異世界食堂 4
- 作者: 犬塚惇平,エナミカツミ
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2017/06/30
- メディア: 文庫
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ネタバレあり。
web版で以前読んだと思うが忘れている話が多く、新鮮な気持ちで読めた。
プロローグのネコヤ店主の祖母ヨミ(異世界出身)の昔話、邪神の攻撃で時空の壁を破って地球に来たこと、そして後に配偶者となるダイキ(店主の祖父で、異世界食堂初代店主)との出会いが書かれる。
「アーモンドチョコレート」ウィリアム・ゴールド(ジュニア)とその従妹のサラの偶然の再会。こうした異世界では遠すぎて合えなくなっていた人が、異世界食堂によって出遭うという話好きだな。だから「親子丼」での普段は別行動だが、年に1回決まった日に異世界食堂で会うことを決めている家族の話も好き。
「ライスバーガー」エルフのフォルダニアは、ハーフエルフの両親から生まれて両親の死後兄弟に疎まれて捨てられたエルフのアリスと出会って、彼女の保護者になる。「フルーツゼリー」などでも、その後の旅する二人が書かれる。「バーベキュー再び」でも少し登場するし、今回この二人の登場回数多いな。
「ペペロンチーノ」砂漠でちょっと困っていたときにネコヤが現れて、そこで水を飲み食事を食べる。そういえば夜にネコヤに入ると、夜のネコヤにつく。当たり前のようで、そういえば異世界のどこから入ろうと朝なら朝、夜なら夜のネコヤに来れている印象だが、異世界の時差とかどうなっているんだと今更ながら少し疑問に思った。実は異世界は人類の生存域が狭くて、離れている場所と言っても地球の裏側とかはなく、少しの時差しか存在しないとかなのかな。
「ポテトチップス」ジャガイモが異世界に渡った経緯が書かれる。祖父がいない間に、幼いころの現店主とコロッケ(帝国初代皇帝ヴィルヘイム)が交換した。そして現在の異世界でのジャガイモの扱われ方についても書かれていて面白かった。
「モーニング再び」前日に店主からコーンポタージュをもらったアレッタは、翌朝に普段の雇い主のサラと共に食べる。こういう異世界食堂の外で、異世界食堂の料理を堪能するという場面が描かれる話も好きだな。
「三色丼」鬼子のオニワカ、店主の祖母と出生同じか。そうした出自の人が現在の異世界でどう扱われているか垣間見ることができる。若武者オニワカと長年彼の世話役をしているショウジロウ。初めて異世界食堂に入って飯を食べた後に、ショウジロウに土産として飯を持っていくオニワカ。満腹になるまで店で食べたが、美味しそうに食うショウジロウを見て、少し頂戴というオニワカは子供っぽくてかわいいな。
「バーベキュー再び」先代の頃に一度お盆前に仕入れ過ぎた材料を腐らせないようにやった赤字覚悟の企画が定番となった盆前の特別メニュー。
エレンとヘルマン夫妻と子供2人、バーベキューの日を楽しみにしていて、その日に存分に肉を食べる。滅多にない遠慮せずに肉をお腹いっぱい食べれる日ということで一家が嬉しそうに食べているのはいいね。
「ロースカツ」店主の祖母ヨミとロースカツの久しぶりの再会。そこで異世界食堂の始まりが書かれる。30年前、地球とヨミがいた異世界を結ぶ魔道具を偶然骨董品として見つける。それを使って異世界人を客として招いて、ヨミがいなくなった後の世界のことを知ることが最初の目的だった。しかしヨミさん、現在90歳くらいなのに元気だなあ。
巻末の番外編「あさごはん」若き頃の祖父母の昔話。祖父のプロポーズ。