私の履歴書 中谷宇吉郎

 紆余曲折しまくっていた中谷宇吉郎氏の進路が分かる。田舎と都会の格差について実体験をもって語っている点も注目に値する。根本的には日本があまり変わっていない気がして残念な気持ちになった。やはり学習の機会格差はまずい(都会の人が田舎の生活を学べないことをふくめて)。
 著者の陶工→(高等学校受験失敗・浪人)→哲学+生物学→理論物理学→実験物理学という志望の変化はなかなか激しい。落第したことも糧になったと振り帰れるのは、その時々で本気で打ち込んで来たおかげとのことで、何事もいいかげんで罪悪感を覚えてしまう自分には眩しい限りだった。


青空文庫
中谷宇吉郎 私の履歴書