蒼龍のタワゴト-評論、哲学、認知科学- このページをアンテナに追加 RSSフィード

2005-07-04

[](DVD)キム・ギドク春夏秋冬そして春(無修正版)」

物語と映画技法が一体化した見事な作品。ただし、あまりに完璧にできすぎていて、かえって私はそれほど惹かれなかったが。しかし、これが傑作であると言う事実には代わりがない。

物語は、水上の寺院を舞台に、タイトル通りに主人公の人生を四季になぞらえて描き出す。無知ゆえに残酷な幼年期、盲目で情熱的な青年期、人生を知り苦悩する壮年期、苦しみにあふれる世界を受け入れようと修身する中年期、そして達観。よくできた話だが、そんなことに感心してはならない。佐藤亜紀bloghttp://tamanoir.air-nifty.com/ 該当の日付は忘却)にもあったが、映画にとって物語などさして重要ではない。この作品のすごいところは、物語の展開に合わせて映画技法を変えていることである。

春。カメラは映す。幼い彼を映す。静かに見守るように。夏に。カメラの視点が多少増える。主人公の視点からも映る。会話も増えてきたようだ。秋になる。ようやく、横スクロールの撮影が導入される。バックに音楽が鳴り始めるのもこの季節からである。冬になると、とうとう歌までもが流れるようになり、最後には遠景からアップになる映像まで入る。

このように、季節が進むにつれて、映画技法が増えて豊かになってくる。始めは、固定撮影の切り替えだけなのが、主人公からの主観撮影が入り、画面が横にスクロールして人物を追うようになり、とうとう遠くから近くへとクローズアップする撮影までされるようになる。同じように、ほぼ音声のない所から、セリフが増えてきて、音楽の効果が使われるようになり、とうとう歌が流されるようになる。こうして、物語の主人公の苦悩の深まりとともに、映像上では世界の豊かさの増大が示される。これこそ、映画。物語と映像が癒着したドラマとは大きく異なる。映画では、映像が独立して語る。

だが、にもかかわらず私には好きになれないのは、構成的によくできすぎているからだろう。よい映画だが、私にはちょっと美学的すぎる。キム・ギドクのほかの作品は見たことないが、他のはもう少し猥雑な感じがする。これは傑作ではあるが、おそらくキム・ギドクの最良ではない気がする。ぜひ、他の作品も見てみたい。

春夏秋冬そして春 [DVD]

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