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だんしのなまくび

2012-05-02

2012年2月〜4月に見た落語・舞台のバッタ切り

備忘も兼ねてblogの更新が途絶えていた間に見た舞台や落語の類をバッタに。

2012/2/18 小林賢太郎演劇作品 うるう 天王洲銀河劇場

コバケンらしい言葉遊びと、静かな世界観がいい。なんと言ってもチェロ。チェロで台詞をしゃべったりだとか、効果音だしたりだとか、こういう可能性があるのか、と関心した。

2012/2/19 2月文楽公演 菅原伝授手習鑑(寺子屋)/日本振袖始

文楽は歌舞伎と違って衣装がえに時間がかからないので、白装束になるまでも間延びしなくていいな、なんてくだらないことを思った。

2012/2/20 立川流in平成中村座

既にレビューをかいたとおり。

2012/3/3 三月大歌舞伎 荒川の佐吉/山科閑居

山科閑居は初めて見た歌舞伎の一つで、結構思い入れがあるので来て見たのだが、よくもまぁこんな退屈な演目を面白いと思えたものだなぁ、と昔の自分に感心する。

個人的に小浪が力弥に地図(だったか)を渡すときに恥ずかしがるところがとてつもなく好きなのだけれども今回の福助はちょっと残念。今日祝言して明日は死に行く夫に照れを感じる場面なんだぜ?

2012/3/4 自作自演 第3回 別役実&野田秀樹 水天宮ピット

二者の朗読とトークの構成。以前も書いたが、演劇のグローバル化に対する評価の姿勢がまったく逆なのにそこが議論にもならずすれ違ってしまったのがとても残念だった。

2012/3/9 サド侯爵夫人 世田谷パブリックシアター

台詞の力というのはこれほどまでにあるのか、と関心してしまった。別段の演出もないにも関わらず3時間という長時間も集中切れることなくあっという間。なにがいいのか、なぜよかったのかがうまく言い表せられない、感覚的な問題、さらに言うと音の問題。6月に同じ会場で野村萬斎と白石加代子による宮沢賢治の朗読があるので楽しみ。

2012/3/20 自作自演 第4回 唐十郎&渡辺えり 水天宮ピット

公演を借景にした大々的な登場、緊張しっぱなしのえりさん、老いつつも力強い唐十郎。トークもなかなか盛り上がって楽しかった。これまで二人は一緒に舞台に立つことはなかったが、一度打ち上げで一緒になったことがあり、そのとき唐十郎は「えりちゃん、一緒にここから逃げよう!」といったらしい。詩人だよなぁ。ただの酔っ払いなんだろうけど。

2012/3/20 大人計画 「ウェルカムニッポン」本多劇場

タイムリーなネタを消化しきれないうちに詰め込みすぎてしまってまとまりのない出来になっていた。主役の外国人のねーちゃん、私は高評価なのだが、連れに言わせると「日本語の喋れる外国人なんてザラにいる」

2012/4/14 絵本合法衢 国立劇場

仁左様の舞台。殺しに殺しに殺しまくるところが斬新なのだけれども、善悪キッパリ分かれていてわかりやすい芝居だったのがちょっと残念。

2012/4/17 ぎやまん寄席番外編 喬太郎白酒二人会

道具屋 市也/たらちね 柳家喬太郎/井戸の茶碗 桃月庵白酒/牡丹燈籠 刀屋 喬太郎/粗忽長屋 白酒

喬太郎師匠はどうやら風邪らしくあまり調子は良くなさそうだった。白酒師匠は時間のないところを無理したのか、せわしない落語で落ち着かない。

2012-04-29

立川流落語会 3日目 2012/4/29 国立演芸場

年に一回の国立演芸場立川流一門会。3日あったが今年は日曜日に志の輔が入るというので日曜日にすることに。今日はなんと言ってもヒロさん。家元の思い出を語ったスタンダップコメディがすばらしかった。

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元犬 立川志の彦

ナンシー 立川志の春

蔵前駕籠 泉水亭錦魚

紙入れ 立川志遊

スタンダップコメディ(談志の思い出話) 松元ヒロ

バールのようなもの 立川志の輔

中入

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※週の頭から引きずってる風邪のせいか、眩暈がひどいので中入後失礼させていただいたので後の雲水、文字助、文志、里う馬は失礼ながら聞いていない。

ナンシー 立川志の春

志の春さん自作の新作。義理チョコのような気持ちのない形式的なやりとりに着目したなかなか面白いネタだった。

スタンダップコメディ 松元ヒロ

家元がどれだけヒロさんの芸にほれ込んでいたかという話をいつものヒロさんの調子で語る演目。ヘタすると単なる自慢話になってしまいそうなのがまったくそんな感じになく、むしろ家元への感謝や敬意が感じられ、気分が良かった。ヒロさんの家元の口調の物真似も良く似ていた。

家元立川談志が最後に見た芸が、実は震災前日に紀伊国屋ホールでのヒロさんの舞台だったという話から。志の輔師匠が人生で二度だけほめられたがその一回というのが、家元よりも前にヒロさんという芸人を知っていたことで「お前知ってんのか。偉ぇ!」といわれたことだったという話を挟み、家元とヒロさんの初めての出会った、5年前新大久保でのヒロさんの舞台で、カーテンコールに家元がヒロさんを絶賛した話。その後の打ち上げにも顔を出した家元、帰りにヒロさんが家元を見送ったら、サービスなのかアステアとチャップリンの物まねをしながら振り返り振り返り帰って行ったという話。

話の中で、家元がマルセ太郎を評価していたという話もあった。

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2012-04-28

下丸子らくご倶楽部 2012/4/27

なんだか久しぶり。なにかのきっかけがないと書くこともないと思うので、今のテンション勢いでひとまず書きます。

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浮世根問 立川がじら

半分垢 立川志獅丸

トーク 立川志らく、橘家文左衛門

青菜 立川志らく

神々の唄 林家彦いち

文七元結 橘家文左衛門

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文七元結 橘家文左衛門

トークの時点から志らく師匠が「今日は文左衛門が長講一席やるらしいので…」なんて言っていたので、この季節柄、長い話って、何あるのかなと思ったら。三道楽の枕の後に、なんとまぁ、文七。これは驚き。冬の話やん。けれどもそんな違和感もそっちのけ。50分の間たっぷり楽しませていただきました。文左衛門師匠の大ネタを聞くのは初めてだったのだけれども、惚れ直しました。

自分の理想の「文七」に近かいものがあった。もちろん理想に完全合致していたわけではないが、結構たっぷりな演出だったのだが飽きることなかった。長兵衛のキャラクターが文左衛門師匠にぴったりだったのが大きいのかもしれない。職人肌でありながら、博打中毒に堕ちたダメ男がしっかり描けていた。ここぞというところで声量あるどなりが効いていたし、緊迫した話の中で要所要所笑いどころをしっかり取れていたのがいい。この話は三道楽のうちの「打つ」だけがメインなのに、番頭の女郎屋を挙げていくところでしっかり「買う」を魅せ、角樽を早々受け取るところで「呑む」を魅せるという三道楽のコンプリートがよかった。

残念なところを挙げると女将に長兵衛が「助けてください!」と叫ぶのはちょっとな。心から助けてほしいというのを見せたかったのではなく、おそらく、威勢張っていた江戸っ子が急に弱みを見せるというようなのを見せたかったのだろうけど、そうするなら一間欲しかった。女将はまだまだ改善の余地があるし、長兵衛が50両を得たいきさつを言い立てるシーンはもっとすらりと言い立ててほしい。「不動様と金比羅様とどちらがご利益がありますでしょうか?」を2回繰り返すのはしつこい。


以下、文七元結という話自体についての思うところ。

この話を「自分を犠牲にしてまで文七に金をやった長兵衛カッコイイ」と人情話の側面を聞かせどころにするのは好きではない。むしろ、自分にとっての文七は「業の肯定」の話。「仕事でお金返すって約束したけれど約束破っちゃった!娘は身を売ることになるけれどそれでいいじゃない、皆生きてるんだもん!」というこういう人の弱みをいかに寛容に描けるかどうかが大事なことだと思う。なので「お金あげちゃった。江戸っ子だもの」っていう江戸っ子描写にとどまるのは論外。

そういう中でいうと長兵衛をいかに描くかが重要で、これも「人情話」として描こうとするとどうしても「江戸っ子」の理想を追い求めてしまうようなのだが自分は違う。私の思い描く長兵衛というのは、腕の立つ職人なんだけれども、博打にハマって身を崩してスッカラカンになって家庭内暴力を振るっちゃう、けれども自殺しそうなやつには死ぬなと上から目線で説教し、娘を形に借りたせっかくの50両をポンと出してしまう、そんなダメ男。そんなダメ男がスッカラカンになって自身も自殺を考えただろう、そういう時にもう一人の自殺志願者に出会い、どういう反応を描くのか。

別に自分が思い描く文七になってなくても、何で女将は長兵衛に金を貸したのか、何で長兵衛は文七に金を出したのかがしっかり描けていればそれでいいのだが、どちらもなかなか難しい。逆にこういう見所で演者がどう思っているのかが見えてきて楽しめるのが文七元結の魅力。


とにかく、文七は自分にとって好きな話の一つ。そんな文七をこんな季節はずれなときに、そしてなかなか良い出来のものを聞けて本当に良かった。