スパイのためのハンドブック
- 作者: ウォルフガング・ロッツ,朝河伸英
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1982/03/30
- メディア: 文庫
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あなたはスパイに適しているか? スパイ養成の方法は? 金銭問題や異性問題にはどう対処するか? 引退後の生活は?――著者のロッツは元スパイ。イスラエルの情報部員としての波瀾にとんだ経験をもとに、豊富なエピソードを盛込み自己採点テストを加えて、世界で初めての
(ハヤカワオンラインより)
色々、気に入ったエピソードや、はじめて知って面白く思ったことも多くて、楽しめた。
『金銭も十分納得のいく動機である。辛い労働に報いるに現金でもってすることは、どんな仕事にも通ずる原理である。だた、落とし穴が一つだけある。千人に一人ぐらいのごく少数の秘密情報部員しか、合法的にせよそうでないにせよ、まことの大金を手に入れることはないということである。情報部というところは、巨額の予算をありとあらゆる工作にふんだんに支出していながら、給料とか現地工作員の経費という段になると慢性的に出しおしみすることで悪名高い。』(P20)スパイ、給料も高くなくて、リスクが非常に高いというのはやっていることもだが待遇もブラックな仕事だな。
『囚われの身になったスパイが沈黙を守り通し、尋問者に(嘘八百以外は)何も話さなかったという話は、尋問の係官がいい加減な仕事をしない限り、全く虚構の世界に属する出来事である。』(P57)良く考えればもっともなことだけど、ちょっと驚いた。
『第三章 スパイの養成』での著者が尾行術を教えられたときのエピソードは特に気に入った。
『「じゃあ、何が問題なんですか、長官?」
「問題は、控え目にいっても、重大な規律違反であり、わしはきみをぼろくそにけなすことになっている」
「結構です。私はぼろくそにけなされました。二度とそういうことはしないと約束します」』(P132)実際のエピソードということだけど、この会話のくだりすごくいいなあ。