「数学をいかに使うか」を読んでいる

志村五郎さんの「数学をいかに使うか」を読んでいるが、とても良い。スピード感があるし、教え方がうまい。自分の中では、森毅さんの「線形代数」ぐらいのヒット。細かいことをちまちまと、ひとつひとつ証明しながら進めていくやり方は、自分にはしっくりこない。

要するに数学は学ぶにせよ教えるにせよ、きめられた伝統的な段階をふんできっちりとやらなければならないものではない。特に「何でも厳密に」などと考えてはいけない。これは教育上で言っているのであって、厳密でなければならない場所はもちろんある。

なるほど。勉強させて頂きました。

ネット上で志村さんの評判を見ると、必ずしも良い評価ばかり受けている訳ではない感じがする。人間性の部分で、悪い書かれ方をしている。それを検証するために、という訳でもないのだけど、志村さんの自伝である「記憶の切繪図」を買って読んでみた。読んでみた感じでは、そんなに悪い人だとはとても思えない。おかしいものに毅然とした態度で立ち向かう、立派な人だと思う。ものごとの表層だけで短絡的な判断をするような人は、ちゃんと評価できないのであろうと思う。
この本はまた、日本語も美しいので、読んでいて楽しい。「なぜあの文章を書いたか」などは、涙が出そうになった。

とにかく「数学をいかに使うか」は、自分にとってはいい本です。「数学の好きな人のために」も合わせて購入したので、早く読み進めたい。