熊野といえば、熊野古道や中上健次だろうが、私にとっては丸山静の『熊野考』である。そして、私にとっての丸山静は、レヴィナスの名前導入者やデュメジルの翻訳者であるよりも、『熊野考』の著者である。
私にとって、中上の〈路地〉は文学的にはともかく思想的には何をいまさらの感もあったが、丸山の〈小栗判官〉には何をいまさらではあってもそれでも思想的に打たれた。
まだ古本で買えるようだが、復刊を期待したい。罰当たりなことだが私は時に本を捨ててきたので、いま手元にないのである。
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