市倉定先生が「社長はとにかく外へ出なければいけない。会社には週に1回出るだけでよい」とよくおっしゃっていました。
ちなみに、赤字会社の社長は月に1回しか会社に出てきてはいけないそうです。
会社にばかりいる社長のことを「穴熊社長」といい、時代の流れを読むことが出来ない社長不適格の大きな要因として挙げておられました。

いくら釣り方が上手でも、魚のいないところで糸を垂れていてはダメなわけです。
そして魚の群れる場所は少しずつ移動している、ということなのでしょう。
邱永漢さんが、たくさんの経営者や商売人を観察した結果、次のように看破しておられます。
「金儲けのうまい人は能力があるのではない。その時の時流に乗った商売をしている人が金儲けが出来るのだ」

卑近な例で考えます。
90年バブルの崩壊で、私も不動産業者の例に漏れず、散々苦しみました。
もし仮に、バブルの発生と崩壊が事前に分かっていたとしたら、大儲けしたはずです。
少なくとも大損はしなかったでしょう。
バブルの発生も、また崩壊も、その兆しが必ずあったはずです。
それに気がつくか見落とすかで、天国と地獄が分かれます。

その兆しを知るには、やはり3つしか方法がないと思うのです。
一つは本を読む(新聞や雑誌も含まれるかもしれません)。
もう一つは外へ出る。
実際、私の知っている優秀な不動産の仲間は、いろんなところへ出かけて勉強しています。
そして最後は熟考する。
沈思黙考もインスピレーションも、その中に含まれます。

ここ数年はあまりに忙しくて、外に出かけるということが、ほとんどありませんでした。
ネットワーク88の勉強会で、月に一度東京に出かけていますが、これなども勉強にかこつけて、むりやり東京へ自分を送り出す意味合いもあります。
これからは、もっともっといろんなところへ、ブラブラと出かけたいと思うのです。

海外旅行へよく行く人は、視野が広くて話題が豊富なのと一緒です。
外へ出れば、入ってくる情報がやっぱり多いわけです。
「読書」のインプット、「外出」のインプット、そしてその情報を熟成させる作業である「熟考」。
そこから生み出されるアウトプットこそ「次の一手」。

なんで“くどくど”とそんな話をしたかと言うと、大阪の街を久しぶりに歩き、いろんなことを感じたからです。
無性にいい陶磁器を見たくなり、大阪市立東洋陶磁器美術館へ行ってきました。
梅田から中の島にある美術館まで歩いたのですが、もうそれだけで街の変化を肌で感じることができました。
やっぱり外を見なければいけないなと思ったしだいです。