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2014-12-30

[]婦人科医に聞ける!FTMと治療 本当のトコロ ー健康に暮らしていくためにー(10) 婦人科医に聞ける!FTMと治療 本当のトコロ ー健康に暮らしていくためにー(10)を含むブックマーク 婦人科医に聞ける!FTMと治療 本当のトコロ ー健康に暮らしていくためにー(10)のブックマークコメント


司会:次に、今日参加していただいたかたも当事者のかたが多いと思うんですけど、よくネットで「FtM」と検索すると、比較的上位にアテンド会社のかたがブログとかでメインに上がっていますが、最近、私が気になっているのが生殖医療ですね。SRSのアテンドに加えて生殖医療もやるというビジネスが出てきています。生殖医療について、婦人科医の立場から、どう思われるかをお話していただければと思います。


吉野先生:私は、不妊はまったく専門にしていないし、これまでも、これからもずっとやらないと思うんだけど、なぜかというと、「技術が進むこと=いいこと」とは思わないと思うのね。確かに不妊治療ってこの10年くらいにものすごいスピードで進化してきて、人工授精から始まっていまは顕微授精って、卵子と精子を取り出して、外で顕微鏡見ながら注入する、で、受精卵つくって、ある程度細胞分裂が始まったところで子宮に戻すみたいな、そういうこともできるようになっていて、それと、凍結卵子。若いときの卵子。さっき言ったように年とると卵巣の機能がどんどん落ちてきて、卵子の質も落ちてくるし数も減ってくるんだけど、若いときの卵子をとっておいて、産める時期になったらそれを使って産む技術もあるし、あとは、日本ではやってはいけないことになっているんだけど、若いかたの卵子をもらって、自分のパートナーと体外受精さして自分の子宮に戻すと。実際に政治家の野田聖子さんがやって、バリバリの障害児を産んだんだけど、だって50歳だからね、産んだとき。だいたい30代過ぎると本当に難しいんだけど、無理矢理なことをすれば50歳でも60歳でも、海外では、特にイタリアでは生殖医療が盛んなので、60代で自分の子宮で産んでるという例があって、でも産んだ3年後に癌で死んじゃうんだけどね、そのお母さんが。赤ちゃんが3歳のまま取り残されちゃうんだけど。その辺が全然法整備がないし、ルールづくりができて進んでないんですね。日本の中の産婦人科の先生で、お母さんの卵子で娘の子宮で産みましょうってところが実際にあるんだけど、そういうことはしないでくださいという勧告くらいしか学会では出せないので、法律ではないから縛りがないんですね。やっぱり、みなさんの(SRS)手術なんかもそうだけど、日本では決められたところで、精神科の診断があってと、いろいろルールがあるんだけど、海外に行ってしまえば簡単にできるとかね、そういうのはいくらでもあるので。


私は、技術が進むってことは、ある程度人が成熟してそれを使いこなすのはいいんだけど、技術だけ先走ってしまうのは、すごくよろしくないことだと思います。ほんの30、40年前は、できなければできないと、実際私も産んでないんで、そういうことでどうとは思わないんだけど、みなさん、できなかったらそれで諦めてた。で、いま諦められなくなっちゃった。不妊治療で東京にもいっぱいあってすごく混んでるんだけど、50歳くらいになっても治療から降りられない。もしかしたら次うまくいくかも、次うまくいくかも、それをまた引っ張る悪い業者もいるから、降りられなくなっちゃう。いったいいくつまでやるの?って話で、それこそ人工的ン手段使えば、60歳だって妊娠出産可能だからね。自分の卵子で、っていうと年齢の制約はあるんだけど、そのへんのことはどうなのかな? 私としては進むことには賛成ではないし、いなかったらいなかったで、本当に育てたければ養子縁組でもすればいいし。だから、自分の遺伝子にこだわるのかな、そういう人って。


いろいろ問題はありますよ。生殖医療発達してるけど、20代30代に比べて50代60代は年齢的に老化しているので、自分の細胞も弱ってたりとか、成人病とか出やすくなってるから、妊娠するってことは、身体にすごく負荷をかけることなので、一気に血圧が上がったり、タンパク出たり、妊娠高血圧症とかになりやすかったりとか、自分の母体が生命の危機にさらされることもあるので、すごくリスクは高いんですね。なんでその年で産まないといけないの? と私は思ってしまうので、あんまり生殖医療は自分ではやりたいと思わない。


司会:「子どもを持ちたい」権利はあって充分なんですけど、「産む」って実際になったときには、「自然の摂理」じゃないですけど、そのへんも頭に入れたほうがいいですね。


吉野先生:さっき言った、お母さんが3歳で子どもを残して死んじゃったのは、結局自分のエゴなんだよね。要するに「自分が産みたい」っていうエゴで、いつまで生きられるかわかんない、20歳で交通事故などで死んでしまうこともあるけど、20歳で産むのと60歳で産むのでは自分の健康とか余生の値が全然違うんだと思うんだけど、やっぱりそれを結局子どもに押しつけちゃうことになるので、みなさんの権利は誰も侵害できないし守られるべきとは思うけど、じゃあそれを子どもに押しつけるのか、ということだと思います。子どもにも選ぶ権利があると思うし、そのへんがちょっと問題なのかなと思ってる。


オデ:非ヘテロ女性の間でも、人工授精するのか、自分が子どもを持つためにはどうすればいいのか、いろいろ考えて調べた人がいたんですよ。その中で、「やっぱりこれは自分で産むしかないね」という結論が出て、あと、里親制度も上がったんですけど、女性同士はもちろんこと、既婚者の男女カップルでないと制度上拒否されることがあって、女性の場合は里親をもらってから3年は働いてはいけない規則なんです。


吉野先生:里親制度というか、そこまで厳しくない民間のNPO団体でも里親を斡旋しているところありますよ。独身の女性が育てるケースもあります。


オデ:ひとり里親制度ですか?


吉野先生:里親っていうのは国の厳しいルールで決められてるからだけど、そうではなくって、いま児童養護施設もパンパンになっちゃうくらい、虐待された子どもとか、行き先がない子とか、若年妊娠出産で育てられないとか、そういう子どもたちってけっこうな数がいるので、国の里親制度だけでやっていると、もう間に合わないんですよね。広島の産婦人科の先生で、そういう親と子の斡旋みたいなことをやったりとか、NPOとか民間団体で取り持っているところはあります。


Yさん:それはどういうルートで、産むお母さんと子どもを育てたい人をつないでいるんですか?


吉野先生:産むお母さんの事情にもよるんだけど、最初から乳児院に入れられるのは、レイプされて産まれちゃった子どもとか、そういう場合は、親は完全に手放すって感じで、病院がそういうところに連絡をして、探してもらうとか。赤ちゃんは最初は乳児院にいるんだけど、乳児院のほうで、親を探している場合もあります。ケースバイケースだと思います。私は実際そういうことはやってないので、詳しいことはわかんないんだけど。


司会:最後になんですけど、FtMやセクシュアルマイノリティのかたで、体調に不安があるとき、いったいどこを頼ればいいのかという話なんですが、産婦人科のかかりかたとか見分けかたについて、先生から何かアドバイスがあれば。


吉野先生:見分けかた…(悩)。


一同:爆笑


司会:特殊な産婦人科。たとえば、FtMが格好のビジネスのターゲットにされたり。診断書はいらないので、ホルモン注射を安くしますからぜひうちに来てください、とか。FtMは比較的、お金のないかたが多いので、それをターゲットにして。見分けかたとか、アドバイスあります?


吉野:やっぱり自分の感覚だと思うよ。行ってみて話して、この人なら信頼できるとか、聞くといろいろ教えてくれるとか、そういうことだと思うのね。(クライアントと医者の)相性があるので、たとえば、あなたがいいからといって、他の人がいいとは限らない。億劫がらずに足を運んでみて、気長に探してみてほしいとは思うけど。もちろん、精神科の先生もいるので、実は東京でけっこう有名な針間先生というかたがいて、お姉さんが山口で産婦人科の先生で、私の友だちなので、彼は産婦人科の知識がけっこうあると思うし、ちゃんとやっているはずなんですけどね。そういう人もいれば、もう全然知識もないし、ホルモンなんて注射すればいいよ、ってだけの精神科医もいるし、本当にピンキリだと思う。それと一緒で、産婦人科もいろんな考えでやっている人がいるので、「トランスジェンダーわかんないから来ないでくれ」と言うところもある。そのへんだろうね。自分で見分けて自分の感覚で相性のいい先生を見つけてほしいと思います。できれば、自宅や職場の近くか、通いやすいところがいいけど。東京はそういう意味では交通網も発達しているから、1時間以内であればある程度どこにも行けちゃうので、そんなに近くにこだわらなくていいのかもしれないけど。毎日通うとかじゃないからね。


司会:事前にみなさまから質問をいただいた件がありまして、さきほど先生のお話の中であったことは答えさせていただきまして、とりあげていられなかったことといたしまして、たとえば、男性ホルモン剤の副作用について、詳しく教えてください。


吉野先生:さっき言ったように男性ホルモンは身体に残っている女性ホルモンを抑えるから、卵巣とっちゃえば男性ホルモンだけになるんだけど、女性ホルモンがないことによる健康被害が多いと思う。男性ホルモンを打つというよりは、女性ホルモンがなくなったり少なくなることによる健康被害だと思う。


司会:FtMであることで、診療内容だとか医療者の対応がどういうふうに変化するかということで、ご質問をいただいておりまして。


吉野先生:それは人によると思うよ。


一同:爆笑


吉野先生:私、自分は別に戸籍上は女性だけど、そこに何もこだわりはないし、身長デカいでしょ? 173センチあるんだけど中3のときからこの身長あったの。生まれたときから同級生と頭一個分くらい差があって、いまは大きい子いっぱいいるので、当時は私みたいな子はほとんどいなかったんで、けっこうそのことで、いじめじゃないけど、通りすがりのチビデブハゲのおっさんに、「デケえなあ!」とか「男女!」とか、街歩いてるとけっこう言われてたもんね。「なんだこいつ(怒)」と思って。それで、「男でもないし女でもない、私は私だ」と小さいときからそういうアイデンティティを持っていたので、そういうことにあまりこだわりはないかなと思うのね。だから、自分で選んで、ってのは全然いいんだと思うけど。

わりと日本の社会って、今日の朝日新聞に出てたけど、日本は「男はこうあるべし、女はこうあるべし」というのが根強くある社会だなってすごく思うのね。そういうところからいくと、私は小さいときから「女らしくない女の子」で、遊ぶのもお人形とかおままごとよりは、身体動かしたりとか、外で遊ぶのも好きだったし、今でも365日中365日はジーンズで過ごしているので、ほとんどスカートを履かないんだけど、これは好みの問題だから、男の人でスカート履きたきゃそのほうがいいんだよと推奨するくらいだからさ。社会のこだわりとか偏見に負けないでほしいな。おかしんだから、そっちのほうが。本当に刷り込みが激しくて、婦人科ってピンク色なイメージがあるでしょ。私ピンク好きじゃないのね。ここではピンクは極力排除してんだけど、グリーンとオレンジで統一してんだけど。


参加者:ポスターがピンク色ですね。


吉野先生:ポスターとかなんてああいうピンクが多いんですよ。「女性」とか「女の子」というと、ピンク色でお花フリフリとか、そういうイメージがすごくあって。オムツの柄だってそうじゃない。おもちゃなんかも男の子だったら乗り物で、女の子だったらお人形さんで、みたいな。そういう刷り込みをいろんなところでちっちゃいころからされちゃうから。昔話やおとぎ話もそうでしょ。女の子はお姫さまで、寝ていれば王子さまがやってきて、そういう感じのものじゃない? 日本のでも海外でも。面白い本を紹介します。


サルカニ・バイオレンス モモタロー・ノー・リターン 昔むかし、ジェンダーがありましたとさ…

あっという間に読めるからさ、日本の昔話を題材に男女の入れ替えをしているんだけど、「物語のジェンダー」を変える。たとえば「桃太郎」だと、最初におばあさんが「おじいさん、今日はわたしが芝刈りに行きとうございます」、おじいさん「どうしたんだお前? 芝なんか重くて女の仕事ではない!」「1日だけでよろしゅうございます。わたしが芝刈りに行く間、おじいさんは川へ洗濯に行ってください」。それで帰ってきたら、「おじいさん、芝は軽うございました。その辺の枯れ木を集めるだけですから」、おじいさんは腰が痛くて重労働で、爪は剥がれるしもう大変だった。そこへおじいさんが洗濯をしながら川で大きな桃を見つける。それが「桃子」ww


一同:爆笑


司会:比較的都内だと病院も多いので、地方と比べれば、病院とかもあってたくさん見つけやすいので。


吉野先生:まずは勇気を出して行ってみることかな。


司会:そうですね。あとは情報とか、いろんな人から情報を聞くのがいいと思うので、アテンド会社だけではなくて、アテンド会社もその会社の利益目的で動いてしまうところもあるので、そこは注意したほうがいいかと思いますね。

それに付随して、ホルモン注射をして、すでに手術をしたFtMと婦人科のかかりかたで、手術終わったかたは先生から見て。


吉野先生:子宮卵巣だけが女性じゃないんだよ。向こうは、子宮や卵巣がないからといって、それはもう産婦人科には関係ないっていうわけじゃないのね。昔は「ビキニ医療」といって、ビキニで隠れるところしか診ませんよ、と言われていたの。でも今はそうじゃなくて、女性の一生を診る、ホルモンの変動によっていろんなステージでいろんなことが起こることに対応できない婦人科ですよ、そういう意識で女性医学をやっているのが、本当にここ数年で始まったんだよね。いまどんどんそうなってるので、子宮卵巣ないので婦人科要なしってわけじゃないです。もともとあった卵巣をとった後に、どのようなことが起こるのか?健康の予防とか、検査とか、そういうものもやってもらえると思うし。なんか自分で不調があったときに相談できるってことなのね。


司会:戸籍がすでに男性になった場合、保険はどうなるんですか?


吉野先生:保険といっても、うちの婦人科で男の人も診てるよ。FtMじゃなくて、もともとうまれつきのMaleの人も、患者さんで何人かいます。別に診ちゃいけないわけじゃない。


Y:そういう人はどういう経緯でいらしたんですか?


吉野先生:一人はね、奥さんがかかってて、それでダンナを連れてきたの。医者嫌いで(笑)、調子悪くて医者にかかりたくねえって、でも奥さんが引っ張ってきて、気に入ってくれて(笑)、それ以来、「いやあ、他の科に行ったほうがいいと思うんだけど、薬出してくれ」って言うの(笑)。


一同:大爆笑


吉野先生:戸籍変えても婦人科で診てくれるところもあると思うよ。


司会:身体は大事なので積極的に通えればいいんですけれども。


吉野先生:地方でもね、私の友だちというか同じ仲間が全国にいるんだけど、それぞれその土地でやってるよ。長野の駅前でやっている産婦人科で、「レインボー会」とかつくっちゃって、FtMもMtFもそうじゃない人もいろんな人たち集めて、もちろん患者さんもくるんだけど、オープンカフェみたいな感じで、集まってお茶飲みながら話している、そういう会をやったり、相談受けたり、活動している。


オデ:すみません。江戸川区のまつしま病院は?


吉野先生:あそこは性暴力被害に遭った女性のためにワンストップセンターみたいなのをつくって活動して、いろんな人たちが行きやすいところだと思うんだけど。


参加者:婦人科と連携してやっていると思うんですけど、東北にもありますか?


(東北地方もそれぞれあったはず。詳細は、吉野先生に直接会って相談/受診するか、電話かメールで連絡してください!業務妨害にはおそらくならないはずです)


オデ:わたしは脳梗塞をやったときから、経血がどんどん薄くなり、退院して自宅療養のときにはすっかり閉経したんですけど、今年(2014)の夏くらいから糖尿病治療の食事療法を始め、とりあえず、炭水化物を摂らないローカーボンダイエットで、ご飯の代わりに青大豆の煮たものを食べていたんです。大豆の成分にはイソフラボンという女性ホルモンに似た成分が入っていて、それを食べ続けていたら初潮テロがやってきたんですね。めんどくせーって思って(笑)。


吉野先生:健康のためにはいいんじゃないの?(笑)


オデ:吉野先生の話を聞いて、自分の浄化作用のためにはいいのかもしれないと思いました(笑)。


一同:爆笑


吉野先生:イソフラボンが働いてるわけじゃなくて、腸内細菌によってエコールという物質に変わるのね。それが働くんだけど、実は日本人の半分がエコールをつくれないんです。たぶんあなたはイソフラボンでつくれるんだと思う。納豆とか豆腐をいくら食べてもエコールを全然つくれない人はいるんです。大塚製薬からエコールのサプリが今年出たんだよね。


オデ:あたし、いらない(笑)。


一同:大爆笑


吉野先生:更年期のかたが少しの女性ホルモンで、ホルモン充填法って錠剤を少し飲むんだけど、症状がすごく改善するんだけど、そのとき使うホルモン量は、2、30代のときの一番ピークなときにもっていきましょうという話ではないの。下がった量でほんの少し量を足すだけなの。これでピタッと症状が治まるの。ホルモンで急に胸が膨らんできたりとか、月経が再開するってことはないんですよ。それくらいの微量でも、更年期症状には効果がある。乳がんになっている人には禁忌といって女性ホルモンを使えないので、そういう人にはエコールのサプリを勧めたりとかね。月経再開というのも、たぶん時間の問題もあったと思うよ。


オデ:閉経になって半年くらいで、突然経血がダーッと滝のように流れる経験をしたんですけど。


吉野先生:更年期の人、そうなるんだよね。ホルモンが不安定になるので。ドーンと減ったりガーンと出たりする。


オデ:わたしそのとき40歳だったんですけど…。


吉野先生:早発なんだと思います。病気のせいで。ショック受けると女性ホルモンはストレスに弱いので、身内が亡くなっただけで月経ストップすることはよくあるので。さっき言った、脳から命令するホルモンは、視床下部っていうところから出るんだけど、視床下部の周りって海馬の一部で感情を司る場所で、そことくっついているので、海馬に異常信号発すると視床下部に影響が与えて視床下部のほうから下に、卵巣に向かって命令がおかしくなっちゃって、月経が止まったりとか出過ぎちゃったりとかします。更年期の女性たちはそういうことが多い。こうして勉強していくと、ホルモンは非常に難しいので、でも面白いんですね。


つづく。

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