じゅうがつついたち〜別れの秋
古田史郎さんの退部に寄せて
下半期1日目、リーグまで32日となった先日、古田史郎さんの退団が発表された。
昨年は肩や足も故障していたが、今夏からは股関節に怪我を抱えており、コートでプレーする姿はほとんど見ることができない日が続いていた。
この時期の発表ということは、彼なりにぎりぎりまで悩み抜いた結果なのだろうと思う。
明確な理由は勿論当人にしかわからないが、怪我とコンバートが大きな要因になっていることは想像に難くない。
WL09で全日デビューを果たし、同年のグラチャンで豪快なピンサを何本も決めた姿は記憶に新しい。*1
彼が東レに入団するという報せを聞いた時は随分驚いたものだったが、*2今田さんの後継+ピンサ的な役割を担っていくのかと思っていた。(前のシーズンで高杉さんも勇退されていたし)
最初の1年はOP起用だったと記憶しているが*3、リーグでは出場機会はかなり少なかった。
ピンサ起用の構想も、チームとしてはどうも悠二さんの方にあったらしく、彼がピンサとして出場することはほぼなかったのではないか。
しかし、レセプ練習にはあまり加わることがなく、*4このまま和製OPを貫くのだろうかと少し疑問に感じてはいた。
そうこうしているうちに彼は肩を壊し、あのダイナミックなサーブを見ることはできなくなってしまった。
ほぼ同時期に、東レは富松さん・篠さんの怪我、河雲さんの退部による深刻なMB不足を抱えることになる。
現在メインで(本職以外の、の意)MBをこなす王さんは当時国籍問題で出場資格を有していなかったため、高いジャンプ力を持ち、かつレセプションに入っていなかった史郎さんに白羽の矢が立って、MBコンバートと相成ったのだろう。
急遽のコンバートにしてはかなりのセンスを感じる動きではあったが、本職が復帰すれば当然スタメンは奪われてしまう。
そして、彼のアイデンティティはあくまでもアタッカーにあったようだ。
そんな中で、すぐ下の代に大木・瀬戸口・渡辺というOPもできてレセプにも入れるWS*5が入ってきて、次々にスタメン起用されていったというのも彼にとっては厳しかったと思う。
正直、ここまでの状況は彼の甘えが生み出した部分もあるだろう。
入部してすぐにレセプ習得しきれなかったり、状況に流されてしまったり。
個人的にはチームの中での役割をうまく見つけることができなかった、という印象が強い。
今夏は「サイドアタッカーがしたいんですけど…昨年もMBとしての出場になってしまったし、チーム事情に流されている自分の現状はちょっと…。怪我もしてしまったし…」と漏らしていた。
今にして考えたら、その時には退部を考えていたのだろうと思う。
今夏は彼の葛藤する姿しか見られなかったので、次の場所はもっと史郎さんが高いジャンプ力や豊富なパワー、走力を活かせる場であることを願う。
それがチャレンジであっても北の地であっても。
欲を言えば、そこに東レらしさ、侍さしさが少しでも垣間見えたら…と。