本の畑

えっちらおっちら耕す、本やら何やらの畑。情報は芋蔓のように地下でつながっている。たぶん

ヘクソカズラ

近所のコンクリートの壁(土手?)沿いに
ヘクソカズラの花が咲いてるのを見つけました。
植物全体に臭気があることからこの名がついたといわれていますが、
「屁糞葛」とはね〜。漢字で書くのが憚られる(って書いてる・笑)。

西脇順三郎の詩にヘクソカズラが出てきたよな〜
と思って、西脇順三郎『アムバルワリア—旅人かへらず』講談社文芸文庫
を探してみました。

九四

「失われた浄土」は盲人の書いた地獄
へくそかずらの淡いとき色も
見えないただ
葡萄の蔓
へうたん

がその庭の飾りで
ふるへてゐる    P149「旅人かへらず」

秋になると見られる実は
西脇順三郎『 野原をゆく』講談社文芸文庫現代日本のエッセイ
に収録されてる、
「イバラの幽霊」というエッセイの冒頭を飾って(?)ました。

すべての思想や情想をすてて東国の白金の友人の家を訪ねてみると、そこへ行く小路にはもう秋が来ていた。切断された鉄条網のハリガネが曲がってたれていた。その中でみずぼらしい接骨木(にわとこ)の薮が一つうずくまっている。その上をヘクソカズラというつる草がおいかぶさって、あの金色の小さい実がさがり、またカラスウリもさがっている。こうしたイメジは僕の頭を刺激する唯一のものだ。p122

金色なのか…。
実に注意したことはなかったので、今年は見てみたいものです。

エッセイ集『野原をゆく』には<土星の苦悩>という
わびしく美しい小説のような短文が収録されていて
ずっと名著だと思って大事にしているのですが、
古書店で探したハードカバーも持っているだれか(^_^;)
さっきアマゾンを見てたら、マーケットプレイスの古本しか見当たらない。
いい本なのに…。詩人のエッセイを買う人は少ないんですかね〜。