デスクトップ鉄の雑記帳

2016-05-22

[][]新幹線自由席特急券発売規則 21:23

旅規に自由席特急券が記載されたのは、1965年10月1日の改定時である。しかし、その前年の12月に新幹線「こだま」に自由席が登場した。本日旅規ポータルを更新し、その時単行規程として制定された新幹線自由席特急券発売規則を掲載した。1964年12月18日制定の規則と、1965年5月20日改定施行の規則を対比している。65年5月の改定では1等車にも自由席が設定され、また6条2項に「乗車券類委託発売規程に定める案内所(旅行代理店)においては、自由席特急券の一部を当該列車が始発駅を出発する日の21日前の日の11時から発売する」と規定され、クーポン用特急券様式も記載された。しかし、5条の自由席特急券の発売箇所は、「国鉄が指定した駅」のままである。

1965年10月1日、在来線特急にも自由席が設定され、旅規57条1項1号ロに自由席特急券が

ロ 自由席特急券

 特別急行列車に乗車し、自由席(別に定める区間における特別急行列車の座席を含む。以下同じ。)を使用する旅客に対して、乗車できる列車、乗車駅及び乗車区間を指定して発売する。ただし、乗車する列車を限定して発売することがある。

と規定され、自由席特急料金は、指定席特急料金から100円を低減した額とされた(125条1号及び2号ロ)。

同時に国鉄公示539号で「第57条第1項第1号に規定する特別急行列車に対する自由席特急券の発売列車及び区間並びに同第126条に規定する特定の特別急行料金を適用する列車及び区間*1」が公示された。新幹線はすべての「こだま」の全運転区間に自由席が設定された。在来線の特急では35列車(往復)に自由席が設定されたが、「はつかり」(上野青森間)の盛岡・青森間、「はくたか」(上野・金沢間)の富山・金沢間など末端区間だけの列車が大半である。運転された全区間にわたって自由席が設定された特急は、山陽本線などの次の10列車(往復)だけだった。

列車運転区間特定料金設定区間
しらさぎ名古屋・富山金沢・富山
あすか名古屋・東和歌山名古屋・東和歌山
つばめ名古屋・熊本小倉・熊本
はと新大阪博多広島・博多
いそかぜ大阪・宮崎別府・宮崎
みどり新大阪・佐世保/新大阪・大分小倉・佐世保/小倉・大分
第1しおじ新大阪・下関新大阪・岡山/広島・下関
第2しおじ新大阪・下関新大阪・岡山/広島・下関
第1しおかぜ新大阪・広島新大阪・岡山/岡山・広島*2
第2しおかぜ新大阪・広島新大阪・倉敷/岡山・広島*3

*1:特急料金を2等300円、1等600円に特定した区間。この区間で自由席特急券を発売する場合は、特急料金の100円低減は行わなかった

*2:上りは第2しおかぜ

*3:上りは第1しおかぜ

2016-05-10

[][]「JR旅客制度特例の変遷」更新 20:25

3月26日の新線・新駅開業等に伴う制度変更として、小田栄駅関連の特定分岐区間の表記変更、分岐駅通過列車及び折り返し列車からの五稜郭函館間と中小国蟹田間の削除があった。基準規程の改定は公開されていないが、時刻表のピンクのページに記載されている。これによりJR旅客制度特例の変遷を更新した。

時刻表記載の折返し列車は、実際に運転されている列車に限っている。したがって、2011年当時の基準規程152条に掲載されていた、南千歳新千歳空港間、羽前千歳山形間、日暮里・上野間、金山名古屋間、備中神代・新見間、宇多津・高松間が記載されていない。これらが基準規程から削除されたかどうかは不明である。

なお、小田栄駅についてはブログ「叩け!マルス」の5月3日記事によると、基準規程に第110条の2(営業キロを定めていない区間の旅客運賃・料金の計算方の特例)が新設され、「規則第71条第1項第1号ただし書の規定は、小田栄駅と八丁畷以遠(尻手方面)の各駅相互間の旅客運賃・料金を計算する場合に適用する。」と規定されたようだ。

追記(5月17日):小田栄駅発着の運賃を川崎新町駅発着で計算する特例は、旅規71条の特例として、基準規程110条の2に定められた。旅規71条は「営業キロを定めていない区間」についての運賃計算の規定であるが、小田栄駅は正式な駅であり、隣接駅間に営業キロが定められている。運賃計算の根拠規定として71条を適用したことが、旅規の規定の不統一の原因といえる。

むしろ、86条の特定都区市内や89条の北新地駅発着のように、エリア内の中心駅からの営業キロで運賃を計算する特例の一種と考えたほうがすっきりする。これらの条項は、旅客にとっての便宜というよりは、むしろ運賃計算の簡素化、常備乗車券の節減などの事業者側の合理化への要請から、生まれた制度である。

「叩け!マルス」の筆者は、「運賃改定時までの間、運賃表、券売機、ICカード乗車券システム等への改修費用を抑制することが主な目的と見る向きもある」と書いている。旅客業務のIT化によって86条などによる合理化の意味は薄れたが、マルスの進化やICカードの登場などIT化に対応した合理化の手段として、川崎新町駅発着で運賃を計算する特例が誕生したといえる。

やまやまやまやま 2016/05/11 01:38 小田栄駅についてJR東に問い合わせたところ、3年程度は需要動向把握と適切な駅整備を図ることを目的とした社会実験駅として暫定開業(期間限定)しており、常設駅の位置づけではないので、規則第71条第1項第1号を適用し、同駅の外方または内方となる川崎新町駅の営業キロを用いて運賃を算出する、という主旨の回答を得ました。
やはり、正式には「駅」ではなく「駅と駅との中間」という扱いのようです。

desktoptetsudesktoptetsu 2016/05/11 08:14 正式には駅でないなら、旅規86条2号の横浜市内駅に追加したり、基準規程149条5号の表記を変更したりする必要はないと思うのですが。

バスバス 2016/05/11 12:34 小田栄駅が駅か乗降場かは分かりませんが、川崎新町−尻手−川崎−鶴見の距離が7.2kmで、浜川崎−国道−鶴見の距離が5.7kmなので、「外方」で計算すると、安くなる区間が発生するから第71条を改正する必要があったのでは?過去に小松島線で「内方」で計算したことがあるようですが、近郊区間で臨時乗降場が設置された例があるのでしょうか?偕楽園駅は、設置後に近郊区間に入りましたが、どのように運賃計算しているのでしょうか?

やまやまやまやま 2016/05/11 17:32 >desktoptetsuさん
「叩け!マルス」の記事によると、常設駅の扱いとなっているようで、私が得た公式回答と異なります。正式な駅として公告されているのに、旅規上(運賃計算上)は正式な駅としては扱わない、ということなのでしょうか。混乱しますね。

>バスさん
確かに、外方適用だと安くなる区間があるから改正が必要だったのでは?というご意見は、そのとおりだと思います。近郊区間内相互発着が実質的に最短距離計算(最安運賃適用)となってしまっている現状では、小田栄駅に運賃計算用の営業キロがない以上、八丁畷経由か浜川崎経由かによって運賃が異なる駅まで(から)の扱い(当該駅改札機の設定など)の都合により、運賃起点を不統一とするのが難しいのかもしれません。
過去の小松島駅の例は、終端の(臨)小松島港駅が正式な駅ではなく、小松島駅構内扱い(両駅間の営業キロはゼロ)であり、規則上、内方か外方かの概念はなかったもの(同一駅扱い)と記憶しています。
(臨)偕楽園駅は近郊区間内ですが、同駅発着で赤塚経由と水戸経由の双方がありうる近郊区間内相互発着となる該当駅が存在しない(偕楽園駅が近郊区間内におけるループ区間上ではない)ため、赤塚方面・水戸方面とも外方適用で問題ないと思います。
(上りホームがないことによる複乗は別問題ですので、今回の問題とは無関係でしょう。)

2016-05-09

[][]PASMOデビュー時の約款 23:20

旅規ポータルに2007年PASMOがデビューしたときに制定されたPASMO取扱規則PASMO IC乗車券取扱規則(鉄道)を掲載した。前者は株式会社パスモがPASMOの発売等に関して定めた約款、後者はPASMOを乗車券として利用する取扱いに関する標準約款で、これに基づき各鉄道事業者が個別の規則を制定している。ほかにPASMO IC乗車券取扱規則(バス)とPASMO電子マネー取扱規則があったが、掲載は省略。

デビューして9年経過し、PASMOを利用できる事業者が増加したが、基本的な条項は今も当時のままである。取扱規則には、クレジットカードオートチャージサービス機能を付加し、2008年登場した一体型PASMOに関する条項が規定された。IC乗車券取扱規則では、2014年の消費税率改定時に1円刻みのIC運賃が登場し、身体障害者割引及び知的障害者割引が規定されたことくらいである。

PASMO鉄道事業者は、2007年当時の23社局に、関東鉄道千葉都市モノレール舞浜リゾートラインの3社が加わり26社局になった。一方、2007年当時PASMOが使えた鉄道事業者は、JR東日本東京モノレール東京臨海高速のSuica3社と、埼玉新都市交通だけだったが、2013年3月の10ICカードの相互利用によって、現在は48社に増加した。

本日は、旅規リンク集を更新し、新たにJR東日本のBRT ICカード乗車券取扱規則(odeca)を追加した。

2016-05-04

[][]1999年の西武鉄道旅規 20:04

阪神1962年旅規に続き、旅規ポータルに西武鉄道旅客営業規則1999年1月1日現行を掲載した。

パスネットの不思議脚注2に書いているように、環状線を有する西武は、JRの70条特定区間と同様の規定がある(東急東京メトロなどと同じく太線区間通過だけでなく、区間内駅発着にも最短経路による運賃を適用)。また、157条には、定期乗車券でこの環状線区間を乗車する場合の選択乗車が規定されている。

興味深いのは、29条の2の実習割引の規定。

(実習割引普通乗車券の発売)

第29条の2 学校または体育会等が、学生・生徒(幼稚園の園児を含む)の実習若しくは体育を目的として、鉄道の沿線に相当の設備を常置し、これが使用のため一定区間において、1箇月500人以上教職員・学生・生徒を往復旅行させる場合で、第29条の3の規定による実習旅客運賃割引証を提出したときは、その旅客運賃割引証1枚について1人1回に限り、普通旅客運賃を割引した往復の割引普通乗車券を発売する。

割引率は、92条の2に5割引きと規定されている。実際に適用されているのは、どんな学校だろうか。なお、定期乗車券については、JR旅規の36条4項など、実習のため実習場等まで乗車する場合の通学定期乗車券の発売の規定がある。

全体的にJRの旅規を基にしているが、大手私鉄の旅規としてはかなりずさんな表記である。読点(、)の使い方に統一性がなく、「通り」と「とおり」や、「ヵ年」と「箇年」などが混用されている。対キロ区間制の普通運賃は77条に規定され、別表1号に普通運賃表が記載されているが、別表は本文から参照されていない。また、237条の2の(手数料の収受)2項(駅員無配置駅における乗車変更等の取扱)は、237条(乗車変更等の取扱箇所)に置くべき条項である。

1999年現行の旅規だから、現在は訂正されているのかもしれない。しかし東急、東京メトロと近鉄を除く大手私鉄が旅規をウェブに掲載していないのは、このように公開すると突っ込まれる条文があることを認識しているからではないだろうか。

年寄年寄 2016/05/05 06:32 東武鉄道の話になりますが、高校時代に体育祭当日のグラウンド最寄り駅〜自宅最寄り駅間の割引往復乗車券販売って有りましたんで、多分その系統じゃないかと


体育会も対象なので部活・サークル活動でも可能なように読めますし

desktoptetsudesktoptetsu 2016/05/06 09:28 高校のグラウンドなら「設備を常置し」にあたりますね。いつ頃の話でしょうか。

年寄年寄 2016/05/06 10:46 私自身は2000年〜2002年ですね
弟も2006年〜2008年にかけて同じ高校にいましたが同じ制度はあったとのことです

desktoptetsudesktoptetsu 2016/05/06 22:09 「年寄」と名乗られているので60-70年代の話かと思いましたが、最近の話なのですね。普通乗車券の実習割引は、ウェブで公開している旅規には見当たりませんが、東武以外にも同様の割引をしている事業者があるのでしょうか。

やまやまやまやま 2016/05/07 22:10 第157条第1号の選択可能経路が、
『萩山・青梅街道経由、東村山・鷹の台経由、東村山・小川・鷹の台経由、東村山・小川・萩山・青梅街道経由』
となっていますが、2番目(東村山・鷹の台経由)と3番目(東村山・小川・鷹の台経由)が同じ経路のように読み取れます。
3番目が『萩山・小川・鷹の台経由』なら理解できるのですが…

desktoptetsudesktoptetsu 2016/05/08 21:00 おっしゃるとおり「萩山・小川・鷹の台経由」の間違いでした。訂正しました。

2016-04-29

[][][]1962年阪神電鉄旅規 10:10

昨日、旅規ポータルの旅規アーカイブス阪神電気鉄道旅客営業規則(1962年12月1日現行)を掲載した。原典は、阪神社内の業務に使用されていたとおぼしきのもの。表紙には昭和36年4月1日現行とあるが、その後の改定箇所が切り貼りで訂正されており、最終改定の施行日は、尼崎海岸線が廃止された昭和37年12月1日となっている。

全体的に国鉄の旅規に倣って構成され、急行券など阪神に適用のない条項は、東急やかつての営団の旅規と同様欠番となっている。別表5の危険品は国鉄と全く同じで、阪神には必要のない「自動車区間」が削除されず、記載されている。国鉄との契約条件の比較では、回数券の同時使用が旅客にとって有利。国鉄の4券片までに対し、全券片を同時使用できた。一方団体運賃の割引率は、国鉄よりも低い。

1962年当時阪神は、区間制運賃を採用していた*1。また、路面電車の国道線が廃止される前で、国道線と本線*2とで、環状線を形成していた。これらが旅規でどう扱われていたか、興味深い。

区間制運賃は、区間の分割を表示した路線図が別表1に掲載され、別表2及び4に区間数による普通運賃と回数運賃が記載されている。梅田・元町間は7区間に分割されており、2012年9月18日の記事で紹介した、開業時*3の4区間に比べ細かく設定され、開業時の特定運賃がなくなった。また開業時の運賃は区間数比例だったが、遠距離逓減になっている。

別表1の注にあるように、本線系統と国道線系統*4とは別運賃体系で、両者にまたがって乗車する場合は、一部の特区区間を除きそれぞれの運賃の併算だった。したがって環状線の迂回乗車は認められず、北大阪線の各駅と東神戸駅間のみ、国道線の乗車券で本線野田・西灘間を経由する選択乗車が認められていた。

f:id:desktoptetsu:20160428103453g:image:left区間制運賃は普通運賃と回数運賃で、定期運賃は別表3で対キロ区間制で定められていた。左のグラフに示すように遠距離逓減度がきわめて高い。なお、比較対象の点線は、1961年4月6日改定実施の国鉄定期運賃で、2014年7月20日の記事で書いたように、国鉄運賃法の限度額に合わせるため、不規則なカーブとなっている。

昨日は、データルーム本館の更新も行った。最長片道切符のルート変遷 1961-2016では、AsaPi!氏の最長ルート変遷地図に新たに掲載された2016年3月暫定最長ルート並びに1968年5月、1971年8月及び1972年3月の最長ルートにリンクした。また、都道府県境踏破国界を越える鉄道に北海道新幹線を追加、Railway Newsに福井鉄道の福井駅延伸を記載し、これをRailways of Japanに反映した。

*12012年6月5日の記事に書いたように、関西の大手私鉄5社は、1974年7月20日一斉に区間制から対キロ区間制に移行した

*2:当時は本線も「軌道」

*3:開業時は梅田駅の手前の出入橋がターミナル

*4:本線系統は、本線、伝法線(現阪神なんば線)、武庫川線及び北大阪線、国道線系統は国道線及び甲子園線。路面電車の北大阪線は本線系統に含まれていた

のなしんのなしん 2016/04/30 18:24 阪神電気鉄道には1949年から2009年まで自動車線(直営の自動車部)がありましたが、この規則は適用されていなかったようですね。

desktoptetsudesktoptetsu 2016/04/30 21:57 鉄道事業とバス事業を兼営していた事業者は多いですが、約款を共通にしていたのは国鉄だけで、私鉄や公営交通は、道路運送法に基づくバス事業の約款を定めていたのだと思います。国鉄バスは国営事業として、道路運送法上別格の存在だったのではないでしょうか。

みかげみかげ 2016/05/06 23:47 昭和62年3月31日までの道路運送法第79条(適用除外)では、国において経営する自動車運送事業及び自動車道事業に対して適用除外となる条項が多く規定されており、運送約款の制定・運輸大臣の認可などを定めた同法第12条(現在は第11条へ移行)は適用除外とされていました。このため、鉄道の旅客営業規則に自動車線に関することを組み込んでいたのは、国鉄だけだったと思われます。

desktoptetsudesktoptetsu 2016/05/08 21:15 やはり国鉄は、道路運送法に基づく運送約款の制定義務を免れていたのですね。民営化後も2002年10月にJR四国がバス事業の約款を分離するまで、旅規に自動車線関連事項が規定されていました。JR直営バス事業の約款は、道路運送法の適用除外だったのでしょうか。それとも、道路運送法に基づく約款が旅規とは別に制定されていたのでしょうか。

みかげみかげ 2016/05/09 20:55 日本国有鉄道改革法等施行法(昭和61年11月4日法律第93号)の第2節では、一般自動車運送事業その他の事業の開始等に関する措置について定められており、第17条(事業計画等に関する経過措置)第2項で、「旅客会社は、前項に規定する一般自動車運送事業の運送約款について、新法第12条第1項の認可を受けないで、その成立の際現に日本国有鉄道が実施している運送約款と同一のものを実施することができる。この場合には、旅客会社は、その成立後遅滞なく、運輸省令で定める書類を添えてその旨を運輸大臣に届け出るものとし、当該旅客会社は、当該届出があつたときは、同項の認可を受けたものとみなす。」と規定していました。この規定に基づき、旅客鉄道会社が直営で自動車事業を行っていた間は旅客営業規則が適用されていたと解します。

desktoptetsudesktoptetsu 2016/05/10 20:28 「国鉄改革法等施行法」に規定されていたのですか。民営化後15年半も旅規の規定がバス事業の運送約款として認められていたわけですね。ご教示いただき、ありがとうございました。