IT 4
- 作者: スティーヴンキング,Stephen King,小尾芙佐
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1994/12/01
- メディア: 文庫
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内容(「BOOK」データベースより)
二十七年前、一度七人はITと対決した、銀のばら玉を武器に。いや、それ以上の武器は、七人の友愛と勇気で結んだ“環”だった。そのときの“約束”にしたがって、彼らはいまここにいる。欠けた“環”を結びなおして、いま一度、ITと向かい合うのだ。町の下を、ITの棲み処めざして這い進む。デリーに新しいことが起こるのを信じつつ。
最終巻。ラスト、ちょっと諸手を挙げて喜べるハッピーエンドとはならなかったのは残念だったけど、長い小説だったけど最後まで倦まずに読み進めることができたいい小説、面白い小説でした。この本がとても面白かったのでキングの小説は他にも読もうと思っているけど、ホラーはあまりあらすじ見ても、惹かれないから、次に何を読むかは悩み中。「11/22/63」は面白そうだけど、それはまだ文庫化してないしなあ。
相変わらず間奏での過去のデリーで起こった惨劇の話は、はみだしクラブと怪物の対決という本筋とは直接にはかかわらないけど、読ませる。
子供は信じやすさがあり、粋な恐怖を覚えるからこそ、それをItは狙って子供を食べているのだが。しかしその信じる心はITと立ち向かうための力ともなる。
今回は、今までのように1章ほとんど過去パートとかはなくて、現在と過去パートを織り交ぜながら、双方のパートでほとんど同時にクライマックスへ向かって侵攻していく。デリーの地下でのItとの最終対決。
現在のヘンリー、Itの声だとわかっているのに従っているのか、狂しているな。そんな感想は、いまさらすぎるかもしれないが。
現在パート、ビルとベヴァリーがそうした関係を持ったのはちょっとショックだ。ビルと結びつくと思ったし、実際ラストではそうなったので、現在パートでそういうことになるとは意外。ビル、妻もいるのになあ。なんかちょっと居心地悪い。
しかし過去皆とそういうことをしたってどういうことかと思って、比喩かと思ったら、化物退治後、皆を一致団結させないと戻れないと感じたからそうしたようだ。しかしもし見えている現実より上のレベルから情報が漏れ伝わってそんな思念を生ませたというのでなくて、彼らを導いたもの、運命を直感させたものがいるのであれば、そんなことをさせるなんてなんつう存在だと思ってしまう。
今回でラストということもあって、凄惨なシーンも増えているなあ。
しかしベヴァリーの夫、まさかベヴァリーの前に登場する前に、はみだしクラブの面々と邂逅する前にItに利用されて死亡するとは流石に想定外だったわ。
しかしItのモノローグのパートが出てこようとは思わなかったわ。
グロ系の描写なら現実感わかないから平気だけど、下水道とかで汚物とかで全身汚れるという描写を見ると、ちょっとオェっとなってしまうな。
強く武器になる、It相手に危害を加えられると思えば、それは実際には無害なものでさえそれは力になる。それは魔法。だからこそItはヘンリーを操って、魔法が聞かない奴に彼らを始末させようとしていた。
現在、Itとの対戦中に外のデリーの町では大災害が引き起こされていたというのは、それほどデリーの町=Itという構造になっていたから、その邪悪だが不可分なものの存在が危うくなったからそうなったということなのかな。
Itとの最終決戦で一人欠けてしまったとはいえ、今度こそItを完全に打ち滅ぼした。過去も現在も彼らは運命に導かれていると運命に絡めとられているのどっちとも取れるから、どうなるのかと思ったがすべてが完璧とはいかないまでもまずまずのハッピーエンドを迎えられて良かった。
しかしそれなのに再び忘却がはじまり、互いの記憶を、戦いの記憶を思い出せなくなっていき、再び再会することはないだろうという終わりなのはちょっと物悲しい、寂しい。たぶんこの忘却は、Itの存在が消滅したから、その存在の痕跡の記憶を全てぬぐおうという世界の修正力的なものによって引き起こされたものかな。
まあ、ベンとベヴァリーがくっつきそうだというので、そこだけはその後も関係が残るだろうと思うので、それだけはちょっと良かったかな。途中でビルとのそうしたシーンがなければ個人的には万々歳で祝福できて、なおさらよかったんだが……。まあ、そんな愚痴いったってしょうがないけど。