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davsの日記

2014-02-15

特攻の戦果は圧倒的か? 『永遠の0』と日本人

『永遠の0』と日本人 (幻冬舎新書)

『永遠の0』と日本人 (幻冬舎新書)

『永遠の0』、『終戦のエンペラー』や宮崎駿アニメを題材に筆者の心情をつづったエッセイ。Amazonのレビューには、「特攻の真実を知る事ができて本当に感謝しています。」「(筆者の)勉強量、情報量、洞察力、分析力は半端ではありません。」といった絶賛の辞が並んでいるが、本書を読んで、太平洋戦争(筆者は大東亜戦争と呼んでいる)や特攻についての歴史が学べると思ってはならない。

むしろ、簡単なところでミスが目立つ。

昭和十七年六月のミッドウェー海戦太平洋艦隊の主力部隊が、戦術的判断の誤りを重ねて壊滅的な打撃を蒙り(p125)
ここを読んだ時、わが目を疑った。筆者が「日本はミッドウェー海戦で勝っていたのだ」と言い出したのかと思った。太平洋艦隊って米海軍の組織で、日本海軍の組織じゃないよ。ここは「日本海軍機動部隊」と書くべきでしょう。
ミッドウェー海戦で日本の空母三隻を撃沈した空母ヨークタウン」に体当たりし、これを大破した例(p208-209)

ヨークタウン」の艦爆撃隊は日本の空母蒼龍」を沈めたが、「赤城」「加賀」の沈没は「エンタープライズ」隊の爆撃によるもの、また「飛龍」は「エンタープライズ」の艦爆隊と「エンタープライズ」に退避していた「ヨークタウン」爆撃隊が沈めた。一隻撃沈か、多くとっても一隻半撃沈だ。先の引用部分は、「飛龍」の友永機の体当たりのことを指す。筆者は「ヨークタウン」の大破は体当たりが主因のよう書いているが、「ヨークタウン」はこの時、複数の爆弾と魚雷を受けているのだ。

どうやら、筆者には体当たり攻撃の効果を高く見積もりたいという傾向があるようだ。
第5章ではそれをはっきり打ち出している。
筆者が特攻について言っているのは2点

  1.  特攻は圧倒的な戦果をあげており、これがなければ、日本本土は蹂躙され、日本人は奴隷となっていた。
  2.  特攻隊員は平らかで、清らかな心で出撃し、散華していった。

特攻の戦果は大きかったのか。

筆者が多大な戦果をあげたとする特攻だが、そもそも特攻は通常の攻撃方法よりも威力が低い。
爆弾を装着したまま体当たりするが、その激突速度は、上空から投下される爆弾の速度よりも遅く、当然貫徹力も低い。また魚雷のように敵艦の喫水線下を破壊することもできない。

実際、複数特攻機が命中しても沈没しなかったケースがある。オーストラリア海軍重巡洋艦オーストラリア」は6度体当たりを受けたが沈まなかった。駆逐艦ラフェイにも至近1機を含む6機が命中したが結局沈まなかった。

特攻で沈められた艦で大きいのは、3隻の護衛空母「セント・ロー」、「オマニー・ベイ」及び「ビスマーク・シー」で残りは駆逐艦以下の小艦艇や輸送船の類である。空母を沈めたじゃないか、と言われるかもしれないが、護衛空母はもともと潜水艦航空機から味方船団を守るための軍艦で、敵の艦隊と正面から戦うものではない。当時のアメリカ海軍正規空母と比較して排水量も搭載機の数も3分の1以下である。
とても、「必死」の戦術の効果としてひきあうものではない。


特攻の「命中率」

本書では特攻の戦果が圧倒的だった根拠として、1944年10月から翌年3月まで、特攻命中率39パーセント、敵艦至近での自爆によって被害を与えた至近自爆機被害率17パーセント、合計特攻効果率56パーセントというアメリカ海軍の機密文書の記載を紹介している。筆者自身が言っているように、この命中率の分母には、米艦の近くにたどり着けなかった特攻機は含まれていない。
56パーセントというのは、米軍が戦場で視認した特攻機の来襲機数を分母とし、被害を与えた特攻機の機数を分子にした数字である。決して出撃した特攻機の半分以上が、敵艦に被害を与えたということではない。
参考 http://www.geocities.jp/torikai007/1945/kamikaze-statistic.html

それでは、出撃した特攻機のうち戦果をあげた割合はどれほどなのか。
つらい真実―虚構の特攻隊神話』(小沢郁郎)によれば、出撃特攻機延数を分母とし、命中機数及び至近突入を分子とした割合は、高くても13.1パーセント(命中に限れば6.7パーセント)であるという。特攻機の援護をする直掩機を分母に算入したり、被害を受けた艦船の数を分子にすれば、この割合はさらに低下する。



比較のため、通常の攻撃法による戦果について書いておく。

1942年5月の珊瑚海海戦で、艦戦18、艦爆33、艦攻18の日本側攻撃隊は、アメリカ空母2隻に爆弾3発と魚雷2発を命中させた。直掩機を計算にいれない前述の計算法をあてはめると、命中率は9.8パーセントとなる。もちろん、アメリカ側の防御手段の向上はあるにせよ、特攻が通常の攻撃法と比較して、圧倒的な戦果を挙げたとは言えないだろう。
特攻の成果は敵艦に突撃できた機を個体で勘定すべきではない。文字通り総力戦で全体としての成果を勝ち得たと言うべきだ。(p227)
こんな言葉で、軍事作戦を語ってほしくない。
特攻神話
筆者は、特攻隊員の遺書を紹介して、「こんな二十歳の青年が存在した社会があったか」と、彼らの心情を絶賛し、特攻正当化しようとする。もちろん、自ら志願して「美しい」心で散って行った者もいるだろう。しかし、一人でも志願を強制された者がいるならば、特攻の陰惨さは覆いがたい。例えば、喜んでサービス残業をしている人間がいるからといって、サービス残業正当化できるものではないだろう。
実際、特攻隊への参加者を指名したり、生還者に「死ね」と命じたり、といった「美しくない」エピソードが『つらい真実―虚構の特攻隊神話』に紹介されている。
もうひとつの特攻神話として、特攻の発案についてのものがある。本書では大西中将の個人的動きで、特攻が実現したとされている。しかし、本書に書いてあるように大西中将特攻隊編制命令の前に、人間魚雷回天」が完成していたり、人間爆弾「桜花」の研究が開始されている。特攻作戦が組織の中で検討され、決定されたという証左だろう。

zames_makizames_maki 2014/03/20 02:12 「特攻は圧倒的な戦果をあげており、これがなければ、日本本土は蹂躙され、日本人は奴隷となっていた。」そうなんですか!

なんですぐばれるそんな馬鹿な嘘を平気で書くのでしょうね?


映画「永遠の0」を賞賛するブログしかなく本当に困っていましたが、少なくとも2014年現在その嘘を信じている日本人が100万人以上はいると言う事でしょう。
本当に、本当に、本当に、日本人それも特に若者は馬鹿になってしまったんですね。

AkihiroAkihiro 2015/01/03 03:42 映画永遠のゼロ
評価します。

特攻隊イコールテロリスト
これだけが、ゆいいつのメッセージですね。

今まで主観的にしか考えていなかったが、
この映画を見て、
特攻隊は、特に敵国、外国から見れば、自爆テロリストなんだなと気付かせてくれる作品です。
合コンのシーンでの、外野が言った言葉。
あのシーン唯一の真理ですね。

特攻を美しく語るほど浮き上がってきます。
特攻隊
賛美する者は中東?の自爆テロリストも同様に賛美すべきである。

しかし、間違ってるよね多分、他国だし。

どんなに美しくストーリーを紡いだところで、
特攻隊って自爆テロリストだったんだと気づかせてくれる作品です。

岡田ですかね?
特攻否定のヒーロー
反面、現代側、ほくろの、ちょと賢くなさそうな俳優さん。
彼が、敢えて悪役、特攻はテロじゃなくもっと崇高な、っていうほど、いやいや、客観視すれば、テロリストだろうって、伝わってきます。
ナイスキャスティング
原作は特攻賛美とすれば、
映画版は、原作の意図とは捻じ曲げられていますね。

どんまいです、
原作は原作、映画は映画。

春風春風 2016/10/12 02:21 何故比較対象が珊瑚海海戦なのでしょうか?
空母戦力・搭乗員の練度で日本が上回っていた時期と比べても意味がないのでは。
特攻が始まった当時は米艦隊の防空火力や直掩戦闘機の規模も比較になりません。
せめてマリアナ沖海戦と比較してください。
400機以上出撃して命中弾は一発、至近弾数発のみです。

ちなみに44年末〜沖縄戦までの特攻機の出撃当たりの攻撃成功率は10%超えています。
http://www.geocities.jp/torikai007/1945/kamikaze-statistic.html

命中率6.8%は沖縄戦での数字ですが、その頃の米艦隊の防空能力を考えればそれでも優秀な部類ではないでしょうか。
少なくとも通常攻撃で効果が期待できる状況ではありません。

春風春風 2016/10/12 02:56 とはいえ出撃数で比較するのもどうかと思いますけどね。
上述のソースでは特攻の半数近くが帰還したことになってます。
敵を発見できなかった等でしょうが、出撃あたりで考えるとマリアナ沖海戦より戦果も生還率も高かったことになるわけで。

davsdavs 2016/10/13 07:16 >春風さん
>何故比較対象が珊瑚海海戦なのでしょうか?
日本軍が勝ったとは言えない珊瑚海海戦ですが、これを大きく上回る効果をあげた、とぐらいでないと、純軍事的な観点からも正当化できないと思います。

>特攻の半数近くが帰還したことになってます。
そこが、特攻作戦のおぞましいところで、生還したということは、特攻作戦が失敗したということです。

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