HD 6970はHD 5870と同等で、GTX 570はHD 5870の1/3以下

 一般的なベンチマークは以下の通りなのだが、

dnetcでは、一向にHD 6xxxシリーズのベンチマークが上がってこないし、GTXもやはり出てこない、で、探していて以下を見つけた。 これによると、

  • ATI Radeon HD 5870 ( 890, 1600 ) = 1,958,063,488.00
  • ATI Radeon HD 6970 ( 880, 1536 ) = 1,995,775,744.00
  • GeForce GTX 570  ( 1464, 480 ) =  626,144,768.00

HD 5870とHD 6970は殆ど差がない上に、GTX570に到ってはHD 5870の1/3以下しか出ていない。これならHD 5xxxシリーズで十分。HD 6xxxシリーズが使われないのは当たり前だし、GeForceが出てこず、radeon一色なのは当然だ。
 基本的に、radeonの場合は[ コアクロック * シェーダ数 ]、GeForceの場合は[ CUDAコアクロック * CUDAコア数 ]のようだから、GTX 580を含めた性能は以下の通り。

  • HD 5870 : 890MHz * 1600 = 1,424,000
  • HD 6970 : 880MHz * 1536 = 1,351,680
  • GTX 570 : 1464MHz * 480 =  702,720
  • GTX 580 : 1544MHz * 512 =  790,528
  • ( GTX 590 : 1215MHz * 1024 = 1,244,160 : 参考 )

GTX 580でも12.5%程度しかアップせず、とてもじゃないが遅すぎて使い物にならない。尚、この計算では両者の差は1/2へと縮小している。radeonのコアが優秀な可能性も有るが、多分、GeForceの高クロックがデータ転送で足を引っ張られ、性能を出し切れていない可能性が有る( *1 )。
 いづれにしろ、GPUでスーパーコンピュータを作るのなら、Radeonしか選択枝が無い様子。
 所で、これだけ差が出ているとなると、冒頭の一般的なベンチマークの信頼性に疑問が出てくる。

例えば、radeonはそのまま全部計算、GeForceは人間の目には分からない範囲で手抜き計算、と、なっていたらどうだろうか

HD 5800シリーズのテクスチャフィルタリング処理では,“パフォーマンス向上のための姑息な最適化”をやめたことが宣言された。
高品位なテクスチャフィルタリング処理メソッドの一つに,異方性フィルタリングがあるが,これはかなり重い処理系だ。そこで,GPUメーカーの間では,見た目に分からない範囲で,視線との相対角度,あるいは視点からの距離などに応じて,テクスチャを階層縮小化した仕組み「MIPMAP」(ミップマップ)の参照法を切り換える,「最適化」という名の“手抜き”が行われていた。


「ATI Radeon HD 5800」徹底分析(3)〜3Dグラフィックスに特化したAMD - 4Gamer.net

当然、ベンチマークとしてはGeForceの方が早くなる。つまり、一般的なベンチマークは、条件を揃えずに単純に時間のみ計測しているに過ぎず、結果としての画像の差は比較していない。両者の動作条件をすり合わせて、ベンチマークを行ったなら、恐らくはdnetcの結果に近いものになるのではないだろうか。
 両者共に、画質優先から速度優先に設定を変更した状態でのベンチマークが、何処かにないものだろうか。多分、radeonの方が、早いのではないかと思うのだが。

*1:クロックを上げるか、コアを増やすかという選択なら、並列計算前提ではコアを増やす方が有利。尚、本BlogではシングルGPUのみを取り上げていて、デュアルGPUは対象外としている。