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16/04/29 (Fri) 真実を書くさいの五つの困難【要約】

[【5】真実を多くの人々のあいだにひろめる策略(続)]



かわりやすさをとくに強調する観察方法は, 抑圧されている人たちを勇気づけるによい方法である. またすべての状態に矛盾があらわれ成長するということも, 勝者に異議を申し立てることになるにちがいない. このような観察方法(弁証法・つまり事物の流動についての学説のような)は, しばらくは支配者たちに気づかれないですむ対象を研究しながら訓練できる. これを生物学や化学に応用することもできよう.


しかし, ある家庭の運命を描くばあいにも, それほど人目をひかずに練習できる. どんな事物も, たえず変化している多くの他の事物に依存していると見るのは, 独裁政治には危険な考えである. そしてこの考えは, 警官にしっぽをつかまれずに, いろんな方法で姿をあらわすことができる. 煙草屋をひらくひとりの男がかかわりを持つことになる, すべてのこまかい事柄や経緯を完全に描写すれば, 独裁政治にたいするしたたかな一撃となりうる. 少しでもものを深く考えるものならだれでも, なぜそうなるかわかるだろう.


人間の集団を悲惨な状態にひきこむ政府は, 政府自身がその悲惨と結びつけて考えられることをどうしても避けようとする. そこで, かれらは運命についてあれこれ語ることになる. 貧困の責任は, 政府ではなくて, 運命にあるのだ. 貧困の原因を探究するものは, 探究の手が政府に行きつく前に逮捕される. しかし, 一般的にみて運命についての無駄話を反駁することは可能である. 人間の運命は人間によって準備されることを示しうるからである


これもまたいろんな方法で行える. たとえばある百姓屋敷, アイスランド辺りの百姓屋敷の話を物語ることもできるのだ. 村中の人の話では, この屋敷には呪いがかけられている. 農婦がひとり井戸に身を投げたことがあり, ひとりの農夫は首を吊った. ある日結婚式があげられ, 農夫の息子が数エーカーの土地を持ってきた娘と結婚する. 呪いはこの屋敷から去る. この幸福な変化をどう判断するかで村民たちの意見は一致しない. 一方の人々は, それを若い農夫の朗らかな性質のせいにし, 他方の人々は, 若い農婦が持参し, この屋敷をやっと生活できるようにしているあの耕地のせいにする. ところで風景を描写する詩においてさえ, かなりのことがなしとげられる. つまりそのばあい, 人間の作ったものを自然のなかに合体させればよいのだ


真実がひろめられるためには策略が必要である



【要約】



ぼくらの時代の偉大な真実(それの認識だけではまだ役にたたないが, それを認識しないで, ほかの重要な真実を見つけだすことは不可能だ)とは, 生産手段にかんする所有関係が暴力でしっかり保たれているため, ぼくらの大陸が野蛮のなかに沈みこみつつあるということだ. こういうばあい,なぜぼくらがこういう状態に陥るのかをはっきりさせずに, ただ勇ましいことを書いて, その結果, ぼくらがそのなかへ沈みこみつつある状態は野蛮なものなのだ(それは事実だ)ということがはっきりしたとしても, それはなんの役にたつのだろうか. ぼくらは, 所有関係をいまのままにしておこうとするから拷問されるのだ, と言わざるをえない. もちろんのことだが, ぼくらがこう言えば, 所有関係は拷問なしでも維持しつづけうる(それは真実ではない)と信じているために, 拷問には反対の立場をとる多くの友人を失うことになるだろう


ぼくらの国の野蛮な状態について, ぼくらが真実を言わなければならないのは, この状態を消滅させうるように, つまりそれによって所有関係が変えられうるようにするためである


ぼくらはさらに所有関係のもとでもっとも苦しんでいて, 所有関係の変革に最大の関心を持っている人たち, つまり労働者たちと, 利潤の分け前にはあずかっているにしてもじっさいには生産手段の所有権を持たないので, ぼくらが労働者に同盟者として紹介できる人たちに真実を話さねばならない


そして五番目にぼくらは策略を用いなければならない


しかもこれら五つの困難のすべてを, ぼくらは同時に解決しなければならない. なぜなら, ぼくらは野蛮な状態のもとで苦しんでいる人たちのことを考えずに, 野蛮な状態についての真実を究明することはできないからだ. そして, おそってくる一つ一つの臆病心をたえず払いのけながら, 知識を利用しようと待ちかまえている人たちのことを考えて, 真実のつながりを求める一方, ぼくらはまたさらに, そういう人たちの手にそれが渡れば武器になるように, 真実を手渡すことを考えねばならない. それと同時に, これを手渡すさい敵に見つかったり妨げられたりしないように策略をめぐらす必要がある


作家は真実を書くべきであると要求されるばあい, これだけのことが要求されているのだ


【1935】




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真実を書くさいの五つの困難【1】【2】

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16/04/28 (Thu)

【5】真実を多くの人々のあいだにひろめる策略[抄]



真実への勇気を持っていることを誇り, 幸運にも真実を見出し, それを使いこなせる形にするのに必要だった労働におそらく疲れはて, 利益を守ってやろうとしている人たちがそれをつかんでくれるのを, じりじりしながら待っている多くの人々は, 真実をひろめるのに, それ以上とくべつな策略を用いる必要など認めはしない. そのため, かれらの仕事の効果全体を, 台無しにしてしまうことがよくある


どんな時代でも, 真実が抑圧されたばあいには, 真実をひろめるために策略が用いられてきた. 孔子は古い愛国的な年代記を書きかえた. かれはある種の言葉だけをかえたのだ「クンの支配者は, 哲学者ワンを, これこれしかじかのことを言ったかどで殺させた」と言われている場所で, 孔子は〈殺す〉という語のかわりに〈虐殺する〉という語をおいた. 暴君某が暗殺されたという場所は〈処刑された〉とした. これによって, 孔子は歴史の新しい評価に道をひらいたのだ


ぼくらの時代に, 国民のかわりに住民, 大地のかわりに所有地と言うものは, それだけですでに多くの嘘を支持しないですむ. 言葉から腐った神秘性をうばうことになるからだ. 国民という言葉は一種の一致の意味をあらわし, 共通の利害を示す. それゆえ, いくつかの国民が問題となるばあいにのみ用いられるべきである. そのばあいには, せいぜいのところ共通の利害が考えられるからである. ある地方の住民は, 種々の, しかも相対立する利害関係を持っている. これはおさえつけられている一つの真実だ. そういうわけで, おなじように大地という言葉を口にするもの, 土の色やかおりについて語ることによって, 眼や鼻のために耕地のことを描写するのもまた, 支配者たちの嘘を支持することになる. そこで問題になっているのは, 大地の生産力でもなく, 大地にたいする人間の愛情でも, 勤勉さでもなくて, おもに穀物の値段であり, 労働の値段だからである.…名誉という言葉より人間的尊厳という言葉のほうがよい. 後者のばあい, 個々の人間がそうかんたんには視野から消えてゆかない. このようなことをするのも, 承知のとおり, 国民の名誉を守る必要があるという口実にかくれてどんな輩がのさばり出るかわからないからである. また満腹した連中が, 自分自身は飢えながら, かれらを満腹させてくれた人たちに, なんと気前よく名誉を分配することか.


孔子の策略はこんにちでもなお役にたつ. 孔子は国民的事件の不当な評価を正当な評価に変えた


トーマス・モーアは, 正しい状態が支配している国を, ユートビアとして描いた - それはかれが生活していた国とはまったくちがった国だったが, その正しい状態をのぞいては, かれの国にひじょうによく似ていた


ツァールの警察に脅されながらレーニンはロシアのブルジョアジーによるサハリン島の搾取と抑圧を記述しようとした. かれはロシアのかわりに日本を, サハリンのかわりに朝鮮をおいた. 日本のブルジョアジーのやり方は, 読者のすべてに, サハリンにおけるロシアのブルジョアジーのやり方を想起させた. しかしこの出版物は発禁にならなかった. 日本がロシアと敵対関係にあったからだ. ドイツでドイツについては言えない多くのことでも, オーストリアについてなら言うことができるのだ


邪推ぶかい国家をだませる策略もいろいろある


ヴォルテールはオルレアンの処女についての色っぽい詩を書くことによって教会の奇跡信仰と戦った. かれは, ジャンヌダルクが軍隊や宮廷や僧侶たちのなかにいながら処女でありつづけたからには,どうしてもおこったとしか思えない奇跡について書いた


かれの文体の優雅さと支配者たちの贅沢な生活から生まれるエロチックな冒険の描写によって, かれは支配者たちを惑わしあの放縦な生活のための資力をあてがってくれる宗教を放棄させようとした. 事実かれはこのようにして, 自分の作品が非合法の道を通り, 目指していた人々の手に届く可能性を作り出したのだ. かれの読者である権力者たちは, この本の普及を奨励するか我慢した. そのためかれらは, 自分たちの楽しみを守ってくれていた警察を犠牲にすることになった, また偉大なルクレティウスは, エピクロス流の無神論をひろめるために, かれの詩の美しさを大いにあてにしていることをはっきり強調している


事実, 文学的に高い水準は, 陳述の避難所として役にたつ. もちろん時にはそれが疑念をよびおこすこともある. そのばあいには, 故意にねじをゆるめることも必要となる. たとえば, 軽視されている推理小説の形式を用いて, 目だたぬ場所に悪い状態の描写をしのびこませるばあいなどそれである. このような描写は推理小説の正当さを完全に証明するだろう.


偉大なシェイクスピアは, そこまではとうてい考慮しなかったにしても, わざと水準を下げたことがある. それはコリオレーナスの母親が, 故郷の町に向かって進撃する息子に立ち向かうために行った演説を, 故意に無力なものに作り上げた場合である --- シェイクスピアの狙いは, コリオレーナスの計画が妨害されるのは, 現実的な理由や根深い動機のためではなく, かれを古い習慣の犠牲にした一種の怠惰のためであることを示すことにあった. シェイクスピアの作品では, シーザーの死骸のわきでなされるアントニウスの演説のなかにもまた, 策略でひろめられる真実のお手本を見つけだせる. アントニウスは, シーザーの殺害者ブルータスが, 尊敬すべき男であることをたえず強調するが, ブルータスの行為をも描写する. そしてこの行為の描写は, 行為をしたものの描写より印象的なのだ. こうして演説家は, 事実そのものによって打ち負かされることになる, 〈自分自身〉よりも事実のほうに見事な雄弁さを与えるのである.


4000年前に生きていたあるエジプトの詩人も同じような方法を利用した. 当時は大きな階級闘争の時代だった. それまで支配をしてきた階級が, その有力な敵, つまり住民のなかのそれまで奉仕してきた部分から身を守ろうとして苦労していた. ところで詩では, ひとりの賢者が支配者の宮殿に姿をあらわし, 内なる敵と戦うよう警告する. かれは下層階級の蜂起によって生じた無秩序について長々としつこく描写する.



…邦訳p.92-p.94 省略[4000年前に生きたエジプトの詩人の長い引用を省略 →id:dempax:20160427 に紹介]…


これは抑圧されている人たちから見ればひじょうに望ましい状態に見えるに違いない無秩序の描写であることは明らかである. そうはいうものの, この詩人の本音をつかむことはむずかしい. たとえまずかろうとも, かれはこの状態をはっきり批判している……


スウィフトはある小冊子で, 国を豊かにするためには貧乏人の子どもを塩漬けにして,肉として売るべきであると提案した. かれは厳密な計算をして, なにごとにもひるまなければ大金が得られることを証明したのだった


スウィフトは馬鹿をよそおった. かれは自分が憎悪するある一定の考え方を, その下劣さがあますところなくだれにも識別できるようにあらわれてくる問題のなかで, きわめて熱心に, また徹底的に弁護したのだ. これを読めば, だれだってスウィフトより賢明になれるか少なくともかれより人間的にはなれたのだ. とくに, それまである考えを, それから結果として生じてくる結論で調べることをしなかったものはそうだった


いかなる領域でそれが行われようとも考えることを宣伝するのは抑圧されているものたちの問題に役にたつ. 思考は, 搾取に奉仕する政府のもとでは,いやしいものとされる


押さえつけられているものたちにとって役にたつものは, いやしいとされる. 腹を満たそうとたえず心配するのは, いやしいとされ, 飢えながらも国を守ろうとするものに約束されている名誉を軽蔑すること, 人を不幸にみちびく指導者を疑うこと, 従事する労働者を養えない労働にたいして嫌気をさすこと, 無意味な行動を強制されることにたいして反抗すること, どう気を配ってみたところでもうなんの役にもたたない家庭に無関心であること, これらはすべていやしいとされる. 飢えているものたちは大食いと罵倒され, 守るべきものをなにも持たぬものは卑怯もの, 抑圧者を疑うものは自分自身の力を疑うもの, 労働にたいする報酬をのぞむものは怠け者などと罵倒される. こうした政府のもとでは, 思考は一般的にいやしいとされ, 排斥される. 考えることを教えるところはもはやどこにもなく, 考えていることがわかると, 迫害される


それにもかかわらず, 思考の成果に言及しても罰せられずにすむ領域は, いつでも存在している. 独裁政治が思考を必要としている領域だ. たとえば, 軍事科学や技術の領域では, 思考の成果を証明することもできる. 組織や代用品の発見によって毛織物の保存量を増やすためにも, 思考が必要だ. 食糧品の品質低下, 戦争用の青少年教育, こういったことにもすべて思考が必要である. これは特記されてよいことだ. 戦争, つまり思考が軽率なばあいめざすことになる目標を賛美することは策略を用いれば避けられうる. 策略を用いれば, どうしたらもっともうまく戦争をやれるかという問題からでてくる思考を, この戦争は有意義なものかどうかという問題にみちびくことができ, さらに,どうしたらもっともうまく無意味な戦争を避けられるかという問題にずらすこともできるのだ


もちろんこうした問題を公に提出するのはむずかしい. それゆえ, これまで宣伝してきた思考を利用するのは, すなわち効果的に表現するのは不可能ということになるのだろうか. いや可能なのだ


現代のような時代に住民のある(より少数の)部分による他の(より多数の)部分の搾取に奉仕している抑圧が存続しつづけうるためには, 住民のあるまったく特定な基本的態度が必要であり, この態度はまたあらゆる領域にひろがらねばならない. ダーウィンのそれのように, 生物学の領域におけるある発見が, とつぜん搾取にとって危険なものになりうることもあった. それにもかかわらず, ある期間その発見に気をもんだのは教会だけで, その間, 警察はまだなにも気づいていなかった. 物理学者たちの研究は, ここ数年において, 抑圧に奉仕する一連の教義にとってたえず危険なものになりうるいろんな結論を, 論理学の領域において導きだした. プロシャの国家哲学者ヘーゲルは, プロレタリア革命の古典理論家マルクスとレーニンに, はかりしれない価値を持つもろもろの方法を提供した.


諸科学は関連しあいながら発達するが, 発達の度合いは一様でない. そのため, 国家はすべてを視野のなかにおさめておくことが不可能になる. だから真理の先駆者たちは, 比較的監視の眼のとどかぬ戦場をえらびだせるのだ. すべては, 正しい思考, つまりあらゆる事物や事件を過ぎ去りやすく変化しうる側面から問題にする思考が, 教えられるかどうかにかかっている. 支配者たちははげしい変化をひどくきらう. かれらはすべてがそのままで, できれば千年もそのままでいるのがいちばんのぞましいのだ. 月が動きをやめ, 太陽がこれ以上先に進まないようになれば, それがいちばんよいのだ! ……



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【5】真実を多くの人々のあいだにひろめる策略(残り)


真実を書くさいの五つの困難【要約】

16/04/27 (Wed) 4000年前に生きたエジプトの詩人による賢者の警告



ともかくこうなのです. 高貴な方々は嘆き, いやしきものどもは喜びにみちてます. どの町でも, 有力者を町の中心から追放せよ, と言ってます


ともかくこうなのです. 役所の部屋はこじ開けられ, いろんな資料は運び去られ, 奴隷たちは主人になっています


ともかくこうなのです. 有名な方の御子息はもはや見あたらず, 女主人のお子は彼女の女奴隷の息子になっています


ともかくこうなのです. 市民は挽き臼につながれ, 陽の目を見なかった輩が外へ出てきました


ともかくこうなのです. 黒檀で出来ている犠牲(いけにえ)の箱はうち壊され, 見事なエスネム材は刻まれて寝台になっています


ごらんなさい, 王宮は一刻の間に破壊されました


ごらんなさい, 国内の貧しきものは富めるものになりました


ごらんなさい, パンを持たなかったものが, いまや穀倉を持ちその倉のなかのものは他人の持ちものです


ごらんなさい, 男にとって食事をすることが楽しいことなのです


ごらんなさい, 穀物を持たなかったものが, いまや穀倉を持ち, 穀物の施しを受けていたものが, いまや自分で穀物を分配しています


ごらんなさい, 一連の牛も持たなかったものが, いまや牛の群を持ち, 鋤を引く家畜も買えなかったものがいまや家畜の群を持っています


ごらんなさい, 元老院の議員の方々は倉のなかに避難所を求め, 市壁の上でさえ休むことさえ許されなかったものが, いまや寝台を持っています


ごらんなさい, ふつうだったら自分の舟など作れなかったものが, いまやいくつもの舟を持ち, かつての持ち主が舟を見つけると, 舟はもうその場にはないのです


ごらんなさい, 着物を持っていた人たちは, いまや襤褸をまとっており, 自分のために織ることのなかったものが, いまや目の細かい麻布を持っています


富めるものはのどをかわかせながら眠るのに, いつもは富めるものから酒の残りをねだったものが, いまや強い酒を持っています


ごらんなさい, 竪琴の演奏などぜんぜん出来なかったものが, いまや竪琴を持ち, 自分の前では歌などうたってもらったことのないものが, いまや音楽を賞(め)でるのです


ごらんなさい, 貧乏のため膝の抱き寝をしていたものが, いまや貴婦人を見つけだし, 自分の顔を水にうつしていたものが, いまや鏡を持っています


ごらんなさい, 国内でもっとも身分の高い方々が, 用もないのにかけ歩き, 偉大な方々のもとには, もはや何一つ報告がまいりません. 使者だったものは, いまや他人を使者として派遣しています……


ごらんなさい, そこにおのおのの主人から遣わされてきた五人の男がおります. かれらはこう言っています, いまや自分だけで道を行くがよい, おれたちが到着したのだから



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真実を書くさいの五つの困難【5】

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16/04/26 (Tue)

【4】その手に渡れば真実が有効に働く人々を選び出す判断力



意見や描写を売買する市場での, 著作物にかんする幾世紀にもわたる商売の慣行によって, つまり, 自分が書いたものについての心配が, 書き手からとりのぞかれたことによって, 書き手は, かれの顧客や注文主, 仲買人が, 自分の書いたものをすべての人々に渡しつづけてくれるという印象を得た. ぼくが話せば, 聞きたい人はぼくの話を聞く, かれはこう考えたのだ. しかしじっさいには, かれが話しても, その言葉を聞いたのは, 金を払える連中だった. かれの言葉はすべての人に聞かれたわけではなかったし, かれの言葉を聞いた人もすべてを聞きたかったわけではない. この点については, まだ十分言い尽くされたわけではないにしても, 多くのことが言われてきた. ここではただ〈だれかにむかって書くこと〉がただ〈書くこと〉に変わってしまった点だけを強調しておきたい. しかし真実は, ただ書けるというものではない. 真実は, その人がそれでなにかをはじめられるように, ぜひともだれかにむかって書かれねばならない. 真実の認識は, 書き手と読み手に共同の作業だからである. よいことを言うためには, ものごとを上手に聞くことができなければならず, またよいことを聞かねばならない. 真実は計算して言わねばならず, 計算して聞かねばならない. そして, ものを書くぼくらにとって重要なのは, ぼくらは真実をだれにむかって言うのか, だれがぼくらに真実を言うのかということである


ぼくらはいまわしい状態についての真実を, その状態がもっともいまわしいところにいる人々のために言わねばならない. そしてその人々からその状態のことを聞く必要がある, 呼びかけなければならないのは, 特定の信念を持っている人たちばかりではない. おかれている境遇のおかげでこの信念のすぐそばにいる人たちにも, そうする必要がある. それに, きみたちの聞き手はたえず変わるのだ! 首吊り役人でさえ, 首吊りに支払われる代金がもう手に入らなくなったり, 危険があまりにも大きくなれば, ものを言うようになる. バイエルンの農民たちはどんな革命にも反対だったが, 戦争があまりにも長くつづき, 息子たちが家にもどっても, もう家屋敷内にいるべき場所がなくなったとき, 革命側はかれらを獲得することができたのだ


ものを書くものにとって重要なのは, 真実の調子を見つけだすことだ. このばあい一般に耳にするのは, ひじょうにものやわらかな, あわれっぽい調子, つまり, はえ一匹殺せない人たちの調子である. この調子を耳にするものは, さらに悲惨になってしまう. こんなふうに話す人たちは, おそらく敵ではあるまいが, 決してぼくらといっしょに戦う人ではない. 真実は戦闘的なものである. 真実は真実でないものと戦うばかりでなく, 真実でないものをひろめる一定の人間とも戦う



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5…真実を多くの人々のあいだにひろめる策略


【要約】

16/04/23 (Sat) BRECHT/真実を書くさいの五つの困難(2/5)

【3】真実を武器として使いこなせる技術



真実を語るのは, それから行動のための結論が生み出されるためでなければならない. それからはいかなる結論もひきだせないか, ひきだせてもまちがった結論でしかない真実の例として, 二,三の国を野蛮にもとづくいまわしい状態が支配している, という世間にひろがっている見解が, ぼくらの役にたつはずである. この見解によれば, ファシズムは自然の暴力でもって,二三の国に闖入した野蛮の波である


この見解によれば, ファシズムは資本主義と社会主義にならぶ(そしてそれらをこえる)第三のあたらしい力である. 社会主義の運動のみならず資本主義もまた, この見解によれば, ファシズムが出現しなかったら, さらに存続しえたであろうなどということになる. これはもちろんファシズム的主張であり, ファシズムへの降伏である. ファシズムは資本主義が足を踏み入れた歴史的一段階であり, そのかぎりでは新しいものであると同時に, 古いものでもある. 資本主義がファシズム諸国家で存在するばあい, それはもはやファシズムとしてのみ存在し, ファシズムはただ資本主義としてのみ, もっともむき出しの, もっとも悪辣な, もっとも強圧的な, もっとも欺瞞的な資本主義としてのみ克服しうるものである


ところで, ファシズムに反対すると言いながら, もしファシズムを生み出す資本主義になんら反対しようとしない人がいるとしたら, その人はいったいどのようにしてファシズムについての真実を語ろうとするのだろうか. このばあい, かれの言う真実は,じっさいにはどのような結果になるのだろうか


資本主義に反対しないでファシズムに反対する人たち, 野蛮から生じる野蛮について嘆く人たちは, ちょうど子牛の分け前は食べたいが, 子牛は殺してはいけないと言う連中に似ている. 子牛は食べたいのだが, 子牛の血を見るのはいやだというわけだ. 肉をテーブルに運ぶ前に, 睹殺者が手を洗ってくれれば, それで満足できるのだ. かれらは野蛮を生み出す所有関係には反対せず, ただ野蛮に反対するだけである. かれらは野蛮にたいして異議を唱えるが, おなじような所有関係が支配している国でそうしているのである. ただそこでは, 肉をテーブルに運ぶ前に, いまのところまだ睹殺者が手を洗うのだ


野蛮な処置にたいする声高な非難は, それを聞く人たちが, 自分の国ではそのような処置が問題になることはない, と考えられるしばらくのあいだは, 効き目があるかもしれない. ある国々は, ほかの国ほどには暴力的でない手段を用いて, まだ所有関係を維持することができる. これらの国では, まだ民主主義が役にたっているが, 他の国々で役だつものといえば, 暴力に, つまり生産手段の私有の保証にかかわらずをえなくなる. 工場, 炭坑, 土地の独占は, いたるところで野蛮な状態を作りだしている. しかしこれらは比較的目だたない. 野蛮が目立つようになるのは, 独占があからさまな暴力によってのみ, かろうじて支えられるようになるときである


野蛮な独占のために, 法治国家の形式的保証や, 芸術, 哲学, 文学などのたのしみまであきらめるのはいまのところまだ必要でない二, 三の国民は, 客人たちがこれらのたのしみをあきらめた自分の祖国を非難するのを, とくによろこんで聞く. 予期される戦争がはじまれば, それはかれらの利益になることだからである. たとえば「ドイツこそこの時代におけるまぎれもない悪の故郷であり, 地獄の出店, 反キリスト教徒の溜り場であるから」ドイツにたいしては仮借のない戦いをすべし, と声高に要求する人々は, 真実を認識していると言えるだろうか. こういった連中は, むしろおろかで救いようのない, 有害な人間であるというべきだろう. なぜなら, このようなおしゃべりからひきだされる結論は, こんな国は絶滅すべきだ, ということになるからだ. 国全体その住民もろともにである. それというのも, 有毒ガスは人を殺すばあい, 罪あるものだけを選びはしないからだ.


真実を知らない軽率な人間は, 一般的で, 高級で, 不正確なもの言いをする. ドイツ人〈一般〉について馬鹿なことを言い, 悪〈一般〉について嘆くが, それを聞くほうは, それからどうしたらよいかわからないのである. ドイツ人でなくなる決心をせよというのだろうか. 話の聞き手が善良であれば, 地獄はなくなるというのだろうか. 野蛮から生じる野蛮についてのおしゃべりも, この種のものである … これらすべてのことは, まったく一般的に言われるのであって, 行動に役立つ結論をうるためにいわれるのではない. つまりだれにもなにも言わなかったとおなじことになるのだ


このような表現は, 一連の原因のごくわずかな部分だけしか示さず, 動く一定の力を制御不可能な力として提出する, このような表現は, 災害をもたらす力を秘めている多くの暗闇を含んでいる. それに少し光をあてれば, 人間が災害の張本人として姿をあらわす! なぜなら, ぼくらは, 人間の運命は人間である時代に生きているからだ.


ファシズムは, ほかならぬ人間の〈本性〉によって理解されうる自然の災害などではない.


しかし, 自然の災害においてさえ, 人間にふさわしい表現の方法がある. 自然の災害は, 人間の闘争力に訴えるものがあるからである


横浜を破壊した大地震のあとで, 多くのアメリカの雑誌に, 焼野原を示す写真が見られた. 写真の下には「steel stood」(鋼鉄は残った)と書いてあった. じっさい最初ちょっと見ただけでは廃墟しか見えなかった人も, その説明のおかげで写真への注意を促され, その結果, 二,三の高い建物が立ったままでいることに気づいたのである. 地震について与えられる表現のなかで, 無類の重要さを持つものは, 地滑り, 衝突の力, 発生する熱などを考慮し, 地震によく耐える構造を得ようとする建築技師たちのそれである


けっして自然の災害などではないが, 大きな災害であることには違いないファシズムと戦争を記述しようとするものは, 実際に役立つ真実を作り出さねばならない. ファシズムと戦争こそ, 自己の生産手段を持たない労働者の巨大な人間集団にたいして, これらの手段の所有者たちが準備する災害であることを示さねばならない


いまわしい状態についての真実を, 効果的に書こうとするものは, その状態の原因が避けうるものであると認識できるように書かねばならない. 原因が避けうるものであると認識されれば, いまわしい状態も克服しうる



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【4】その手に渡れば真実が有効に働く人々を選び出す判断力



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16/04/22 (Fri) B.BRECT 真実を書くさいの五つの困難(1935) 1/5

真実を書く際の五つの困難




    BELTOLT BRECHT



POLITIK, KLASSENKAMPF, KUNST 1925-1938


【出典】五十嵐敏夫訳『ベルトルト・ブレヒトの仕事/2 ブレヒトの文学・芸術論』河出書房新社,1972/12/11 p.81-p.99「真実を書くさいの五つの困難」





こんにち, 嘘や無知と戦い, 真実を書こうとするものは少なくとも五つの困難を克服しなければならない. 真実はいたるところで抑圧されているが, その真実を書く勇気を持たねばならず, 真実はいたるところで隠蔽されているが, その真実を認識する賢明さ, 真実を武器として使いこなせる技術, その手に渡れば真実が有効に働く人々を選び出す判断力, そして, そういう人々のあいだに真実を広める策略を持たねばならない


これらの困難は, ファシズムのもとでものを書くものにとっては大きな存在であるが, しかし, 迫害されたり逃亡してきたものたちにとっても存在し, そればかりかブルジョア的自由を持つ諸国家でものを書くものたちにとっても存在するものである



【1】真実を書く勇気



自明のように思えるのだが, ものを書くものが真実を書くさいには, 真実を抑圧したり真実でないものを書いたりしてはいけないという意味で真実を書くべきである. かれは権力者に屈服したり, 弱者をだましてはいけない. もちろん, 権力者に屈服しないことはひじょうにむずかしく, 弱者をだますことは, ひどく得になることではあるのだが. ものを持っている連中にきらわれることは, つまり, 所有をあきらめることであり, やった仕事に対する支払をあきらめることは, ばあいによっては, 仕事そのものをあきらめることになる. そして権力者たちの間で名声をこばむことは一般に名声そのものをこばむことになるばあいが多い. これらのことをするためには勇気が必要である. 極端な抑圧の時代は. たいてい立派で高級なことが大袈裟に問題になる時代である, このような時代に, 犠牲的精神こそ肝心なりなどと大声で叫ばれている最中に, 働くものの食事や住居のような次元の低いくだらないことについて語るには勇気が必要である, 農民たちが浴びるほど敬意をよせられているばあい, その尊敬されているかれらの仕事を軽減するような農機具とか安い飼料について語るには勇気がいる, あらゆる放送局が, 知識を持つよりも知識も教養もない人間のほうがいいと叫びたてているとき, それはだれのためにいいのかとたずねるのは勇気がいる. 完全な種族と不完全な種族が問題になっているとき, 飢えと無知と戦争は不快なかたわものを生み出しはしないかなどとたずねるには勇気がいる.


また, 自分自身, つまり敗者である自分についての真実を語るにも, 勇気が必要だ. 迫害された多くの人々は自分たちの欠点を認識する能力を失っている. かれらには, 迫害が最大の不正に思えるのだ. 迫害者たちは, まさに人を迫害するがゆえに悪者であり, かれら, つまり迫害されたものたちは, その善意のために迫害されるというわけだ. しかし, この善意はうちやぶられ, 征服され, 阻止されたのであり, それゆえ弱い善意, つまり思わしくなく長持ちしない, 信用できない善意であった. それというのも, 雨が降ればぬれるのとおなじく, 善意には弱さがつきものだというのは, 通用しないからである. 善人たちが打ち負かされたのは, 善良だったからではなく, 弱かったからだというためには, 勇気が必要である. もちろんのことだが, 事実は事実でないものとの闘争のなかで, 書かれなければならないし. また, 一般的なもの, 高級なもの, 曖昧なものであってはいけない. この一般的で, 高級で, 曖昧な性質を持っているものこそ, まさに事実でないものなのだ. しかし, ある人について, その人は事実を語ったと言われる場合, それは, それよりさきにまず, 二,三の人々が, あるいは多くの人々が,またはだれかある人々が ,それとはべつなこと つまり嘘とか一般的なことを言ったのにたいして, その人は真実を, つまり実践的なこと, 事実に即したこと, 否定しえぬこと, とりもなおさず重要なことを言った場合をさすのである,世界の悪事や野蛮な行為の勝利について, 一般的に非難したり, そうすることがまだ許されている世界の一部で精神の勝利を持ち出しておどしをかけたりするのは, ほとんど勇気を必要としない. そのばあい多くの連中は, ただオベラグラスが向けられているにすぎないのに, まるで砲口をつきつけられているかのようにふるまう. かれらは無邪気な人間である友人たちの世界にむかって, かれらの一般的な要求を叫びたて, そのために自分たちはいまだかつてなにひとつしたこともないのに, 一般的な正義を要求し長いあいだ配分にあずかってきた獲物の一部を手にいれる一般的な自由を要求する. かれらは耳に快くひびくものだけを真実だと思う. もし真実が, 数量的なもの, 味気ないもの, 事実によるもの, つまり見つけだすのに骨がおれ研究を必要とするものであれば, かれらにとってそれらは事実でないのだ.つまり,それらにはかれらを熱狂させるもがないのである. かれらは, 真実を言う人間の外から見える態度だけをなぞっているにすぎない. かれらがみじめなのは, かれらが真実を知らない点にある



【2】真実を認識する賢明さ



事実がいたるところで抑圧されていて, それを書くことが困難なので, たいていの人には, 真実を書くか書かないかは, その人の信念の問題であるように思われる. かれらは, 真実を書くには勇気がありさえすればよいと思っていて, 真実を見出すという第二の困難を忘れているのだ. 真実を見出すのはたやすい, などというのは論外のことである


まず最初に, 語る価値のある真実はどれかを見出すことからして, たやすいことではない. たとえば, 現在全世界の人たちの眼前で, 偉大な文明国が次々と極端な野蛮のなかに落ち込んで行っている. おまけにだれもが知っているように, きわめておそろしい手段でおこなわれる内戦が, いつの日外国との戦争に変わるかもしれず, それによって, ぼくらの大陸はもしかしたら瓦礫の山と化すかもしれないのである. これは疑いもなく一つの真実である. しかし, もちろんのことであるが, ほかにもたくさん真実は存在する. たとえば, 椅子には座る板があり, 雨は上から下へ降るというのは, 真実でなくはない. 多くの詩人たちは, この種の真実を書くのだ. かれらは沈みつつある船の壁一面に, 静物画を描く画家に似ている. ぼくらのいう最初の困難は, かれらには存在しない. とはいえ, かれらも良心は持っている. 権力者たちに惑わされることがない反面, 抑圧された人たちの声にも惑わされることなく, かれらは自分の絵を塗りたくる. かれらの行動のあり方が示す無意味さは, かれら自身の内部に根深いペシミズムを生み出すが, かれらはそれをいい値段で売りつける. これらの巨匠や巨匠の絵の販売を眼前に見れば, むしろかれら以外の人間が, じっさいペシミズムにおそわれるようになるとしても, もっともなことだろう. このさい, かれらの言う真実とは椅子や雨についてのあの種の真実である, ということを認識することでさえ, かんたんではない, ふつうそれらの真実は. 重要なことについての真実とはまたちがったひびきを持つものである. なぜなら, 芸術的表現の本質は. まさに事柄に重要性を与える点にこそ存在するからである,


くわしく見てはじめて分かることだが, かれらはただ「椅子は椅子である」とか「雨が下へ降ることにはだれも反対できない」ということを言っているにすぎない


この種の連中は, 書く価値のある真実を見出せない. また他方において, じっさいきわめてさしせまった課題に取り組み, 権力者も貧困もおそれないのに, やはり真実を見出せないでいる人びともいる. かれらには知識が欠けているのだ. かれらは古い迷信や, 古い時代にしばしば見事に作られ人びとによく知られている偏見でいっぱいなのである. かれらにとって, 世界はあまりにも複雑であり, かれらは事実を知らず. 事物の諸関係が見えないのだ. 信念のほかに, 習得しうる知識と学習しうる方法が必要である. 混乱と大きな変革のこの時代にあっては, ものを書くすべての人間にとって, 唯物弁証法と経済と歴史の知識が必要だ. その知識は必要なだけの熱意が払われさえすれば, 本からも実践的な指導を通じても習得できる. もっとかんたんな方法でも, 多くの真実が, 真実の部分が, 真実の発見に通ずる事態が発見されることもありうる. それもさがそうとする気さえあれば, また, 方法がよければの話であるが. しかし, とくに方法がなくても, それどころかさがさなくても, 真実を見出せることがある. しかしそんな偶然をあてにする方法では, 人々がその表現をもとにしていかに行動すべきかを知りうるような, 真実の表現には到達しえない. くだらない事実のみを書き記す連中は, この世界の事物を使いこなすことができない. しかし真実はこの目的しか持たず, ほかにいかなる目的をも持たない. このような連中は, 真実を書くようにという要求に, たえられないのである


真実を書こうという覚悟があり, また, 真実を認識する能力があっても, さらに三つの困難がのこっている





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3…真実を武器として使いこなせる技術




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