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deku_decさんの読書メーター

2010-05-15 マホメット

マホメット

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マホメット (講談社学術文庫)

マホメット (講談社学術文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

イスラームとは何か。マホメットとは誰か?根源的な謎に答えるため著者はマホメット出現以前のアラビアの異教的文化状況から説き起す。沙漠を吹暴する烈風、蒼天に縺れて光る星屑、厳しくも美しい自然に生きる剽悍不覇の男たちの人生像と世界像。魅力つきぬこの前イスラーム的文化パラダイムに解体を迫る激烈な意志としてマホメットは出現する。今なお世界史を揺がし続ける沙漠の宗教の誕生を、詩情豊かに描ききる名著の中の名著。

イスラームができる前の無道時代の記述が本文全体の半分くらいを占めているけど、イスラーム以前のことが書いてあることで、より理解できやすくなっている。

ムハンマド以前のペドウィンは、過去は現在の一部で現在よりももっと尊い現在だと考えていたというのは、現在からすると想像できないので、どういう認識、感覚だったのか興味深い。慣行(スンナ)を重視するペドウィンの考えを革命するイスラームの現在の主流派がスンニー派であることからも、過去の革新は現在の保守ということを思うと面白い。

『形而下的な現実を一歩も踏み出すことができないこんな徹底した感覚主義者が現実そのものに満足できなくなったらどうなるか。そうなったが最後、もう絶体絶命の袋小路ではないか。完全に行きづまって、進むことも退くこともできなくなってしまうのだ。(50P)』イスラーム以前のアラビアがそんな状況だったということははじめて知ったが、それなら急速にイスラーム教が信者を増やした理由も分かる気がする。

『一般にセム人の預言者的宗教においては、元来政治と切りはなして宗教を考えることはできない。強力な政治性の裏づけのない信仰は、少なくともこの世界では骨抜きで物の用の役に立たぬ。(101P)』、宗教団体の母体を大きくするためには、布教者には強力な政治性が必要なのもわかるけど、預言者その人がそういう役割を担うのはな、ほかに適役がいなかったんだろうか。

アッラーが古くからある砂漠の神で、メッカの市民たちが多神教信仰していた時代でもアッラーは神々のなかの至高の存在で、メッカの市民たちもアッラーの優位、至高性を認めていて、『最初マホメットが企画したところでは既存宗教の改革、浄化であって、決して一の新宗教の設立ではなかったことがわかる。(95P)』というのは知らなかった、そういえばキリスト教も起こりはユダヤ教の改革が目的だったというのを読んだことあるようなないような。

2010-05-07 イスラーム文化−その根柢にあるもの

イスラーム文化−その根柢にあるもの

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イスラーム文化−その根柢にあるもの (岩波文庫)

イスラーム文化−その根柢にあるもの (岩波文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

イスラーム文化を真にイスラーム的ならしめているものは何か。―著者はイスラームの宗教について説くことからはじめ、その実現としての法と倫理におよび、さらにそれらを支える基盤の中にいわば顕教的なものと密教的なものとの激しいせめぎ合いを認め、イスラーム文化の根元に迫ろうとする。世界的な権威による第一級の啓豪書。


イスラームというと砂漠を思い浮かべるが、ムハンマドは都市の商人だったから厳密に言えば砂漠的とは違うというのは、三大宗教は裁くというか香料としたと力生まれたという印象があるから意外に思った。それと、コーランが商人言葉、商人用語に満ちているというのは面白い。

イスラームは聖と俗世界の区別をつけずに全ての領域を宗教でカバーしているというのは興味深い。そういう生活と直結しているということがイスラーム世界に強い宗教的な印象を持ってしまう理由なんだろうか。それを読んで、それぞれの宗教で生活にかかわる範囲がそれぞれ違うという当たり前のことをようやく認識した。

キリスト教ユダヤ教聖書を旧約、自分たちの聖書を新約としているから、神との契約は刷新されるのかどうなのかちょっと気になっていたけど、『神にはどこまでも信義を重んじるという倫理的性質がありますから、その行為は徹底的に誠実で、一度した約束を破るということは絶対にありえない。言葉をひるがえさないことが神の義務なのです。(89P)』とあって、それぞれの宗教と神が交わした約束は並立されているというのがわかって、すっきりした。

預言者は(近)未来を見通せるものの意味でなく通告者、通達者という意味ということは(神の)「言」葉を「預」かる「者」という漢字のままの意味なのにいままで予言者と混合していた。

キリスト教は神と人との関係が親子であるのに対して、イスラーム教では神と人との関係は主人と奴隷というのは面白い。

イランペルシャが代表するシーア派(革命的、内面的な)とアラブが代表するスンニー派(保守的、正統派)。大きな二つの派について他のどこかでも読んだ気がしないでもないけど、忘れていたので今度は忘れないように一応書いておく。シーア派反体制とあるのをみて世界史にもそんな事書いてあったと思い出したけど、その記述を見て思い出すのではなく、シーア派という名前を見ただけでそのことを前提として思い出せるようにならないとな。シーア、スンニのイスラーム関係の本には必ず出てくるだろうし。

シーア派イマームムハンマドの娘婿アリーを1代目と数えて、その子孫が代々イマームをついで4,5歳でいなくなって、現在は不可視の次元に隠れているとされる第12代目のイマームが終末にマハディー(救世主)となり再び地上に現れるという考えは個人的の持っていたイスラーム教の印象とは違った感じで驚いた。それはペルシア的だそうで。

それとシーア派の理想の統治がプラトン哲人政治イラン革命後のホメイニー師がそうだというのは、哲人政治、近年に行われているところがあるとは思わなかったので驚いた。

イスラーム神秘主義者、スーフィーについてはまるで知らなかったので、興味深く読めた。