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スパイシー・スパイシードロップ

2010年02月09日

[][][]『ぷれいぶっ!』感想 13:16

ぷれいぶっ! (電撃文庫)

ぷれいぶっ! (電撃文庫)

あらすじ

「雪村統吾です。この世界の人間ですが、別の世界で勇者やってました」

突然、夏休みに別世界へ召喚された高校生・雪村統吾。統吾は魔王を倒し、世界を救った勇者となって現代へ戻ってきた。そんな彼の前に謎のスーツ男が現れ、別世界の人間を集めた学校へ転校することに。

高校デビュー。そう、雪村統吾はこの転校に人生を懸けている。強くて謙虚で人気者、「雪村くんって勇者だったんだ。すごーい!」と女の子にモテモテ学園ライフを満喫する!!――はずが、世界を救った勇者はクラスの中でも最弱だった!? そんな統吾にクラスメイトは誰も構ってくれなくて……しかし、そんなアレな統吾でも、気にせず慕って最初に声をかけてくれた可愛い魔法使い・夏森朱音。彼女のために真の勇者になろうと頑張るが……。 

知り合いの知り合い*1補正ってことで発売日に買ってきましたぜ、いぇーーい(だいぶ遠いよねそれ)。『ぷれいぶっ!』の「っ!」に名状しがたい黒い感情が浮かんだり、ぶっ飛んだ序盤に意識が遠のきながら読んでいたら、どんどん面白くなってきました。満足。

主人公のメンタリティに慣れてきたのが良かったのかな。要するに女の子と仲良くしたいだけの奴なんだけど、そこに情熱と人の良さがあるからね。何やっても残念な結果に終わるのだけど、笑ったり泣いたりが素直なとこがいい。腐っても『世界を救った勇者』ということなんだろうか? それが《最弱世界》だとしても、勇者は他にいない。統吾には強さに関係ない強さがあるというわけですな。

* * *

わいのわいのした賑やかな学園異能ものとしてよく出来ていると思っていただけに、終盤に至っては、お願いだから「実は極悪人」とか「裏で巨悪が動いてる」は勘弁してくださいっと半ば祈りながら読んでいました。副生徒会長とか怪しいし、なにせ作者に前科あるからなあ*2。ぶっちゃけ、副生徒会長の能力が《次元移動》という話が出た瞬間、「すべての黒幕はこいつか!」と思ったもん。「くっくっく、この学校に集めた三千世界の異能を以て、私は神となる!」とか言い出さなくてよかったです。(実はちょっと読んでみたい? いやいや)

最後はやっぱり「どこかで読んだことのあるイイ話」で落ち着いたわけだけど、その規模がやっぱりしょーもない対立だったのは良かった。「この学校はオレが守る!」とか言い出さないで、あくまで「放課後を面白おかしくしたいだけ」――というのは好みです。だからこそ、最後の台詞が活きてるわけだし、完成度高いッスね。「悪人を最後まで出さないで物語を盛り上げる」ってムツカシイですが、この作品にはそれどころか「みんな良い子」なんですよね。特にルームメイトの明道はぜっったいに良い奴。転校したての統吾の為に、女子20人の誘いを蹴って文化祭につき合うとか、並じゃねぇよ。ぼくにはとても出来ない!?

* * *

余談。後書きに「某セクシーコマンド」「少なからず影響」と書いてあって、謎は全て解けた! そうか、『藤堂家はカミガカリ』に足りなかったのは「ガビーーン」だったのねん。「神さまがネトゲ廃人ー!?(ガビーーン)」「噛んだー!(ガビーーン)」「変態だー!(ガビーーン)」 うん、想像以上にしっくり入った。イラストレーターには、カッコイイ絵を書ける人じゃなくて、うすたっぽさに乗れる人を連れてきてくればよかったんでね。(超失礼)

余談の余談。「いろんな世界から集まっている生徒」の設定がもっともっと膨らんでくれたらいいなあと思いました。特に「この世界は料理が美味い」とか「魔法系統が違いすぎると防御できない」とかのあたり。後者は暴走すると『えんかんっ!』(※円環少女)になっちゃいそうですが。

「では次の問題。『たかし君は秒速40メートルで走ることができます。よしこちゃんは、たかし君が走り始めて二秒後に、秒速80メートルの火の球を放ちました。火の球は何メートルの地点でたかし君を焼き尽くすでしょう。なお、たかし君は走り始めた瞬間に最高速に達するものとする』では……雪村くん」
「たかし君はよしこちゃんに何したんだよ!」

*1:TODOの先輩。

*2:『藤堂家はカミガカリ』のこと。