DAGON

DAGON [DVD]

DAGON [DVD]

【時間】約95分
【監督】スチュアート・ゴードン
【制作年】2001年
【ジャンル】田舎に行ったら襲われた系ホラー(というか、クトゥルー神話じゃん)
 
◆勝手な5段階評価◆
【B級度】2
【ネタ度】2
【ツッコミ度】2
【オススメ度】3
【理解不能度】1(クトゥルー神話を囓ってればの話)


【注意】ネタバレ含みます
 
 さて、記念すべき最初に紹介するこの作品。何故この作品を選んだか? それは神のお告げだからです。イア イア クトゥルフ フタグン!! ……すみません。嘘です。単に無難だったからだです。深い意味はありません。
 で、この作品。見る前から知っていたけど、思いっきりクトゥルー神話。『インスマスを覆う影』を読んだことがある人はすんなり理解できます。
 つまり、既にある作品を踏襲したような内容なので、作品内容が滅茶苦茶ということもなく、ほどほどのできだと思います。そして、クトゥルー神話好きには大変わかりやすい内容。初回から2倍速でも容易に理解できる。
 ホラー映画としてもそこそこのできだし、クトゥルー神話を題材とした作品としても悪くはないと思うけど、自分がクトゥルー神話を全く知らなかった場合、これをどう評価していたかわかりませんね。
 
 まあ、ここから本編の解説をします。
 
 
 スペイン生まれ、アメリカ育ちの主人公ポールと、恐らくヒロインのポジションであろうバーバラ、それより年を取ったハワード(男)とピッキー(女)がスペインの沖合で優雅にクルージングしていると、突然嵐が発生。座礁します。
 ピッキーが家具に挟まれ怪我をしたので、やむなく近くのインボッカという村に助けを求めることに。
 
 ボートに乗って、ポールとバーバラが村に向かいいますが、全然人が見つかりません。詠唱のような声を頼りに人を探すと『ダゴン密教会』という建物を発見します。これ、あからさまに『ダゴン密教団』が元ネタですね。
 中に入ると、人が全然いません。で、うろうろしていると突然背後から現われた神父に声をかけられたので、助けを求めます。
 
 愛想の悪い不気味な住民(恐らく、インスマス面を再現したもの)の協力で、ポールはクルーザーへと戻り、バーバラは警察に連絡するためホテルへ。
 ポールはクルーザーに戻りますが、ハワードもピッキーもいません。バーバラが行ったホテルを神父に教えられ、その通りの場所に行くとバーバラもいません。そして、見事に住民の襲撃に遭います。これもクトゥルー神話的展開。
 
 普通、逃げ切れるとは思えない状況なんですが、まだシナリオ半分も進んでないんで、流石に逃げ切ります。ただし、このとき少々脚を負傷。まあ、あまり関係ないけど。
 
 逃げる途中、アル中の住民エゼキルに遭遇。一応、この街で唯一の人間らしいです。他は元人間の怪物か、根っからの怪物が人間に変装したものでしょう。
 で、親切にもこの街に何があったかの種明かしをしてくれます。
 「ダゴン密教会の力で街は豊かになったが、代償として、生け贄の儀式を行うようになった」という、人によっては今更必要ない説明です。
 
 しかし、それに対して、あんたは酔ってるか、頭がイカレているという決断をするポール。
 そんなポールに対し、街から脱出する手伝いをしてくれる親切なアル中の爺さんエギゼル。村で唯一の車を奪おうとします。
 しかし、あとちょっとで奪えそうなとこで、失敗。ポールは近くにあったどでかい屋敷に逃げ込みます。
 
 屋敷には最近何度もポールの夢に出て来た女性がいます。ウシアとかいう名前です。
 ちなみに、解説で書いてませんが、確かに二度ほどそんな夢や幻覚が登場しました。夢の中で、その女性は人魚だったりしますし、毎回最後にはポールは襲われています。
 にも関わらず、あっさり誘惑に負け、近づくポール。
 しかし、案の定、女性は人間ではなく脚が蛸か以下の触手のようになっています。
 夢では脚が魚だったのに何故? という疑問がありますが、魚にしなかったのは、不気味なイメージを強くするためでしょう。しかし、日本では触手でも充分需要がある気がします。
 
 まあ、ポールにはそんな趣味がなかったので、襲われる前に、屋敷から逃走。運良く、今度は車を手に入れるが、あっさり故障。別の家に逃げ込み「やったぞ!」とか言うが、見てるこっちからしたら「何がだ!?」って感じ。すぐに気絶させられ、確保されてしまいました。
 
 目を覚ますと、バーバラ、ピッキー、エギゼルと一緒に倉庫のような部屋で捕まっています。どうやら、女は生け贄、男は怪物の変装用として皮を剥がれるようです。
 扉が開けられ、連れて行かれる際に、ピッキーは恐ろしさで自殺。その他は抵抗するが連れて行かれます。
 
 まず、生きたままエギゼルの顔の皮が剥がされます。目の周りや首に切れ込みを入れてから、ぐいーーと皮を剥ぎます。グロいシーンです。見事に首から上が真っ赤に染まります。
 
 次に、ポールの皮を剥ぐシーン。ここで、さっき屋敷の中で出て来た烏賊女が登場。脚が触手なためか、車椅子に座っています。
 でかい屋敷に住んでいるだけあって権力もでかい様子。皮剥のプロ達もこいつが解放を要求すると素直に従います。
 で、女が去ってから、解放されたポールは、刃物を奪って皮を剥いでいた奴らを惨殺し、バーバラの救助に向かいます。
 
 向かった先は『ダゴン密教会』です。教会内の棚が地下へと降りる入り口となっていました。
 恐らくは、最初にこの教会が出たとき、詠唱の声が聞こえるのに中にいたのは神父が一人というとこが、秘密の入り口があることの伏線になってるんでしょうが、かなり分かり難いです。
 
 バーバラを生け贄し捧げる儀式中にポールが駆けつけ、ガソリンらしきものを住民にぶっかけ、火を放ちます。
 混乱に乗じて、バーバラを助けようとしたのですが、残念。間に合いませんでした。
 
 そして、この作品のオチ。実は、主人公は怪物の長の息子で、ウシアとかいう女とは腹違いの兄妹だったということが明かされる。やっぱり、クトゥルー神話的展開。
 結局、自分が人間ではなかったことを自覚し、ポールはインボッカで幸せに暮らしましたとさ……という内容です。それで良いのか? と、突っ込まないでください。これでこそクトゥルー神話です。
 
 ちなみに、最後に『インスマスを覆う影』の引用が入ります。
 
 
 
 この作品は、クトゥルー神話好きならクトゥルー神話を読めばいい気もするし、クトゥルー神話を全く知らないなら大して楽しめない気もするし、ターゲットはどんな人なんだろ。強いていうなら、クトゥルー神話好きで映画好きの人でしょうか? まあ、悪い映画でもないんで、観たければ観てくださいね。
 全く関係ないが、この作品に出てくる『インスマス面』を見ていると『仮面ライダー剣』のムッコロフェイスを思い出します。やってることは同じでしょうか?