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水の中のナイフ blog ver. このページをアンテナに追加

2012-05-30 フラフラ、フワフワ

[]フラフラ、フワフワ

ここ数日空中分解気味。
なんだか今のところ、仕事が忙しいことのみで自分を保っている気がします。もともと中心がなく、うっかり気を抜くと凧のように飛んで行ってしまうのが人間なのか、それともそんな主体性がないのは私だけなのか…。
そもそもそういう支えを保つための家族だったり、友人だったりするんでしょうが、私の場合一生懸命にがんばらないと、そういうコミュニケーションをすぐ放棄してしまうから困ったものです。
幾本も差しのべられていた手に、気がつかないでいるうちに、たまたま空を見上げた時に手がなかったからといって、見捨てられた気分になるのはまちがっている。

2012-05-25 日本が追いついた「伊藤プロジェクト」

[]日本が追いついた「伊藤プロジェクト」

The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)

The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)

 
 銀色のカバーに著者の名前が本のタイトルのように配されたハヤカワ文庫。ハヤカワ文庫を買うのは久しぶりです。タイトルとまちがえた著者の名前は伊藤計劃。本当のタイトルは、「The indifference engine」の方でした。
 それにしてもすごい、名前自体がプロジェクトとは。
 筒井康隆小松左京以後の日本のSFからは遠く離れていたので、数ページ読んで引き込まれたのには驚きました。久しぶりに若い世代の作家で、着眼点感受性、文章の質がしっくりくる作者に出会えてうれしい。なによりも質感がドライで、海外翻訳SFを読んでいる気持ちにさえなる。そう思って作者の略歴を見たら、もう若くして亡くなられていました。享年34歳。あまりの若さに愕然。もっともっと書きたかったに違いありません。
 現時点で、"007"にオマージュを捧げたマンガ「女王陛下の所有物」と、表題作の「The indifference engine」、次の「Heavens scape」まで読了。
 特に後の2篇は、舞台が日本ではないどころか、同じ国に住む違う民族同志が虐殺を繰り返すソマリア辺りの地域で、自ら殺し合いを続ける子供たちが主人公。当然私は、その舞台に身を置いたことがないから、作者が書いた世界が、どのくらい事実に基づいているかはわかりません。でもその世界は、確かなリアリティをもって読者をとりこにします。
 そのせいか、読み進めていくと、ふだんの狭い生活の中で、すっかり凝り固まったしまった自分の脳が、外に向かって開かれていつもと違う動きをするのを感じました。
 虐殺がおさまった後、民主主義を背負って統治にやってきたアメリカ軍の超法規的洗脳方法は、いかにもSFという設定ではあるけれど、「戦後」を経た日本人にとっては絵空事ではないはず。また、毎日が平穏に続くのではなく、いつ自分が死んでもおかしくないという状況は、3.11を体験した私たちにとって切実です。いろんな体験を経て、読者の方がようやく伊藤計劃に追いついたのかも。
 もっとも、そういうテーマがあるにしろ、この作品を読む醍醐味は、作品の持つ美意識とかスタイルの方にあります。
 ひとつの短編を読み終えて、胸に作品の哀愁を携えたままでも、不思議とすぐ、テレビをつけてお笑い番組を観られてしまう。それは、この作品の内容が薄いからでも、軽いからでもありません。まちがいなく何かは、心の中にしっかり杭を打つように残るのだけど、読み終えた途端に、その話の世界観は見事に完結し、後に変な余韻が残らないだけ。
 知っている人にとっては今さらでしょうが、伊藤計劃の作品は、彼の死後、英語や韓国語に翻訳され、日本人としては初めてフィリップ・K・ディック賞特別賞を受賞。フィリップ・K・ディックから若い伊藤計劃に世代を超えて受け継がれたものが、作者の死で断ち切られてしまったことが本当に残念。代わりとなる人は、なかなか表れないかもしれません。
 ただ、未完に終わった「屍者の帝国」を、著者の友人でもあった円城塔が書き継ぐと、芥川賞記者会見で発表したそうで、書き手が変わったとはいえ続きの作品がもうすぐ読めそう。それを知ってから、円城塔の作品も読んでみたくなりました。
 好きな作品と出会えたのがうれしくて、まだ途中までしか読んでないのについついタラタラと。あとはつべこべ言わず続きを読みます。

2012-05-11 『40歳からの女性の不調とのつきあい方』発売

[]『40歳からの女性の不調とのつきあい方』発売

 『40歳からの女性の不調とのつきあい方』が、洋泉社から発売されました。
 どんなに若くてきれいな人でも、ある程度努力をしなければ、健康や美しさを保ちにくくなる40代。子供を産むという女性特有の体の状態をそろそろ卒業する年代なので、仕方がないことかもしれません。とはいえ、女性自身にとっては、更年期の体や心の不調、容貌の衰えとつらいことばかり。
 そこでこの本は、健康やメンタルケア、美容の面から、各分野専門のお医者さんのアドバイスの元、40代女性特有の心身の不調を上手にやりすごす方法を伝えます。この時期になると、女性の体にどういうことが起こるのか、それならどう対応したらいいのかが、各項目ごとにわかりやすくかみくだいてあるので、読むとすっきりしてがんばるゾという気持ちになれそうです。少なくても私はなりました。
 この本で今回私は、美容ページの執筆協力をさせていただきました。美容面で私が合格だったのは、食事面だけみたいです。他は全て要反省。ちょっとだけ丁寧に化粧品をつけるようにしたら、それだけでみるみる肌がよくなりました……。

2012-04-30 『人間リアル鑑定術』発売

[]『人間リアル鑑定術』発売

1分間で99%見抜く!人間リアル鑑定術

1分間で99%見抜く!人間リアル鑑定術

 執筆協力をさせていただいた『人間リアル鑑定術』が、大泉書店から発売されました。
 人との関係を築くには、時間をかけて信頼を深めるのが理想。しかしこの忙しい現代社会、そうものんびりしていられないのが現実です。特にビジネスの上では、会って数十分で決断を迫られる場合もあります。
 そんなとき、もしあらかじめ相手の性格や行動の傾向がわかっていたら…。切実にそう感じることはありませんか?
 この本では、占い師という「会って数分で相手の人生を全て決めかねないようなアドバイスをしなければならない」立場である岡田人篤さんが、相手の見た目やしぐさや話し方、筆跡や持物などから一瞬にして人を見分ける方法を指南しています。
 特にしぐさやくせ、筆跡は、占いというより心理学の面が色濃く、ちょっとミーハー感覚でも楽しめます。
 私のようにぼんやりしていて、「みんなが避けて歩いている場所をうっかり踏んでしまう」ようなタイプには、特に「こんなタイプに気をつけろ! 要注意人物」が怖いくらいためになりました。ああ、情けなや……。

2012-04-04 『Pina』監督:ヴィム・ベンダース

[]ヴェンダースの愛の深さに助けられて

Pina [DVD]

Pina [DVD]

 昨晩もう我慢できずに、ヴィム・ヴェンダース監督の3D映画『Pina』の最終回に飛び込んで鑑賞。
 映画に詳しく、いつもなら鋭い批評をする論客たちが、揃いも揃って「素晴らしかった」のひと言しか残さない理由がよくわかりました。
 かつて心の中に、絶望しか生まれなかった時期、わざわざ埼玉までピナ・バウシュのダンスを観に行ったものです。そして本当にこの世に、誰かを助けてしまうダンスというものが、あるんだと思い知りました。
 そのピナのダンスの映像化となれば、宝の箱を壊されてしまいそうでいやだ、と思うところですが、監督がヴェンダースだと聞いて不安は消失。
 この人ならきっと、自分のためではなく、ピナのための映像を作ってくれる。映画の意匠ではなく、ダンスや音楽の方に心を砕いてくれるに違いない。
 その予感は、当っていました。むしろピナという対象への愛が深すぎて、映像からヴェンダース色が消えてしまったほど。それは少しさみしかったですが、音と選曲のセンスの方に、ヴェンダースらしさは残っていました。
 ダンス自体と同様、映画にも私は助けられたみたいです。だいぶ無理をしたけれど、観に来てよかった。