入院記

人生3回目の入院ともなると、それまでと比べて多少落ち着きのようなものがあります。
初めての入院は結核
それも胸のレントゲンを撮ったその日、即入院ということになり、何の心の準備もないまま、結果的には4か月もの病院生活を送ることになりました。
もし最晩年に「私の人生の10大ニュース」というのを書くとしたら、間違いなく入ってくる重大事件であるのは間違いがありません。

2回目は極度の眩暈(めまい)で起き上がれなくなり、救急車のお世話になりました。
基本的には過労。
直接の原因は十二指腸潰瘍による下血でした。
この入院以降3年ほどは、午前中のみの勤務としました。
このままでは命が危ないと思ったからです。
この頃から、自分が働く代わりに不動産に働いてもらうことに注力するようになりました。
「累積経営」を唱え出したのも、この時期からです。

そして今回3回目。
胃カメラ検査をしてもらったところ「十二指腸のキズが深い」ので、これまた即入院。
まさか入院するとは思わなかったので、ビジネス用のカバンを持って行っていました。
これが大正解。
そのカバンにはパソコンとノートが入れてあり、いつでもどこでも仕事ができる態勢になっているのです。

5日ほどの入院だと聞いたので、病室に入った後、その5日間に入っている予定のキャンセルを、メールで連絡していきました。
これが電話だと5倍の労力と時間がかかったに違いありません。
「便利な時代になったものだ」と心底思ったものです。

胃カメラ検査だったので、その日は朝から何も食べていません。
そしてそのまま絶食へ。
胃カメラ検査が終わったら何か食べよう」と楽しみにしていたので、絶食と聞いた途端、ちょっとガクッときてしまいました。
妻曰く「顔が青ざめていた」とのこと。

絶食中の初日が一番空腹を感じました。
2日目はそうでもなかったように思います。
鍵山秀三郎先生は3年に1度ほど、1週間の断食をされるようです。
石原結實さんの本もよく読み、断食の効果のことがよく書かれています。
この際、絶食を前向きにとらえようと思いました。

3日目の昼からお粥と少量のおかずとデザートのゼリーが出ました。
口にし、もっと感動するのかと思っていたのに、そうでもなかったのは予想外でした。
4日目の朝、鏡で自分の体を見てみると、完璧におなかが凹(へこ)んでいました。
体重が一体何キロになっているのか、早く量りたいものです。

入院中、本は20冊ぐらい読んだように思います。
ジョギングには「ランニング・ハイ」というのがあるようですが、読書にも「リーディング・ハイ」というのがあるのです。
何冊もの本を読んでいくと、本の内容がスラスラと頭の中に勝手に入ってくる感覚になることがあります。
佳境になると本を読むスピードがビックリするぐらい速くなります。

「本当によんでいるのかいな?」と自問自答する時もあるのですが、読み終わったあと、面白かったかどうかの余韻だけは残っています。
本の内容はすぐに消化されるというのではなく、1か月ぐらい自分の中で熟成されるようなのです。
そのあと自分の言葉として、その内容が出てきたら、完全に自分の血肉となったと言えるのではないでしょうか。