主婦 JR全線「完乗」

朝日新聞兵庫版の記事

主婦 JR全線「完乗」/明石の藤原さん
2011年12月14日
 模型づくりや写真撮影など、多彩な楽しみ方で知られる鉄道ファン。明石市西新町3丁目の主婦藤原直子さん(47)は先月、新幹線を含めたJR全線(1万9981キロ)を乗り切る「完乗(かん・じょう)」を果たした。JR西日本によると、女性の全線完乗は珍しいという。
 11月20日、大阪府高石市のJR阪和線東羽衣駅。隣の鳳駅から電車に乗った直子さんが下車すると、夫の伸介さん(50)や鉄道ファン仲間が「祝 JR完乗」の横断幕を持って迎えた。花束を受け取った直子さんは「こんなに祝ってもらえうれしい」と顔をほころばせた。
 「完乗」を思い立ったのは、伸介さんの影響だ。伸介さんは1983年にJR全線完乗。その後も私鉄やケーブルカー、地下鉄、新交通システムなど国内の鉄軌道の全線を乗り切ったという。今でも新線が開通すると「タイトル防衛」(伸介さん)のため、すぐに現地に駆けつけるほどだ。
 直子さんは1996年に伸介さんと結婚。建材店を経営する伸介さんの仕事の合間に、ともに鉄道の旅を続けてきた。「鉄道にさして興味がなかった」という直子さんだったが、05年に旅行雑誌の付録地図を見て、すでに全線の7〜8割に乗っていたことに気づいた。「ならば完乗してみよう」と志を立てたという。
 残っていたのは新潟、福島両県の豪雪地帯を走る只見(ただ・み)線や、愛知、静岡、長野各県の山岳地帯を貫く飯田線など閑散とした路線ばかり。「長時間列車に揺られただけに、達成感は大きかった」と直子さん。車内で地元の人たちとよもやま話をするのが楽しみだったという。
 かかった費用はわからないが、夫妻は「安い周遊切符などを探し、こづかいの範囲で挑戦しました」。直子さんは「目標は達成した。これからはゆっくりと普通の旅をしたい」と話した。(横山健彦)

確かに女性の完乗者は珍しい。デスクトップ鉄のデータルームの"乗り鉄"先駆者たちの足跡に初期の国鉄完乗者60名を記載しているが、全員男性である。また、全線完乗人名簿国鉄、JR全線完乗人名簿には、申告による2011年8月1日までの完乗者104名が記載されているが、女性らしい名前はない。夫婦でJR完乗達成というのは、第1号ではないだろうか。