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deku_decさんの読書メーター

2015-06-11 天帝のみぎわなる鳳翔

天帝のみぎわなる鳳翔

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天帝のみぎわなる鳳翔 (幻冬舎文庫)

天帝のみぎわなる鳳翔 (幻冬舎文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

戦後悲願の航空母艦駿河率いる第二艦隊は、非戦派内閣の思惑で台湾親善訪問に出発した。折しも勃発した満州戦争から遠ざけておくためだ。だが開戦と戦後利権を狙う海軍強硬派の陰謀は、昼餐会での高官暗殺、イージス艦金剛・潜水艦春潮の無力化に発展し…そして本格ミステリ史上初の三千人殺し!!軍楽少佐と軍楽隊は絶望的な特命調査を続けるが…。

 毎回舞台が変わるこのシリーズだが、今回は艦隊が舞台となる。しかし前回から引き続き(いや列車は前々回だったかな?)、というか更に、死人の人数も事件の規模がでかくて、謎が小事としてかすんでしまうほどおおごとが起きるから唖然としてしまう。もちろん謎がその大事の真相を知る意図ではあるのだが。しかし、約800ページは長いな。そしてその長さで本格だから、当然のことだが謎が複雑。読者への挑戦状があるが、その前に作中で指摘された命題がまとめられているが数が多すぎて、読んで一応の推理をつけられるミステリ読みの人たちってすごいんだなと改めて感じたり(笑)。まあ、私が謎解きしない(というかできない)人だということもあって、真相がどうなのかさっぱり当たりをつけられなかった。

 策謀者の予想通りの展開ならどうにか対処できるが、そうでない事態が起きたら探偵が必要となるからとて、まほろを送り込むか華頂宮様。18歳の彼を25歳の儀典将校、楽軍少佐と大いに身分を偽って。こうした身分を偽る話は、どうもばれたときどうなるのか恐くて、読んでいていまいち楽しめんのよね。

 日本敗戦後、ソ連の軍事的冒険がなされた結果として戦前からの色々なもの(軍とか華族制度)が温存されたという世界観なのね。その変気になっていたから、今回それが明かされてようやくすっきり。

 信濃充佳少尉に正体を見破られ、彼女が今回のヒロインに。しかしこうしてヒロインが毎回変わること、ミステリーの探偵役が1作ごとに束の間のロマンスをする女性が出てくるというある意味お約束的なものがあってそれを踏襲してこうしているのねと、今回ようやく気づく。何で違う相手と濡れ場が度々あるのかと思っていたが、そういうことだったのね。こういうお約束(?)は、以前、確か「ミレニアム」の解説で読んではじめてしったわ。個人的には古典の名作とかを読んでいないからかもしれないけど、実際にシリーズモノで1作ごとにヒロイン変わるという作品、パッと頭に浮かばないわ。有名なシリーズだと、一体何があるんだろ? それともハードボイルドとかそっち系のミステリの話なのだろうか、それなら私はそちらは全くといっていいほど読んでないから知らないのも不思議でないが。

 ヨーソローって、特に意味ない掛け声かと思っていたが、「面舵宜候」(おもかじよーそろー)という字面を見て、意味があることとその意味が大体伝わってきた。

 英米仏などの将校も乗る艦で、レセプションの昼餐の最中に彼らの目の前で、遼上校(大佐)が毒による死を遂げる第一の事件発生。遼上校はこのパラレルワールド内で崩壊しつつある東満州国の軍人で、最新の巡洋艦の艦長で、艦ともども現在事実上日本の庇護下にあって、その存在をてこにして東西満州戦争に介入しようとする勢力が海軍内に存在している状況であった。

 紙谷警部、やたらまほろに当たり強いのには、そういう探偵を糾弾する役回りなんだろうし、まほろの甘さ・感傷によってもたらされる被害というのもあるから根拠ないものではないけど、でもやっぱり主人公にキツイキャラはどうにも苦手だな。だけど、警察が彼女ひとりしかいないという状況だからか、科学的調査、証拠集めのためのさまざまな機器を持ってきて(使ったものだけでなく、使わなかったものも相当持ってきているんだろうな。)それを使いこなしているのを見ると相当有能だが、半ば一人しか警察がいないという都合上万能な人になっているという感もあってちょっと笑える。

 そして紙谷警部、まほろや金之助や美沙が、青酸カリの入った薬包が使われたという可能性を考えず、他の物品の以上についてたずねてくることになんでだよと動揺しているのはなんかほほえましい。徹底的に探偵小説的アプローチを取って、メタ的なこともする探偵たちやこの小説だけど、彼女は探偵小説の文法に理解のない人ということなのね。

 まほろ、尋ねられた国際法についてを何も参照せずに(著者は法律が専門だということもあってか)非常に詳しくすらすらと述べていることにすごい優秀だなと感じ入る。だって、儀典将校役として潜入するから国際法の知識も丸暗記したということで勉強したの短い期間だったろうし、それに加えて儀礼の暗記もあったのにそれは凄まじい能力だ。まあ、探偵役なのだから優秀なのは当然なのかもしれないが、彼は情けない印象ばかりが強いからちと意外だった(失礼)。

 艦隊攻撃された、その動揺の最中にもう一人怪しい死をとげ、もう一つの謎が生まれる。

 美沙の推理で犯人がまほろと指摘されて、金之助がやはりお前かと彼に矛先を向けようとした矢先、金之助自身も美沙にもうひとつの事件の犯人と指摘されて出鼻をくじかれ、「なんでやねん!!」と突っ込みを入れる流れ、金之助のすばやい反応に笑った。

 こういう大規模な事件では九尾、上巣由香里が絡むのね、やっぱり。いや、世界レベルでなんか騒動を起こす超常的存在である彼女が絡まねば、そういう事態にならないのだろうけど。これまで列車の前例あるし、彼女ならやはり彼女かとなるけど、そうでないと唐突さを覚えるかもしれないから当然かもしれないけど。

 ラストの由香里パートで死者の最後の消え行く魂の最後の対話が少しかかれるが、そうして描かれることで多少救い、のようなものがあったのは良かったわ。

2014-10-01 天帝の愛でたまう孤島

天帝の愛でたまう孤島

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天帝の愛でたまう孤島 (幻冬舎文庫)

天帝の愛でたまう孤島 (幻冬舎文庫)


内容(「BOOK」データベースより)

古野まほろが所属する、勁草館高校吹奏楽部と生徒会は、文化祭で演劇を共演することに。しかし、通し稽古のため渡った絶海の孤島で、その脚本に登場する怪人が現実に暗躍し、メンバーを密室で殺戮し始める。台風に見舞われた孤島。神出鬼没の殺人鬼。生き延びるために。大好きな人を守るために。まほろに用意されていた悲しすぎる衝撃と絶望とは。


 このシリーズは一冊が厚く、また最近は350ページくらいでもちょっと長いなあと感じてしまうようになってしまったのにその倍の700ページ近くもあるので、最初は中々終わりが見えないから、つい他の本を読んでしまいがちで、読むペースもあがらなかったけど基本的に読みやすいから、読むペースが一度調子づけばあっという間に読み終えることができる。あと、いつもどおりといえばいつもどおりだのことなんだが、ミステリー作品で真相に全く触れずに感想を書くのは無理なので、以下ネタバレ有りです。

 主演出演者(登場人物紹介)のページでの峰葉実香の『公式ヒロイン、カバー出演率と支持率が比例しない。』という説明には思わず笑ってしまった。

 P152-3で献本されて、探偵小説の重箱の隅をつつくような輩への毒舌は、著者の本音というか著者自信の毒も混ざっているだろうという文章なので、その勢いには思わず少しひいてしまう。

 宮前が持っていたチョコがおクスリだというのはわかったけど、その彼女は早々に退場したというのもあり、果たしてそうした学園に蔓延するクスリという事情はこの事件とどうつながるのかについて結局探偵が推理を開陳するまでわからなかった。というか、さっぱり推理に頭をめぐらしていなかったというほうが正しいと思うけど。

 なんかピラニアが普通にいて、それなのに小さな船を使って館に渡らなければいけないという島で変な風土病もあるのにどうしてリゾートにするという考えが浮かんだのか非常に疑問というか、それで利益が出るとは思えなかったので、なぜ栄子たちにそんな考えが芽生えたのか疑問だった。しかし最後まで見ると、それが単なる方便だったことがわかる。

 はじめの2つの事件が発覚した時の状況が本当に不可能だと思えたので、最初から推理するのに高いハードルというか壁にぶち当たったので最初から推理しようと思わなかったので、事件が進むにつれていよいよ人間業とは思えなくなり、果たしてこれをどう収拾つけるのか気になったが、超常的現象をつかわずそういうからくり(大勢の人間の共犯、本当の計画を知っているか否かという違いはあるが)という真相だとは思わなかった。しかし「死神仮面」という一つのキャラクターということに騙されたので、てっきり単独犯だと思っていたので、共犯という可能性にすっかり目を瞑っていたなあ。ミステリーで共犯が真相というのは実際あまりない印象があるから、単独犯なのだと決めつけていたわ。よく考えれば、あからさまに一人じゃ無理な状況だといっていて、しかも「死神仮面」という入れ替わっても気づかない装束を纏っているので、真相解明後に改めて思い返すと共犯だということくらいはわかるはずなのに最後まで共犯と思っていなかった事実には赤面してしまう。

 あと探偵だから当然すぎて改めていうべきことではないのかもしれないけど、「まほろ」はめちゃくちゃ頭のめぐりがいいなあ。今回は連続殺人について不可解な印象だけが大きくなっていくばかりだったので、推理で披露してくれる彼の能力のすごさがより理解できた。

 秘められた宝については、童謡(今回はオラショだが)の解釈というのは考えるのも難しいし、探偵が推理してその意味が明らかになっても、ふうん、そうなんだとしか思えないなあ。またその宝の価値が98兆という天文学的で、意味の分からない数字なので本気にしていなかったというのもあるが、まさか本当に宝があるとはミステリーなんだからそういう話はどこかしら回収するとは思っていても、ちょっと驚いた。

 芹野が、なぜ屋敷の構造をそんなに細かく知っていたのかとても疑問に思っていたが、前の所有者と知己で彼から麻薬を受け取っていたという付き合いがあったと思いきや、真犯人らの操り人形で、彼女らから知らされていたのか。

 しかし今回は全く犯人だと疑いもしなかった人たちが真犯人だったので、驚いたなあ。こうしたキャラクターが立っているシリーズ物で、それまでレギュラーで仲間だった吹奏楽部の面々という、絶対にありえないと思えるような人物たちを犯人にすえてくる柔軟な発想にはおそれいる。しかし、相変わらず著者は「まほろ」に、というか探偵に厳しいなあ。徹底して道化を演じさせる、今回は「まほろ」が哀れな道化じみた役割をロールさせられていることをハッキリ感じさせられた。

 4、5章の実香視点での「まほろ」のねじくれているが、まっすぐな(絶対の「正しさ」という存在しないものを信じるあまり歪まざるを得ない)気質と、火のような激しい一面、そして5章での彼の激しい怒りは目をひきつけられ、彼の魅力が彼視点よりも良く伝わってくる。そして、その彼の悲痛な叫びには深い同情を抱く。

 しかし彼女らが犯行に及んだ理由を知ると、そのために何人も殺し、この殺人劇の舞台・脚本を作ったのかと思うと、彼女らもやはり普通とはかなり違う特殊な人間たちなのだということを改めて実感させられる。

2014-07-12 絶海ジェイル

絶海ジェイル

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内容(「BOOK」データベースより)

先の大戦中、赤化華族の疑いをかけられ獄死したはずの祖父・清康が生きている。そう聞かされた天才ピアニストのイエ先輩こと八重洲家康は、後輩の渡辺夕佳とともに絶海の孤島・古尊島を訪れる。だがそこは厳重な一望監視獄舎を擁する監獄島であり、思いもよらない罠が二人を待ち受けていた。家康は50年前の祖父と同じ方法で、命をかけた脱出劇を再現できるのか!?


 イエユカシリーズ第2作。今回は主にイエ先輩の視点で進行していく。

 しっかしこの世界観ではまだ日本は華族制で、軍部もいるのに、第二次世界大戦で原爆を投下されるというクライマックスというべき出来事もあったようなのはわっかんないなあ。どういう具合に歴史が変われば、原爆後に華族制や軍部が温存されるのかがよくわからない。

 イエ先輩、初対面どころか顔も合わせてないのに波乃淵という人に辛らつだなと思ったが、後から考えてみるとその応対でもめちゃくちゃ甘かったね(笑)。

 狂気じみた波乃淵らが戦中の監獄を再現してイエ先輩たちを閉じ込めるという展開になるが、ミステリーとするには人数が少なすぎるからどうなるのかと少し心配していたから、こうすることで人数がちょうどよくするのか、なんか納得と同時に感心してしまった(笑)。

 しかしこの世界観の国の機関とかがよくわからないから、イエ先輩の監禁は、国の一機関の計画的犯行なのかとも思ってしまったが、狂気をこじらした私人である波乃淵たちがやらかした出来事だと知り、余分にスケールが広がらなくて良かった。

 共に監禁されたことで出会った亀井伯爵の令息を散々かばっていたように、イエ先輩もそうした優しく人間的な一面もあるのね。今までもう少しクールというか冷淡な印象があったわ。

 「ゲーム」みたいにかつて祖父が行った監獄からの脱出が成功すれば、他のことも全て解決するというシンプルなルールなので、脱出方法がわかっても更に犯人たちと退治しなければならないとかそういうのでないのはホッと一安心。

 コーヒーへアレを投下する手段が突飛過ぎて、ちょっと脱力してしまう。他のミステリーならこうした解決はダミーで、もっと納得のいく本当の真相が出てきそうな手段だ。まあ解説にもあるように、そうした突飛さがあるからこそ、説明がわかりやすくなったり、トリックが説明されてもよくわからないほど難解なものになっているのだから有難いことでもあるのかもしれないけど。

 しかし当時はこの孤島の監獄では囚人に食事を作らせていたが、同じ食事を作ってその中から監守側が食事を選択することで、毒を入れるのを防止していたようだが、監守側には若干の特典としてちょっとしたおかずが追加されていたが、それも人数分置くけど、後で没収というのでは、その特典のおかずに毒入れれば毒は使えるのではと短絡的に考えてしまう。追加のおかずが何なのか作っている本人も知らないという書き方でもないから、ちょっと謎だ。

 当時を再現するために拷問なども実際にするとは本当に波乃淵は頭おかしいわ。そしてイエ先輩がそうした侮辱的なことをさせられていることシーンも描写されて、生ごみを食わせられているシーンは思わず目をそらしたくなる。亀井伯爵の令息を殺させないために、そんなことすらしているイエ先輩って、というか今まで他人に冷淡な人だという印象をなんとなく持っていたのが恥ずかしくなるほど、本当にいい人、優しい人だ。

 そしてイエ先輩にそんなことをさせていた、波乃淵の末路にはスッとする。

2014-02-19 群衆リドル Yの悲劇’93

群衆リドル Yの悲劇’93

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群衆リドル Yの悲劇’93 (光文社文庫)

群衆リドル Yの悲劇’93 (光文社文庫)


内容(「BOOK」データベースより)

浪人生の渡辺夕佳の元に届いた、壮麗な西洋館への招待状。恋人で天才ピアニストの、イエ先輩こと八重洲家康と訪れた『夢路邸』には、謎を秘めた招待客が集まっていた。そこに突如現れた能面の鬼女が、彼らの過去の罪を告発し、連続殺人の幕が切って落とされる。孤立した館に渦巻く恐怖と疑心。夕佳とイエ先輩は、『マイ・フェア・レイディ』の殺意に立ちむかうことができるか!?

 買ったときにはそうとは知らなかったのだが、どうやら天帝とは別シリーズだけど同一の世界観で、主役の2人組の出身高校もまほろたちと一緒、時代的にもあまり変わらないようで、作中でも天帝シリーズの古野まほろの名前も言及されている。天帝シリーズと同一世界観だから入りやすく、また天帝とは違いすっきりとした文章で読みやすかった。あれはあれで雰囲気がでていていいのだけど、どうしてもルビが気になってしまうからなあ。

 橋を渡って館に行ったので、もう露骨に閉鎖状況になるフラグが立てるなあと思ったら案の定(笑)。他にも、人数分のインディアン人形ならぬ市松人形など道具立てがクリスティ「そして誰もいなくなった」っぽい感じ。あと、九領の「こんな人殺し館にはいられない!!」というテンプレ的反応をして、綺麗にフラグを立てて、あっという間にそのフラグが回収された早業には笑った。

 あとユカが浪人生なのに、勁草館の制服を持ってきているのはコスプレか?と思っていたら、実際に作中でもイエ先輩に「女子高生コスプレ?」って突っ込まれていて笑った。正餐用の服装を買うお金がなかったという理由には納得したが。

 しかし劇的に罪を告発した後、次々と殺していくのは悪趣味、もし他の様々なものと同様に、この世界観にクリスティがあるのならなおさら。まあ、ミステリにこんなことをいうのはお門違いか。

 そして外見や性格的には全然違うが、大額教子の赤いスーツを着て「赤はあたしのテーマカラーなんです。常在戦場、レッドアラート」という台詞を見たら、どうしても戯言の哀川潤が連想され、くすりとくる。

 イエ先輩、八重洲家康っていう自分の名前を嫌っているが、ユカが「何いってんですかヤエスイエヤス」とカタカナで読んでいるのを見て、なんとなくそれがわかった、似た音が続くからか。あと、カタカナで名前を見たとき、探偵=神ってことで、イエ(ヤ)スの文字が入っているのか、と連想したけど見当違いかな。

 解決編、一気呵成にそれまでに起きた複数の事件について語られるから、いまいち理解が付いていかない、そして「モルグ街」リスペクト。

 事件中でも終了後でも、真実を警察になんてことをやらずに、自分の好きなようにやっているイエ先輩って素敵です(笑)。

 そして最後の犯人からの手紙、おそらくお膳立てをした黒幕は天帝シリーズのあの人か。

2014-01-18 天帝のつかわせる御矢

天帝のつかわせる御矢

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天帝のつかわせる御矢 (幻冬舎文庫)

天帝のつかわせる御矢 (幻冬舎文庫)


内容(「BOOK」データベースより)

高校生の古野まほろは内戦の満州から日本へ逃れるべく、超豪華寝台列車に飛び乗った。華族、軍人、白系ロシア。個性的に過ぎる乗客の中には、謎の大物スパイまでがいるという。その運命とまほろのそれが交錯する時、連続・列車密室殺人の幕が上がる!青春×SF×幻想の要素を徹底的に追求した古野ミステリのベスト作品が入念に改稿され文庫化。

 前作はかなりの部分まで学園・部活小説の色が強く、それを楽しんでいて、かつラストの真相で超常的なものがでてきたというインパクトもあって、それ以外のことをすっかり忘れていたので、かなり情報が詳しく登場してきて、「読者への挑戦」もあるような推理することが出来る本格探偵小説だということも忘れてしまっていた。あとはこの本でもそうだが、メタな発言を登場人物ががんがん言っているというくらいしか覚えていなかったよ、まあ、メタな発言はこの情報は正しいと確定されるといったような推理の必要のためもあるから、忘れていた本格探偵小説とも結構関連あるんだけどね、それでもそっちは忘れてしまっていた(苦笑)。

 前回があったから、今回は超常的なものに対する構えが出ていたが、個人的には前作の「天帝のはしたなき果実」は部活小説としてもすごく面白かったので、「果実」のほうが好きだな。

 今回出てくるキャラクターはわりとお約束といったありがちな人たちだけど、舞台設定がそもそもファンタジーということもあってか、多少浮世離れしていたり、お約束的なキャラでも全く不自然には感じさせない。しかし犯人探しはしても、乗員が上品な人間というのもあってかあまりギスギスしていないのはいいな。まあ当人が他人がどう思われようとあまり気にしていないというのもあるかもしれないが。

 『二条さんは貴種っぽい寝息を立てはじめた』(P25)という言葉には思わず笑ってしまった。しかしその二条さんに『柏木君は君のおとこの方の恋人だろ?』(P66)といわれるなんて、どんだけ公然と柏木のことを好き好き言ってんだか(笑)。そして、そんな好意がマジな古野と普通に友人していられる柏木も変わり者だよなあ。

 しかし「あじあ」号の社交のために一定の個人情報を開示するとか、まあ、90年代設定で個人情報も緩いけど、謎な機能と思っていたら、よく考えれば探偵小説的な都合からある機能なのかな、登場人物同士がメタい会話しているからそうであっても不思議でないが。

 美奈が生きるためになりすました人って、胴羅の姪っ子だったのか!しかしそのホテル爆発関係者が2人いるということは、なにか真相に関係してくるのかなと思ったら別にそんなことはなかった。

 生体反応、『具体的には出血したり、傷口が開いたり、傷の縁が赤く腫れ上がったり、瘡蓋が出来たり、熱傷が出来たりすることをいうんだけどね、刺創についていえば、生きてるうちに刺されたなら傷口が唇のように口を開けているし、あるいは傷の縁が赤く腫れ上がっているし、あるいは傷の周りの肌には痣のようなものが観察できる。痣のようなものは皮下出血。生体に加えられた傷ならば、傷によって血管が破れて、それが周辺組織に染み透って凝固するのだいたい菖蒲色になる』(P395)生体反応という言葉はミステリとかでよく見かけるが具体的にはどんなものなのか良く知らなかったので、こうやって説明してくれたのは個人的にはありがたかった。

 しかし古野と柏木、自分たちの部屋に遺体の一部が投棄されていたのに、そのことで部屋を気味悪がっていないというのは、実にタフだね。まあ、同じく事件について探偵をして、その部屋に二人に会いにきた金之助や瀬見仁姉妹にも同様なことがいえるけどね。

 「停電」という章では、古野まほろは記憶喪失になって探偵小説(本書)を書いているようだが、峰葉という名前も出てくるから、これは過去なのか未来なのか、それとも世界線が違うのかなんなんだろう。

 しかし最後、事件の真相が全て明かされた後、またあの人物が出てきて大暴れしたおかげで、列車内で起こった殺人事件とは桁が違う死者を出す惨事に。いやあ、語り手である古野も「これ探偵小説じゃあなかったのか」といっているが、そりゃ、そう言いたくなるのもわかりますよ、一体なんというクライマックスシーンなんだ(笑)。

2012-03-10 天帝のはしたなき果実

天帝のはしたなき果実

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天帝のはしたなき果実 (幻冬舎文庫)

天帝のはしたなき果実 (幻冬舎文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

勁草館高校の吹奏楽部に所属する古野まほろは、コンテストでの優勝を目指し日夜猛練習に励んでいた。そんな中、学園の謎を追っていた級友が斬首死体となって発見される。犯人は誰か?吹奏楽部のメンバーによる壮絶な推理合戦の幕が上がる!青春×SF×幻想の要素を盛り込んだ、最上かつ型破りな伝説の本格ミステリ小説が完全改稿され文庫化。

古野まほろ、なんか結構話題になっているけど、文庫になってから読もうと思っていたので、読むのははじめて。文庫ででていたのに今頃になって気づいたので、読むのが遅くなってしまった。講談社ノベルス版とは結構変更点が多い模様。750ページ越えの分量は多くて、読むのに結構かかってしまった。

聞いてはいたが、漢字(カタカナでもいいとこまで漢字だったり)やルビ(仏語など外国語(もちろんアルファベットでなくカタカナだけどね)のルビ)など独特な文章だな。

衒学小説と作中でも言っているけど、説明とかが殆どないから、良くも悪くも衒学小説っていう感じがしない。

軍とかでていたから、太平洋戦争前からの歴史改変かと思ったら、太平洋戦争に負けた後ロシアが日本に侵攻し始めた結果として軍が残った(だか再興されたのだったか、そこらへんのことはあまりよく覚えていないし、この膨大な量の中その記述のあるところ探すのもめんどくさいから探さないけど)という設定なのね。作中の時代設定は90年代。

第一の被害者が死んだ後、首切り殺人のため、それが本人か確認したら、列挙された古傷、血液型などの判断材料のなかに「歯科治療」があったのは何故?そのあとに『首については学内を徹底的に検索ちゅうで』(P193)とあるから、わけ分からなくて混乱したのだが。

「編集のミポリン」地の文だけでなく、作中の登場人物「古野まほろ」にまで言わせているのにはなんか意味あるのか。何も意味がなく、単にメタっぽくみせたいだけというのなら、しらけるのだが。

実際殺人が起こってもなかなかミステリっぽい雰囲気にならなかった(「古野まほろ」が実際に死体を見ていないせいだろうか、ピエロとかはどっちかというとオカルトに感じるし)が、500ページ近くになってようやくミステリっぽく本格的な推理に入る。

蝗という漢字の読める読めないとかは、わざと間違えて言うという可能性もあるから、それで容疑者を絞ろうとするのはちょっと強引では?

会議室でわざと倒れたことで、そのことに対する説明が不十分で、責められている理由がよくわからなかったが。読み終えて考えると、たぶん、犯人と共謀(というより犯人に頼まれて、その間何するかを正確には聞かされず)して、切間の飲み物に毒を入れる時間をつくるために、わざと倒れた、という理解でいいのかな?いまいち自信がないが。

最後の「古野まほろ」の推理に出てきた、鞘短刀(ナイフ)って、どこででたものだっけ?この分量の中から該当部分を探し出す気力もないけど。

なんだか、最後の犯人の真の正体は思わずがっくりきちゃう。いきなり雰囲気が変わって伝奇的になってもなあ、唐突さしか感じないもの。なんか清涼院流水の「コズミック」を連想させる感じがする、まあ「天帝〜」では犯人はあっちと違って、普通に登場人物としているけどさあ。

最初は独特な文章で面食らうけど、慣れれば結構読みやすい。推理していなくても、日常(?)部分は、キャラクターも好きだし、面白いけど。

最後の第四章はやたら理解するのが難しく(読み終えた今でも理解していないもの、わざと倒れたのがなぜかとか)、急激に読みにくくなったのが残念。もうちょっと、わかりやすく真相を提示してくれたほうが良かったのに。

以下ちょっとよくわからなくて混乱したところの一つ。

ネタバレ(?) 反転

というか、この狐は子供を産んだら、すぐにその子供として意識が移って、母体(というか前の自分)は死ぬって事でいいのかい?