静岡地震被害見学記 寺田寅彦

 1935年のエッセイなので、それ以前に起こった静岡での地震の見たままの記録が伝えられている。
 帯状の破壊ゾーンがあった点では、兵庫県南部地震に通じるものがある。石造よりも木造の方が頑丈だったという観察は、技術や著者の指摘する予算の問題もあって、材質そのものの問題と完全にイコールではないはずなのだけど、地震が起こる度に印象が積み重なっていく。


 ちょっとした鉄道旅行記の要素も持っていて、当時の日本に流れていた雰囲気が感じられるところも興味深かった。
 このころの青年団は本当に青年だった。


青空文庫
寺田寅彦 静岡地震被害見学記