一人暮らし10年目にして、やっと

一人暮らしを始めて10年、つまり料理を始めて10年。
やっと、料理が身に付いてきた気がします。
レシピを見なくても「それなり」のものが作れるようになってきたのです。

ううう。29歳で今更なんでしょうが、でも嬉しい。
10年間、地道にレシピをきちんと守り、手順を延々繰り返してきたおかげだ、きっと。
何事も、基礎を繰り返すことが大切なのだ、きっと!

振り返れば、うちの親は子煩悩の甘やかしなので、親と同居してる間は食事作りの手伝いも「餃子を包むのを手伝え」とか「盛り付けをしろ」とか「これ和えておいて」とか、超簡単なことしか言いつけられたことがありませんでした。だから私の「料理できないっぷり」は堂に入っていたのです。

たとえば中学生時代。初めて味噌汁を作ったときは、出汁をとりませんでした。ええ、当然のように。それも、煮込みすぎて味噌汁というよりは煮浸しみたいな状態のシロモノをつくりあげたのでした。一口飲んだ父が、「まずい」とも言わず黙って水を足し味の素を入れて温めなおしてくれたおかげで、私は初めて味噌汁というものは出汁が入っていたことを知ったのです。母は毎日煮干で出汁をとって味噌汁をつくってくれていたというのに、私は何も知らなかったのでした。

そして、また同じく中学生時代のある日。母が用事があって夕飯時に留守ということで、わざわざハンバーグを「後は焼くだけ」の状態で用意していってくれました。なので私は普通にフライパンを取り出し、普通にフライパンを熱してハンバーグを焼き始めたのですが……次の瞬間、フライパンから火柱が上がったのです! あまりのことにびっくりしすぎて、肉が入ったままのフライパンを流しに突っ込んだら、ますます高く火柱が上がるではありませんか!!!!!(今思うと当然) その後、火は無事鎮火したものの、家を燃やしかけたトラウマは未だ消えず、29歳になった今もハンバーグを家でつくったことがありません。

そんな私が…今。レシピを見ずに手早く、簡単とはいえ食事の仕度ができるようになったのです。嗚呼、感涙。なんか、ブレイクスルーした感じ!

もし私が子供を持つことがあったら、男の子だろうと女の子だろうと小学生時代から料理の基礎知識を仕込みたいと思います。そうすりゃ、18・9のころには一人前になっていることでしょう。スタート早けりゃ、ゴールも早し。いらぬ苦労は子にさせぬ。心に誓ったアテクシです。