コンビニ残酷物語

 NHKクローズアップ現代』でコンビニの労働問題が取り上げられていた。ファミリーマートのオーナーは「1年間1日も休まず働き、週に3日は徹夜勤務。なのに年収は290万円」である。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3894/1.html
 この番組のゲストには、小説『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香が出演していた。そのコメントは当たり障りのないものだったが、さて報道で、コンビニ店員だった小説家がそのコンビニ愛を書いて芥川賞を受賞した、ということばかりが強調された結果、小説を読まない世間一般の人たちはこれを、ほのぼのした、いいお話だと思っているのではあるまいか。
コンビニ人間』という小説は、異常な人格の女が、その異常ゆえに、異常な職場であるコンビニに適応してしまうという話であり、作者の語るコンビニ愛にはアイロニーがあるはずなのだ。

コンビニ人間

コンビニ人間