2011-07-06
技術系プレゼンテーションの前にやっておくべきこと
プレゼンテーションの下準備を行う際に、普段心がけていることを整理する。
導入
ブログ、翻訳に続く舞台裏シリーズの第3弾として、プレゼン前の下準備の際に自分が心がけていることをまとめておきたいと思います(もう舞台裏ネタはないので、これで最後です)。2010年10月のDevLOVE "Beautiful Development"が、私が個人として行う初めてのパブリックスピーキングでした*1。その時から今まで何度か登壇の機会を頂いていますが、最初のとき以来、事前に必ずやるようにしていることが3つあります。一般的に基本と言われるものがすべからくそうであるように、たいしたことではないのですが、地道にやることでそれなりの効果は得られているような気がします。もちろん、「こうしなければいけない」という話ではありません。「私はこうしています」という話です。参考にして頂ければ幸いです。
内容に入る前に、すこし本のご紹介を。プレゼンテーションのマニュアルとして私が読んだのは次の2冊です。
- 作者: Garr Reynolds,ガー・レイノルズ,熊谷小百合
- 出版社/メーカー: ピアソン桐原
- 発売日: 2009/09/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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パブリックスピーカーの告白 ―効果的な講演、プレゼンテーション、講義への心構えと話し方
- 作者: Scott Berkun,酒匂寛
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2010/10/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 9人 クリック: 128回
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プレゼン資料を見て頂いたことのある方ならおわかりのとおり、私はzen主義者です。ただ、それほど原理的ではなく「写真を使ってメッセージを伝える」ということを除いて、書いてあったことを色々忘れているような気もします。『パブリックスピーカーの告白』もやはりいい本で、これを読んでからプレゼンを技術としてとらえるようになりました。
さて、私が必ず守っている教えは、『zen』から2つ、『告白』から1つもらっています。
メッセージを明確に(プレゼンテーションzen)
プレzenの奥義は「Flickrを使いこなすこと」ではもちろんありません。大切なのは「メッセージを伝えること」です。「メッセージ」という言葉が何か格式張った印象を与えるのであれば、「エレベーターピッチ」と言い換えてもいいでしょう。要するに、聞きに来てくれた方(しかも、仕事帰りだったり、休みの日だったりする貴重な時間を割いて来てくれた方)に対して、何を持って帰ってほしいのか、一言で、ということです。
具体例のためにさらに舞台裏をさらすと、
- 「ドメイン駆動設計入門」のメッセージは、「オブジェクトが表現するのは概念である」と「MVCのMはモデルであって、スクリプトではない」の2つでした。サブテーマとして、これを軸にDDD本を概観し、その後の佐藤さん、増田さんの発表の土台をつくる、というものがありました。
- 「戦略的設計入門」のメッセージは、「戦略的設計とは何かを具体的にイメージしてほしい」というものでした。抽象的な議論が多く、DDD本を読んでいるだけだとイメージが湧きにくいのですが、かなり重要な箇所なのです。これはドメイン駆動設計入門の続編であると同時に、DDD前夜祭陽の巻の第4部編でもありました。
- 「Growing Grails Application」のメッセージは、「DDDを実践するために、欠けているものを埋めよう」でした。DDDは設計の話はしてくれますが、意外と具体的なプロセスの話をしてくれておらず、実際現場に適用するには、いくつかのプラクティスと組み合わせる必要があるのです。もちろん、抜き打ちモデリングセッションで交流を、というのも大きなテーマでした。
他にも、「旅行手配ドメイン」とか「Geb+Spock」とか、スパイスっぽいものはあるのですが、メインとなるメッセージをぼかしてしまうような話はかなり削っています。メッセージに焦点を合わせ続けられるようにし、余計なものを削る上では次のプラクティスが助けになります。
発表原稿を作成する(プレゼンテーションzen)
プレzenのいいところは、スライドを眺めているだけでそれなりに楽しいところ。悪いところは、話者がいないと何の話かさっぱりわからないところです。それを補うためにプレzenには「ハンドアウトを配ればいいじゃないか」という素朴なソリューションが提示されます。
とはいえ、「ハンドアウトをプリントアウトするのもそれなりに手間がかかるし、どうしたものか」と考えた結果が、「発表前に書いて、後でブログで公開」でした。やはり原稿を書くとストーリーを前もって組み立てられるので、論理に飛躍があるところとか、脱線しているところに気づくことができます。ただ、読み上げはしていません。ライブ感が失われるような気がするので。じゃあ、原稿も読まずにどうやっているのか、暗記でもしているのか、という話が次のプラクティスにつながります。
リハーサルをする(パブリックスピーカーの告白)
これは目からウロコが落ちました。曰く「うまくなりたいなら、練習しろよ」と。発表原稿を書くのとは前後するケースがありますが、私は最低2回リハーサルをやっています。PCを操作しながら、立って実際に声を出してやっているので、傍から見たら相当奇妙に見えるでしょう。
2回というのは、別に勤勉なわけではありません。1回目は時間が大きくズレたり、話がうまくつながらなかったり、脱線したり、言いよどんだり・・・要するにうまくいかないんですよ。それを発表原稿にフィードバックして、スライドを増減させた上でもう一回やっています。これでうまくいくこともありますが、うまくいかないこともあります。そういう場合は、もう一度。大体3回やれば感じがつかめます。
このときに心がけているのが、「セリフを覚える」のではなく、「論点を整理する」ことです。「このスライドではこれとこれとこれを伝えよう」―こうしておけば、わりと普通に話すことができます。たまにセリフがとんでいることもありますが、本当に伝えるべきメッセージが1つか2つに絞られているので、多少細かいことを言いそびれても、全体のメッセージを大きく外すことはありません。時間も、すこし早めに終わるように事前に調整していれば、手元のタイマーを見ながら話して大体ぴったりに収められます。
ちなみに、タイマーとレーザーポインタのついたリモートコントローラを @t_wadaさんに紹介してもらいました。お値段はちょっとするのですが、それに十分見合う便利なアイテムです。
LOGICOOL プロフェッショナルプレゼンター タイマー機能・LCD搭載 R800
- 出版社/メーカー: ロジクール
- 発売日: 2009/10/30
- メディア: Personal Computers
- 購入: 15人 クリック: 217回
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最後に
一言で言えば、私のプレゼンは「上演」です。準備してきたものを「演じる」わけですね。だから、準備がしっかりできていれば、当日はそれなりに心に余裕が持てます。実際にプレゼンをしているときに意識しているのは、なるべく聞いてくださっている方の反応を見ること。やっぱり、うなずいてくださったり、笑ってくださったりすると、うれしいじゃないですか。スライド作りとか、リハとか、それなりに準備に時間はかかるんですけど、でも喜んでくださる方の顔を見ると、やってよかったなー、と思います。
一番大事なことですが、プレゼンは一人ではできません。場を準備して登壇させて下さる方がいて、聞いてくださる方がいて、初めて成り立つことなんですよね。とても感謝しています。いつも、どうもありがとうございます!
*1:学会発表は以前にもやったことはありますが、あれはちょっと別ですので。また、2010年のデブサミで、JavaEE勉強会のメンバーとパネルディスカッションをやらせて頂いています。あれは勉強になりました。
クリック: 2回
2009-02-21
ITエンジニアのための英語ポッドキャスト
英語リスニングを強化したいITエンジニアの方向けに、私が普段聞いているポッドキャストを整理しました*1。
英語力の基礎
English as a Second Language Podcast
既に何度かご紹介しているESLですね。通常のエピソードとイングリッシュ・カフェと二種類あります。通常のエピソードは毎回お題が決まっていて、内容は「ゆっくりしゃべるショートダイアログ」「内容の説明」「ノーマルスピードのダイアログ」の三部構成。イングリッシュ・カフェの方は、「ショートストーリーのリーディングセクション」と「リスナーからの単語の質問に答えるコーナー」の二部構成です。
時間はエピソードで15分前後、カフェで20分前後とほど良く、シャドーイング素材としてもボキャブラリー・ビルディング教材としても適しているので、スピード的には問題なく聞き取れるようになった後でも日課として続ける価値がある思います。
BBC Learning English | Grammar Challenge
BBCの文法解説podcast。毎回テーマとなる文法が決まっていて、ゲストの非ネイティブが質問に答えていくタイプの構成です。ゲストの英語は決して流暢ではないので、リスニング教材としては必ずしも適していないかもしれませんが、出題される問題の答えをゲストと一緒になって考えることで、実はスピーキング力の向上につながるのではないかという気がしています。もちろん、文法のおさらいにも役立ちます。
Learn English Online with Free Business English Lessons | BusinessEnglishPod.com
ビジネス英語の総合教材。video podcastを含むさまざまな形式で解説をしてくれる良質な教材です。エピソードによっては聞き手側の発声を促すものもあり、真剣に取り組めばトータルな英語力の向上につながるのではないでしょうか。
幅広い内容を英語で
BBC World Service - Documentaries
BBCのドキュメンタリー。幅広いテーマが毎回20分程度にまとめられています。ESLに慣れて、スピード的に物足りなくなってきた頃に試すのに丁度いいのではないでしょうか。シャドーイング教材としてはちょっと速めですが、内容の構成がしっかりしているので、全体の構造を頭の中で組み立てながら聞く訓練をするのに最適です。
実際の内容も興味をそそられるものが多く、普通に聞き流しているだけでも十分に楽しめます。
Show Pages - CNN Newsroom - CNN.com
CNNのvideo podcastです。1回6分程度。スピードとしては相当速い部類に属すると思いますが、映像の助けを借りることで、概要はつかむことができると思います。耳だけを鍛えてしまうと、映像が入った時に、それに邪魔されて聴き取れなくなってしまうことがあるので、ある程度こういうものを見る習慣は大切なのではないでしょうか。
BBC World Service - Click
BBCのテクノロジー系特集。そうはいっても、内容はエンジニアだけにしか分からないようなエッジなものではないので、Googleのサービスだとか、SNSだとかに興味のある方であれば、普通に楽しんで聞けるのではないかと思います。なおホストが話すスピードは、同じBBCのドキュメンタリーの平均と比べるとやや速めかもしれません。
World-class Leadership Development Solutions | Harvard Business Publishing
ビジネスに関する専門家をゲストに迎えてインタビューをするvideo podcast。内容は特定の業務領域に関する専門知識ではなく、リーダーシップやチームのマネジメントといったものになっているので、普段リーダやマネージャをやっている方であれば興味深く聞く事ができるのではないでしょうか。ゲストはさすがに超インテリだけあって、流暢な英語できわめて論理的に説明をしてくれます。
技術情報を収集
Software Engineering Radio - The Podcast for Professional Software Developers
毎回特定のキーワードに関する専門家を招いてインタビューをするpodcast。1回40分前後とやや長めではありますが、特にJavaの開発をしている人にとっては重要なテーマが出てくる為、技術動向の収集としては非常に適しています。構成に関しても、話し手がテーマに関して一方的にしゃべるのではなく、インタビュー形式になっていて、聞き手が随時内容の要約・整理をしてくれるので、多少聞き漏らす箇所があってもポイントがきちんと理解できるようになっています。
The Java Posse
一週間に一度、ギークな四人がJavaの動向について好き勝手しゃべるpodcast。ニュース的な内容だけでなく、話題の人物のインタビューなども時々あって、聞く価値は十分にあります。これまで紹介した他のポッドキャストとの違いは「おしゃべり」的な要素が強いこと。それが嫌と感じる方もいると思いますが、個人的には英語が使われている場の「空気」を味わえると言う意味で貴重だと思っています。難点は1回が長いこと。1時間〜1時間30分のエピソードが週1回配信されるため、どうしても溜まりがちになってしまいます。40分くらいでコンパクトにまとめてくれたらよいのですが。
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*1:色々な方から教えて頂いたものを含んでいます。みなさん、ありがとうございました。



