吉×辻本知彦×群青『3D』、MOKK LABO#5『古民家』、EAST DRAGON 2009

コレオグラファーズYダンスコンサートvol.2

安田敬の主宰するダンスカフェとムーブ町屋・日暮里サニーホール指定管理者シービーシーメソッド主催公演。若手ダンサー/振付家が、照明を中心に劇場スタッフの協力を得てステップアップする場として大変貴重です。今回は、福島千賀子の自作自演ソロ、垣内友香里が中島加奈子に振り付けた『Five of Kana's(分かちがたく付きまとう五つの私事)』、maguna-tech(武智圭佑/博美)『Happy Flower』を上演。バレエ/コンテに通じよく体の利くソロを展開した中島作品、ノイズ音楽とダンスのぶつかりあいをみせるmaguna-tech作品は、綿密に錬られた照明プランと相俟ってまとまりのあるものに。ただ、完成度を高めようとしたためか奔放さに欠けた面も。作品を練り上げる過程で失われるものもある。そのあたりの按配は難しい…。垣内作品は、ひとりの女性の内面の沈鬱を通して、個人と社会の関係に潜む病のようなものを浮き彫りにしていきます。言葉、声、歌も織り交ぜた多層的な舞台づくりも演劇畑出身の垣内ならでは。垣内の、表現者として「いま」という時代に向き合う誠実な姿勢に共感を覚えました。

(2009年7月30〜31日 ムーブ町屋)

服部有吉×辻本知彦×群青『3D』

服部有吉の日本では2年ぶりとなる劇場での新作発表に注目が集りました。バレエ(服部)×コンテンポラリー・ダンス(辻本)×ストリート・ダンス(群青)によるジャンルを越えたコラボレーション。そこにジャズピアニストの松永貴志が絡みます。ダンサーの三人は最初、ゆったりと動く場が多いですが、後半になるにつれ、それぞれの得意技を披露します。松永も足でピアノを弾いたりダンスに加わったりとやりたい放題に。かなりの部分は段取りが決まっていると思いますが、ジャズセッションのような即興を交えた自在さも感じました。個人的には結構楽しめたのですが、各人の妙技に浸れる以上の何かがあったか、作品として一本筋の通った核があったかとといわれれば疑問の声はあるかも。とはいえ、企画物としては「あり」なのでは。客席の反応も上々のようでした。

(2009年7月31日〜8月2日 あうるすぽっと)

MOKK LABO#5『古民家』

劇場にとらわれない空間においてパフォーマンスを行ってきたダンス集団MOKK(主宰:村本すみれ)が奈良県五條市新町「新町通り」古民家内において公演を行いました。アートによる町おこしとして地元NPOと提携、一年前からワークショップを行ったり地元イベントに参加したりと交流を重ねてきたうえでの公演です。天井裏からパフォーマーが現われたり、狭い屋内を所狭しと走り回ったり、庭でも踊ったりと場の魅力を活かし暴れまわります。時代を感じさせる古民家のなか行われるパフォーマンスに観客は日常から非日常の世界へとゆるゆると誘われシュールでユーモラスな世界に浸れます。地域に根付き活動、地元住民とも協力を重ね公演を行いコンテンポラリーなパフォーミングアーツの魅力を伝えたことは有意義。アサヒビール芸術文化財団の公募助成を受けていますが、こういった公益性のあるイベントへの援助は望ましく思います。

(2009年8月1〜2日 奈良県五條市新町「新町通り」古民家内)

EAST DRAGON 2009「與東龍共舞」

アジアの気鋭若手アーティストを取り上げてきたダンス企画「EAST DRAGON」。今回は3組が独自の才能を発揮しました。木野彩子の自作自演ソロ『ろうそくの火はどこへ消えるのか』は、暗闇のなか4つのロウソクを動かし空間を形成しつつじっくり踊ります。生成と消滅――ダンスという時間芸術の宿命とも重なる主題を知的に捉えていました。沼田志歩作品『NOT A DROP BUT THE FALL』は、沼田と梶谷拓郎のデュオ。デュオとは、最小単位の関係性の生まれるものですが、両者の微細な距離の揺らぎを捉えていました。振付・出演:KIM Sung-yong、音楽・演奏:Fracois RIALLAND、映像:JUNG Seung-Jaeによる『MAYDAY』は、ダンスとライブの音楽、ダンサーの動きと呼応したライブの映像が交錯。3者が不可分な状況を創り出し展開するパフォーマンスでアイデアは豊富でした。好企画なのに1回公演というのがなんとも惜しいところ。

(2009年8月3日 日暮里・d-倉庫)

2009-07-13

[]MOKKが関西初登場

MOKKは、ダンサー/振付家の村本すみれを中心に、舞台監督、照明、音響、制作を手がけるスタッフで構成されたグループです。企画ごとにクリエイターやダンサーを集め、劇場にとらわれない空間においてパフォーマンスを展開してきました。

公演を行ってきた場所はといえば、ギャラリー、駐車場、廃墟ビル、神社の境内、コンテナボックス内などなど。場の魅力を生かしつつアイデアある演出とダンスによって空間を鮮やかに変容させるパフォーマンスが特長です。

今夏、はじめてのツアーを行い関西に初登場!!場所は奈良県五條市「新町通り」にある古民家内。「新町通り」は、日本最古の古民家もある往来であり、約1キロにわたって江戸・明治期の建物が点在。吉野川のすぐそば、映画「萌の朱雀」(1997年/河瀬直美監督)のなかで描かれた幻の五新鉄道の橋脚もたたずむそうです。

この企画は、「新町ダンスアート2009」というイベントの一環として行われます。MOKKでは、地元NPOと提携、約1年前からワークショップや地元イベントへの参加等を行ってきました。アートによる町おこしであり、町の魅力を再発見しようというもの。場・空間の特性にこだわって創作してきたMOKKにぴったりの企画といえるのでは。

歴史を感じさせる街並みで体感する一癖あるパフォーマンスが楽しみなところです。

MOKK LABO#5『古民家』

日時:2009年8月1日(土)16:00〜/18:30〜 8月2日(日)16:00〜/18:30〜

会場:奈良県五條市新町「新町通り」古民家内(通称:新町座)

チケット料金(日時指定・全席自由・税込):一般1,500円・中学生以下1,000円

※会場地図やアクセス等はMOKKのHP等を参照

演出・振付・出演:村本すみれ

出演:池田遼/手代木花野/寺杣彩/登戸カッパ

照明:影山雄一

舞台監督:大畑豪次郎

進行:加藤小百合/吉田千尋

記録写真撮影:和知明

記録映像撮影:大橋翔/高崎周子

企画制作:大崎美穂(新町通りダンスアート実行委員会)/上栗陽子

※参考映像

MOKK LABO#2 廃墟@九段下テラス

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MOKK LABO#4【10】gallery ver.@六本木ストライプハウスギャラリー

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MOKK project02ましろ@神楽坂・赤城神社境内

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2009-03-12

[]「15 MINUTES MADE VOLUME 5」

Mrs.fictions presents「15 MINUTES MADE VOLUME 5」

●Mrs.fictions『松任谷由実物語』

●The end of company ジエン社『私たちの考えた終わる会社の終り』

MOKK『case_1』

●青☆組『恋女房』

●東京ネジ『再会(夏目漱石「夢十夜」第一夜より)』

●DULL-COLORED POP『15分しかないの』

(2009年3月12日 シアターグリーン BOX in BOX THEATRE)

6つの団体が15分ずつの短編作品を上演する『15 MINUTES MADE』。舞台制作者集団Mrs.fictionsの企画であり、新進気鋭のカンパニーが集うショーケースとして興味深い。青☆組は青年団リンクとしても活動、大雑把にいえば平田オリザ的静かな演劇路線だが日常の中の非日常を繊細に掬い上げる手腕が見事。15分ながら完成度の高い芝居をみせてくれた。主催者のMrs.fictions の作品は小劇場演劇ならではの笑いに満ちたものだが人物間の関係をしっかり描いている。演劇畑の居並ぶなか唯一ダンスから参加した村本すみれ率いるMOKKは劇場ではない空間にこだわって刺激的なパフォーマンスを繰り広げる注目の団体。今回はこの集団にしては制約のある条件での公演であったが様々の挑戦をすることによって今後より魅力的な舞台を生ん出でくれることだろう。次回は4月にギャラリーでのパフォーマンスとのこと。楽しみにしたい。近年、不況もあって若手の登竜門的な演劇フェスティバル等は減少の傾向。若い団体同士が手に手を携えて多くの観客との出会いを求める姿勢には大いに共感させられた。

2008-07-05

[]2008年4〜6月の印象に残る振付家・ダンサー

・黒田育世(ギグメンタ2008・細江英公×黒田育世の演技)

・村本すみれ(MOKK『ましろ』MOKK LABO『暗闇』の演出)

・小島章司(小島章司フラメンコ2008『越境者』の演技)

・上野水香(東京バレエ団「M・ベジャール追悼特別公演」の演技)

・森優貴(『ひかり、肖像』の振付・演技)

・伊藤友季子(牧阿佐美バレヱ団『ドン・キホーテ』の演技)

・法村珠里(法村友井バレエ団『眠れる森の美女』の演技)

・内田香(ダンスパフォーマンス『Maquillage』の構成・振付・演技)

・鈴木ユキオ(『沈黙とはかりあえるほどに』の振付・演技)

・KATHY(シークレット・パフォーマンス『Happy Birds』の演技)

作品・公演よりも印象に残った演技や振付を記しておきたい。年度末に1年を振り返る際、秋以降の舞台の印象が強くなることもあるので備忘録の意味合いも兼ねて。

黒田育世はギグメンタ2008の企画公演で写真家・細江英公とコラボレーション。土方巽を撮った『鎌鼬』のスライドを背景にエッジーなダンスを繰り広げた。(4月6日 アートコンプレックス・センター)

村本すみれらによるMOKKは、劇場以外での空間を活動の場として刺激的な舞台を展開。『ましろ』では神社の境内を縦横無尽に使って遊び心あふれる舞台を生み出し、『暗闇』では小さなコンテナボックスのなかでのパフォーマンスをみせ観客を作品に巻き込んだ。(4月12日 赤城神社、6月20日 板橋区蓮根にあるコンテナボックス)

小島章司フラメンコ2008新作は2部構成。2部、小島とタビ・ロメーロのデュオが圧倒的だ。孤高、枯淡の境地に達しつつある小島だが若いロメーロと正面からぶつかる様は、飽くなき挑戦者としての気概を示している。名作『一瞬と永遠』(03年)におけるイズラエル・ガルバンとの火花散る競演を彷彿とさせた。(5月9日 俳優座劇場)

上野水香はベジャール振付『ギリシャの踊り』ハサピコの踊りが出色。虚飾を廃し、真摯に振付に向き合う姿勢が抜きん出ている。振付自体も造形美を際立たせるもので上野にぴったり。脚を上げすぎなどとピンボケの批判もネット上等で散見されたが、ベジャールの振りを忠実かつ魅力的に踊りこなしている。今後、型をキープしつつ表現のニュアンスが豊かになれば文句なしだと思う。(5月10、11日 東京文化会館)

森優貴貞松・浜田バレエ団出身。欧州で振付家、ダンサーとして活躍、昨年古巣に提供したコンテンポラリー・バレエ『羽の鎖』で芸術祭新人賞を受けた。今回は能楽の津村禮次郎と今をときめく酒井はなとのコラボレーション。2部構成のうち1部における酒井とのデュオが秀逸だった。熱情的演技を特徴とする酒井から抑えた演技を引き出し、また、自身のしなやかで繊細な踊りも魅力的。(5月15日 セルリアンタワー能楽堂)

伊藤友季子は今回、主役のキトリではなく街の踊り子、キトリの友人役を踊ったが、伸び伸びと元気でじつによかった(別の日には森の女王も踊った)。パとパを音楽的に、流麗に紡ぎだしていく稀有な資質の片鱗をうかがわせる。八月の『ロメオとジュリエット』、秋の『ライモンダ』主演が待ち遠しい。(6月13日 ゆうぽうとホール)

法村珠里のバレエ団公演初主役公演は、新星誕生の場に立ち会えたという幸福感で充たしてくれた。無理なく上体を用いて美しいラインを描き出せる優れたバレリーナ。アラベスクも高く上がるが、骨盤をずらしたり、無理に上げるのではなく、脚の付け根から丁寧にていねいにあげられ観ていて実に心地よい。(6月14日 フェスティバルホール)

内田香(Rossewaltz)は、クラブでのソロダンスパフォーマンスで新たな魅力を振りまいた。このアーティストは観るたびに鮮烈な印象を残すし、表現の質も変えて来ている。映像や衣装もセンスよく濃密な時間に惑溺させられた。(6月15日 Super Deluxe)

鈴木ユキオ(金魚)は昨年初演した『沈黙とはかりあえるほどに』を改訂しトヨタコレオグラフィーアワードに参加した。1時間ほどの作品を短縮し、メンバーの見せ場も増やしつつ無音と大音量の対比など演出面も充実。《次代を担う振付家賞》を獲得した。文学に喩えると、鈴木が純文学的、特別賞のKENTARO!!がエンタメ路線かも。結果的にバランスの取れた選考だった気もする(6月28、29日 世田谷パブリックシアター)

KATHYのシークレット・パフォーマンスは江東区・白河清澄にある倉庫ビルのスペースで行われた。ニワトリたちと戯れ、暴れる覆面の三人娘の破天荒なパフォーマンスを楽しんだ(6月29日 MAGIC ROOM)

2008-06-22

[]MOKK LABO#3『暗闇』

MOKKは村本すみれ主宰による「劇場機構に留まらない空間からの発信」を軸にしたダンスプロジェクト。これまでも神社の境内や廃墟ビルなど「場」にこだわり踊ってきた。LABOシリーズは、“日常ににある生活小空間をセレクト、発信する企画”。今回の舞台は、板橋区蓮根の住宅街の駐車場に設置されたコンテナボックスだった。

定刻になると、観客(といっても5名様限定)は靴を脱いでコンテナボックスに導き入れられる。なかは闇、ひたすら闇。観客皆で手をつないでください、という声が聞こえる。筆者は観客5人の一番端だったのだが、空いているほうの手を何者かに握られヒヤッとする。壁沿いに沿って歩いてくださいという声に従い、皆手探りで動く。なかのほうへ導き入れられると、パフォーマンスが始まる。暗く、シーンと静まり返ったコンテナ内に、コツコツと小さな音が響く。観客は、否が応にも感覚を研ぎ澄まさなければいけない。普通どんなに暗くても、目が慣れてくれば、おぼろげでも眼前の光景が見えるもの。しかし、完全に光を遮断した密室なので、いくら目を凝らしても何も見えない。ときおりほのかに明滅する光。ダンサーたちの動く気配。やがて手をつないでいた観客たちは、はぐれ、ダンサーたちに手をとられてしまう。方向感覚もないまま振り回され、なんとか壁伝いにフラフラ。最後、コンテナの扉が開けられ「お疲れ様でした」と声をかけられると、なんと不思議にも最初に入ったコンテナの入り口に戻されている・・・。

15分ばかりのパフォーマンスながら刺激的だった。我々が日ごろ使わないような鋭敏な感覚を人工的な密室のなかで取り戻させる。パフォーマーたちも暗闇のなか五感を研ぎ澄まさなければ動けなかっただろう。3日間11ステージ行われたが、各回それぞれ違ったパフォーマンスになったはず。観客参加型をうたったダンス公演は散見されるけれども、これはそうたわなくても観客の参加なしには成立しないものだ。すべてが闇のなかで行われたため、写真や映像による記録はほとんど不可能。関係者は残念だろうけれども、記録には残らなくても記憶には深く残るパフォーマンスだった。

Direction&Choreography 村本すみれ

Dancer:江角由加 寺杣彩 登渡カッパ 村本すみれ

Staff:大畑豪次郎 影山雄一 加藤小百合 上栗陽子

Produced by MOKK

(2008年6月20日 東京都板橋区蓮根にあるコンテナボックス)

■参考記事■

MOKK project02『ましろ』@神楽坂・赤城神社の感想

http://d.hatena.ne.jp/dance300/20080412

MOKK LABO#2『廃墟』@九段下・九段下テラスの感想

http://d.hatena.ne.jp/dance300/20071217

2008-05-18

[]KENTARO!!とKATHYほか〜劇場を飛び出すダンス

劇場ではない場所で行われた刺激的なパフォーマンスをふたつ観た。

KENTARO!!はヒップホップ出身でコンテンポラリー・ダンス界において注目されるダンサー/振付家。JCDN主催「踊りに行くぜ!!」や「横浜ダンスコレクションR」に出場し人気を集めている。今回は「冒険王・横尾忠則」展の一環として美術館内展示室で踊った。アート界の先端を走り続ける横尾の原点である「冒険」を基調にセレクトされた展示には、ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』や少年探偵団、ターザン映画などにモチーフを得た作品が並ぶ。KENTARO!!は学生帽をかぶり、さながら少年探偵団に登場する少年のようないでたち。ふっと展覧スペースに現れ、横尾の描いた冒険世界の住人となる。踊りはヒップホップベースの、気負わず、無駄なく砕けたテイスト。展覧会の開催概要にもある、横尾作品の“めくるめく「冒険」のイメージの連鎖”と呼応、横尾の作品を背にときにしなやかにときにパンキッシュに踊りを紡ぎ観るものを惹きつける。客いじりはご愛嬌だが、ダンスを観る楽しさを誰にでも満喫させるものだった。KENTARO!!は以前はクラブハウス等を中心に活動していたようで、観客と場を共有することに長け、エンターテイナーとしての資質を備えている。「横浜ダンスコレクションR」の受賞による在仏研修で多くのことを吸収、より表現の幅の広いアーティストとして飛躍するのを楽しみにしたい。

(2008年5月5日 世田谷美術館 展示室)

KATHYはご存知、覆面の女性ダンサー3人組である。金髪に黒ストッキングで顔を隠しているのがトレードマーク。さまざまのイベントや企画に“出没”してきたが、今回はRoppongiHills 5th Anniversary Artelligent City 六本木ヒルズ Special Live「gene〜連綿とつながる記憶〜」に登場して30分間のパフォーマンス『Hyper Circle 〜astrophygi + V line〜』を魅せてくれた。バレエ「眠れる森の美女」の前奏曲が流れ、KATHYの3人が現れる。今回は、他に6人の女性ダンサー(だけかな?)と、男性ダンサーがひとり増えて10人が登場。「眠れる森の美女」の音楽が連ねられるなか、ダンサーたちは暴れ、踊りまくった。KATHYファンのなかには、無名性のなかに潜む不気味なカワイさ、ロリータ系の魅力にはまる観客も多いと思うが(多分)、動きもバレエのパロディのようなものから凶暴に暴れるようなものまで変化に富んでいて面白い。小スペースやクラブや倉庫などで活動し、場を活かした演出やアイデアもお楽しみ(今回は、大き目のアリーナということもありその意味ではやや物足りなかったのは残念)。祭の縁日ではないが、現代の消費社会の象徴とも言える六本木ヒルズのど真ん中でKATHYのパフォーマンスが休日を楽しみ行き交う若者や家族連れに受けていたのは興味深い。

(2008年5月17日 六本木ヒルズアリーナ)

コンテンポラリー・ダンスやバレエはとかくハイアートとして語られがちである(メディアや制作サイドにそうしたがる風潮もある)。ダンスシーンを活性化させ、広く注目を集めていくには、ダンスは劇場を飛び出すことも必要だろう。モダン=コンテンポラリーを代表するアーティストのひとり内田香率いるRoussewaltzでは個人活動含めクラブでのパフォーマンスを繰り広げているし、村本すみれを中心としたMOKKは「劇場機構にとどまらない空間からの発信」を掲げ、レストランや廃墟ビル、神社の境内などで刺激的なダンスをみせている。今後もそれらに続く、新たな展開を楽しみにしたい。

2008-04-12

[]MOKK project02『ましろ』

MOKKproject02『ましろ』

演出・振付・出演:村本すみれ

出演:江角由加、北島栄、菅彩夏、手代木花野、寺杣彩、広瀬梨江

美術・照明:影山雄一、音楽:衣袋宏輝、衣裳:本多あゆみ、舞台監督:大畑豪次郎、舞台監督補:江原早哉香 

宣伝美術:菅渉宇、宣伝写真:和知明、制作:上栗陽子、加藤小百合

企画・製作/MOKK

(2008年4月12日 神楽坂・赤城神社境内)

MOKKは村本すみれ主宰による「劇場機構に留まらない空間からの発信」を軸にしたダンスプロジェクト。昨年末、九段下の廃墟ビルの一角で行われたパフォーマンスが面白かったので注目している。今回の舞台は神楽坂・赤城神社。その境内の一角に土が敷き詰められている。そこに白の衣装を着た女の子たちが三々五々あらわれ、パフォーマンスが始まる。通行人や参拝客がすぐ近くを通り、近所の民家からはピアノの音が聞こえてくる。衣装のなかからニンジンやセロリといった野菜を取り出しそれを齧ったり、木に登ったりといった無邪気な楽しさあふれる景に始まり、やがてホースで放水し水を浴びつつやがては泥まみれになる場へと展開。風景と場の面白さを活かし趣向を凝らして飽かせない。ダンスには奇を衒ったところはなく空間になじむよう拵えられている。遊び心とアイデアの面白さで十分たのしませてくれるが、より身体とそれを取り巻く空間の有り様を追求すれば新展開が生まれるように思う。今後もLABO公演等が続くようで楽しみだ。

前回公演の感想:http://d.hatena.ne.jp/dance300/20071217