高山よしさと「スマッシュカップル大逆転」

初出:『週刊少年チャンピオン』(1980年)
単行本:未発売


 『週刊少年チャンピオン』の1980年2月1日増刊号に掲載された読切作品。作者の高山よしさとは、1970年代のサンデーやキングなどでも何度か作品を発表しているが、単行本は発売されていない様子。他に、集英社の『学習漫画 シートン動物記』でも、全12巻のうちの4巻を担当している。
 主人公は、横浜・港が丘中学の2年生でテニス部員の的場一平。ミックス・ダブルスの県大会出場者を決める校内大会において、的場は美人の女子部員・佐倉と出場することを見越していたが、キャプテンの香賀が佐倉をパートナーにしてしまったため、組む相手を見つけられずに困っていた。そんな彼が紆余曲折の末に、特別研修生として転入してきた中国人の卓球部員・蘭と組んで校内大会に出場することになる、という物語。
 的場はひたすら面食いであるため、パートナーの条件として「美人であること」のみを重視した結果、テニスに関しては全く素人の蘭を選んだ訳だが、そんな二人がいかにしてキャプテン達に対抗していくのかが本作品の肝であり、「卓球出身のテニス選手」という徳性を生かした戦術を発見する終盤の場面が、最大の見所と言える。まぁ、かなり無理のある内容ではあるが、この程度のトンデモ展開に納得出来ないような人では、この時代のチャンピオン作品を楽しむことは出来ないだろう。
 全体的なテニス描写は上手いとは言えないが、きっちり描こうとする姿勢は感じ取れるので、個人的には好印象。てゆーか、この手の作品は女の子さえ可愛く描けていればそれでいい訳で、その意味では(少なくとも私の中では)本作品は十分に合格点である。ただ、不自然な角度で無駄にパンチラが多いのは、個人的には減点対象かな。パンチラは、自然な角度で稀に描かれるからこそ価値があると思うのですよ。
 ちなみに、『学園よろずや』の高山よしのりと非常に絵柄が似ている訳だが、両者の関係は不明。最初は同一人物かと思ったのだが、どうやら「原作・高山よしのり、作画・高山よしさと」の名義で「ザ・パイロット」という作品も発表しているらしいので、もしかしたら兄弟か何かなのかもしれない。誰か真相を知っていたら教えて欲しい。