我が党の最高指導者 プロレタリア英雄主義の権化 同志渡辺政之輔 白色テロルの犠牲となる


【1】


昨年10月, 台湾の基隆において, 一人の日本人船客が官憲に捕らえられ, 水上署へ連れ行かれる途中, スパイを射倒し逃走を企てて成らず, 終に自らピストルで頭蓋骨を射ち砕いて自殺したことは, 当時ブルジョア新聞の報導したところであった


然るに, 右の「自殺者」はプロレタリア解放運動の前衛闘士として, 我が労働者の間に絶大の信頼と尊敬とを博していた同志渡辺政之輔であることが, 最近我々に判明した



【2】


同志「渡政」は何故に自殺したか?


彼は日本共産党に対する官憲の追求, 特に彼自身に対する最も厳重な捜索の下をくぐつて, 党の重要任務を帯びて台湾に渡つた党のために常に用意周到なる彼も, 此時不幸にして官憲の手に捕らえられた


然し我が渡政は単に官憲に捕らわれたがために自殺したのではない自己の一身を免れんがために逃走を企てそれが失敗したために窮余の結果自殺したのではないのである若し彼が党の安危にかかわる重要物件を身に帯びていなかつたなら即ち彼の検挙取調によつて否応なしに党と他の党員とを敵の侵害に曝す様な物的証拠を与える心配がなかつたなら党のために逃走を企てはしてもそれが失敗したからとて自殺するが如きなく必ずやブルジョア法廷に現れて勇敢に日本共産党のために戦い全プロレタリアートの革命的行動及び組織を鼓舞したに違いない


然るに同志渡政は党の秘密重要物件を帯びて捕えられたそれだから彼は逃走を企ててならざるを見るや彼の属する日本共産党を守らんがためにそして日本プロレタリアート階級を守らんがために自己の一身を犠牲にしたのだ彼は革命のために文字通りに身命を捧げた


日本の白色テロルが我等の最高指導者の一人を殺した



【3】


官憲は労働者の憤激を恐れて右の事実をひたかくしにかくしていたが世界革命運動の中心コミンテルンは逸早くこの事実を摘発公表して全世界の労働者被圧迫人民に向かつて日本の白色テロに対する抗議に■決起すべきを訴えた