世界最初の高級プログラミング言語と言われる「FORTRAN(フォートラン)」をIBMで完成させ(1957年)、また形式言語の構文定義に現在でも広く用いられるメタ言語「BNF(Backus-Naur Form=バッカス・ナウア記法)」をALGOL開発に際して考案した(1959年)、コンピュータ科学者・数学者のジョン・ワーナー・バッカス(John Warner Backus)さんが死去されました。ご冥福をおいのりいたします。
今では大学でFORTRANを実習することもあまりないのかもしれませんが、少なくとも20年ほど前には科学技術計算用のプログラミング言語として工学系大学生には必須のコンピュータ利用知識でした。大学や大企業のコンピュータセンターにはIBMの大型汎用機が幅を利かせていたころ、いわゆる「FORTRAN 77」という言語仕様が一世を風靡していました。個人的にも、FORTRANは(8ビット機用)BASICの次に学習したコンピュータ言語でした。
長らく旧態依然としたFORTRAN 77が標準でしたが、1990年代に入って「Fortran 90」や「Fortran 95」といった近代化された言語仕様が標準化され、これらではFOTRANやCOBOLといったパンチカード時代からの歴史あるコンピュータ言語に特有の桁位置に依存した固定プログラム形式を脱し、構造化プログラミングを可能としているそうです。
もっともバッカス氏自身は、早くから新しいプログラミング言語「FP(Function Programming)」に取り組み、1977年にそれまでの業績によりチューリング賞を受賞した際の記念講演「プログラミングはフォン・ノイマン的スタイルから解放されるか?」では「関数レベルプログラミング(Function-level programming)」というプログラミングパラダイムを提唱しました。この講演によって関数型プログラミング一般への関心が高まったとのことです。
FP言語は、ケネス・アイバーソン氏のAPLの影響を受けており、またFPおよびその後継のFL(Function Level)言語の成果は、アイバーソン氏1989年に提唱した「J言語」に生かされているそうです。